元黒聖女シャーロットはもう祈らない

くま

文字の大きさ
5 / 13

は?目覚めたら……戻ってきた!?

しおりを挟む
あたたかい?

それが、最初に感じたことだった。冷たいアスファルトでも、病院の天井でもない。柔らかな寝台と、微かに香る私の好きな薔薇の匂い。だけどこの感じは知っている。

とても嫌な予感が‥

ゆっくりと目を開けると、天井には見慣れた装飾が施されている部屋、、可愛らしいうさぎのぬいぐるみに、ピンク色のカーテン、、、あぁ、ここは幼い頃、屋敷に引き取られた時に用意された部屋だ。

いや、前世の、だ。

「……は?」

自分の手を見て、私は息を呑んだ。まさか、、小さい!
指も腕も、信じられないほど小さい!

「か、鏡!!」


部屋にある鏡の元へいき、顔を覗きこむと、そこに映るのは、黒髪で陰気だと言われ続けた、シャーロットだ。

黒髪なんてこの世界では気味が悪いと囁かれてたけど、まさかの、、

「……十歳」

記憶が、静かに噛み合う、、
たしか、そう、孤児院。孤児院で引き取られた。
そして――この屋敷に来たばかりの時期だわ。

「……まさかの三度目、ね。糞神!ざけんなっ」

思わず、鏡に映った自分を睨む。誰かのために尽くして、
使い潰されて、それでもなお、生き直せと言うのか。

もう、たくさん!!!

コンコン、と扉がノックされた。

 「入るぞ」

懐かしい、、低く、抑えた声。現れたのは、この屋敷の主義父だった。銀髪で背が高く、表情は乏しく、まだほとんど言葉を交わしていない。いや、屋敷で住んでからも関わりなどなかった。すぐに、逃げるように教会へ行き見習い聖女として通っていたのだから。

「体調はどうだ」

「……え、と……問題ありません」

義父は短く頷くと、要点だけを告げる。

「教会の件だ」

胸の奥が、ひやりと冷える。いや、はらわたが煮えくりかえりそうになる。

「孤児院で見つけたお前は聖女の資質がある。通常であれば、教会に通い、聖女見習いとして教育を受けるが…」

相変わらず、淡々とした口調な人。何を考えているかわからない人で、以前は苦手だったけど、今はどうでもよいわ。日本で住んでたとき、義父みたいな人沢山いたし、慣れたようなもんだわ。
 
「‥…だが、孤児院から来たばかりだ。すぐに決める必要はない」

‥選択肢を与えられている?それが、少しだけ意外、いや、以前の私は彼の話を聞いてなかったのかもしれない。
私は、そっと義父を見上げると、義父と初めて……顔を見合わせた気がする。

「……行きません」

はっきりとそう言った。義父は、すぐには反応しなかった。

「理由は」

「教会は、好きじゃありません」

聖女として利用され、祈りを強制され、最後には捨てられた記憶ばかり。神やらなんやらとかいいながら、虐めてくるし、仲良くなる気などないもの。

義父は、私をじっと見つめたまま、沈黙する。十秒ほど経ってから、ようやく口を開いた。

「……分かった」

え?それだけ?

「無理に通わせるつもりはない。少なくとも――今は屋敷に慣れたほうがよい。教会の話は、また改めてだ」

そう言うだけ言って、扉が閉まる。私は、静かに息を吐いた。…思ったより、簡単に引き下がった。



「わ、、手汗びっしょり!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】わたしの欲しい言葉

彩華(あやはな)
恋愛
わたしはいらない子。 双子の妹は聖女。生まれた時から、両親は妹を可愛がった。 はじめての旅行でわたしは置いて行かれた。 わたしは・・・。 数年後、王太子と結婚した聖女たちの前に現れた帝国の使者。彼女は一足の靴を彼らの前にさしだしたー。 *ドロッとしています。 念のためティッシュをご用意ください。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

使い捨て聖女の反乱

あんど もあ
ファンタジー
聖女のアネットは、王子の婚約者となり、瘴気の浄化に忙しい日々だ。 やっと浄化を終えると、案の定アネットは聖女の地位をはく奪されて王都から出ていくよう命じられるが…。 ※タイトルが大げさですがコメディです。

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

婚約者を寝取った妹にざまあしてみた

秋津冴
恋愛
 一週間後に挙式を迎えるというある日。  聖女アナベルは夫になる予定の貴族令息レビルの不貞現場を目撃してしまう。  妹のエマとレビルが、一つのベットにいたところを見てしまったのだ。  アナベルはその拳を握りしめた――

聖女の妹、『灰色女』の私

ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。 『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。 一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)

蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。 聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。 愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。 いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。 ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。 それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。 心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。

処理中です...