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白の聖女と黒の聖女
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―七年後ーー
私は、正式に王族として名を連ねていた、アンナ王女の娘。王家の血を引く存在とはいえ、それはただの肩書きだけだった。
【黒髪】
それだけで、人は一歩距離を取ってしまう、王族の茶会では、微妙な沈黙が生まれ、笑顔の奥に、警戒と戸惑いがある。
――血筋は認められても、受け入れられてはいない。
そんな日々の中で、私が足を運び続けていたのは、
王城ではなく、病院だった。
「お、きたか、シャーロット」
「ソラ、病院に行ってばかりで学園の先生が嘆いてたわよ」
だけど、、、今の私の取り巻く環境は以前とは違う。それだけで十分過ぎるほど、充実した生活だった。薬草師や治療師たちと共に、運営の手伝いをし、怪我人や病人に寄り添う。
「シャーロット様が来てくれたぞ」
「今日は安心だな」
平民たちや、医師達は私を肩書きではなく、人として慕ってくれているのが嬉しいもの。
ある午後ーー
王城の庭で、ウィリアム王太子と向かい合ってお茶をしていた。月に一度はこうやってお茶会をするのが日課となっている。
「来年、戴冠式を行う予定だ」
陛下から正式に告げられた、と兄ウィリアムは穏やかに話す。
「……そうなんですね。ウィリアム王太子なら立派な王となります。ただ、、、陛下の容体は?」
去年から国王陛下の容体が悪くなり、私も聖力を注いで治そうとしても陛下は「人間、こうやって寿命があるんだ、やめてくれ」と拒否をされる。
薬とかは飲んでくれるけど‥そう私が心配をしているのを察してくれたのか、ウィリアムは
「あと君は2年で成人だろう?楽しみにビールを一緒に飲むと陛下は言っている。それまでは生きてるさ」
笑って話すウィリアム王太子に、私も微笑み返す。
いつの間にか、気を張らずに、こうして話せる関係になっていた。
一方、ソラは学園で成績は常に上位。
薬剤師の道を真っ直ぐ進み、教員からの評価も高い。
だが――
彼の周りには、やたらと目立つ存在がいた。
「ふん!まーた!病院ばかりいって飽きませんわね!」
「なんだ、縦ロール久しぶりだな」
「失礼ね!!ミーア•グランデという、平民の貴方にとったらわたくしはー」
「はいはい、俺忙しいのよ。先生に頼まれたやつあるんだけど縦ロール手伝ってくれるか?」
「……ふ、ふん!仕方ありませんわねっ!」
縦ロールの緑色の髪を揺らし、距離感ゼロで迫る貴族令嬢、ミーアさん。大地震の際、ソラに助けられて以来、、
彼女は公然とソラに噛み付くようになった。というより、ソラに恋をしている乙女さんなのよね。
ミーアさんは、私とソラが仲が良いのを嫉妬しているのか、いつも睨む。かといえば、オフィーリアの取り巻き達に絡まれると、ミーアさんは助けてくれてもいる。
とにかく、なんだか可愛い子なのよね。
そして、学園で最も注目を集めるのは――
白の聖女、オフィーリアだった。清楚で、慈愛に満ちた微笑みに、人々は彼女を理想の聖女と称え、憧れを向ける。
その隣には、いつもガイア王子がいた。
「お似合いだわ」
「お似合いの恋人同士ね。でも婚約できないのは、やっぱり、王家と教会の仲がーー」
そんな声が、当たり前のように聞こえてくる。
――実際、そうなのだという。
前世では、私はオフィーリアの友人として、いや、便利な存在として使われていた。
そして、ガイア王子は婚約者だった。
けれど今世では、二人は最初から、恋人同士……らしい。
何を企んでいるのかいつも警戒をしていたけど、ここ数年何もしてこない。
だけど、ウィリアム王太子派とガイア王子派が今分かれているのが現状だ。貴族のほとんどがオフィーリア、いやガイア王子についている。
何か弱みでも握ってるのかしら、、?
