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へっぽこ姫の仲良し作戦⑨ 九章 恋愛編
プリちゃんがブチギレた
しおりを挟む「プリムラ王子、私と手を組みませんこと?とても良い相棒になれますわ。だから貴方の心臓は狙わないわよ?」
そうベリル・コーネルピンは攻撃しながらプリちゃんを誘っていた。ベリル・コーネルピンの黒い闇の魔力とプリちゃんの闇の精霊クロの力とのぶつかり合いが凄すぎて、目を開けて立つのがやっとだよ!ベリル・コーネルピンの誘いを断るプリちゃん…プリちゃんは私を庇いながら闘っている。足手まといなのは私だ…!!このままじゃ、プリちゃん怪我をしちゃう…いや、もう既に傷だらけのプリちゃんだった。プリちゃんの腕から沢山の血が流れて、制服は破れていた。薄らと手と腕には沢山の古い傷を見つけた。
沢山…沢山修行していたんだ……。
「プ、プリちゃん!私から離れて…っ」
私はプリちゃんから離れようとするものの、プリちゃんは無言のままグッと私の肩を掴み離そうとしなかった。
「……プリちゃんっ…離してっ…なんで…」
ベリル・コーネルピンは私達の様子を見て舌打ちをしながらぼやいていた。
「あらあら……素敵な感じね。やっぱり《金髪の女》ってムカつく」
そう言いながら、ベリル・コーネルピンは無数の黒い魔法陣を出して攻撃してきた!?避けきれないと思った時、クロが突然プリちゃんの前に出て攻撃を受け止めた。
「キャイン!!!」
「…クロ…?…嘘だろ…クロ!起きて!」
全身血だらけになったクロは、パタリと地面に倒れた。
そんなクロを見てベリル・コーネルピンは笑っていた。
「……くっ…」
圧倒的に、ベリル・コーネルピンの魔力が強いのがわかる。え、何、これじゃあ避けきれないっ!!そう思った瞬間
「ミャッ……ガァアァアァア!!」
白い雷の攻撃がベリル・コーネルピンに当たった。この雷は……
「マシュー!!」
大きなホワイトタイガーで私と契約している聖獣であるマシューだった。マシューは倒れているクロをサッと背中へと乗せ、私達の前に来てベリル・コーネルピンから守ってくれた。
「「…妹に何をする(の)」」
ハッと声のする方を見ると、ガーネット兄様とハウライト兄様が同時にベリル・コーネルピンに炎の攻撃をし始めた。
ドン!!と命中するものの、ベリル・コーネルピンはまだ倒れていなかった。
「姫様!!ご無事ですか!?」
「エメ!大丈夫か!」
「…エメ、無事みたいだね」
「良かった!姫様!プリムラ王子様もご無事で!」
ユー君、ブラッド、リビアとオーロラも助けに来てくれたみたいだけど…みんな顔色が物凄く悪い…。
「みんな…!!来てくれたんだね!…でも…なんだか兄様達も…顔色悪いよ」
ユー君はフラフラしながら話す。
「あまりにも、この場所は闇の精霊の力が凄くて、みんな動くのがやっとなんです…ガーネット王子とハウライトは戦えるようで攻撃していますが…」
「…ブラッド…そのドレスは一体」
「エメ!そこは気にするな!」
何故かドレス姿のブラッドも顔色が悪いし、人数は多くなったけど圧倒的に不利だ。とにかく今はこの場から逃げるのが先だとブラッドやオーロラは説明する。
隣りにいたプリちゃんは真剣な顔をして、私の方を見つめてようやく私に話しかけた。
「エメ、今のうちにユー兄達と逃げて」
「…え、何言ってるの。プリちゃんも…」
そうこう話ていた時、ドン!と建物が崩れた。ハウライト兄様が攻撃されてしまったみたい!
