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37】初めて話した
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37】初めて話した
年が明けて数日。休み明けでも、一気に仕事はやって来る。忙しいと皆を鼓舞しつつ、自分の仕事もしっかりこなす。そんな時だ。
「すみません、コレお願いします」
知らない声と共に、視界に入ったレシートや領収書。
「ああ、清算ですね。分かりました」
顔を上げれば、眼が合ったのは先日研修でやって来たという山下さん。
「山下さん、初めまして。遠野と言います」
「僕の名前、覚えていてくれたんですか? 嬉しいです」
「それほどでも」
ふわりと微笑んだ表情は、確かに。物腰も柔らかで、俺たちには無い大人の余裕のようなものが感じられた。
「どうですか? 職場には慣れましたか? 俺たちの部署とも、結構関わることが多いと思うので、何かあれば気軽に聞いて下さいね。な、皆」
「はい!」
「勿論です」
「はいはい! 山下さん、質問です。今フリーですか?」
「おい、こら! いきなり失礼だろう」
「あはは、すみません。気になっちゃって」
場の空気を和ませようとしている半分、情報が知りたい半分なのだろう。チクリと釘を刺しながら、すみませんと山下さんを見れば特に気にしていない様子だった。
「はは。その質問、結構皆さんされるんですよね。女性の皆さんには、僕みたいなおじさんが珍しいのかな?」
「山下さんは、全然おじさんじゃないですよ。それに、山下さんが素敵なので、こう言ってはなんですがお近づきになりたいんだと思いますよ」
「そうですか……?」
「はい」
(結構、話しやすい人みたいだな)
そう思っていると、照れた様子の山下さんが言った。
「有難うございます。そう言って貰えて嬉しいです。あと、その……男の人に、こういうことを言うのは何ですが、遠野さんも綺麗な顔ですね」
「えっ!? 俺ですか!?」
「遠野さんの良さに気づくなんて、山下さん見る眼ありますね」
「こら、お前ら」
「はい」
お世辞だと分かっているが、綺麗だとか初めて言われた。
「じゃあ、遠野さん。これからも宜しくお願いします」
「ああ、はい」
また最後にぺこりと会釈され。別れ際、握手をして山下さんが戻って行った。代わりにやって来たのは、よくやって来る圭介。
「えぇ……っ。ちょっと、遠野さん、今の……今のってさぁ……!??!!」
「何だよ」
「高木さん、遠野さん取られちゃうかもしれませんね」
「そんなこと言わないで……! 俺、泣いちゃうから!」
お化けでも見たかのような表情で、圭介が珍しく俺に詰め寄ってきた。
(何だんだ、一体)
「遠野さん、遠野さんってば。俺の話聞いてる?」
*******
年が明けて数日。休み明けでも、一気に仕事はやって来る。忙しいと皆を鼓舞しつつ、自分の仕事もしっかりこなす。そんな時だ。
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顔を上げれば、眼が合ったのは先日研修でやって来たという山下さん。
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「僕の名前、覚えていてくれたんですか? 嬉しいです」
「それほどでも」
ふわりと微笑んだ表情は、確かに。物腰も柔らかで、俺たちには無い大人の余裕のようなものが感じられた。
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「はい!」
「勿論です」
「はいはい! 山下さん、質問です。今フリーですか?」
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「はは。その質問、結構皆さんされるんですよね。女性の皆さんには、僕みたいなおじさんが珍しいのかな?」
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「そうですか……?」
「はい」
(結構、話しやすい人みたいだな)
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「有難うございます。そう言って貰えて嬉しいです。あと、その……男の人に、こういうことを言うのは何ですが、遠野さんも綺麗な顔ですね」
「えっ!? 俺ですか!?」
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「こら、お前ら」
「はい」
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「じゃあ、遠野さん。これからも宜しくお願いします」
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お化けでも見たかのような表情で、圭介が珍しく俺に詰め寄ってきた。
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