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虎は火照りの中覆い隠した思いに素直となる
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「うぅ……くうぅ……っ!」
今日はまだ、それが訪れる時では無いはずだ。焦りと困惑を思考に浮かべながら、男がホテルのベッドの上で異常に火照る肉体を横たえさせている。
縞柄の体毛が汗で湿り不快感を味わわせてくる。種の特性由来の重い衝動が、男の思考と身体を熱く蝕んでいく。そんな苦悶に苛まれながら、虎獣人の男が荒く乱れた呼吸を繰り返しつつ周期から外れて派生した強烈な発情の沈静をじっと待っている。
こんな場所で、自らの手で刺激を引き寄せて欲望を収める訳にはいかない。そうわずかに残った理性で自制しながら虎の男が耐えに耐える。年甲斐も無く湧き上がるいつもよりも遥かに強い淫欲の波にありとあらゆる余裕を削ぎ落とされながら、虎は惨めさを覚えつつ己をひたすらに律する。
だが、幾ら律しようとも火照りは引かない。耐えに耐えても快楽が欲しいと願う本能は静まってくれない。自分で自分を追い詰める生殺しの地獄の中で諦め悪く忍耐を積み重ね続けた虎はいつしか自身が何故耐えていたのかも忘れ、出張の間同じ部屋で数日寝泊まりすることとなる部下の存在も忘却し、火照りを少しでも逃がそうと浴びた冷たいシャワーの後に纏っていた白一色のバスローブをはだけさせた姿を晒しての自慰に耽り始めていた。
「んっ、あぁ……! あっ、んひぃっ」
雄々しく鋭い牙の間から舌と唾液をだらしなく垂らしつつ、虎が壁に背を預けた体勢で自らの淫らな弱点に責めを注いでいる。もはや、ホテルのベッドを汚してしまうという考えすら思い出せなくなった虎が、程良く整いつつも年相応に緩んだ肉体を心地良さげに跳ねさせながら淫欲の追求に夢中となっている。
しかし、どんなに左右の指で乳首を捏ね男根を扱き尻穴をほじっても渇きは満たされない。太くしなやかな縞柄の尾を利用して尻穴を摩擦しつつその他の箇所を一生懸命に弄るというはしたない手段に至っても、虎の欲はむしろその量をじょじょに肥大化させていく。
すでに思考が吹き飛んでいる虎はもう、覆い隠そうとしていた真実を認めることしか出来ない。あれは酒が原因での過ちだからと己に言い聞かせその際に味わった幸福に蓋をしていた虎は、たったの一度で忘れたくても忘れられない記憶として心と身体に刻み付けられた幸福を欲しながら、もどかしい悦楽を虚しく汲み取ることしか出来はしないのだ。
「あ、あぁ……○○君、○○君……!」
自分の体調不良を気遣い後は任せてくれと言ってホテルへの帰還を促してくれた優しい部下の顔と声を思い出しながら、お互いに酒が入り代わりに煩わしい建前が消え去ったあの日に見せ付けられた狼獣人らしい獰猛で熱烈な劣情を脳裏に蘇らせながら、虎の男は知らず知らずの内に自分の中を埋め尽くし恋慕を抱かせ意図せぬ発情期を誘発させる程の相手に育っていた愛しい部下の狼の名を呼びつつ、その狼が部屋へと帰って来た時に始まる新たな関係に、上司から淫猥な雄に堕ち自分の恥ずかしい様を一つ残らず悦んで披露する淫蕩な屈服の関係に、まだ一回も絶頂に辿り着けていない肉体をときめかせ期待を際限無く膨らませていくのだった。
今日はまだ、それが訪れる時では無いはずだ。焦りと困惑を思考に浮かべながら、男がホテルのベッドの上で異常に火照る肉体を横たえさせている。
縞柄の体毛が汗で湿り不快感を味わわせてくる。種の特性由来の重い衝動が、男の思考と身体を熱く蝕んでいく。そんな苦悶に苛まれながら、虎獣人の男が荒く乱れた呼吸を繰り返しつつ周期から外れて派生した強烈な発情の沈静をじっと待っている。
こんな場所で、自らの手で刺激を引き寄せて欲望を収める訳にはいかない。そうわずかに残った理性で自制しながら虎の男が耐えに耐える。年甲斐も無く湧き上がるいつもよりも遥かに強い淫欲の波にありとあらゆる余裕を削ぎ落とされながら、虎は惨めさを覚えつつ己をひたすらに律する。
だが、幾ら律しようとも火照りは引かない。耐えに耐えても快楽が欲しいと願う本能は静まってくれない。自分で自分を追い詰める生殺しの地獄の中で諦め悪く忍耐を積み重ね続けた虎はいつしか自身が何故耐えていたのかも忘れ、出張の間同じ部屋で数日寝泊まりすることとなる部下の存在も忘却し、火照りを少しでも逃がそうと浴びた冷たいシャワーの後に纏っていた白一色のバスローブをはだけさせた姿を晒しての自慰に耽り始めていた。
「んっ、あぁ……! あっ、んひぃっ」
雄々しく鋭い牙の間から舌と唾液をだらしなく垂らしつつ、虎が壁に背を預けた体勢で自らの淫らな弱点に責めを注いでいる。もはや、ホテルのベッドを汚してしまうという考えすら思い出せなくなった虎が、程良く整いつつも年相応に緩んだ肉体を心地良さげに跳ねさせながら淫欲の追求に夢中となっている。
しかし、どんなに左右の指で乳首を捏ね男根を扱き尻穴をほじっても渇きは満たされない。太くしなやかな縞柄の尾を利用して尻穴を摩擦しつつその他の箇所を一生懸命に弄るというはしたない手段に至っても、虎の欲はむしろその量をじょじょに肥大化させていく。
すでに思考が吹き飛んでいる虎はもう、覆い隠そうとしていた真実を認めることしか出来ない。あれは酒が原因での過ちだからと己に言い聞かせその際に味わった幸福に蓋をしていた虎は、たったの一度で忘れたくても忘れられない記憶として心と身体に刻み付けられた幸福を欲しながら、もどかしい悦楽を虚しく汲み取ることしか出来はしないのだ。
「あ、あぁ……○○君、○○君……!」
自分の体調不良を気遣い後は任せてくれと言ってホテルへの帰還を促してくれた優しい部下の顔と声を思い出しながら、お互いに酒が入り代わりに煩わしい建前が消え去ったあの日に見せ付けられた狼獣人らしい獰猛で熱烈な劣情を脳裏に蘇らせながら、虎の男は知らず知らずの内に自分の中を埋め尽くし恋慕を抱かせ意図せぬ発情期を誘発させる程の相手に育っていた愛しい部下の狼の名を呼びつつ、その狼が部屋へと帰って来た時に始まる新たな関係に、上司から淫猥な雄に堕ち自分の恥ずかしい様を一つ残らず悦んで披露する淫蕩な屈服の関係に、まだ一回も絶頂に辿り着けていない肉体をときめかせ期待を際限無く膨らませていくのだった。
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