「ハウライト兄様!」
「…っ!ハウライト王子!」
顔を青ざめたオーロラはハウライト兄様の方へ駆け寄り、傷を治していた。
「……はは…闇の力のせいで、思うように力が出ないみたいだね」
「な、何笑ってるんですか!早くこの場から逃げましょう!王様達がすぐに駆けつけてくれるはずです!」
ガーネット兄様とベリル・コーネルピンとの闘いになっているんだけど…ベリル・コーネルピンは嘲笑いながら余裕な表情だった。
「ふふふ、ガーネット王子…久しぶりですわね」
「……言いたいことはそれだけか」
「まさか。ガーネット王子も私の仲間になれる素質あると思いましたのに…残念ですわ」
そうベリル・コーネルピンはガーネットへの攻撃を止めて、標的を怪我をしているハウライトの方へと向けていった。バッと後ろを振り向くガーネットは慌ててハウライトの方へと向かう。
「……ハウライト!!」
ドン!!とまた大きな攻撃をしたベリル・コーネルピン……ガーネット兄様はハウライト兄様とオーロラを庇って…怪我をしている!頭に血が出てるよ!
「…ガーネット兄様!ハウライト兄様!」
ハウライト兄様は怪我をしながらも、オーロラを守っていた。ガーネット兄様はフラフラしながら、二人を庇って…どうしよう。今立ってるのがやっとみたいだよ!
隣りにいたプリちゃんは物凄い剣幕な顔をしていた。
「…みんな早く逃げて」
「プリプリ王子!何言ってんだ!お前も一緒に」
「そうですよ!今はこの場から離れましょう!」
「プリムラ君…」
私達がそう話しているところをベリル・コーネルピンはまた黒い魔法陣を出して私達に攻撃をし始め、建物が沢山崩れてきた。
「なっ!?あんな攻撃と崩れてきた建物をどう止めるんだよ!?」
ブラッドが叫んだ瞬間、リビアの白いピアスから綺麗な光が放ち、ベリル・コーネルピンからの攻撃と崩れてきた建物から私達を守ってくれた。
リビアはソッと白いピアスを触りながら、少し涙声で呟いていた。
「………守って…くれたんですか……父上……」
「あらまあ、リビアングラス様じゃありませんか。ふふ、あの父親の形見など持ってても意味がありませんわよ?さて、そろそろ時間も時間ですから…エメラルド姫様、そろそろ貴女の心臓をいただきましょうか」
笑いながらベリル・コーネルピンは私の方へと近寄ろうとした瞬間、ベリル・コーネルピンの顔を拳で殴った…殴りました!殴ったのはプリちゃんだった。
「………ガハッ!!お、女の子の顔を殴るなんて……気配を感じられなかったのは…何故かしら…!?」
一瞬の出来事だったので、ベリル・コーネルピンは驚いていた。
プリちゃんの顔…なんだか見えないけど…もの凄く…黒いオーラが出てる。
ガーネットやハウライト、ブラッドやユーディアライト、リビアはそんなプリムラの様子に違和感を感じていた。
「…ガーネット…あのプリムラ王子の様子おかしくない?」
「………いや…おかしいというか。アレは…多分…生まれて初めて…キレたんだろうな…」
プリちゃんはベリル・コーネルピンの手首を掴んだ瞬間無言のまま投げ飛ばした。そんなプリちゃんに、ベリル・コーネルピンは嬉しそうに話しかけた。
「あはは!ほら、その表情!貴方やっぱり誰よりも貪欲で残酷なのよ!私の片割れであるクロとやらがいなくても、こんな力を使えるなんて」
「…僕は……」
ポソリと呟くプリちゃんに、皆ゴクリと固まっていた。うん、あんなプリちゃん見るの初めてだもの…。いつもニコニコ可愛いらしい笑顔とは反対に今はもう怖い表情だ。な、何を言うつもりなんだろう。
「……僕は…椎茸が嫌いだ!!」
………ん?
