幼なじみ公爵の伝わらない溺愛

柴田

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 ヘンリーの手がみぞおちのあたりから下方へと伝っていく。疼いているのはここだと教えるように、下腹部をぐっと押された。
 そのままさらに下のほうへと向かっていく手は、途中で方向をずらし、太腿を撫でる。
 ニーナにキスをしながら、片手がそこばかりを這い回った。また焦らすような力加減で。太腿の外側を撫でられてもほとんど何も感じないのに、内側を撫でられた途端にぞわぞわとした感覚に襲われる。するーっと内腿を撫で上げては外へ逃げていく手に、弄ばれているような気分だった。

「ん、んぅ……ッヘンリー」

 口の中を這い回っていた舌を追い出して抗議すると、ふっ、と笑った息がかかる。

 そこでふと、ヘンリーがしばらく何もしゃべっていないことに気がついた。どうして何もしゃべらないのだろう、と不安な気持ちがこみ上げる。またニーナのわがままを受け入れて、この行為も嫌々付き合ってくれているのかもしれない。

「ヘンリ、ッひ、あっ」

 そんなニーナの思考を散らすように、ヘンリーの手が脚の付け根の際どいところを撫でる。ぬるんっ、と滑るような感触がして、ニーナは戸惑った。
 まだそんな時期ではないはずなのに、このタイミングで月のものが始まったのだろうか。
 そんなふうに思っていると、ヘンリーの手が脚から離れていく。そしてニーナの手を掴み、先ほど触れた場所へ導いていった。そんなところ、自分で触ったことは一度もない。制止する間もなく、ヘンリーの手に誘導されるまま股の間に指が沈む。

「……あっ」

 そこは驚くほどぬかるんでいた。表面をなぞらされているだけなのに、とても熱くなっているのがわかる。ぬるぬるした感触は血とも異なっていた。そんなものが、おそらく自分の股の間から分泌されているだなんて恐怖すら感じる。
 反射的に手を離すと、ヘンリーは無理やりニーナの手をそこへ導くようなことはしなかった。
 代わりに、ヘンリーの指があわいへ沈んだ。

「ん、ん……っ、いや、……ひぁっ」

 ぬるぬるをまとわせたヘンリーの指が、ぬかるみよりも上のところへ添えられる。そこにある突起部分を下から上へ、優しく優しく何度もこねられると、これまでで一番気持ちよかった。優しく触られているはずなのに、どんどん快感が膨らんでいく。人差し指と薬指で突起を挟まれて、添えられた中指で擦られているうちに、おなかがきゅーっと引き絞られるような感覚がした。
 腰がガクガクと震えて、未知の感覚がすぐそこまで迫りくる。ニーナは怯え、シーツをきつく握り締めていた。

「待ってっ、ヘンリー……! わたし変なの、なんかきちゃうっ、ヘンリーってば! あっ、だめだめだめ……ッ! ん゙んぅー……!」

 全身に力を入れて震えたニーナは、腰をガクンと突き出すようにして達していた。気持ちいいのその先に強制的に連れて行かれたニーナは、自分の身に何が起きたのかもわからない様子だ。
 無防備に口を開けて乱れた呼吸を繰り返すニーナは、絶頂の余韻が治まるとシーツに力なく沈み込む。

「ヘンリー……終わったの、ヘンリー……?」

 掠れた声で呼ぶと、ヘンリーの手が再び股の間に触れた。敏感になった突起を避け、割れ目を指が往復する。先ほどよりもさらに分泌液が増えた気がした。きっとこれは、自分が気持ちよくなると溢れてきてしまうのだろう、とニーナは推測する。

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