12 / 14
12.乙女ゲームじゃないの?
しおりを挟む
昨日の一件のせいでなかなか寝付けなかった。
時折り男の顔が思い浮かび、悲鳴と共に目を覚ましてしまう。そしてそのまま朝を迎えてしまった。
「あぁ頭が痛い…。」
着替えを済ませた私は頭を押さえながら部屋を出ると、廊下に数人の令嬢がキャッキャ言いながら話し込んでいる。
「キャーー!素敵!リリア様、窓の外をご覧になって!」
「えっ?どうした…………のぉーー??」
窓から外を覗くとアルフレッド様が学生寮の前に立っている。
ア、アルフレッド様⁉︎
まさか昨日ことを心配して来てくれたの?
それだったら嬉しい…。嬉しいけど……。
目立ってます!アルフレッド様!
ここは女子学生寮ですよ!
目立ってますよーー!
寮のみんなからは『えぇーなに?何事?』みたいな目線を送られていますよ!
心なしかみんなの目線がキラキラしているような…。
き、気づいていないのかしら…。
とりあえず私は急いでアルフレッド様の元に向かった。
「ア、アルフレッド様?あ、あの?どうなさったんですか?」
「おはよう、リリア嬢。君の教室まで送って行くよ。」
「えぅ??あ、ありがとうございます。」
えっ?これいいのかしら?
あれ?アルフレッド様の婚約者は?流石に問題では?
うん???
私は混乱しながらも連れなって歩き出すと、アルフレッド様が私の様子を伺うように話始めた。
「昨日の男の事なんだが…その、話しても大丈夫だろうか?」
「えぇ大丈夫です。お気遣いありがとうございます。私も気になっておりましたので、話して頂けると有り難いです。」
「そうか…。奴のことは昨日学園に報告してある。即刻退学処分となった。だから、リリア嬢は安心してくれていい。もちろん昨日の事は他の人間に漏れる事のないようにしてある。リリア嬢の不名誉な事にはならないように配慮してるから安心してくれ。」
「た、退学ですか…。」
「…?どうした不満だっただろうか?」
「い、いえ。不満なんて、そんな…」
この学園に通う事は貴族にとって義務になる。
その学園を退学になるということは、今後貴族社会の中で生きていくのは難しいだろう。
「あ、あの。私はその…被害を受けたわけではないので…その…退学になるとは思わなくて…」
「何を言っている!未然に防げたから良かったが……あの男は元々問題がある奴だったらしい。退学になったのも奴の素行の悪さが原因だ。君が気に病むことはない。」
(そ、そうなのか……。なら退学で良かったのかしら?他の方に被害が及ぶ可能性もあったわけだし…。そ、そうだわ!確認したいことがあったんだわ)
「あ、あの突然こんな事を聞いて申し訳ないのですが、フュネス公爵卿のご婚約者のイメルダ様はアルフレッド様の妹君でしょうか?」
「ああ、イメルダは私の妹だ。ロウとは幼い頃から婚約している。」
「ロウ…。フュネス公爵卿の愛称ですよね?仲がよろしいのでしょうか。」
「…?あぁそうだが。ロウと……クリストファー殿下とバーデル家のフレデリック、シュナイダー家のシモンとは昔馴染みだが……。」
(違う…やっぱりゲームと違う。アルフレッド様の存在があり得ない……。イメルダ様に兄はいないはず……いや、違う。そういえばファンブックに……)
たしかゲーム会社が発行したファンブックにはこう書いてあった。『イメルダの兄は幼い頃に流行病で亡くなった』と。
(アルフレッド様は幼い頃に亡くなっているからゲームでは登場しない。でも実際にはこうやって生きている。しかも攻略対象者と親しい仲…。変よ。絶対におかしい。もしかしてこの世界は乙女ゲームでは無いの?)
ではこの世界は何なのだろうか。
私は………ヒロインではないのか。
ヒロインじゃない私は何なのだろう。
(あぁ嫌だ。頭が痛い。考えが纏まらない。)
「大丈夫か?顔色が悪い。」
「あ、いえ。申し訳ございません。大丈夫です。昨日なかなか寝付けなかったものですから…」
「あんな事があったんだ。無理もない。もし体調が悪いなら学生寮に戻ろう。」
「い、いえ大丈夫です!あ、あの、そういえばお話があると仰ってませんでしたか?」
「あぁ、そのことなんだが……リリア嬢が良かったら昼を一緒にとらないか?昨日のことも含めて色々話したいことがあるんだ。」
「はい。問題ございません。」
「では、また昼に迎えにくる。……その、授業の合間にも会いに行っていいだろうか。その方が色々都合が良いから……」
「あ、はい…?構いませんが。」
「ありがとう。では、また後で。」
私のクラスまで送ってくれたアルフレッド様は自分の教室に向かっていった。
(な、なんなのかしら。何か不穏な……)
私は訝しげに思いながら教室のドアを開いて気づいた。
………エリー様がいない。
私は今まですっかりエリー様の事を忘れていた。
(えぇー!エリー様は?ど、どうしよう不敬罪⁉︎)
時折り男の顔が思い浮かび、悲鳴と共に目を覚ましてしまう。そしてそのまま朝を迎えてしまった。
「あぁ頭が痛い…。」
着替えを済ませた私は頭を押さえながら部屋を出ると、廊下に数人の令嬢がキャッキャ言いながら話し込んでいる。
「キャーー!素敵!リリア様、窓の外をご覧になって!」
「えっ?どうした…………のぉーー??」
窓から外を覗くとアルフレッド様が学生寮の前に立っている。
ア、アルフレッド様⁉︎
まさか昨日ことを心配して来てくれたの?
