騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第1節 リュネメイア編

第2話 小鳥の舞

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アイリス「ふぁ…眠い…えっと、この辺りだよね…」

他の生徒の指導・授業を終えて本日最後の生徒コトリを探す。

他の生徒からいつもこの辺にいるって聞いたんだけど…眠い…蒼の瞳から涙が…うーん あとで コトリのかわいさで目を覚まさせてもらおう。

うん もともとは彼女たちのせいで眠いんだし♪ お、いたいた。さて、訓練場所に連れていかないとね。


アイリス「…こんばんはコトリ♪いいねー、決まってるよ♪」

ーーーー

私はいつも自分が自主練している場所に来て、すでに白のレオタードに鎧を装着していた。

このレオタードは騎士の装備で、装備者の意思で鎧を瞬時に具現化させることができ、主に白は生徒で黒は教官用で。

昨日は学生寮に戻ったあと、すぐにシャワーを浴びて気持ちを落ち着かせた…そして今日はもう昨日みたいなことをされても、動揺しないようにする心持ちで待ち時間の間に剣を振って自主練をしていた。


コトリ「ん、こんばんは 教官。? 私はいつもと変わらないけど…?」

自主練していた私はすでに少し汗をかいていて、鎧を解除すると白のレオタードが体にぴっちりと張り付いて…

甘い香りと汗の匂いが混ざった香りがアイリス教官の鼻をくすぐり、そんな騎士姿の私は昨日とはまた違う凛々しさとクールさの雰囲気をだしていて…。

ーーーー

アイリス「ふふ…昨日のかわいいコトリもいいけど、凛々しいコトリもいいね♪うん、惚れちゃうかも♪」

髪を靡かせやや息を切らす彼女を凛々しく思い素直に思う言葉を笑いながら、ためらうことなく告げると、少しだけ高鳴る胸を落ち着かせる…だけど、なかなかエロいなー、いけない いけない…イタズラはまだ我慢。


アイリス「さ、いこうか。訓練施設を使うのは初めてかな?すぐ近くにあるから、あんまり時間はかからないからね。
っしょ…あんま遠くだと、私も行きたくないし♪あ、ところで昨日はよく寝れた?」

ゆっくり歩き出すと背中に背負っている蒼の剣を背負いなおす。
一応持ってきたけど、やっぱ重いんだよねー..鎧だけなら、まだいーんだけど。

ーーーー

コトリ「っ……またそんなこと言って、あんまりそんなことをみんなに言ってると軽い人だと思われますよ…?
それに私、鎧の服装以外は昨日と変わったところなんてなかったですよ?」

またアイリス教官の言葉に動揺しそうになり、私はついトゲのある冷たい言い方をしてしまう…
動揺しそうになるとつい相手に冷たい言葉を言ってしまう、あとで少しは気にするんだから気を付けないと…。

自分に対してへの可愛いや凛々しいという表現がイマイチ分からず、しかも今の自分の姿が性的にアイリス教官の心をくすぐるのを私は知らないでいた。


コトリ「はい、訓練施設を使うのは初めてですね…本格的ではない一人での鍛錬なら、少しのスペースがあれば出来るので……それに、訓練施設って人も多そうなので…。

昨日は…まあまあです、アイリス教官の方こそ眠れてないんでしょ?
……別に私は一人で大丈夫です、だから教官は今から寝てきたらどうですか?」

私は人が多そうな場所は苦手で…いつも人が少なそうな場所で自主トレをしていて、しかもできるだけ端っこでやっている。

昨日の夜は何度かキスを思い出したりしていたので、少しだけいつもより眠りにつくのが遅かった…もちろん教官には言わないが。

重い剣を背負いながら歩く教官、それになんだか眠そうだというのも分かり…私は澄ました表情で帰ったらどうですか? と言うがそれはさりげなく、本当は教官のことを気にしているからで…。

ーーーー

アイリス「ん?あはは♪いいよー、別に。基本的に私はいつもこんな感じだし、それで相手がどう思うかはその人の自由だし。」

明るい調子で話しを続け、たいして気にすることなく歩いていていく。
すぐに訓練施設が見えてくるがもう日もくれる時間ということで人影はまばらだ。


アイリス「ふふ、確かに人は多いよ。学校内ではこの施設は実践的なトレーニングができる唯一の場所だしね。
うーん…コトリが添い寝してくれるなら寝てもいいけどなぁ♪さ、ここだよー…おいで♪」

訓練施設につくと、多くの扉のうち7番と書かれた扉を開け、コトリを部屋に手招きする。

照明が照らされるとそこは、僅かな電子機械類が設置されている以外は、何もない白一色の部屋で。

ーーーー

コトリ「ふーん…ま、教官がそれでいいなら私は別にいいけど。やっぱり人多いんだ…行かなくて正解だった。」

アイリス教官が人生を楽しんで生きているんだなと思い、私とは全く逆なんだなと心の中で思って。

私は教官から離れないように横に並んで、とことこと澄ました表情のままついていく…教官は私の歩く速さに合わせてくれてるのかな?


