28 / 29
ざまぁされちゃった王子の回想録
28
しおりを挟む
継母の実家がこの件に何も関与がなければ、彼は処刑されるにしても、王子という地位までは剥奪されなかったかもしれない。
しかし直接的ではないものの、継母の関与を疑われる行動があった。毒入り菓子を我が家に売りに来た行商人が、継母の実家にも出入りしていたことが明らかになったのだ。通常、貴族は身元の確かな商会を利用するものであり、あやしげな行商人を屋敷に引き入れることは考えられない。何かあると疑われても仕方がない行動だ。
父は、彼が不貞の子であることを処刑前に明らかにした。これが、継母の実家に対する事実上の制裁だった。
彼が私生児であると公表されたことを受けて、継母と父の婚姻は彼女の不貞により無効とされた。したがって、自動的にその下の弟妹も婚外子となる。この二人は父の血を引く子ではあるのだが、婚外子となったことにより王族からは外され、当然ながら王位継承権も剥奪された。
継母と下の弟妹は、彼女の実家に戻された。
欲をかかなければ、王妃を輩出した家として、ある程度の政治的影響力を持ち得ただろうに。ところが不倫によって国王を裏切ったばかりでなく、その不貞の子が大罪を犯したわけだ。この先、王家から賠償も求められることになるし、政治的にも財政的にも厳しくなるのは間違いない。
ミミの父を殺して爵位を継いでいた侯爵も、前侯爵を謀殺した罪により処刑された。
弟と婚姻していたその娘は、離島への島流しとなった。ミミたちを毒殺しようとした今回の件では、直接の関与が認められなかったため、夫に比べて刑が軽い。だが、九年前にミミと義母がならず者に襲われた件では、改めて裁判にかけた結果、主犯と認められた。
弟夫妻の間には女児がひとり生まれていたが、この子も元王妃の実家に送られた。
爵位は、無事にミミが継承した。今や彼女は、王太子妃であると同時に女侯爵でもある。
しかし直接的ではないものの、継母の関与を疑われる行動があった。毒入り菓子を我が家に売りに来た行商人が、継母の実家にも出入りしていたことが明らかになったのだ。通常、貴族は身元の確かな商会を利用するものであり、あやしげな行商人を屋敷に引き入れることは考えられない。何かあると疑われても仕方がない行動だ。
父は、彼が不貞の子であることを処刑前に明らかにした。これが、継母の実家に対する事実上の制裁だった。
彼が私生児であると公表されたことを受けて、継母と父の婚姻は彼女の不貞により無効とされた。したがって、自動的にその下の弟妹も婚外子となる。この二人は父の血を引く子ではあるのだが、婚外子となったことにより王族からは外され、当然ながら王位継承権も剥奪された。
継母と下の弟妹は、彼女の実家に戻された。
欲をかかなければ、王妃を輩出した家として、ある程度の政治的影響力を持ち得ただろうに。ところが不倫によって国王を裏切ったばかりでなく、その不貞の子が大罪を犯したわけだ。この先、王家から賠償も求められることになるし、政治的にも財政的にも厳しくなるのは間違いない。
ミミの父を殺して爵位を継いでいた侯爵も、前侯爵を謀殺した罪により処刑された。
弟と婚姻していたその娘は、離島への島流しとなった。ミミたちを毒殺しようとした今回の件では、直接の関与が認められなかったため、夫に比べて刑が軽い。だが、九年前にミミと義母がならず者に襲われた件では、改めて裁判にかけた結果、主犯と認められた。
弟夫妻の間には女児がひとり生まれていたが、この子も元王妃の実家に送られた。
爵位は、無事にミミが継承した。今や彼女は、王太子妃であると同時に女侯爵でもある。
11
あなたにおすすめの小説
某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
チョイス伯爵家のお嬢さま
cyaru
恋愛
チョイス伯爵家のご令嬢には迂闊に人に言えない加護があります。
ポンタ王国はその昔、精霊に愛されし加護の国と呼ばれておりましたがそれももう昔の話。
今では普通の王国ですが、伯爵家に生まれたご令嬢は数百年ぶりに加護持ちでした。
産まれた時は誰にも気が付かなかった【営んだ相手がタグとなって確認できる】トンデモナイ加護でした。
4歳で決まった侯爵令息との婚約は苦痛ばかり。
そんな時、令嬢の言葉が引き金になって令嬢の両親である伯爵夫妻は離婚。
婚約も解消となってしまいます。
元伯爵夫人は娘を連れて実家のある領地に引きこもりました。
5年後、王太子殿下の側近となった元婚約者の侯爵令息は視察に来た伯爵領でご令嬢とと再会します。
さて・・・どうなる?
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
恋人の気持ちを試す方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
死んだふりをしたら、即恋人に逃げられました。
ベルタは恋人の素性をほとんど知らぬまま二年の月日を過ごしていた。自分の事が本当に好きなのか不安を抱えていたある日、友人の助言により恋人の気持ちを試す事を決意する。しかしそれは最愛の恋人との別れへと続いていた。
登場人物
ベルタ 宿屋で働く平民
ニルス・パイン・ヘイデンスタム 城勤めの貴族
カミラ オーア歌劇団の団員
クヌート オーア歌劇団の団長でカミラの夫
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
二度目の初恋は、穏やかな伯爵と
柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。
冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月るるな
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる