乙女ゲームのヒロインに転生しました!狙うは逆ハーレム!なのに、どうして上手くいかないの?

雪月花

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1.思い出しました

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「えぇーーー!うっ嘘でしょーーーー!!!」

窓の向こうは闇が深まり辺り一面は静寂に包まれている。その静寂を破るように淑女にあるまじき叫び声を発した令嬢は、ベッドの上で頭を抱えゴロンゴロンと転がっている。

この令嬢は自分の頭の悪さを嘆き、ベッドでヘッドスピンをしている・・・わけではない。

所謂『前世思い出しちゃったよ状態』に陥ってるのだ。

「いやいやいや。前世思い出すにしても、もっと神秘的な感じで思い出したかったわ。」

そう、彼女は"毛糸のパンツ"で思い出したのだ!
大切なことなので復唱しよう。
"毛糸のパンツ"です!

ベッドに入りさぁ寝ようと思った矢先に、「今日は肌寒いわね。お婆ちゃんから貰った毛糸のパンツでも履こうかしら…。えっ⁉︎毛糸のパンツ??」

はい、これで思い出しました。

「とりあえず一旦落ち着きましょう。
うん。まずは前世の記憶を整理しなくちゃ。」

前世の彼女の名は『須藤美織すどうみおり
年齢16歳 高校生 
肩まで伸びた真っ黒の髪に、瞳の色も同じように黒色だ。
家族は父と母と犬のベス

「えぇーと。お父さんの名前は……うーーん??えぇーたしか学校から帰ろうとして……あら?えっと……思い出せない?」

彼女は不思議そうに首を傾げる。
何故か家族の事や自分の最後を思い出せない。
他の記憶は明確に思い出せるのに。
家族や自分の最後を思い出そうとすると記憶に霧がかかったようになるのだ。
思い出す事で心が傷つかない様に自己防衛が働いているのかもしれない。

どこか前世の記憶を他人事のように感じてしまうのは、今の彼女・・・・の記憶があるからだろうか。


今世の彼女の名前は『リリア・マイヤーズ』
マイヤーズ男爵の娘 
腰元まで伸びたミルキーピンクの髪は、毛先に緩やかなウェーブがかかっている。瞳の色は洗練された印象を受けるアイスブルー。瞳は大きく溢れ落ちそうなほどで、ふっくらした唇はピンクに色付き官能的でもある。肌は陶器のように白く滑らかだ。
胸もほどよくあり、腰もコルセットで締める必要を感じないぐらいに細い。

髪の色など前世では有り得ない配色だか、顔の作りが色々カバーしてくれている。
所謂『可愛い子にはなんでも似合う』状態だ。
そう!彼女は可愛い。可愛い無双なのだ。

しかし可愛いのは当たり前。
なぜなら……

「これ完璧に乙女ゲームのヒロインだわ。」

前世の美織が大好きだった乙女ゲームのヒロインだったのだ。


「ピンクの髪に青い目……。今まで気にしたことなかったけど、結構奇抜な配色よね。でもなぜか違和感はないわ。可愛い顔立ちなのは自覚していたけど、まさかヒロインだったなんて。」

前世の美織はまさに平凡そのものだった。
学校の成績も運動も普通程度で恋には奥手だった。
恋愛には滾るほどに関心があったが、告白する勇気はなく、当たり前のように恋人だって出来なかった。
友達には恵まれていたので学校生活は楽しめたけど、『恋人とイチャイチャしたい!デートしたい!キスしたい!』という乙女の夢だってもちろんあったのだ。

そんな美織が乙女ゲームに出会い、乙女ゲームの沼にどっぷりとハマってしまった。

ゲームの中では格好いい男の子と恋愛ができ、しかも恋人は1人ではなく何人とも同時に付き合えた。現実とは違いゲームでは恋愛を楽しんでいたのだ。

いや………楽しみすぎたのだ。

それからは、ありとあらゆる乙女ゲームをプレイしまくり、逆ハーレムを楽しむようになってしまった。

「うふふ、この可愛さなら何やっても許されるわよね。たしか攻略対象は第一王子、宰相の息子、騎士団長の息子、隣国の留学生だったかしら。
いいわぁーー。燃える。逆ハーを極めたオタクを舐めんな。やってやるわぁーー。」

オタク心をメラメラと燃え上がらせ、リリア・マイヤーズの逆ハーレムへの挑戦が始まった!!

リリアがヒロインの乙女ゲーム『真実の愛を君と』は王都にあるファンブレント学園が舞台となる。貴族の子息令嬢は15歳になる年から3年間学園で学ぶことが義務付けられている。ヒロインは攻略対象者と交流を持ち恋愛をして学園生活を謳歌する。
そして一番好感度の高い攻略対象者にプロポーズされるのだ。

攻略対象者は
第一王子 クリストファー・オートランド殿下
宰相フュネス公爵令息 ローラン・フュネス様
騎士団長バーデル侯爵令息 フレデリック・バーデル様
隣国の留学生シュナイダー公爵令息 シモン・シュナイダー様

攻略対象者には婚約者がいるが、天真爛漫で可愛い無双のヒロインが『身分の差?婚約者?そんなの真実の愛の前では関係ないわ!』と相手を攻略していくのだ。

「ふふふ、私の可愛いさなら身分何て関係ないわ!それに良家に嫁いだらお父様達も領民の皆も喜んでくれるわ!」

いや、貴族社会のヒエラルキーは絶対なのだ。男爵はヒエラルキーの一番下に位置する。男爵令嬢が上級貴族ましてや殿下と同等に接するなどあってはならないのだ。
その事はリリアも分かっていたはずだが、前世を思い出し、自分は乙女ゲームのヒロインだと浮かれまくって現実が全く見えていなかった。

「一カ月後には学園に入学になるし、このタイミングで前世を思い出すなんて!あぁー神様、ありがとうございます!とりあえず、これからの行動を考えなくては…うーーーん。えーと、うん、ね…眠いわ。」

リリアは『夜更かしはお肌の大敵』と呟きながら、ふぁーーと大きな欠伸をして、ベッド横たわってスヤスヤと寝息を立てた。
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