カタブツ検事のセフレになったと思ったら、溺愛されておりまして

にしのムラサキ

文字の大きさ
20 / 34
番外編

【番外編SS】結婚式、どうしよう?(上)

しおりを挟む
 緊張。ド緊張。
 仙台駅、改札出て見上げたステンドグラス……を視界にいれながら、でも私は緊張で変な息が出た。

「……大丈夫か、莉子」
「ううう大丈夫だよ」

 飛行機で仙台空港まで来て、そこから電車で仙台駅まで。
 今日は、恭介くんのお母さんにお会いする日。

(お父さんは、いまは東京なんだっけ)

 お仕事の関係らしいけど。
 恭介くんのお母さんには、小さい頃は何度も会っていたし、それこそ最近も何回か電話させてもらったけれど──でも、やっぱり緊張だ!

「口から心臓が出そう」
「母さん、喜んでたし。莉子のこと好きだから大丈夫だ」
「いや、好きって何好きって……ううお腹痛い」

 私たちはバスに乗って、仙台の街をゆっくり進んでいく。
 街並みを眺めながら、思う。
 恭介くんは、ここで育ったんだなぁ。
 大きなお寺の前で降りて、坂を少し登る。
 綺麗な洋風の家の前で、恭介くんは立ち止まる。
 お家の前まで花が咲いた鉢植えで飾られている。表札には「宗像むなかた」って恭介くんの苗字──あ、私もいま宗像か。
 まだ、慣れない。

「ただいま」

 恭介くんは何の衒いもなく(そりゃ実家だ!)玄関のドアを開けた。
 ひええと固まってる私の前に、ぱたぱたと嬉しげな足音。

「わー莉子ちゃん久しぶり、綺麗になったねぇ」
「お、お久しぶりです」

 相変わらず少女のようなひとだな、と私は思う。にこにこと微笑む、恭介くんのお母さん。
 腕にはトイプードルが抱かれていた。

「犬飼ったの、母さん」

 恭介くんが少し驚いていた。
 お父さんがお仕事で東京行っちゃって、寂しいのかな?
 お母さんはにこにこと頷く。

「可愛いでしょう? ティアラちゃんよ」
「ティアラ……」

 恭介くんはなんだか妙な顔をしていた。
 ティアラちゃんは人懐こく可愛い桃色の舌を出して全力で尻尾を振っている。

「さ、上がって上がって! ケーキ買ってあるの」

 通されたリビングは、とっても綺麗に片付いていて。
 飾られたお花、手作りっぽいお人形、カーテンは白とピンクのレース。
 なんていうか……ガーリーなお部屋。
 紅茶を淹れてくれて、ダイニングテーブルに向かい合って座る。私の横は恭介くん、なんか落ち着きなくきょろきょろしていた。

「……あの。母さん、なんか、グレードアップしてないか?」
「お父さんが東京行ってからね、お部屋色々しても怒るひといないから~」

 うふふ、とお母さんは嬉しそう。

「そう」

 諦めたように、恭介くんは言った。

「来週、電気もシャンデリアにするの」
「シャン……」

 絶句するように恭介くんは呟いて、「元気そうで何よりだよ」と肩をすくめた。

「ところでお式はいつなのかしら」

 お母さんは落ち着きなく、紅茶のカップをスプーンでかき回している。
 ……わくわくしているような?

「あ、式はしなくていいかなって」

 私は答えた。
 恭介くんはなんだか妙な顔をする。式くらいしよう、って言ってくれてるけれど。

(そしたら、恭介くんのお父さん、どうするんだろ)

 きっと恭介くんは呼びたくない。
 2人きり、でならいいかなぁ。でもそれなら写真だけで良くない? みたいなとこはある。
 ウチの両親も、2人がそれでいいなら、って感じだったし。
 ただ、──恭介くんのお母さんは呆然としていた。
 かつん、とスプーンがティーカップに当たる。手が震えていた。
 な、なになに!?

「あの……?」
「け、結婚式、よ?」
「はぁ」
「結婚式! しなくちゃ!」

 お母さんは最早半泣き。

「人生で、いちばんお姫様になれる日なのよ!?」
「は、はぁ」
「真っ白なウェディングドレス! レース! ブーケ! ヴェール! 素敵な甘いもので構成された、お姫様の日!」
「なんだそれ」
「恭介は口を挟まないで──わたしがどれだけ、ここ数ヶ月莉子ちゃんのウェディングドレスを妄想してきたと思っているの!?」
「なんだそれ!?」
「砂糖菓子!!」

 砂糖菓子の意味は分からないけれど、……ていうか数ヶ月前?

「恭介が莉子ちゃんと同棲してるってお父さんから聞いて、もうテンションが」
「……それで莉子の両親に電話したのか」
「そうよ? 幼馴染と再会恋愛結婚とか! なにそれ! 砂糖菓子!」
「さっきからのそれがイマイチ分からない」
「わからなくていいの」

 そう言って、私の手を強く握る。

「しましょ? ね? 結婚式」
「は、はぁ……」
「別に呼ばなくていいのよお父さんは」
「母さん?」

 お母さんはふふ、と笑う。

「仲悪いんだもの~」
「……式する、んならそういう訳にも」
「みたい!」

 お母さんは断言して、口を尖らせた。

「莉子ちゃんのウェディング!」
「というか和装はダメなのか」
「和装でもいいけど、やっぱりドレスよ、ドレス~」

 うふふとお母さんはうっとり、目を細めた。

「やっぱりプリンセスドレス。たっぷりのレースは欠かせないわ。うん、ティアラも豪華にね……ってティーちゃんのことじゃないの、うふふ」

 トイプードルのティアラちゃんが全力で尻尾を振っていて、私はただ圧倒されて手を握られていた、のでした。
しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。