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第25話 鼻糞
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「勇者墓地、君には多くの女生徒が酷い目に合わされている。勇者として、成敗させて貰うよ」
「女子に酷い事?記憶にございません、秘書がやりました」
勇者墓地は鼻に指を突っ込みながら、へらへらと笑う。
どうやら彼は、この状況をどうにか出来ると思っている様だ。
自信過剰にも程がある。
「どこまでもふざけた野郎だぜ」
カイーナ達が、戦闘態勢にはいる。
今回勇者墓地を成敗するに当たって、行動を共にする面子は3人。
発起人である、勇者カイーナ。
彼は魔法を得意とする勇者だ。
近接能力は低めだが、その分得意の氷結系の魔法の威力は群を抜いている。
眼鏡をかけているのが、勇者トロメア。
細身の華奢な身体つきをしてはいるが、見た目に反しパワータイプだ。
パワーだけなら、Aランク勇者である弟に匹敵する物がある。
そして小柄な少年の様な見た目の勇者は、アンテノラ。
彼はスピードタイプだ。
縦横無尽、かつ高速に動き回る彼の動きはそう容易くとらえる事は出来ないだろう。
まずはこの3人が仕掛け、隙が出来た所に私の必殺の一撃を叩き込む。
そういう作戦だ。
本来は万全を期すため、私は姿を隠していたのだが……まあバレた所でそこまで大きな問題はないだろう。
まあだがその前に――
「一応聞いておくが、許しを請うつもりはあるか?女生徒達にかけた結界を解くというのなら、頭を丸めるだけで許してやらなくもない」
――降参する意志があるかだけは聞いておく。
これは勇者としての儀礼の様な物で、もちろん形だけだ。
墓地がそれで膝を折る様な人間でない事ぐらい、把握済みだからな。
「おう、そりゃまた寛大だな。いいぜ、結界は解いてやるし頭も丸めてやるよ……ただし、お前らがこの伝説の樹の下で24時間裸で土下座したらな」
返事は案の定である。
まあここで本当に詫びを入れられても困るが。
「ふざけるな!誰がそんな真似をするか!というか人と話してる時に鼻をほじるな!」
カイーナに言われ、墓地は一旦鼻から指を抜く。
だが何かを指先で丸める仕草をしたかと思ったら、それを左手の掌に擦り付け、また再び指を鼻に突っ込んだ。
「とても勇者とは思えない品性の無さだな」
「いくら強くても。こんなんじゃ勇者失格だね」
咎められてもやめようとしない彼の行動に、他の3人が顔を顰めた。
人と話しをしている時に鼻をほじるなど、そもそも勇者でなくとも言語道断の行動だ。
だが私は気にしない。
むしろ有難いぐらいである。
何せ、相手は弟を一撃で倒すだけのパワーを持っているのだ。
油断してくれているのなら、それに越した事はない。
「集団で騙し討ちしようって奴らが、良く言うぜ。こういうのを、目くそ鼻糞を笑うって言うんだろうな」
墓地の言う事は正論である。
我々の行動は、勇者に相応しい物とは言えないだろう。
だが、勇者には絶対に満たさなければならない条件がある。
それは――
「正義の勇者に、敗北は許されない」
――勝利だ。
勇者は常に勝者でなければならない。
勝って栄光を掴んだ者だけが、勇者の称号を得る事が出来る。
「勝者だけが勇者を名乗れる。だから、私達は勝つための手段を選ぶつもりはない。確実に勝たせて貰う」
「そうか?じゃあお前らを軽く蹴散らして、俺が真の勇者を名乗らせて貰うよ」
墓地が鼻から指を抜く。
流石に、そのままの状態で戦う程馬鹿ではなかった様だ。
「ふん、レディー達を傷つけた報いを受けて貰うぞ」
「けどまあ、殺しはしないから安心しなよ」
「ああ。動きを封じて、ゲンブー家に引き渡すだけだ」
私達は成敗した彼を、ゲンブー家に引き渡す予定だった。
そうすれば、4大家の一つに恩も売れる。
まさに一挙両得。
「尤も、ゲンブー家はお前を生かしておかないだろうけどな。けどそれは自分の蒔いた種だ。今更後悔しても遅いぞ」
「行くぜ!」
カイーナ、トロメア、アンテノラが墓地に攻撃を仕掛ける。
だが次の瞬間――
「――なっ!?」
3人同時に大きく吹き飛び、そのまま地面に叩きつけられた。
何が起こったのか分からない。
墓地が攻撃したのか?
