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4】何かが起こるとは思っていなかった頃
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4】何かが起こるとは思っていなかった頃
「遠野さん。一緒に帰ろうね」
圭介は、その宣言通り。
定時の少し前から圭介は外回りを終えたのか、社内に戻って来ていた。自分の事務仕事をしながら、時おり俺の方を見ている。本人は気づかれていないと思っているかもしれないが、腐れ縁なんだ。チラチラ見る癖だとか、視線だとか。バレないはずがない。
(全く……)
俺も今日は残業では無いし、定時で終わりたい。そうだ、これは圭介のためじゃない。俺も早く帰りたいから。キリが良いところで、自身も仕事を切り上げる。何食わぬ顔をして、パソコンを落とす準備を始めれば、圭介が嬉しそうに席を立った。勿論、向かってくる先は俺のところ。
「遠野さん、もうすぐ終わりそう?」
「ああ。というか、圭介。先に帰ってて良いんだぞ?」
「やだ。俺が遠野さんの一緒に帰りたいんだもん」
「だもん、てお前……」
俺たち、もうアラサーなんだぞ? と思ったが、悔しいかな。
アイドル枠だと言われた圭介の顔だと、この言葉もすんなりと通ってしまう。それに、弟に甘えられているような感覚で、俺としても頭では圭介に甘いなぁと思いつつも、つい甘やかしてしまうのだ。
「もう終わる」
ソワソワする様子の圭介に、今度は女性陣の視線が送られている。周囲も、圭介が喜んでいることに、良かったねぇ……と微笑ましい雰囲気だった。
「ほら、圭介。帰るぞ。お疲れ様です」
「お疲れ様です!」
「「「お疲れ様です」」」
パソコンの電源が完璧に落ちたのを確認し、あとは帰るだけ。荷物も少なく、カバンを持てば、あとは帰るだけで良い。お先ですと、残る人たちに挨拶をすれば、変わらず微笑ましそうに圭介を見ていた。
(って、お前は俺を見るのかよ)
「遠野さん?」
「何でもない」
微笑ましい視線に気づかない様子で、圭介がまたニコニコと俺を見ている。早く! と急かすように、手を引っ張って、俺の前だと本当に子供のよう。そのくせだ。会社を出て暫くして駅に着き。
「葵。今日も一緒に夕飯食べようよ」
「別にいいけど」
二人きりになれば、これだ。昔からの呼び方。葵と俺のことを名前で呼ぶ。
(俺は会社でも圭介って呼んでるんだから、圭介も葵って俺の事呼べば良いのに)
(……何でだ?)
やっぱり圭介の考えていることは、よく分からない。
そんな……いつもと変わらない日常に変化が起きたのは、これから間もなく。
季節感が薄れ。寒さは? と思いながら、温かな冬の時季。街並みがクリスマスに浮き出し立って、明るいイルミネーションが綺麗だなと思っていた頃。
********
「遠野さん。一緒に帰ろうね」
圭介は、その宣言通り。
定時の少し前から圭介は外回りを終えたのか、社内に戻って来ていた。自分の事務仕事をしながら、時おり俺の方を見ている。本人は気づかれていないと思っているかもしれないが、腐れ縁なんだ。チラチラ見る癖だとか、視線だとか。バレないはずがない。
(全く……)
俺も今日は残業では無いし、定時で終わりたい。そうだ、これは圭介のためじゃない。俺も早く帰りたいから。キリが良いところで、自身も仕事を切り上げる。何食わぬ顔をして、パソコンを落とす準備を始めれば、圭介が嬉しそうに席を立った。勿論、向かってくる先は俺のところ。
「遠野さん、もうすぐ終わりそう?」
「ああ。というか、圭介。先に帰ってて良いんだぞ?」
「やだ。俺が遠野さんの一緒に帰りたいんだもん」
「だもん、てお前……」
俺たち、もうアラサーなんだぞ? と思ったが、悔しいかな。
アイドル枠だと言われた圭介の顔だと、この言葉もすんなりと通ってしまう。それに、弟に甘えられているような感覚で、俺としても頭では圭介に甘いなぁと思いつつも、つい甘やかしてしまうのだ。
「もう終わる」
ソワソワする様子の圭介に、今度は女性陣の視線が送られている。周囲も、圭介が喜んでいることに、良かったねぇ……と微笑ましい雰囲気だった。
「ほら、圭介。帰るぞ。お疲れ様です」
「お疲れ様です!」
「「「お疲れ様です」」」
パソコンの電源が完璧に落ちたのを確認し、あとは帰るだけ。荷物も少なく、カバンを持てば、あとは帰るだけで良い。お先ですと、残る人たちに挨拶をすれば、変わらず微笑ましそうに圭介を見ていた。
(って、お前は俺を見るのかよ)
「遠野さん?」
「何でもない」
微笑ましい視線に気づかない様子で、圭介がまたニコニコと俺を見ている。早く! と急かすように、手を引っ張って、俺の前だと本当に子供のよう。そのくせだ。会社を出て暫くして駅に着き。
「葵。今日も一緒に夕飯食べようよ」
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そんな……いつもと変わらない日常に変化が起きたのは、これから間もなく。
季節感が薄れ。寒さは? と思いながら、温かな冬の時季。街並みがクリスマスに浮き出し立って、明るいイルミネーションが綺麗だなと思っていた頃。
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