BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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犬はくねる裸体を見世物にされる

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ホールの中央にある丸い形をした小さなステージの上に、白い毛並みを持った犬獣人がいる。それは夜道で不意に数人の男に襲われて抵抗もままならぬまま連れ去られ、様々な自由を奪う拘束と辱めを衣服を剥ぎ取られた裸体に与えられた状態で見世物にされている無様極まりない刑事の犬獣人だ。
悪を見逃さぬ目と悪を糾弾する犬刑事の口は今、視界を遮る目隠しと犬特有の尖った口を開けないようにすっぽりと覆う口枷が一体となった黒い革製の器具で拘束され、見る事も口を使う事も出来ないようにされてしまっている。これでは、周囲の様子を確認する事はおろか怒りを込めて叫ぶ事も出来ない。自分の手首を頭上高く持ち上げた状態で下ろしたくても下ろせないように吊るし立ったままの体勢を強要している手枷をどうにかして外せないかと視覚で情報を集める事も出来ない。恥を承知で舌を伸ばして自らの乳首を舐め回し、左右の乳首にたっぷりと塗り込まれた痒み薬を拭い取る事も、出来ない。

目と口、そして手の自由を制限された犬刑事は、もはや乳首を襲う気が狂いそうな痒みに苦しめられるしか無い。一生懸命に手に力を込めて見ても手枷はその足掻きを嘲笑うように金属が擦れ合う音を立てるのみで外れず、少しでも乳首の痒みを散らそうと裸体をくねらせてみても無意味で、犬であるが故の聴力で聞こえてきてしまう自分を取り囲んだ男達の興奮交じりの荒い呼吸から逃れたくても逃げる術は無く、犬刑事は乳首の痒みに悶え苦しむ惨めな自身の姿で自分を観察する男達の目と耳を悦ばせる事しか出来ないのだ。

「んっ……むふぅっ。ぐ、うぅ、ふぅ、ふうぅぅ……!」

意識を逸らせないくらいの痒さに嬲られている乳首は、白い体毛の上で赤く染まって自己主張している事だろう。
尻尾で尻穴と男根を隠す事すら、乳首の苦しさに流されて気が付くと忘れてしまっている。それ以前に、刑事としての誇りさえもどうでも良くなっており、犬刑事は口が使えたならなりふり構わず乳首を弄ってくれとおねだりを発していただろう。
そこまでの状況になるくらい、犬刑事は追い詰められ理性を失い始めている。だが、犬の刑事を拉致して恥辱を加えている者達は理性を失い始めた犬刑事が淫らなおねだりを抱いている事実に気付きながらもそれに応えず、解消されない痒みに苦悶する犬刑事をステージの上で晒し続けている。
犬刑事が自らの欲望で壊れ落ち、狂い切る様を最後まで観察する。それが、この空間に集まっている、犬刑事に恨みを持つ悪人の男達の望みだからだ。

「むぅぅーっ! ふぐっ、むぅ、んふっ……んふぅぅぅっ……!!」

人格が刑事の誇りと共に跡形も無く蕩け落ちるまでもどかしさの地獄が終わらないという残酷な事実を知らない犬の刑事は、塞がれた口で哀願の唸りを上げ、裸体を淫猥にくねらせながら目隠しの下から涙を頬に伝わせ、悪人達の興奮と満足の度合いを更に高めていた。
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