【R18】酒蔵御曹司は意地っ張りちゃんを溺愛したいし、なんならもはや孕ませたい【本編完結】

にしのムラサキ

文字の大きさ
23 / 41

しおりを挟む
「いや責任感じてさあオレ」
「やから何のや! どつき回すぞコラ」
「ね、ほら」

 エリさんは胸ぐらを掴み上げられたまま、私に向かってにっこりと笑う。

「ちょーっと壁ドンしただけでこのキレようやで。ベタ惚れに決まってるやん」
「何の話……」

 楢村くんは私とエリさんを交互に見遣る。それからエリさんから手を離して、私を抱きしめた。

「ごめんほんまに──瀬奈、怖かったやろ」
「えっと……えっと?」
「このスケコマシはいまから大阪湾に沈めるといたるからな」
「沈め……?」

 全く話についていけてない。
 なに、なんなの?
 唯一分かるのは、エリさんが壁ドンして楢村くんが大声で怒った(とても珍しい)ってことだけ。

「……なにしてんの、あんたたち」

 と、部屋に入ってきたのは楢村くんのお母さん。私は楢村くんの腕から出ようともがくけど、やっぱり全然無理だった。

「いやあ、セナさんがコーセーがほんまに自分のこと好きか分からへんって言うから」

 エリさんが飄々とそんなことを言って、私は慌てて彼の方を見る。エリさんはにやりと唇を上げて、肩をすくめる。
 ちら、と楢村くんを見上げると──やっぱりあんまり表情はないような気がしたけれど──すこしだけ、悲しそうな顔を……しているようなしていないような?
 胸がぎゅっと痛んだ。
 なんでそんな顔したの。

「つうかコーセー、ちゃんと好きとか言葉と態度に出さなあかんで」
「──出しとるわ」
「ほななんでセナさんそんな不安そうなんや」
「マリッジブルーちゃうん? 昴成、ほんまアンタは何でも急やねん。いつも言ってるやろ、責任感持って……もうすぐ家庭も持つんやから」

 お義母さんも口を尖らせて続けた。

「でもね瀬奈さん、昴成こんな無表情やけどあなたにベタ惚れなんは間違いないから……」
「なんやねん無表情て……んなアホな」

 楢村くんが言ったとき、全員が楢村くんを反射的に見つめた。居心地悪そうに、楢村くんはかすかに眉を寄せる。

「……なん?」
「気がついてないんやなあって……いや、まぁええわ」

 お母さんが苦笑いする。

「で、エリはなんやの」
「せやからな伯母さん、コーセーがいかにセナさん好きかセナさんに見せたろ思うて……伝わった?」
「えっと……?」
「伝わってないやん! なんで!? セナちゃん強情なだけ? いじっぱりちゃんなん? それともコーセー、なんか過去にしでかしたん? 浮気とか」

 エリさんがそう言った瞬間に──楢村くんが息を飲んだ。ふたりは「は!?」と楢村くんに詰め寄る。

「おいコーセー、浮気はあかんぞ」
「ごめんなさい瀬奈さん、そんな息子に育てた覚えはなかったんだけれど」

 ヤイヤイと言われて、楢村くんは「浮気なんかするか、アホ」と低く言う。

「ほんならなんでさっきの言葉に反応したんや」
「──」

 言葉に詰まる楢村くんに、さもありなんと私は目線をウロウロさせる。

(……まさかセフレだったとは言えないよね……)

 私としても気まずい。
 なんと言ってこの場をごまかそうか──「セフレみたいに扱ってしまったんや」──って、言うんかーい!

「……は?」
「せやから、瀬奈を……セフレみたいに」
「はぁ!?」

 エリさんと、楢村くんのお母さんの声がユニゾンした。

「マジか!? コーセー」
「あんたっ……」

 お義母さんに至っては泡を吹きそうな顔になっている。ええと、あの、ど、どうしたら……

「……瀬奈はちゃうで。俺にそんなんされたんが嫌で、イギリスに留学してしまったくらいや」
「……昴成」

 お義母さんが拳を強く握る。

「そんな情けないコトしとるとは思わんかった……!」
「……言い訳もできんわ」
「──っ、あの、だ、大丈夫ですから!」

 私は慌てて笑顔を作る。それからさすがに、楢村くんの腕の中から脱出した。

「あの、ほら! ちゃんと責任とって、結婚も……」

 私はやっと──気がついて、目を瞬く。

(そう、か)

 責任。
 楢村くんがなぜ私と結婚したがっているのか──やっと、分かった。

(責任、取ろうとしてるんだ……)

 罪滅ぼしのつもり、なのかもしれない。

(……ばかに、してる)

 悔しい。やっぱり、楢村くんなんか──大嫌い。
 なんとか笑おうとした。怒ろうとした。
 でも、できなかった。
 潤んでいく視界のなかで、エリさんたちが申し訳なさそうな顔で私を見ているのが分かった。

「瀬奈……っ、ほんまに、もう二度と傷つけんから」

 楢村くんがそう言ったのが、聞こえた。
 私は──私は小さく、頷く。

(それでもいいって、思っちゃったから)

 責任からでもなんでも、一緒にいてくれるなら──それでいいって、思ってしまったから。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました

せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~ 救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。 どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。 乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。 受け取ろうとすると邪魔だと言われる。 そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。 医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。 最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇ 作品はフィクションです。 本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...