それだったら嬉しい…。嬉しいけど……。
目立ってます!アルフレッド様!
ここは女子学生寮ですよ!
目立ってますよーー!
寮のみんなからは『えぇーなに?何事?』みたいな目線を送られていますよ!
心なしかみんなの目線がキラキラしているような…。
き、気づいていないのかしら…。
とりあえず私は急いでアルフレッド様の元に向かった。
「ア、アルフレッド様?あ、あの?どうなさったんですか?」
「おはよう、リリア嬢。君の教室まで送って行くよ。」
「えぅ??あ、ありがとうございます。」
えっ?これいいのかしら?
あれ?アルフレッド様の婚約者は?流石に問題では?
うん???
私は混乱しながらも連れなって歩き出すと、アルフレッド様が私の様子を伺うように話始めた。
「昨日の男の事なんだが…その、話しても大丈夫だろうか?」
「えぇ大丈夫です。お気遣いありがとうございます。私も気になっておりましたので、話して頂けると有り難いです。」
「そうか…。奴のことは昨日学園に報告してある。即刻退学処分となった。だから、リリア嬢は安心してくれていい。もちろん昨日の事は他の人間に漏れる事のないようにしてある。リリア嬢の不名誉な事にはならないように配慮してるから安心してくれ。」
「た、退学ですか…。」
「…?どうした不満だっただろうか?」
「い、いえ。不満なんて、そんな…」
この学園に通う事は貴族にとって義務になる。
その学園を退学になるということは、今後貴族社会の中で生きていくのは難しいだろう。
「あ、あの。私はその…被害を受けたわけではないので…その…退学になるとは思わなくて…」
「何を言っている!未然に防げたから良かったが……あの男は元々問題がある奴だったらしい。退学になったのも奴の素行の悪さが原因だ。君が気に病むことはない。」
(そ、そうなのか……。なら退学で良かったのかしら?他の方に被害が及ぶ可能性もあったわけだし…。そ、そうだわ!確認したいことがあったんだわ)
「あ、あの突然こんな事を聞いて申し訳ないのですが、フュネス公爵卿のご婚約者のイメルダ様はアルフレッド様の妹君でしょうか?」
「ああ、イメルダは私の妹だ。ロウとは幼い頃から婚約している。」
「ロウ…。フュネス公爵卿の愛称ですよね?仲がよろしいのでしょうか。」
「…?あぁそうだが。ロウと……クリストファー殿下とバーデル家のフレデリック、シュナイダー家のシモンとは昔馴染みだが……。」
(違う…やっぱりゲームと違う。アルフレッド様の存在があり得ない……。イメルダ様に兄はいないはず……いや、違う。そういえばファンブックに……)
たしかゲーム会社が発行したファンブックにはこう書いてあった。『イメルダの兄は幼い頃に流行病で亡くなった』と。
(アルフレッド様は幼い頃に亡くなっているからゲームでは登場しない。でも実際にはこうやって生きている。しかも攻略対象者と親しい仲…。変よ。絶対におかしい。もしかしてこの世界は乙女ゲームでは無いの?)
ではこの世界は何なのだろうか。
私は………ヒロインではないのか。
ヒロインじゃない私は何なのだろう。
(あぁ嫌だ。頭が痛い。考えが纏まらない。)
「大丈夫か?顔色が悪い。」
「あ、いえ。申し訳ございません。大丈夫です。昨日なかなか寝付けなかったものですから…」
「あんな事があったんだ。無理もない。もし体調が悪いなら学生寮に戻ろう。」
「い、いえ大丈夫です!あ、あの、そういえばお話があると仰ってませんでしたか?」
「あぁ、そのことなんだが……リリア嬢が良かったら昼を一緒にとらないか?昨日のことも含めて色々話したいことがあるんだ。」
「はい。問題ございません。」
「では、また昼に迎えにくる。……その、授業の合間にも会いに行っていいだろうか。その方が色々都合が良いから……」
「あ、はい…?構いませんが。」
「ありがとう。では、また後で。」
私のクラスまで送ってくれたアルフレッド様は自分の教室に向かっていった。
(な、なんなのかしら。何か不穏な……)
私は訝しげに思いながら教室のドアを開いて気づいた。
………エリー様がいない。
私は今まですっかりエリー様の事を忘れていた。
(えぇー!エリー様は?ど、どうしよう不敬罪⁉︎)
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は死んで生き返ってついでに中身も入れ替えました
蒼黒せい
恋愛
侯爵令嬢ミリアはその性格の悪さと家の権威散らし、散財から学園内では大層嫌われていた。しかし、突如不治の病にかかった彼女は5年という長い年月苦しみ続け、そして治療の甲斐もなく亡くなってしまう。しかし、直後に彼女は息を吹き返す。病を克服して。
だが、その中身は全くの別人であった。かつて『日本人』として生きていた女性は、異世界という新たな世界で二度目の生を謳歌する… ※同名アカウントでなろう・カクヨムにも投稿しています
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
転生ガチャで悪役令嬢になりました
みおな
恋愛
前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。
なんていうのが、一般的だと思うのだけど。
気がついたら、神様の前に立っていました。
神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。
初めて聞きました、そんなこと。
で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。
皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」
そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。
前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。
父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。
使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。
え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……?
その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……?
あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ!
能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる