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第43話 物欲センサー
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「「ソニックウェイブ!」」
ベニイモとエンデの放った斬撃波が飛び、キメラの肉を抉る。
これは戦士の上位職、ウェポンマスターのスキルだ。
威力はそこまでではないが、剣を持ったまま遠距離攻撃できるのが大きい。
「ぐおおおおおぉぉぉぉ!!!」
「プロバヘイト!!」
怒りを露わに、二人に突っ込んで来たキメラにタロイモが挑発スキルかけた。
その瞬間、巨体の向きが変わる。
これは攻撃をタロイモへと向けると同時に、毒対策でもあった。
怒りが高まった状態だと、キメラは単純な物理攻撃しかしてこないのだ。
「オーラディフェンス!!」
突っ込んで来た巨体の突進を、耐久力アップのスキルをかけてタロイモが見事に受け止める。
「バッシュ!」
と同時に、それをバッシュでタロイモは弾き飛ばした。
「エンデさん!」
「ええ!」
「「オーガパワー!パワースラッシュ!!」」
その隙を見逃さず、ベニイモとエンデが肉体強化のスキルと攻撃スキルを発動させ、同時に斬りかかった。
オーガパワーはウェポンマスターのスキルだ。
「ぐおおおぉぉぉぉ!!」
2人の斬撃がキメラの首や肩を切り裂くが、まだ相手は健在だ。
そこにタロイモが加わり――
「「「パワースラッシュ!!!」」」
三人同時の攻撃スキルが叩き込まれる。
スキルにはディレイがある為、基本連発出来ない。
そもそもタロイモに至っては習得できないクラスだ。
但し、武器に宿ったスキルならば別である。
今3人の放った攻撃は、全て俺の作った武器に込められた物だ。
「ぎゅうううう!!」
連続で強力な攻撃を叩き込まれ、さしものキメラもダウンする。
「よし!」
「やった!」
不明な場所に飛ばされて既に5日目。
明らかに各上。
そんなキメラや他の魔物に俺の渡した装備込みでも苦戦気味の3人だったが、レベルが上がり、連携をうまく取れる様になってきたお陰である程度は狩れる様になってきていた。
「お疲れさん。大分強くなってきたな」
先に倒した2匹から素材をはぎ終えていた俺は、彼女達の倒した1匹の素材収集を始める。
「三人がかりで1体倒す間に、師匠に2体も倒されてちゃ様になりませんけどね」
「まあ俺はワンランク上のスキルでやってるからな」
一匹は渾身の一撃で瞬殺している。
そしてもう一匹も、武器を持ち換えてパワースラッシュからの連撃で素早く倒していた。
「あー、早くあたしも渾身の一撃を習得したいです」
「まあ後レベル10だ。頑張れ」
イモ兄妹のレベルは70まで上がっていて、マスタリーを丁度習得し終わった感じだ。
二人がそれぞれの最上級クラスのスキルを習得するには、後10レベル程必要となる。
「遠いで……いやまあ、今のペースならそうでもないか」
ここにいる魔物は相当強いが、その分経験値も出鱈目に多い。
そのため、処理さえできれば効率は相当な物だ。
俺ももうレベル76まで上がっているし、エンデも60まで上がっている。
残念な事に、彼女には才能がなかった様で最上級には覚醒出来ていないが……
まあそれでも、腐る事無く真っすぐに頑張る姿には好感を持てた。
世の中こういう人ばっかりならいいんだがな。
同じ貴族でも、少し前に揉めた糞貴族との差が本当に酷い。
「まあ今日はこれ位にしておくか。タロイモの盾も傷んでる様だし、新しく作ってやるよ」
「お願いします」
今タロイモが使っている盾はグラムズという金属で出来ている。
金属としてはかなり硬い部類なのだが、それでもここにいる強力な魔物の攻撃を受け続けたせいでボロボロになり、もう限界だった。
ついているオプションが強力なら修理でいいんだが、それ程の物でもないので、折角なので新しく作り直してやる事にする。
2つ目のオプションはキメラから結構な数の魔石が手に入っているので、試しにこれを使ってみるとしよう。
「作業している間に食事の用意を頼むよ」
広い空間で工房を生成する。
作業している間に食事の準備をたのみ、俺はタロイモの盾を一旦鋳つぶし新しく鍛えなおした。
「えぇ……マジかぁ」
物欲センサー。
そんな言葉が脳裏を過る。
特に何か期待して作った訳ではない。
壊れかけていたから、ただ新しく作り直しただけ。
ダメな効果でも、特にまあ気にしない程度の無欲。
――それが一発で大当たりを引き寄せる。
「どんな効果が付いたんです?」
ベニイモ達が完成した盾を興味深げに覗き込んで来た。
料理の準備はもう終わった様だ。
まあ作るのに1時間もかかっていたから、当然か。
「シールドマスターってスキルだ」
「マスタリーも付くんですか?」
「いや。マスタリーじゃなくて、マスターだ」
効果はマスタリーよりも強力だ。
生命・耐久力・抵抗力・精神力・体力が30%ずつあがり、盾の扱いに大幅な補正が付く。
しかもナイト系のクラスが装備した場合、盾の耐久力が10倍になると来てる。
間違いなく大当たりだ。
俺は皆にそれを説明してやる。
「凄いですね!そんなの国宝級ですよ!」
「それ?俺が使ってもいいんですか?」
「俺が使う。と言いたい所だけど……まあ俺が装備してもそこまで大きな意味はないから、タロイモが引き続き装備していい」
何か貴重な運を無駄な事に消費した気分だ。
まあ運否天賦に消費も糞もないとは思うが。
「取り敢えず精錬するか」
キメラの心臓を使って錬成。