それ以外考えられない事だ。
だが、奴が何をしたのか全く見えなかった。
「馬鹿な……3人を一瞬でだと……」
彼らのランクはBだったが、決して弱くはなかった。
勿論、1対1ならAランクである私の敵ではないだろう。
だが3人同時に相手取るとなれば、私でも対処は難しい。
その3人を、一瞬で……
まさか奴は、Sランクだとでもいうのか?
そんな事はありえない。
元々Eランクだった勇者が、そこまで強くなれる訳がないのだ。
恐らく、私の知らない隠し玉を使ったに違いない。
そういえば、墓地とビートは親しい間柄だったな。
そしてビートは、4大家門筆頭であるスザーク家の令嬢のお気に入りだ。
きっと彼を通して、スザーク家から墓地は強力な宝器を手に入れたに違いない。
勿論、普通に宝器を使っても勇者である彼らを簡単に倒す事は出来ないだろう。
だが墓地は勇者だ。
マジックアイテムの効果を増幅させるスキルや魔法を扱えても不思議ではない。
それならば、3人の勇者を瞬殺できたのも頷ける。
用意したのは昨日か……
昨日、墓地は場所が分からないという理由でこの場に現れなかった。
だが違ったのだ。
奴は此方のたくらみに気付き、昨日の時点で宝器を手に入れたに違いない。
「まさか宝器を用意していたとはな……道理で、余裕の態度な訳だ」
「ん?マジックアイテム?何の話だ?」
「しらを切る気か?カイーナ達を倒したのは、ビート――スザーク家から得た宝器だろうが」
「そんなもん持ってないぞ。俺はただ、指弾を飛ばしただけだ」
「指弾だと?」
「ああ、指弾だぜ。ただの鼻糞のな――」
墓地が静かに人差し指に親指を引っ掛けて、此方に向ける。
そして親指が微かに動いたと思った瞬間、私の全身に凄まじい衝撃と激痛が走った。
「――っ!?」
何が起こったのか、理解する事も出来ない一瞬の出来事。
私は声を出す事も出来ず、そのまま意識を失ってしまう。
「女子に酷い事?記憶にございません、秘書がやりました」
勇者墓地は鼻に指を突っ込みながら、へらへらと笑う。
どうやら彼は、この状況をどうにか出来ると思っている様だ。
自信過剰にも程がある。
「どこまでもふざけた野郎だぜ」
カイーナ達が、戦闘態勢にはいる。
今回勇者墓地を成敗するに当たって、行動を共にする面子は3人。
発起人である、勇者カイーナ。
彼は魔法を得意とする勇者だ。
近接能力は低めだが、その分得意の氷結系の魔法の威力は群を抜いている。
眼鏡をかけているのが、勇者トロメア。
細身の華奢な身体つきをしてはいるが、見た目に反しパワータイプだ。
パワーだけなら、Aランク勇者である弟に匹敵する物がある。
そして小柄な少年の様な見た目の勇者は、アンテノラ。
彼はスピードタイプだ。
縦横無尽、かつ高速に動き回る彼の動きはそう容易くとらえる事は出来ないだろう。
まずはこの3人が仕掛け、隙が出来た所に私の必殺の一撃を叩き込む。
そういう作戦だ。
本来は万全を期すため、私は姿を隠していたのだが……まあバレた所でそこまで大きな問題はないだろう。
まあだがその前に――
「一応聞いておくが、許しを請うつもりはあるか?女生徒達にかけた結界を解くというのなら、頭を丸めるだけで許してやらなくもない」
――降参する意志があるかだけは聞いておく。
これは勇者としての儀礼の様な物で、もちろん形だけだ。
墓地がそれで膝を折る様な人間でない事ぐらい、把握済みだからな。
「おう、そりゃまた寛大だな。いいぜ、結界は解いてやるし頭も丸めてやるよ……ただし、お前らがこの伝説の樹の下で24時間裸で土下座したらな」
返事は案の定である。
まあここで本当に詫びを入れられても困るが。
「ふざけるな!誰がそんな真似をするか!というか人と話してる時に鼻をほじるな!」
カイーナに言われ、墓地は一旦鼻から指を抜く。
だが何かを指先で丸める仕草をしたかと思ったら、それを左手の掌に擦り付け、また再び指を鼻に突っ込んだ。
