嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐

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私、帝国領で暴れます!

私、胃の痛みを知ります……

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 現在私は、勘違いで凍て付かせてしまった皆さんの事を、回復効果を持った暖かな光の波動で癒しながら、炎まで出して温めている最中です。

 私の早とちりが招いてしまった結果なので、全力です。炎など出す必要は無いですですが、出しておきます。今の私は全力なのです。

「そ、その……本当にごめんなさい……」

 風で作ったベッドの上に弟子を寝かせながら、平身低頭。とにかく頭を下げ続け、謝罪をします。

「「「「「……」」」」」

 お相手さんは、皆さんがずっと無言です。殺されかけたとあっては、容易く許すことなど出来はしないでしょう。本当に申し訳ないと思っています。だから私は、許してもらえるまで頭を下げ続けます。

「……なぜ、あの様な勘違いを……?」

 私の頭に、硬い声で疑問が降ってきました。残念ボーー銀髪さんの声です。その顔は怒りに満ちているに違いありません。声が怒っています。冷たいです。

「ま、前に、そういう事を十回くらい……? 別々の方から言われた事があって……。今回も、それと同じかなって……、思ったんです……」

 そうです。私は王国の貴族たちに、何度か「愛妾になれ」だの、「性奴隷にしてやる」だの、色々言われていたのです。

 …………王国の畜生どものせいじゃないですか!!!!!

 そう思ったら腹が立ってきました。私が勘違いで人を殺しそうになってしまったのも、今こうして怒られているのも、全部王国のハゲ豚どもが悪いのです!!! 特に傲慢なあのバーコード! 三回四回と誘いやがって! むっきー! この恨み、はらさでおくべきかッ!

「「「「「……ひっ」」」」」

 あっ……。魔力漏れちゃった……。

 怒られている立場なのに、魔力を漏らしてお相手さんを威嚇……威圧? していたら、私が逆ギレ最低女見たいじゃないですか!

 ま、マズイです! 私の沽券に関わります!

「あ、あのあの、今のは違くって……、その、違うんです! とにかくごめんなさい!」


 ~~三時間後~~


「ごめんなさぃぃぃぃぃ!!!」

 セレスティアさんは、未だに謝り倒していた。土下座しながら。

 なぜ未だに許しを得ていないのかと言うと、先程のお漏らしを、何度かやってしまっていたのだ。それも、相手が「そろそろ許してもいいかな……?」と思い始めるタイミングで。

「許しちゃう……?」→ガオー!→ぴえっ→ごめんなさい! →「許しちゃう……?」→ガオー! の無限ループである。

 王国の王族や貴族たちのことを考えると、途端に猛獣になってしまうセレスティアさんなのである。恨みは深いのだ! 断じてポンコツではな……くはない……かも?

 とにかく困ったら、全て王国のせい! 王国の連中が悪いのである。

 ガタンガタン

 それはもう見事な土下座を披露するセレスティアさんの耳に、馬車の揺れる音が響いてきた。それは今の彼女にとっては、神の救いのようにすら感じられた。

「商人さんっ! 助けてください!」

 助けてほしいのは勘違いで殺されかけた相手方であるのだが、今は黙っておこう。

 相手方も助けを求めて、後からやってきた商隊の方へと顔を向けている。セレスティアさんは飛び付いている。

「うぉっ!? ど、どうした嬢ちゃん……?」
「人を殺し掛けてしまったんです!!!」
「「「「「!!?!?!!!?」」」」」

 商人さんはもちろん、商隊の皆さんや冒険者の皆さんまで固まった。無理もない。

 少し想像していただきたいのだが、いきなり飛びつかれて、「私、未遂みすいやっちゃいました!」なんて言われたら、あなたはどう思う?

 きっと誰もが、「fa!?」となるに違いない。天の声さんはそうなる。そして、「またまた冗談を~笑笑」と笑い飛ばそうとするであろう。

 しかし相手が涙目だったら? そして、殺し掛けられた相手方が、こちらを睨んでいたら?

 そう、固まるしかないのである。

 気苦労が絶えない商人さんには、是非とも頑張ってほしい。ファイト!

「えー、あー? ……う?」

 商人さん  は  壊れてしまった!

「商人さん!? しっかりしてください!」

 バチン! ベチベチ! ベッチィィィン!!!

「ハッ……! 俺は一体……。ここは誰、私はどこ……」

 商人さん  は  壊れてしまった!

「しっかりしてくださいよ! 商人さん!」

 ベチベチバッチィィィン

「ハッ……! 俺は私……!?」

 商人さん  は  ry

「…………つばびつまりあべばあれか? びょうびゃぶば嬢ちゃんはがんびばはべ勘違いでこぼびぼほび殺しそうにばっばぼなったと?」
「えっと、何言ってるのか分からないですけど……、その、勘違いでっちまいそうになりました……」

 商人さんは、とても混乱しているようです。後、顔が腫れ上がり過ぎていて、何を言っているのか分からないです。回復してあげた方がいいかな……? 私がベチベチしちゃった結果ですし……。

 なんか、すごく痛そうです(他人事)。

 とりあえず、皆に回復魔法使っときましょう。えいやっと!

「……痛みを癒してくれたのはありがたいが、俺は未だに胃が痛いよ」
「え? 《回復ヒール》! ……どうですか?」
「そういう問題じゃぁ、ねぇんだ……」

 え? 胃が痛いって言ったのあなたですよ……? どゆこと?

 首を捻っていると、商人さんがあからさまにため息を吐きながら、まるで不出来な我が子に語りかけるが如く、私に言い聞かせます。

「いいかい嬢ちゃん。勘違いで人を殺しかけるなんて、有り得ない事なんだ」
「そりゃぁそうですよね。当たり前です」

 商人さんが当然の事を、さも、これが世の中の真理だ、という顔で言うので、私は頷きました。

 この人は、わざわざ何を言っているのでしょうか?

「…………。うんうん。……そうだな?」
「はい。そんな事をする人は最低です」

 なるほど! 今のはただの確認だった訳ですね。商人さんがオカシくなったのではなくて、良かったです。

 勘違いで人を殺そうとするやつなんて、人間じゃないですよ。人間失格です。
 そんな危険人物は社会不適合者確定なので、今すぐお家に引き篭ってもらいたいものですね。

「それが今の嬢ちゃんなんだよ……」
「…………そうでしたね」

 ですが、商人さんのその言葉で、私は凍りつきました。自分の仕出かした事を思い出した、と言ってもいいかもしれません。

 ……私は一体、何をやっているのでしょうか?

「…………どうだ嬢ちゃん。胃の痛みが分かったかい?」
「……はい」

 確かにこれは……、物理的な痛みじゃないですね。でも痛いです……。

════════════════
エール感謝3本目……!
( ^q^ )(死にかけ)
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