学園内でシャーロットはやはり目立っていた、黒髪と避けられてるのではなく、、、あまりにも美しいと生徒達は囁く。
それでも、、、
白の聖女オフィーリア様と黒の聖女シャーロット様、
どちらが1番聖女として相応しいのか、と皆そう思っていた。
私は屋敷内裏にある丘へとよく足を運ぶ。
「……ユリウス、私は元気にしてるわ」
私は、正式に王族として名を連ねていた、アンナ王女の娘。王家の血を引く存在とはいえ、それはただの肩書きだけだった。
【黒髪】
それだけで、人は一歩距離を取ってしまう、王族の茶会では、微妙な沈黙が生まれ、笑顔の奥に、警戒と戸惑いがある。
――血筋は認められても、受け入れられてはいない。
そんな日々の中で、私が足を運び続けていたのは、
王城ではなく、病院だった。
「お、きたか、シャーロット」
「ソラ、病院に行ってばかりで学園の先生が嘆いてたわよ」
だけど、、、今の私の取り巻く環境は以前とは違う。それだけで十分過ぎるほど、充実した生活だった。薬草師や治療師たちと共に、運営の手伝いをし、怪我人や病人に寄り添う。
「シャーロット様が来てくれたぞ」
「今日は安心だな」
平民たちや、医師達は私を肩書きではなく、人として慕ってくれているのが嬉しいもの。
ある午後ーー
王城の庭で、ウィリアム王太子と向かい合ってお茶をしていた。月に一度はこうやってお茶会をするのが日課となっている。
「来年、戴冠式を行う予定だ」
陛下から正式に告げられた、と兄ウィリアムは穏やかに話す。
「……そうなんですね。ウィリアム王太子なら立派な王となります。ただ、、、陛下の容体は?」
去年から国王陛下の容体が悪くなり、私も聖力を注いで治そうとしても陛下は「人間、こうやって寿命があるんだ、やめてくれ」と拒否をされる。
薬とかは飲んでくれるけど‥そう私が心配をしているのを察してくれたのか、ウィリアムは
「あと君は2年で成人だろう?楽しみにビールを一緒に飲むと陛下は言っている。それまでは生きてるさ」
笑って話すウィリアム王太子に、私も微笑み返す。
いつの間にか、気を張らずに、こうして話せる関係になっていた。
一方、ソラは学園で成績は常に上位。
薬剤師の道を真っ直ぐ進み、教員からの評価も高い。
だが――
彼の周りには、やたらと目立つ存在がいた。
「ふん!まーた!病院ばかりいって飽きませんわね!」
「なんだ、縦ロール久しぶりだな」
「失礼ね!!ミーア•グランデという、平民の貴方にとったらわたくしはー」
「はいはい、俺忙しいのよ。先生に頼まれたやつあるんだけど縦ロール手伝ってくれるか?」
「……ふ、ふん!仕方ありませんわねっ!」
縦ロールの緑色の髪を揺らし、距離感ゼロで迫る貴族令嬢、ミーアさん。大地震の際、ソラに助けられて以来、、
彼女は公然とソラに噛み付くようになった。というより、ソラに恋をしている乙女さんなのよね。
ミーアさんは、私とソラが仲が良いのを嫉妬しているのか、いつも睨む。かといえば、オフィーリアの取り巻き達に絡まれると、ミーアさんは助けてくれてもいる。
とにかく、なんだか可愛い子なのよね。
そして、学園で最も注目を集めるのは――
白の聖女、オフィーリアだった。清楚で、慈愛に満ちた微笑みに、人々は彼女を理想の聖女と称え、憧れを向ける。
その隣には、いつもガイア王子がいた。
「お似合いだわ」
「お似合いの恋人同士ね。でも婚約できないのは、やっぱり、王家と教会の仲がーー」
そんな声が、当たり前のように聞こえてくる。
――実際、そうなのだという。
前世では、私はオフィーリアの友人として、いや、便利な存在として使われていた。
そして、ガイア王子は婚約者だった。
けれど今世では、二人は最初から、恋人同士……らしい。
何を企んでいるのかいつも警戒をしていたけど、ここ数年何もしてこない。
だけど、ウィリアム王太子派とガイア王子派が今分かれているのが現状だ。貴族のほとんどがオフィーリア、いやガイア王子についている。
何か弱みでも握ってるのかしら、、?
学園内でシャーロットはやはり目立っていた、黒髪と避けられてるのではなく、、、あまりにも美しいと生徒達は囁く。
それでも、、、
白の聖女オフィーリア様と黒の聖女シャーロット様、
どちらが1番聖女として相応しいのか、と皆そう思っていた。
私は屋敷内裏にある丘へとよく足を運ぶ。
「……ユリウス、私は元気にしてるわ」
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