私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第2章 王都へ

139 謁見②

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案内人につれられて、ひときわ大きくて豪奢な扉の前にたどり着く。両端には武装した兵士が立っていた。

「取り次ぎを」
「はっ」

兵士の一人が一礼したあと、 扉の中に入っていく。
 
「サラ様、以前お話しした手順通りにすれば問題ありませんからね」
「はい!」

この扉の向こうに国王様がいるんだと思うと、先程落ち着いた心臓がまた激しく動き出す。落ち着け~、落ち着け~。
何度か深呼吸をしていると、兵士が戻ってきて扉を開いて、謁見の間に私たちを誘う。遂に私は謁見の間に足を踏み入れた。
中は何人もの武装した兵士や騎士、貴族の姿があり、こちらに注目しているのがわかった。目が合うと怖いので、足元の赤い絨毯をひたすら見ながら歩く。

「あんな平凡そうな娘が?」
「何かの間違いではないのか?」
「精霊様は見目の美しいものを好くと聞いていたが、これは我が娘にもチャンスが!」

こそこそと貴族の人たちが話してるのが聞こえるけど、そんなに容姿の事ばかり言わなくても良いと思う。まぁ、最後の人は私に対する感想とは違ってたけど。

「サラ様、ここで立ち止まります」

フェ様が私にしか聞こえないくらいの声量で止まる位置を教えてくれる。
フェ様は立ち止まった後、跪くのに続いて私も跪く。

「面をあげよ」

声をかけられ顔をあげると、謁見の間の全体を見ることができた。
最奥の高く作られた場所には立派な王座があって、そこに国王様が座っていた。その隣にある同じくらい立派な椅子に王妃様が、その両脇に王子様二人と王女様二人が座っていた。
国王様は青銀の髪に青銀の瞳で、フェ様に面差しがよく似ていた。
あまりお顔をじろじろと見るのは不敬になるので、すぐに目を伏せたけれど、心なしか国王様たちの顔色が優れないような…。気のせいかな?緊張のあまり、幻覚でも見たのかも。

「その方が此度の能力鑑定で精霊様の加護を授かったと判明した者か」
「は、はい。お初にお目にかかります。サラと申します」
「うむ」

教えられた作法通りになんとか挨拶することができてほっとする。
あ、最高神官長様がすぐ近くにいて、
こちらをニコニコ見てた!緊張しすぎて気づかなかったんだな。

『ラブュよ、久しぶりだな』
『そんな所でうずくまって震えてないで、こっちにいらっしゃいな。わたくし、貴女にお話ししたいことが沢山ありますの』
『私たちが城に入ったときから、気づいてたんでしょう?何で挨拶に来なかったのよ。アクアが寂しがってたわよ?』
『ああ"っ⁉️あ、逃げたぞっ!』
『わたくしと鬼ごっこでもしたいのかしら?ラブュったら、いつまでたって甘えん坊さんね』

…精霊様たちは何をやってるんだろう?
国王様たちは凄く呆気に取られたお顔で同じ方向を見つめてる。
あそこから逃げたのかな?

『サラ様、わたくしたちは少しラブュと親交を深めてきますわ。この場を外してもよろしいでしょうか?』
(ア、アクア?あの、大丈夫なの?)

アクアが退席する許可を求めてきたけど、これは頷くととんでもないことになるんじゃあ。
でも、アクアの表情を見てあきらめた。
優しい笑顔なのに、醸し出す雰囲気がとてつもなく怖い。
その姿はいつかの教会で王族の精霊様に"お話し"すると言った時と全く一緒で、あの時の恐怖も甦ってくる。

(い、いってらっしゃい)

私の返答は一択しかなかった。
精霊様、ごめんなさい。

『ありがとうございます!』
『では、いきましょうか』
『あいつってからかいがいがあるよなぁ』
『サラ様、吉報をお待ちください』

精霊様たちはあっという間に立ち去ってしまった。
呆気に取られたまま虚空を見つめる国王様たち、そんな様子に戸惑う王妃様とフェ様。項垂れる私に、ざわめく貴族の人たち、可笑しそうに笑いをこらえる最高神官長様。
謁見の間は混沌とし、みんなが立ち直るまで今しばらくの時間が必要となった。
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