「エメにカッコ良く見せたいから、椎茸は克服したと見栄っ張りな嘘をついたよ!世の中、野菜なんて食べ物無くなって、朝昼晩、チョコレートでいいと思ってるし!むしろ、世の中チョコレートだらけになればいいと願ってるし!?」
「…えと、プリちゃん?」
「……ガーネット兄のように、いつも余裕ある男のように振る舞ってたり!ハウライト兄のように優しい笑顔で人に接したり!ユー兄のように、勉学に励んだし!ブラッドのように、剣術の腕を磨いたけどさ!?なんなの!!大体みんな強すぎるんだよ!師匠には毎日毎日椎茸料理を食べさせられるし!この前ブラッドと剣を交えたけど、ボコボコにされたし!ユー兄には分厚い本を渡されて何時間もののお説教があったし!ガーネット兄とハウライト兄は無言の圧力かけるし!
…何よりも僕は痛いのなんて大嫌いだ!」
ブラッドはコソッとユーディアライトに話かけた。
「…おい、ユーディアライト、お前何プリムラ王子に説教してんだよ。お前の小言はこの国一番の嫌がらせだろ」
「ブラッド君、君こそ、何隣国の王子を剣でフルボッコにしてるんですか」
そんな、ガーネットとハウライトは急に自分達に向けられた事にただ固まっていた。オーロラは二人に
「…無言の圧力ってどんな圧力をかけたのですか?」
そう呆れながら二人に聞いていた。
プリちゃんはまだまだ興奮気味でリビアの方を見て叫んだ。
「……それに!リビア君はさ!」
「…え?僕も」
「エメとはなんだか、見えない糸で繋がってる感じだし!一番なんだかんだ、お似合いだし!ベリル・コーネルピンだかなんだか知らないけど、闇が何!?チョコレートより美味しいわけ?!」
なんだか全員に逆ギレしているプリちゃんに、ポカンとみんなは、口を開けたままだった。
「……えと、あの…プリちゃん…?」
「そうだよ!僕は嫉妬深いし、貪欲だよ!…本当は敵とか味方とか関係なく、、、人を傷つけたり殴るのなんて嫌だよ!」
「いや、綺麗なパンチをかましてましたよ」
「見事なストレートパンチだったな」
そうユーディアライトとブラッドはツッコミをいれて、ガーネットとハウライト、リビアはそう頷く。
えーと…なんかよくわからないけど…プリちゃんキレちゃった。
ベリル・コーネルピンはそんなプリちゃんを見て舌打ちしていた。
「…はあ…つまらない話。そろそろ飽きてしまったわ。頬も痛いし…腹が立ってしょうがないわ。みんなここで死になさい」
そう呟きながら、私を目がけて攻撃し始めた。
あ、ヤバい。これは当たる!!そう目を瞑った瞬間、プリちゃんは咄嗟に私を抱きしめて庇ってくれた。
ギュッと強く私を抱きしめるプリちゃん。何度何度も、ベリル・コーネルピンの攻撃を受け止めるプリちゃん!ベリル・コーネルピンはガーネット兄様達にも攻撃し始め、みんな防御するのにいっぱいいっぱいだった。
「プリちゃん!だめ!私を庇ってたら…プリちゃん死んじゃう!…駄目だよ!どいて!」
「やだ」
「……この、頑固者!」
「…ハァハァハァ………エメ……ごめんね」
「プリちゃん?」
「………カッコ良く見せたかったけど…やっぱり…僕はカッコ悪いねぇ……」
「……何言って…」
私はプリちゃんの背中をソッと触ると…ヌルとした感触に違和感を感じた。手に血がついていた…この血は………まさか…
「…ね、ねぇプリちゃん……」
「……うん…やっぱ僕さ…僕…エメが大好きだ」
プリちゃんは私を抱きしめながら、そう笑顔で倒れこんだ。
…うそ…これって…まさか…
「……プリちゃん……私…まだプリちゃんにごめんなさい…言ってないよ…っ…プリちゃ…仲直り…しなきゃ……ヒック……プリちゃ……私まだ何も…
…プリムラ……目を開けてよ」
プリちゃんの背中から大量の血が流れていた。
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