天才ですが何か?~異世界召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレと放逐されてしまう~いずれ彼らは知るだろう。逃がした魚が竜だった事を

榊与一

文字の大きさ
47 / 52

第47話 賢者アトモス

しおりを挟む
 教官に案内され、数日過ごした場所とは別の、本格的に寝泊まりする寮へと案内される。かなり大きな建物で、その外観はちょっとした宮殿といった感じの豪華な造りになっていた。

「ここが今日から諸君が寝泊まりする場所だ。食事は基本食堂で取って貰う事になるが、可能なら自炊出来る様にもなっている。後、部屋にシャワーはあるが、風呂に入りたいときは大浴場を使ってくれ」

 用意された個室はかなり広い物だった。親子4人所か2世帯が余裕で広々と暮らせそうなぐらい。ぶっちゃけ、俺個人としてこんな広さは全く不要だ。まあ恐らく、使用人を傍に置く貴族辺りが基準になっているんだろうと思われる。エナイスは同行して来た文官っぽい女性陣と、一緒にそこで暮らすみたいだし。

「あんまり落ち着かんな」

 寮の説明が終わり、仮宿所に置いてあった荷物を運びこみんだ所で一息ついてそう呟く。調度品は見るからに超一級品。最高の持て成しをって感じなのかもしれないが、堅苦しい感じがして、個人的には逆に少々生活し辛く感じてしまう。

「まあ気にする程ではないか」

 どうせ寝泊まりする以外は外だしな。
 その時、部屋の扉がノックされる。気配は知らない人物の物なので、ネイガンやエナイス達ではないだろうと思れる。

「誰だ?ああ……そういや、大賢者アトモスって人が俺に会いたがっているってバルムンクが言ってたな」

 ドアを開けると、予想通り『ざ、魔法使い』と言った感じのローブを身に着けた男が立っていた。その男は自分がアトモスの遣いであると名乗り、俺を案内したいと告げる。

「分かりました」

 相手の興味を満たせない事は分かっていたが、俺はその案内に素直に従う。特にやる事が無かったというのもあるが、大賢者と呼ばれる人物に俺自身も少なからず興味が会ったからだ。何せ大賢者って大層な呼称で、しかもこのアカデミー唯一の魔法の講師な訳だからな。

「ここから転移した先になります」

 青塗りの建物の一室に案内されると、そこには複雑怪奇な魔法陣が描かれていた。どうやら転移用の陣である様だ。

 因みに、紋様を覚えたら俺も転移が、という様な真似は残念ながら出来ない。陣の端に不思議な力を有した触媒が置かれてあり、こういった陣はそれありきとなっているからだ。

「こちらです」

 転移で飛んだ先は小部屋だった。窓の外から見える景色から、そこがかなり高い場所だと分かる。おそらく、魔塔って奴だろう。この世界の魔法使いは、とにかく塔を拠点にしたがるらしいので。

「アトモス様。お客様をお連れしました」

 大きな扉を案内人がノックする。少し気になったのがドアの右下に猫扉――にしては少し大きいが――の様な小さな扉がついていた事だ。賢者はペットでも飼っているのだろうか?

「どうぞー」

 室内から子供の様な高い声が返って来た。賢者の声にしては若すぎるので、弟子、もしくは小姓あたりだろうと思われる。部屋の主でもないのに返事してるのは少し気になるが、まあ些細な事だと流しておく。

「失礼します」

 書類などが乱雑に散らばった、まあ一言で言うなら汚い部屋。その奥には大きな机が置かれており、その上には大きな白いネズミがちょこんと座っていた。一瞬ペットかとも思ったが――

「うん、よく来てくれたね。私が大賢者ことアトモスだ」

「――っ!?」

 そのネズミが口を開いて言葉を話す。しかも、自身が大賢者であると。驚いて案内人の方に視線をやると……

「このお方がアトモス様です」

 案内人からそう返って来た。どうやら冗談抜きでこのネズミが賢者の様だ。地球でならあり得ないが、ここは魔物なんかもいるファンタジーの世界だしな。まあそう言う事もあり得るのだろう。

「ふふふ、驚いてるみたいだね。まあ無理もない。初めて会う人間は絶対僕を見て驚くからね。あ、因みに、案内の彼には絶対に正体をばらさないよう言っておいたんだよ。知ってたら、驚く顔が見れないしね」

 そう言って机の上のアトモスがウィンクする。どうやら、この賢者様は少々お茶目な性格をしている様だ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

処理中です...