幼なじみ公爵の伝わらない溺愛

柴田

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「ヘンリー、気持ちいい?」
「すごくいい」
「出しちゃいそう?」
「とっても」
「まだ出しちゃだめよ」
「むりかも」
「我慢して、我慢して、う~んと我慢してから、びゅーっていっぱい出して」
「ダリア……!」

 ――なんで今日はこうもいじわるでかわいいんだ。ヘンリーは心の中で唸る。

 ただダリアは、いつもヘンリーに訳もわからなくなるほど抱き潰されているから、たまにはヘンリーを翻弄してみたかっただけだ。ヘンリーの腕を拘束する機会など、今後訪れるとも知れない。ダリアがねだればいつでも喜んで拘束されてくれそうではあるけれど。
 ダリアの身動き一つで顔を快感に歪めるヘンリーを見るのも悪くなかった。自分に夢中になってくれているようで気分がよくなる。

 正直、思っていたより上に乗って動くのは疲労感が半端ではない。そして自分も気持ちよくなってしまうから困る。いいところに当たらないように挿入の角度をずらして腰を振ってみても、大きな陰茎はすべてを擦っていってしまうので意味がなかった。
 心なしかいつもより陰茎が硬くなっていて、反り返る角度が凶悪だ。どこをどう突いても子宮口を抉ってくる。深く挿入しなければ済むことなのに、無意識にその快感を追い求めているのか思うようには腰が止まらなかった。

 恍惚のため息をついて身体から力を抜くと、自重で深く根本まで埋まってしまう。そうすると子宮を押し上げるようにずっぽりと奥までハマって、ヘンリーの下生えに陰核がくすぐられるのだ。ダリアはその刺激に弱く、今度は腰が勝手に前後しだしてしまう。
 先ほどもこの刺激でうっかり絶頂を迎えてしまったというのに、抗えない。
 一度気持ちよくなりはじめてしまうとどうにも止まれなくて、ダリアはヘンリーの首筋に顔を埋めたまま下半身を激しく擦りつけた。

「……ダリアっ、一回止まって……! 出る、ッ」

 ヘンリーの制止する声を聞いて、ダリアはハッと我に返る。ヘンリーを翻弄するはずが、すっかり夢中になって快感を貪ろうとしてしまっていた。けれど、もう絶頂がすぐそこに見えていて、擦りつけるのを止められそうにない。
 顔を上げたダリアは、ヘンリーの肩に手を乗せてじっとその顔を見下ろした。
 ダリアの言いつけを守ろうとしているヘンリーは、必死に歯を食いしばっている。ふっ、ふっ、と荒い呼吸を繰り返して怖いくらいの険しい表情をしているのがおかしくて、ダリアはその表情を崩したくなった。

「まだ出していいって言っていないわ」
「だから止まってって……、」
「我慢よ、ヘンリー」

 ヘンリーの耳元に顔を寄せ、ふーっと優しく息を吹きかけてみる。するとヘンリーは全身も陰茎もびくびくと大げさなほど震わせた。逃れるように首を反らそうとするのをつかまえて、音を立てて耳にキスをする。またビクンと跳ねた。
 ヘンリーは意外と耳が弱いのかもしれない。
 好奇心をそそられたダリアは、耳朶を唇で食んでみた。それから耳の溝をなぞるように舌で辿っていく。くるくる、くるくる、と穴のふちを舐め回してから舌先を捻じ込んだ。

「ぁ、……ッ、くう」

 下品に舌を蠢かして耳穴をしゃぶり尽くす。ぐちゅぐちゅと唾液の音を立て、ぐぽぐぽと舌を出し入れする音をわざと響かせると、ヘンリーはたまらず声を上げた。耳まで真っ赤にして身悶えるヘンリーの目には、うっすらと涙の膜が張っている。
 よっぽど気持ちいいのか、そろそろ本当に我慢の限界なのか。どちらにしろダリアの興奮を煽る。

「ダリア、ほんとに……っだめ、って」
「ふふ、イっちゃう?」

 口を無防備に開けてはあはあと喘ぐように息をしていたヘンリーが、軋む音が鳴るほど奥歯を食い縛って何度も頷く。

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