ざまぁされちゃったヒロインの走馬灯

海野宵人

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ざまぁされちゃった王子の回想録

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 継母の実家がこの件に何も関与がなければ、彼は処刑されるにしても、王子という地位までは剥奪されなかったかもしれない。

 しかし直接的ではないものの、継母の関与を疑われる行動があった。毒入り菓子を我が家に売りに来た行商人が、継母の実家にも出入りしていたことが明らかになったのだ。通常、貴族は身元の確かな商会を利用するものであり、あやしげな行商人を屋敷に引き入れることは考えられない。何かあると疑われても仕方がない行動だ。

 父は、彼が不貞の子であることを処刑前に明らかにした。これが、継母の実家に対する事実上の制裁だった。

 彼が私生児であると公表されたことを受けて、継母と父の婚姻は彼女の不貞により無効とされた。したがって、自動的にその下の弟妹も婚外子となる。この二人は父の血を引く子ではあるのだが、婚外子となったことにより王族からは外され、当然ながら王位継承権も剥奪された。

 継母と下の弟妹は、彼女の実家に戻された。
 欲をかかなければ、王妃を輩出した家として、ある程度の政治的影響力を持ち得ただろうに。ところが不倫によって国王を裏切ったばかりでなく、その不貞の子が大罪を犯したわけだ。この先、王家から賠償も求められることになるし、政治的にも財政的にも厳しくなるのは間違いない。

 ミミの父を殺して爵位を継いでいた侯爵も、前侯爵を謀殺した罪により処刑された。

 弟と婚姻していたその娘は、離島への島流しとなった。ミミたちを毒殺しようとした今回の件では、直接の関与が認められなかったため、夫に比べて刑が軽い。だが、九年前にミミと義母がならず者に襲われた件では、改めて裁判にかけた結果、主犯と認められた。

 弟夫妻の間には女児がひとり生まれていたが、この子も元王妃の実家に送られた。

 爵位は、無事にミミが継承した。今や彼女は、王太子妃であると同時に女侯爵でもある。
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