天才ですが何か?~異世界召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレと放逐されてしまう~いずれ彼らは知るだろう。逃がした魚が竜だった事を

榊与一

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第27話 天才は孤独

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 街の乗合馬車の停留所。

「コニー、ベッチ……僕……僕……」

 気弱そうな少年――ダリムが泣きそうな顔で見送りの俺達を見ていた。彼は俺が師匠からオーラを習った時にいた三人組の一人で、今日この街を去る。理由は言うまでもないだろう。そう、勇者によって町が壊滅的なダメージを受けたせいだ。

 街は結構酷い状態だし、国の状態を考えると、復興にも間違いなく時間がかかる。そう考えると、親戚の伝手で他所に生活の拠点を移すのは間違いなく正解だと言えるだろう。

 だが――

「そんなしけた面をするな。亡くなった先生に笑われるぞ」

「でも……僕だけ……」

 宿屋の娘であるコニーの両親は、今回の騒動で亡くなっていた。避難の最中に瓦礫の落下に巻き込まれて。そのため、今のコニーは天涯孤独の身となっている。そんな彼女に居場所はない。

 そしてベッチは父親がおらず、母親は重病でこの街から動かす事も出来ない状態だ。そのためこの街から出て、新しい生活基盤を作るという選択肢はなかった。

 そんな二人を置いてダリムは街を出ていく。きっとそれは心苦しい事だろう。特にコニーに関しては。何せダリムは、幼馴染である彼女に惚れていた訳だし。

「私達なら大丈夫だよ!天下の大天才ミツルギ先生が居るんだから!」

 この一年半。俺は指導を受ける傍ら、三人に師匠の代わりに色々教えてやっていた――ぶっちゃけ、天才である俺の方が師匠より教えるのが上手かったから。その関係で、彼らとは結構仲が良くなっていたりする。だから俺は二人の面倒をちゃんと見てやるつもりだった。同門の弟子として。

「おいおい、あんまり持ち上げんなよ」

 まあ、もう地球に帰る方法を探す必要もなくなったし――たとえ帰れても、俺の居場所はないだろう――な。寄る辺のない彼女達を鍛えつつ、ジークフリートを越えるべく精進する予定だ。

「……あ、あの!コニーとベッチの事……よろしくお願いします!」

 ダリムがそう言って俺に頭を下げた。

「ああ、二人の事は任せとけ」

 俺はダリムの肩に手を置き、ハッキリとそう口にする。
 彼が安心してこの街を離れられる様に。

「ありがとうございます!」

 そしてダリムは両親と乗合馬車に乗り、街を去って行く。

「コニー!ベッチ!またね!絶対だよ!」

「ああ!ダリム!引っ越しても訓練は続けろよ!」

「ダリム!またね!!」

 馬車の後部から身を乗り出し、名残惜し気に此方を見るダリムに、コニーとベッチが一生懸命手を振る。そんな姿を見てふと思う。羨ましいな、と。

 何故なら、俺にはこんな風に別れを惜しむ様な友人など居ないからだ。ああ、別にボッチって訳じゃないぞ。むしろ、常に俺の周りには人が大勢いた。俺自身天才だったし、家は金持ちだったからな。

 だが……いやだからこそ、か。俺には対等な友人と呼べる存在はいなかった。

 女は俺をブランド物感覚でしか見て来ないし、男どもは俺に寄生しておこぼれに預かる事しか考えていない様な連中ばかり。世間一般的な評価で言うなら、寄生虫って奴である。

 とは言え、だ。当然俺にもその関係にはメリットがあった。彼らを顎一つで手足の様に扱えたし、自尊心を満たすには持って来いの相手だったからな。だから俺は彼らを嫌っていなかったし、一方的な寄生などではなく共生関係だったと思っている。

 お互いにメリットがある関係。それを良しとはしていたが、果たしてそこに友情は存在するだろうか? 答えは否である。

 だからたとえ別れの時が来たとしても、減ったらその分は他の人間を補充すれば賄える程度にしか俺は感じない。彼らも俺がいなくなったら、他の対象なり別の道を探すだけだろう。

 だから羨ましいのだ。心から別れを惜しむ事の出来る友を持つ彼らが。

「ま……贅沢な悩みではあるか」

 神に愛され多大な才能を得た上に、一般的な幸せまで求めるのは我儘という物である。何でもかんでも欲しがる程、俺も子供ではないからな。
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