コトリ「っ…そんなこと私がするわけがない、一人で寝てればいい…。
っ…う、うん……何もない…。」

アイリス教官に添い寝してくれたらと言われ、私が教官のベットで添い寝してる姿を想像してしまい…何故かドキドキしてしまい、頬を赤くして少し恥ずかしそうな表情をしてしまう。

アイリス教官の おいで♪ という誘い方と声の響きに、私は何故かまたドキドキしたり緊張してしまっていた…まだ私は気づいていなかった、昨日からアイリス教官のことが気になりだしていたことに…。

部屋の設備を見て、私は何もない部屋だなと思う…実はあまり機械などに詳しくない。

ーーーー

アイリス「ん!じゃあ、部屋の中心に立って…そうそうその辺りかなぁ…よし、それじゃあ準備するからいつでも戦闘できるようにしといてね♪」

コトリが部屋の中心に立つのを確認して、端に備え付けられている電子機械の前に立つと機械を操作しだし。


アイリス「…よし。訓練パターン21。コマンド000。訓練準備開始っ」

電子機械を操作し教官の声紋認証を機械が認識すると、一瞬で白一色の部屋が木々の生い茂る密林に変化する。
鳥の声や獣の唸り声が時折聞こえ、そこは先ほどまでいた部屋をまったく感じさせない。


アイリス「驚いたかな?周りの風景は科学で再現されてる立体映像だよー♪
ただ、敵は機械で再現された実体だから実際の戦闘とは変わらないからね。…それじゃ準備はいいかな?」

ーーーー

コトリ「ここでいいの?ん、わかった。」

アイリス教官の指示に従い、私は部屋の中心に立ちます。
これから何が始まるのか分からないが、私はいつも通りにするだけだ。
私は剣を抜いて手に持ち、クールで凛々しい表情で始まるのを待つ。


コトリ「えっ…? 何が…起こったの?立体…映像…? うん、普通に驚いた。
……ん、いつでもいける。」

部屋が一瞬にして密林みたいな状態になり、私は少し驚いたそぶりを見せて答えます…でも少しの表情の変化しかなく、周りから見たら本当に驚いてるか分からないくらい。

私は準備が出来ているので、素っ気なく返事をする…でも、闘志だけはちゃんと教官にも感じ取れて。

ーーーー

アイリス「おっ…よし、じゃあ、訓練スタートっ♪」

剣を抜いた瞬間、コトリの雰囲気が変わったのを確かめると訓練開始の言葉を告げる。

するとすぐに一瞬、白い光が光ったと思うとコトリの前に狼のような魔獣が6頭ほど出現した。

 資料に記されている通りなら、このプログラム程度コトリなら余裕でこなしてしまうはず。
だけど、命に関わらなくても、怪我をする可能性はあるので、戦闘を固唾をのんで見守ることにする。

そんなことを考えているうちにも、狼たちはコトリに飛び掛かりその牙で彼女を仕留めようと、彼女に獣の唸り声を立て、回避する彼女を捕まえようと何度も飛び掛かっていた。

ーーーー

コトリ「…! ふっ…やっ…んっ…。!! 囲まれた…。」

訓練が始まった直後、6頭ほどの狼型の魔獣が現れて私に襲いかかってきた。

私はまずは一頭、二頭と魔獣の攻撃を難なく避けていく。

残る数匹の攻撃も交わすと、バラけた魔獣たちに囲まれてることに気づく。

私は力よりスピードタイプのため、おそらくどんな相手にも一度でも捕まれば逃れられないだろう…だが私は敵に囲まれてる今でも全く表情一つ変えず、むしろ逆に落ち着いていた。


それから数秒、その間なんども魔獣が襲いかかってくるが全てを躱している…むしろ回数が上がるにつれ、敵の攻撃の命中率が下がっていっていた。

最初はどんなタイプか把握するために躱すことに重点を置いていて、今では完全に魔獣たちの動きを把握し私は学習していた。


コトリ「……そこっ! んっ! やぁっ! たぁっ!……ふっ、はぁあっ!!」

完全に相手の動きを見切ったということは、カウンターを合わせることも可能で…私は三匹にはカウンターで仕留め、残りは電光石火のスピードで魔獣を剣で断ち切った。

私には終始余裕があり、最後には自分の技のキレを確認するような戦い方をしていて…完全に魔獣たちが ただの動くマト状態だった。


コトリ「ふぅ……始めに囲まれた時は危なかったかも…次は囲まれた時のことも最初から想定にいれとかないと。
アイリス教官、終わった。」

私はとてとてとアイリス教官の方に歩いていく。
頭をぷるぷると振ると、長い髪がゆらゆらと靡き…顔や肌に少し汗を滲ませていた。
かすり傷一つおうことなく…クールで凛々しく、余裕の表情で私はアイリス教官のもとに帰ってきた。

