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12.乙女ゲームじゃないの?
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昨日の一件のせいでなかなか寝付けなかった。
時折り男の顔が思い浮かび、悲鳴と共に目を覚ましてしまう。そしてそのまま朝を迎えてしまった。
「あぁ頭が痛い…。」
着替えを済ませた私は頭を押さえながら部屋を出ると、廊下に数人の令嬢がキャッキャ言いながら話し込んでいる。
「キャーー!素敵!リリア様、窓の外をご覧になって!」
「えっ?どうした…………のぉーー??」
窓から外を覗くとアルフレッド様が学生寮の前に立っている。
ア、アルフレッド様⁉︎
まさか昨日ことを心配して来てくれたの?
それだったら嬉しい…。嬉しいけど……。
目立ってます!アルフレッド様!
ここは女子学生寮ですよ!
目立ってますよーー!
寮のみんなからは『えぇーなに?何事?』みたいな目線を送られていますよ!
心なしかみんなの目線がキラキラしているような…。
き、気づいていないのかしら…。
とりあえず私は急いでアルフレッド様の元に向かった。
「ア、アルフレッド様?あ、あの?どうなさったんですか?」
「おはよう、リリア嬢。君の教室まで送って行くよ。」
「えぅ??あ、ありがとうございます。」
えっ?これいいのかしら?
あれ?アルフレッド様の婚約者は?流石に問題では?
うん???
私は混乱しながらも連れなって歩き出すと、アルフレッド様が私の様子を伺うように話始めた。
「昨日の男の事なんだが…その、話しても大丈夫だろうか?」
「えぇ大丈夫です。お気遣いありがとうございます。私も気になっておりましたので、話して頂けると有り難いです。」
「そうか…。奴のことは昨日学園に報告してある。即刻退学処分となった。だから、リリア嬢は安心してくれていい。もちろん昨日の事は他の人間に漏れる事のないようにしてある。リリア嬢の不名誉な事にはならないように配慮してるから安心してくれ。」
「た、退学ですか…。」
「…?どうした不満だっただろうか?」
「い、いえ。不満なんて、そんな…」
この学園に通う事は貴族にとって義務になる。
その学園を退学になるということは、今後貴族社会の中で生きていくのは難しいだろう。
「あ、あの。私はその…被害を受けたわけではないので…その…退学になるとは思わなくて…」
「何を言っている!未然に防げたから良かったが……あの男は元々問題がある奴だったらしい。退学になったのも奴の素行の悪さが原因だ。君が気に病むことはない。」
(そ、そうなのか……。なら退学で良かったのかしら?他の方に被害が及ぶ可能性もあったわけだし…。そ、そうだわ!確認したいことがあったんだわ)
「あ、あの突然こんな事を聞いて申し訳ないのですが、フュネス公爵卿のご婚約者のイメルダ様はアルフレッド様の妹君でしょうか?」
「ああ、イメルダは私の妹だ。ロウとは幼い頃から婚約している。」
「ロウ…。フュネス公爵卿の愛称ですよね?仲がよろしいのでしょうか。」
「…?あぁそうだが。ロウと……クリストファー殿下とバーデル家のフレデリック、シュナイダー家のシモンとは昔馴染みだが……。」
(違う…やっぱりゲームと違う。アルフレッド様の存在があり得ない……。イメルダ様に兄はいないはず……いや、違う。そういえばファンブックに……)
たしかゲーム会社が発行したファンブックにはこう書いてあった。『イメルダの兄は幼い頃に流行病で亡くなった』と。
(アルフレッド様は幼い頃に亡くなっているからゲームでは登場しない。でも実際にはこうやって生きている。しかも攻略対象者と親しい仲…。変よ。絶対におかしい。もしかしてこの世界は乙女ゲームでは無いの?)
ではこの世界は何なのだろうか。
私は………ヒロインではないのか。
ヒロインじゃない私は何なのだろう。
(あぁ嫌だ。頭が痛い。考えが纏まらない。)
「大丈夫か?顔色が悪い。」
「あ、いえ。申し訳ございません。大丈夫です。昨日なかなか寝付けなかったものですから…」
「あんな事があったんだ。無理もない。もし体調が悪いなら学生寮に戻ろう。」
「い、いえ大丈夫です!あ、あの、そういえばお話があると仰ってませんでしたか?」
「あぁ、そのことなんだが……リリア嬢が良かったら昼を一緒にとらないか?昨日のことも含めて色々話したいことがあるんだ。」
「はい。問題ございません。」
「では、また昼に迎えにくる。……その、授業の合間にも会いに行っていいだろうか。その方が色々都合が良いから……」
「あ、はい…?構いませんが。」
「ありがとう。では、また後で。」
私のクラスまで送ってくれたアルフレッド様は自分の教室に向かっていった。
(な、なんなのかしら。何か不穏な……)
私は訝しげに思いながら教室のドアを開いて気づいた。
………エリー様がいない。
私は今まですっかりエリー様の事を忘れていた。
(えぇー!エリー様は?ど、どうしよう不敬罪⁉︎)
時折り男の顔が思い浮かび、悲鳴と共に目を覚ましてしまう。そしてそのまま朝を迎えてしまった。
「あぁ頭が痛い…。」
着替えを済ませた私は頭を押さえながら部屋を出ると、廊下に数人の令嬢がキャッキャ言いながら話し込んでいる。
「キャーー!素敵!リリア様、窓の外をご覧になって!」
「えっ?どうした…………のぉーー??」
窓から外を覗くとアルフレッド様が学生寮の前に立っている。
ア、アルフレッド様⁉︎
まさか昨日ことを心配して来てくれたの?
