嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐

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私、帝国領で暴れます!

私、おパンツ買います!

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 さて、トカゲを担いでどっこいしょ! とやって来ましたのは、闘技場のように大きな施設です。

 この施設、すごく大きいのは勿論なんですが、装飾も闘技場とは違って洒落ていると言うか、綺麗な感じです。流石に三種鉱石と呼ばれるミスリル、オリハルコン、アダマンタイトは使ってないみたいですが、金やら銀やらは節々に散りばめられているようです。

 金や銀は三種鉱石には劣ると言えども、十分価値のある鉱石ですのに。さすがに皇子様が持っているオークション会場と言うだけあって、装飾のレベルも凄いんですね。(勘違いです)

「ほえ~」

 ついつい、見惚れてしまいます。
 王国にあった教会(笑)とか王城(笑)が、まるで瓦礫の山のように感じる凄さですからね。

 ガヤガヤワヤワヤといった街の賑わいも、王都何かよりよっぽど大きいです。やはりマトモな人間が集まっている場所の方が、言い争いとかも少なくなって、結果的に治安が良くなるんでしょうね。

「……気に入ってもらえた様で何よりだ」
「はい。見た目がすごく綺麗で、とっても素敵です」

 これは、皇子様が自慢したくなる気持ちも理解出来ると言うものです。私だって、こんな素敵な建物を所有していたら、思わず誰かに自慢してしまうでしょう。「ねえねえ、これ見て~!」と。(所有していません)

「そ、そうか……。それは、何よりだ。うむ。では、私は、少し用事がある故、しばしの間失礼する」
「え? ああ、はい」

 今度は暑かったんですかね? なんだか寒いやら暑いやら、温度変化に忙しい人ですね。まあ、寒いのは私のせいですけど。

 それより今は、商人さんたちの方が心配ですね。どこぞの国のとある街でのように、「その死体をよこせ!」とか言われたりしてないですかね。

 街に入るときには、ヤベェぞ! ドラゴンだ! という感じで、てんやわんやの大騒ぎになるだけで、特に「それよこせ!」とかは言われてませんでしたけど。
 少し心配なので、やはり様子を見に行きましょうか。

 文句わぶーたらと垂れていたら、この国の偉い人皇子様に言いつけてやりますからね! 「この紋所お方が目に入らぬか!」をやったります。

「ええ。ではそのように頼みます」
「ええ、任せておいてください。久方ぶりの大仕事です。腕がなりますぞ! ほっほっほ」

 ……ちっ

 私が現場に着くと、商人さんのボスと相手のボス(推定)が、お話を纏める瞬間でした。おもんないとか、別に思ってないですよ? ホントです。私嘘かない。

 あ、そうだ。弟子も寝ていてやる事無さそうですし、私はお買い物に行ってこようかな。流石にいつまでも痴女さんのままでいるのは……、と。

 あ、ちなみにですが、私は今黒い髪を着けてますよ。この街に向かう道中で、髪の毛は黒にしておいた方がいいと言われたので。はい。

 おパンツ屋さんはどこにあるかなー? と、あっちをブラブラ。こっちをブラブラ。

 大きな道を抜けて、裏路地を通って、グルグル回って、裏路地を抜けて、細道を突き進んでようやく辿り着いたのは、今にも看板が剥がれ落ちそうな、ボロボロのお店でした。

 ……なんで?

 …………なんで?

「ヒッヒッヒッ。綺麗なお嬢さんだねェ……。そんなお嬢さんがウチに何の用かねェ?
 ヒッヒッヒッ。お求めなのは、男を一発で落とす惚れ薬かい? それとも、死ぬまで果てなくなるような媚薬かい?」

 ……何やらヤバい事を言ってるんですけど、この人……。

 黒いシワシワのローブを纏い、先っぽがピーン! とトンがった帽子を被ったしゃがれた声のお婆さん。

「……魔女ですか?」

 思わず漏れた失礼極まりないその呟きに、けれどお婆さんは笑うだけでした。笑い方、不気味ですけどね。

「イッヒッヒ。魔女かなどうかと聞かれたら、どうだろうねェ? 私にゃ分からんよ。イヒヒヒヒ」
「そ、そうですか……。ところで……、その、おパンツって売ってますか?」

 完全に気圧されているセレスティアさん。彼女は迷走を始めた!

 惚れ薬に媚薬に禁書に、うんぬんかんぬん。そんなヤベェお店に、普通のおパンツなど売っている訳がない。常識的に考えて。
 しかし、聞く。聞いてしまうのである。

 それが、セレスティアさんクオリティなのだ。

「イッヒッヒッ。お求めはおパンツかい。あるよあるよォ。取っておきのがねェ。イヒヒヒヒ」
「え? ホントですか? じゃあ買います!」

 何故そこで、買うなどと言ってしまうのか。明らかに様子のおかしいお店である。置いてあるものも、異常の一言に尽きる代物しろものばかりだ。

 明らかに、ヤベェのである。

 この場所が夕日に照らされていれば、きっと紅い目を光らせたカラスの群れが、カーカーと鳴いていることだろう。

 そんなお店に、普通のおパンツなど売っている訳もないのだ!

「ホラ、コレだよ」
「おー! 可愛いですね!」

 そう言ってお婆さんが持ってきたのは、白とピンクの可愛らしい物でした。アクセントに赤色の小さなリボンが付いています。

 私は一目で、そのおパンツが気に入りました。

「買います! おいくらですか?」
「イッヒッヒッ。代金なんていいさねいいさね。遠慮なんてせず、そのまま持っていきなァ」
「え? いいんですかっ!? じゃあここで履かせていただきますね!」

 んー。何だかムズムズしますけど、多分、今まで履いていなかったせいですよね。すぐに慣れるはずです。

 それより今は、一目惚れしたおパンツを履けて、とっても気分がいいです。

「ありがとうございました! お婆さん! それでは、私はこれで失礼しますね!」
「ヒッヒッヒ。気を付けてねェ。……効果に振り回されんように、ねェ? ヒヒヒ」

 ……セレスティアさんは大丈夫だろうか?

════════════════
エール感謝7本目!

起きてから中々調子が上がらず、もうお昼頃になってしまいました。すみません!

ちゃんと後2話も更新するので、よろしくお願いします( ̄^ ̄)ゞ
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