私が敵の攻撃を躱す姿は…まるで小鳥が空を飛び回るように見え、誰にも邪魔されないくらい自由な舞いのようだった。

ーーーー

アイリス「ん…さすがだね…」

素早い動きで攻撃を回避し、ときにフェイントを入れ絶えず動き回る彼女を見て関心する。
この動きは日頃から訓練していなければ出来ない動きだ。

敵の動きを見切る技術は既に前線に出て活動している騎士たちにひけをとらない。もしくは上回っているのではないのだろうか。


アイリス「ん、よくやったね♪…よしよし♪…いまので、だいたいコトリの戦闘スタイルはわかったから…っと。
はい、これ♪…ちょっと休む?それとも指導に移ったほうがいいかな?」

たいして表情を変えることなく余裕を持って敵を倒したコトリを笑顔で迎えてあげ、ねぎらいの言葉をかけてあげながら頭を撫でてあげる。

…コトリの戦い方はとても美しく俊敏でまさに名前を表した戦い方だね…この子は、もっと強くなる…とはいえ、少しだけ汗をかいているのを見て騎士鎧に装備していた水を彼女に差し出し、選択肢を提示し。

ーーーー

コトリ「別に…これくらい大したことないっーーっ…// い、いきなり頭…撫でないで…。
(なんで教官はいつも私の頭を撫でるんだろ…わからない…。)」

帰ってきた私を迎え入れた教官は、昨日みたいにまた頭を撫でてくる。
やっぱりアイリス教官に頭を撫でられると何だか心地よくて…私はつい表情が少しだけ緩んでしまい すぐに頬なんかが赤くなってしまう。

誰かに頭を撫でられた記憶が少ない私は、教官のこの行動が今だに何故するのかを分かっていなかった。


コトリ「……ん、水飲む。少し疲れた…やっぱり一人でやる訓練とは違うね、思ってたより自分の動きが鈍かった気がする。これからは実戦形式の訓練もちゃんとやらなきゃ…。」

アイリス教官から素直に水を受け取り、私は口に含んでこくこくとゆっくりと飲んでいく。

スカウトされてから自分で訓練はしていたけど、実戦形式の訓練は一人ではあまり出来なかったため…やっぱり襲いかかられてからの初動までの動きや、囲まれたなどの想定外のことで動きが鈍ることがあり…
私はまだまだ鍛錬が足りないな…と自己分析をしていた。

ーーーー

アイリス「まぁ、戦闘において一番大事なのはスタミナだからね。特にこういう素早い敵と戦うときは消耗が激しい。
コトリは技術はある程度あるから、スタミナをつけることが優先かな。もちろん技術的にもいろいろ教えていくけど…」

休む彼女の横に立ち今後の指導方針を伝えていく。でも、まだ騎士学校に入った時点で、これぐらい戦えるとは..驚きだね…あの人を思い出すな…


アイリス「まぁ、時間があるときは私に言ってくれれば付き合うからさ。
…っと、ふふ♪ ちなみに、その水筒さ私も飲んだから..間接キスだね♪コトリったら、積極的だなぁもう♪」

納得いってなさそうに見えるコトリに対してニヤニヤ笑いながら耳元で囁いてみる。
想定はしてなかったけど…どんな反応するのか楽しみ♪

ーーーー

コトリ「私、短距離の方が得意…長距離を移動するのとかは苦手。ん、これからいろいろと教えてくれると…その…嬉しい…。」

まだ実戦経験のほどんどない私は、一戦一戦の集中力や動き回るスタミナはあるが…連続して戦いを続けると、おそらくだんだん動きが鈍ってくるだろう。

さらに私は短距離のスピードは最速だが、長距離になるとそのスピードは維持できない…その辺りは新入生の基本体力より少しだけ劣る、小さな体らしい一人の少女の体力である。

自分の動きの欠点なども分かってきて…私はちらりと恥ずかしそうにアイリス教官を見ると、これからもいろいろと教えて欲しいと…少し照れたように言っていて。


コトリ「こくこく…っ!?!?……べ、別に…私は気にし…ないから…。
(か、間接キス…アイリス教官…と…。)」

アイリス教官に間接キスだね…と耳元で甘く囁かれ、私のクールで凛々しかった表情が一瞬で赤く染まり…瞳を少し潤ませてすごく動揺、恥ずかしそうにしてるのが教官には分かってしまう。

別に気にしないからと言っているが…私は心のなかではすごくドキドキしていて、少しの間じっと水筒を見つめてしまっていて。

ーーーー

アイリス「ん?んん、そだねー♪ …いろいろ教えていくし、しっかりついてきてもらうからねー」

コトリの照れている様子を見ると自然と嬉しくなり、言葉に含みを持たせて彼女のお願いを快く承諾する…そろそろいじめていいかなー…まぁ、教官特権だよね♪


アイリス「…ふーん?その割には…頬も赤らめて、瞳も潤んでるよーだけどね♪
..さ、それじゃ、最後に軽く指導を入れて今日は終わりにしようかな♪ …よし、いつも通りに剣を構えてみて」

ニヤニヤ笑いながら彼女をからかうように話を続けるも本日最後に、「いろいろ」な指導をして今日は終わろうと考えて…。
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