クワンティエンの夢

多谷昇太

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西行庵

これが西行庵?!

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頭のてっぺんから出るような声でよく通る。「わあ、着いた!これが西行庵、感激いーっ!」。負けじと亜希子も「着いたわよー!みんな来てー!梅子、止まってないで早く来て!」と大声を出す。しかしうるさそうに「先に‘参拝’すればいいじゃんかよ」と愚図る梅子だったが亜希子は辛抱強く待つ様子。「うふふ、梅子さん、見学、でしたよね」と皮肉ぽっく確かめる匡子にひとこと「うるさい、見てなさいよ…」と返して渋々と、しかし何か秘策ありげに、取り巻き2人を従えて亜希子の待つ庵へと近づいて行った。
「うわー、何これ。お粗末うー!」「ほとんどバラック」恵美と加代が実感を吐露し、梅子がしてやったりとばかり「へー、これが聖殿ねえ。たいしたもんだわ。(中の西行像に)こんちは、西行さん。それで亜希子、ここで私たちに何させるつもり?」とすっかり自信を取り戻した感じで訊く。他の部員は知らず、恵美と加代は行動的な体育会的娘2人で、事前にパソコンなどを使って西行庵を調べることなどしないだろうと読んでいた梅子は、ひそかに今の2人のこの反応を期待していたのだった。読みがピタリと当たって会心のうすら笑いを顔に浮かべている。おっつけ他の部員たちにしたって恵美と加代と大同小異だろう。ここを参拝などと思いもすまい。さあ、亜希子どうする?…梅子は普段からの怨念を込めて亜希子の反応を見守った。
 
       【西行庵。アッと驚く身窄らしさ…亜希子ピンチ?】
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