私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第4章 王立魔法学校一年目

278 新たな救い手

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大人げない大人達の会話に呆気にとられていると、ポンポンと後ろから肩を叩かれる。
全員横一列に並んでいるはずなのに、なぜ後ろから?
不思議に思って振り向くと、そこには王太子様の姿があった……
 
「○☆◆※!?」

まさかの予想外の相手に、言葉にならない叫びをあげる。
するとマーブルがポシェットから飛び出し、すかさず私の口をふさいだ。
そうだ!今は隠れてる最中だった。
慌てて教室の中を見れば、特にこちらに気づいた様子はない。
良かった。私の声で気づかれるかと思った。

「マーブルありがとう」
「にゃん♪」

どういたしましてとばかりに可愛らしく鳴くマーブル。なごむなぁ。
って、そうだよ!王太子様!
わざとではないけれど、無視する形になってしまったことに青ざめつつ、恐る恐る振り向けば…
王太子様は驚きに目を軽く開いた状態で固まっていた。
何だか申し訳ない…

王太子様の後ろには何時ものように三人の先輩の姿もあって、フィリップ先輩も王太子様と同様に驚いたのか固まっている。
ニコラス先輩はそんな二人の様子を楽し気に見ていて、カイト先輩に頭を小突かれていた。
王太子様が固まっていたのは数秒くらいで、「驚かしてしまってごめんね」と王太子様は小声で謝ってくれた。
こちらも驚かせて申し訳なかったと謝る。
お互いに謝ったところで、王太子様がなぜここにいるのか気になった。
それが顔に出ていたのか、王太子様はあっさり理由を教えてくれた。
王太子様は放課後に学校を巡回するのを日課としているのだそうだ。
ローズさんの時もケルベロスの時も、王太子様がいち早く駆けつけることができたのは騒動が起こる度にすぐに駆けつけてこれたのは、そういった理由があったからなんだ。

「特にここは以前騒動があった場所だから、礼儀作法の授業がある日は必ず巡回するようにしてるんだ」

それで、教室を窓からのぞき込む不審者私達を見つけたというわけだ。
ううっ。フィリップ先輩のこんなところで何をしているのかという視線が痛いです。

「それにしても、不思議な顔ぶれだね。まさか、貴族科と一般科の生徒が仲良く覗きをしているとは思わなかったよ。…君は確かダフィル伯爵家のご子息だったね」
「はい。ダフィル家の長子、ランディーと申します。この度は拝顔の栄に浴し、恐悦至極に存じます」

王太子様に尋ねられたランディー君が跪いた状態で答える。
というか、いつの間にその格好に?
見ればスタンリー君も同じ格好だ。
二人の姿に今更ながら私達も頭を下げる。

「顔をあげなさい。私に跪く必要はないよ。この学校の中では私もただの学生なのだから」

そう声をかけられてもおずおずと顔を上げると、王太子様の優しい笑顔が。笑顔が身に沁みます。
中々顔を上げなかったランディー君達も、王太子様に再度促されてようやく顔を上げる。

「それで、これはいったいどういう状況なのかな?」

改めて王太子様に尋ねられ、言葉に詰まる。
教室からは相変わらずケリー先生とイヴァンカ先生のやり合っている声が聞こえてくるし、大人数で覗きをしているんだもん。気になるのも当然だよね。

「サラ嬢」
「へぅっ!?」

でも、どこまで話せばよいものかと悩んでいたら、ランディー君に声をかけられる。
サラ嬢!?そんな風に呼ばれたのは初めてだったので、ちょっとびっくりした。

「王太子殿下には全て話したほうが良いと思う。きっと助けてくれるよ」

ランディー君の後押しもあり、私は王太子様に話すことにした。

「…なるほどね」

全てを聞き終えた王太子様は、今まで聞いたことがないような低い声でボソリと呟いた。
急に周囲の温度が下がったように感じて、周りを見渡せば、フィリップ先輩が頭を抱えているのが見えた。
もしかして、私は余計なことをしちゃったのではなかろうか。
ガクブルと震えていると、教室の中では大人げない言い合いは終って、ケリー先生がイヴァンカ先生を再び問い詰めていた。

「そもそも君は彼女達にカーテシーを教えなかったと聞いたけれど?それで教えたと言うのはひどい話じゃないか」
「わたくしはきちんと教えております!でなければ、彼女達が不出来とは言えカーテシーを披露することもできなかったはずだわ!」
「わたし達にカーテシーを教えてくれたのあなたなんかじゃないっ!」

キャシーちゃんがイヴァンカ先生をきっと睨み付けると、先生の言葉を否定する。

「と、言ってるけれど?」
「そんなはずっ…!そ、それに、わたくし以外の誰が教えれると言うのです!」
「…あたし達に教えてくれたのは、同じ一般科の子です」

イヴァンカ先生に尋ねられたアミーちゃんは、私の名前を出すことなく、言葉少なめに答えた。

「まぁっ!!あなた達は教師でも貴族でもない相手に教えてもらって、合格がもらえると思っていたのですか!?あきれたことっ」
 
教えた相手がただの生徒だと聞いて、イヴァンカ先生がとたんに勝ち誇ったように言った。

「でも、サラはっ」
「キャシーっ!!」

アミーちゃんがキャシーちゃんを慌てて止めたけれど、少し遅かったようだ。

「サラ?そう…、それがあなた達にカーテシーを教えた生徒の名前ですか」

そう呟くイヴァンカ先生の目はギラギラと輝き、恐ろしいほどだ。

「ちょうど君の話になったようだね」
「はい」

王太子様に頷きつつも、気になるのはキャシーちゃん達のこと。
私の名前がイヴァンカ先生に知られるのは別に良い。
ただ、キャシーちゃん達がそのせいでもっと辛く当たられたらと思うと申し訳ない。

「じゃあ、一緒に行こうか」
「はい?」

何を言われたのかわからなくって首をかしげる私に、王太子様は手を差しのべて言った。

「君の友達を助けに行こう」


---
ようやく先が見えてきました。
あと一話で終れそうです。たぶん…

4/1 一部文章を修正しました。
誤:急に周囲の温度が下がったように感じて、《回り》を見渡せば
正:、急に周囲の温度が下がったように感じて、《周り》を見渡せば
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