それだったら嬉しい…。嬉しいけど……。
目立ってます!アルフレッド様!
ここは女子学生寮ですよ!
目立ってますよーー!
寮のみんなからは『えぇーなに?何事?』みたいな目線を送られていますよ!
心なしかみんなの目線がキラキラしているような…。
き、気づいていないのかしら…。
とりあえず私は急いでアルフレッド様の元に向かった。
「ア、アルフレッド様?あ、あの?どうなさったんですか?」
「おはよう、リリア嬢。君の教室まで送って行くよ。」
「えぅ??あ、ありがとうございます。」
えっ?これいいのかしら?
あれ?アルフレッド様の婚約者は?流石に問題では?
うん???
私は混乱しながらも連れなって歩き出すと、アルフレッド様が私の様子を伺うように話始めた。
「昨日の男の事なんだが…その、話しても大丈夫だろうか?」
「えぇ大丈夫です。お気遣いありがとうございます。私も気になっておりましたので、話して頂けると有り難いです。」
「そうか…。奴のことは昨日学園に報告してある。即刻退学処分となった。だから、リリア嬢は安心してくれていい。もちろん昨日の事は他の人間に漏れる事のないようにしてある。リリア嬢の不名誉な事にはならないように配慮してるから安心してくれ。」
「た、退学ですか…。」
「…?どうした不満だっただろうか?」
「い、いえ。不満なんて、そんな…」
この学園に通う事は貴族にとって義務になる。
その学園を退学になるということは、今後貴族社会の中で生きていくのは難しいだろう。
「あ、あの。私はその…被害を受けたわけではないので…その…退学になるとは思わなくて…」
「何を言っている!未然に防げたから良かったが……あの男は元々問題がある奴だったらしい。退学になったのも奴の素行の悪さが原因だ。君が気に病むことはない。」
(そ、そうなのか……。なら退学で良かったのかしら?他の方に被害が及ぶ可能性もあったわけだし…。そ、そうだわ!確認したいことがあったんだわ)
「あ、あの突然こんな事を聞いて申し訳ないのですが、フュネス公爵卿のご婚約者のイメルダ様はアルフレッド様の妹君でしょうか?」
「ああ、イメルダは私の妹だ。ロウとは幼い頃から婚約している。」
「ロウ…。フュネス公爵卿の愛称ですよね?仲がよろしいのでしょうか。」
「…?あぁそうだが。ロウと……クリストファー殿下とバーデル家のフレデリック、シュナイダー家のシモンとは昔馴染みだが……。」
(違う…やっぱりゲームと違う。アルフレッド様の存在があり得ない……。イメルダ様に兄はいないはず……いや、違う。そういえばファンブックに……)
たしかゲーム会社が発行したファンブックにはこう書いてあった。『イメルダの兄は幼い頃に流行病で亡くなった』と。
(アルフレッド様は幼い頃に亡くなっているからゲームでは登場しない。でも実際にはこうやって生きている。しかも攻略対象者と親しい仲…。変よ。絶対におかしい。もしかしてこの世界は乙女ゲームでは無いの?)
ではこの世界は何なのだろうか。
私は………ヒロインではないのか。
ヒロインじゃない私は何なのだろう。
(あぁ嫌だ。頭が痛い。考えが纏まらない。)
「大丈夫か?顔色が悪い。」
「あ、いえ。申し訳ございません。大丈夫です。昨日なかなか寝付けなかったものですから…」
「あんな事があったんだ。無理もない。もし体調が悪いなら学生寮に戻ろう。」
「い、いえ大丈夫です!あ、あの、そういえばお話があると仰ってませんでしたか?」
「あぁ、そのことなんだが……リリア嬢が良かったら昼を一緒にとらないか?昨日のことも含めて色々話したいことがあるんだ。」
「はい。問題ございません。」
「では、また昼に迎えにくる。……その、授業の合間にも会いに行っていいだろうか。その方が色々都合が良いから……」
「あ、はい…?構いませんが。」
「ありがとう。では、また後で。」
私のクラスまで送ってくれたアルフレッド様は自分の教室に向かっていった。
(な、なんなのかしら。何か不穏な……)
私は訝しげに思いながら教室のドアを開いて気づいた。
………エリー様がいない。
私は今まですっかりエリー様の事を忘れていた。
(えぇー!エリー様は?ど、どうしよう不敬罪⁉︎)
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