「とても勇者とは思えない品性の無さだな」
「いくら強くても。こんなんじゃ勇者失格だね」
咎められてもやめようとしない彼の行動に、他の3人が顔を顰めた。
人と話しをしている時に鼻をほじるなど、そもそも勇者でなくとも言語道断の行動だ。
だが私は気にしない。
むしろ有難いぐらいである。
何せ、相手は弟を一撃で倒すだけのパワーを持っているのだ。
油断してくれているのなら、それに越した事はない。
「集団で騙し討ちしようって奴らが、良く言うぜ。こういうのを、目くそ鼻糞を笑うって言うんだろうな」
墓地の言う事は正論である。
我々の行動は、勇者に相応しい物とは言えないだろう。
だが、勇者には絶対に満たさなければならない条件がある。
それは――
「正義の勇者に、敗北は許されない」
――勝利だ。
勇者は常に勝者でなければならない。
勝って栄光を掴んだ者だけが、勇者の称号を得る事が出来る。
「勝者だけが勇者を名乗れる。だから、私達は勝つための手段を選ぶつもりはない。確実に勝たせて貰う」
「そうか?じゃあお前らを軽く蹴散らして、俺が真の勇者を名乗らせて貰うよ」
墓地が鼻から指を抜く。
流石に、そのままの状態で戦う程馬鹿ではなかった様だ。
「ふん、レディー達を傷つけた報いを受けて貰うぞ」
「けどまあ、殺しはしないから安心しなよ」
「ああ。動きを封じて、ゲンブー家に引き渡すだけだ」
私達は成敗した彼を、ゲンブー家に引き渡す予定だった。
そうすれば、4大家の一つに恩も売れる。
まさに一挙両得。
「尤も、ゲンブー家はお前を生かしておかないだろうけどな。けどそれは自分の蒔いた種だ。今更後悔しても遅いぞ」
「行くぜ!」
カイーナ、トロメア、アンテノラが墓地に攻撃を仕掛ける。
だが次の瞬間――
「――なっ!?」
3人同時に大きく吹き飛び、そのまま地面に叩きつけられた。
何が起こったのか分からない。
墓地が攻撃したのか?
それ以外考えられない事だ。
だが、奴が何をしたのか全く見えなかった。
「馬鹿な……3人を一瞬でだと……」
彼らのランクはBだったが、決して弱くはなかった。
勿論、1対1ならAランクである私の敵ではないだろう。
だが3人同時に相手取るとなれば、私でも対処は難しい。
その3人を、一瞬で……
まさか奴は、Sランクだとでもいうのか?
そんな事はありえない。
元々Eランクだった勇者が、そこまで強くなれる訳がないのだ。
恐らく、私の知らない隠し玉を使ったに違いない。
そういえば、墓地とビートは親しい間柄だったな。
そしてビートは、4大家門筆頭であるスザーク家の令嬢のお気に入りだ。
きっと彼を通して、スザーク家から墓地は強力な宝器を手に入れたに違いない。
勿論、普通に宝器を使っても勇者である彼らを簡単に倒す事は出来ないだろう。
だが墓地は勇者だ。
マジックアイテムの効果を増幅させるスキルや魔法を扱えても不思議ではない。
それならば、3人の勇者を瞬殺できたのも頷ける。
用意したのは昨日か……
昨日、墓地は場所が分からないという理由でこの場に現れなかった。
だが違ったのだ。
奴は此方のたくらみに気付き、昨日の時点で宝器を手に入れたに違いない。
「まさか宝器を用意していたとはな……道理で、余裕の態度な訳だ」
「ん?マジックアイテム?何の話だ?」
「しらを切る気か?カイーナ達を倒したのは、ビート――スザーク家から得た宝器だろうが」
「そんなもん持ってないぞ。俺はただ、指弾を飛ばしただけだ」
「指弾だと?」
「ああ、指弾だぜ。ただの鼻糞のな――」
墓地が静かに人差し指に親指を引っ掛けて、此方に向ける。
そして親指が微かに動いたと思った瞬間、私の全身に凄まじい衝撃と激痛が走った。
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