そして何となく予想していた事だが、此方も大当たりだった。
やれやれ……
ベニイモとエンデの放った斬撃波が飛び、キメラの肉を抉る。
これは戦士の上位職、ウェポンマスターのスキルだ。
威力はそこまでではないが、剣を持ったまま遠距離攻撃できるのが大きい。
「ぐおおおおおぉぉぉぉ!!!」
「プロバヘイト!!」
怒りを露わに、二人に突っ込んで来たキメラにタロイモが挑発スキルかけた。
その瞬間、巨体の向きが変わる。
これは攻撃をタロイモへと向けると同時に、毒対策でもあった。
怒りが高まった状態だと、キメラは単純な物理攻撃しかしてこないのだ。
「オーラディフェンス!!」
突っ込んで来た巨体の突進を、耐久力アップのスキルをかけてタロイモが見事に受け止める。
「バッシュ!」
と同時に、それをバッシュでタロイモは弾き飛ばした。
「エンデさん!」
「ええ!」
「「オーガパワー!パワースラッシュ!!」」
その隙を見逃さず、ベニイモとエンデが肉体強化のスキルと攻撃スキルを発動させ、同時に斬りかかった。
オーガパワーはウェポンマスターのスキルだ。
「ぐおおおぉぉぉぉ!!」
2人の斬撃がキメラの首や肩を切り裂くが、まだ相手は健在だ。
そこにタロイモが加わり――
「「「パワースラッシュ!!!」」」
三人同時の攻撃スキルが叩き込まれる。
スキルにはディレイがある為、基本連発出来ない。
そもそもタロイモに至っては習得できないクラスだ。
但し、武器に宿ったスキルならば別である。
今3人の放った攻撃は、全て俺の作った武器に込められた物だ。
「ぎゅうううう!!」
連続で強力な攻撃を叩き込まれ、さしものキメラもダウンする。
「よし!」
「やった!」
不明な場所に飛ばされて既に5日目。
明らかに各上。
そんなキメラや他の魔物に俺の渡した装備込みでも苦戦気味の3人だったが、レベルが上がり、連携をうまく取れる様になってきたお陰である程度は狩れる様になってきていた。
「お疲れさん。大分強くなってきたな」
先に倒した2匹から素材をはぎ終えていた俺は、彼女達の倒した1匹の素材収集を始める。
「三人がかりで1体倒す間に、師匠に2体も倒されてちゃ様になりませんけどね」
「まあ俺はワンランク上のスキルでやってるからな」
一匹は渾身の一撃で瞬殺している。
そしてもう一匹も、武器を持ち換えてパワースラッシュからの連撃で素早く倒していた。
「あー、早くあたしも渾身の一撃を習得したいです」
「まあ後レベル10だ。頑張れ」
イモ兄妹のレベルは70まで上がっていて、マスタリーを丁度習得し終わった感じだ。
二人がそれぞれの最上級クラスのスキルを習得するには、後10レベル程必要となる。
「遠いで……いやまあ、今のペースならそうでもないか」
ここにいる魔物は相当強いが、その分経験値も出鱈目に多い。
そのため、処理さえできれば効率は相当な物だ。
俺ももうレベル76まで上がっているし、エンデも60まで上がっている。
残念な事に、彼女には才能がなかった様で最上級には覚醒出来ていないが……
まあそれでも、腐る事無く真っすぐに頑張る姿には好感を持てた。
世の中こういう人ばっかりならいいんだがな。
同じ貴族でも、少し前に揉めた糞貴族との差が本当に酷い。
「まあ今日はこれ位にしておくか。タロイモの盾も傷んでる様だし、新しく作ってやるよ」
「お願いします」
今タロイモが使っている盾はグラムズという金属で出来ている。
金属としてはかなり硬い部類なのだが、それでもここにいる強力な魔物の攻撃を受け続けたせいでボロボロになり、もう限界だった。
ついているオプションが強力なら修理でいいんだが、それ程の物でもないので、折角なので新しく作り直してやる事にする。
2つ目のオプションはキメラから結構な数の魔石が手に入っているので、試しにこれを使ってみるとしよう。
「作業している間に食事の用意を頼むよ」
広い空間で工房を生成する。
作業している間に食事の準備をたのみ、俺はタロイモの盾を一旦鋳つぶし新しく鍛えなおした。
「えぇ……マジかぁ」
物欲センサー。
そんな言葉が脳裏を過る。
特に何か期待して作った訳ではない。
壊れかけていたから、ただ新しく作り直しただけ。
ダメな効果でも、特にまあ気にしない程度の無欲。
――それが一発で大当たりを引き寄せる。
「どんな効果が付いたんです?」
ベニイモ達が完成した盾を興味深げに覗き込んで来た。
料理の準備はもう終わった様だ。
まあ作るのに1時間もかかっていたから、当然か。
「シールドマスターってスキルだ」
「マスタリーも付くんですか?」
「いや。マスタリーじゃなくて、マスターだ」
効果はマスタリーよりも強力だ。
生命・耐久力・抵抗力・精神力・体力が30%ずつあがり、盾の扱いに大幅な補正が付く。
しかもナイト系のクラスが装備した場合、盾の耐久力が10倍になると来てる。
間違いなく大当たりだ。
俺は皆にそれを説明してやる。
「凄いですね!そんなの国宝級ですよ!」
「それ?俺が使ってもいいんですか?」
「俺が使う。と言いたい所だけど……まあ俺が装備してもそこまで大きな意味はないから、タロイモが引き続き装備していい」
何か貴重な運を無駄な事に消費した気分だ。
まあ運否天賦に消費も糞もないとは思うが。
「取り敢えず精錬するか」
キメラの心臓を使って錬成。
そして何となく予想していた事だが、此方も大当たりだった。
やれやれ……
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