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私、帝国領で暴れます!
私、黄金鳥確定演出です!
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おはようございます。元気にグッモーニン! なセレスティアさんです。
昨日はあのまま解散して、皆さんとは一度分かれました。
私は金貨もたくさん持っているので、弟子を抱っこしたまま宿屋さんを探して、良さげな所を見つけました。
その宿屋さん、なんと一泊につき金貨五枚もする超高級な場所なのです!
でも贅沢してみたかったので、宿屋さんはそこに決めました。
しかし私は、非常に満足しております。高いだけあって、ごはんはやべー美味しいのです。お肉がほわほわとろ~な感じで、お口に入れた瞬間に解れて、溶けていくのです。お水もお野菜も、全部洗練されてました。
寝ていて食べられなかった弟子が、不憫で不憫で仕方がありません。
ベッドも凄かったですよ。お部屋に一つしかありませんでしたけど、手を置くと沈むのです! 気付いた時には、体が半分くらい埋まってました。
……これ欲しい。
なのでもちろん、買いました。諸々込みで金貨10枚です。うへへ。
ああ~、この柔らかさが私をダメにしゅりゅにょ~。うへへへへ~。
「……うぅん。……ほぁ?」
弟子が寝ていることも忘れてベッドに頬擦りをしていると、横から呻き声が聞こえてきました。
起こしちゃったかな……?
そう思って上から覗き込んでみると、眠た気な目を擦る弟子が私の方を見ました。
目が合い、一瞬停滞。そして弟子の顔が、みるみる内に赤く……。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「ぅ、うぁ、……は、はひ。ね、眠れましゅたっ!」
あー。寝起きなのに目の前に人がいたら、ビックリしますよね。
どうにも私は、私以外の人への配慮というものを忘れてしまいます。昨日の伝え忘れの件もそうですけど……。
ちゃんと治さないとですよね。いつまでも王国を理由に、甘えている訳にはいきません。
ちゃんと成長せねば、それこそサルと同じです。
「弟子。目がぱっちりしたら、下へ来てくださいね。そこで一緒に、朝ごはんを食べましょう。では、私は先に行ってますね」
「ぇぁ……? あ、はい! 分かりました!」
ドアをパタンと閉めたら、私の頭の中はもう、朝ごはん一色です。ドタバタ聞こえてきても、関係なしです。
「るんふふ~ん」
ああ、朝ごはんのいい匂いがします。美味しそうです。ふふんふ~ん♪
昨日の内に頼んでおいたので、私が席につくと同時にご飯が運ばれてきました。その輝きと美味しそううな匂いに、思わず食べてしまいそうになりますが、弟子が来るまでは我慢です……。じゅるり。
「し、師匠。おまたせしました」
「はい! それでは食べましょう! 席についてください!」
「え、あ、はい」
もう待ちきれない! 名前からして美味しそうなんですよね! 黄金鳥、覚えましたからね。必ず狩りに行ったります。
黄金のように輝く甘辛なタレに、口の中でとろけるお肉。白いパンと一緒に食べても味は落ちず、むしろお肉の甘みを、より引き出してくれるアクセントになっています。
野菜の甘味が、ピリッと辛いタレには抜群で。まさに完成された料理と言えるでしょう。
「おかわりー! おかわりくださいー!」
ハグハグハグハグハグハグ
「し、師匠……、も、もうそれくらいに……」
「あぼぶぼびばべばっぶ!」
結局私は、その後お肉五つをおかわりしました。大変に美味でした。げふ。
「だ、大丈夫ですか……?」
「さ、流石に食べ……、すぎまじだ。くるじいでふ……」
待ち合わせのオークション会場が、すごく遠いです……。次からはもっと自重します……。げふ。
でも、会場前に着くのに、なぜこんなにも苦労をしなければならないのか。私はただ、好きなだけ食べたというだけなのに。こんなのは絶対におかしい!
静かなる怒りを燃やしていると、建物がようやく見えてきました。
「嬢ちゃ……、その腹、どうした……?」
「師匠は少しだけ、食べすぎてしまったんです。それより、あまり近付かないでもらっていいですか? 師匠の邪魔になります」
私が頼りないからか、弟子がいつになくピリピリしています。うう。頼りなくてすみません。
「苦しそうではないか。ここは私が肩をーー「必要ありません」ーー」
「必要ありません。師匠を支えるのは、"弟子"である僕の役目なので。皇子殿下はお呼びではないのです。……引っ込んでろキザ男」
「お前の体はガリガリでは無いか。あばら骨も浮いている。そのような貧相な体で、女性とは言え大人の彼女を支えることが出来ると? ……邪魔だ棒野郎。お前こそ引っ込んでろ」
何だかバチバチしていて怖いです。視線が交わった真ん中で、火花が飛び散っているように見えます。……なんで? そこまで嫌い合うような事、ありましたっけ……?
まあいいです。そろそろお腹の方も回復してきましたし。
「じゃあ弟子。私は先にオークション会場に入っているので、あまり喧嘩をしないようにしてくださいね」
そう言って、今にもため息を吐き出しそうな商人さんと、会場内へ足を踏み入れました。
~~~
「……お前のせいで師匠が先へ行ってしまった」
「……お前が私に絡むからだろうが」
「はぁ? お前、自分が"ぽっと出"の邪魔者って自覚ないのか? 目出度い頭してるんだな」
「お前こそ、彼女には相応しくないとの自覚がないのか? ヤレヤレ。これだから脳内花畑は」
セレスティアさんが先に入っていってからも、二人はバチバチの喧嘩を続けていた。
何故か、相手を見ると突っかかりたくなってしまう。
理由は分からないが、相手がとある少女に近付いているのを見ると、無性に腹が立つ。
「……あ? 消し飛ばすぞ?」
「……あ? 始末するぞ?」
いつまでもメンチを切り合う二人であった。
════════════════
エール感謝9本目!
エールをくださる方がとても多く、ありがたい気持ちでいっぱいです。
もうそろそろ、エール感謝分だけで完結しそうです……🫠
頑張ります。
昨日はあのまま解散して、皆さんとは一度分かれました。
私は金貨もたくさん持っているので、弟子を抱っこしたまま宿屋さんを探して、良さげな所を見つけました。
その宿屋さん、なんと一泊につき金貨五枚もする超高級な場所なのです!
でも贅沢してみたかったので、宿屋さんはそこに決めました。
しかし私は、非常に満足しております。高いだけあって、ごはんはやべー美味しいのです。お肉がほわほわとろ~な感じで、お口に入れた瞬間に解れて、溶けていくのです。お水もお野菜も、全部洗練されてました。
寝ていて食べられなかった弟子が、不憫で不憫で仕方がありません。
ベッドも凄かったですよ。お部屋に一つしかありませんでしたけど、手を置くと沈むのです! 気付いた時には、体が半分くらい埋まってました。
……これ欲しい。
なのでもちろん、買いました。諸々込みで金貨10枚です。うへへ。
ああ~、この柔らかさが私をダメにしゅりゅにょ~。うへへへへ~。
「……うぅん。……ほぁ?」
弟子が寝ていることも忘れてベッドに頬擦りをしていると、横から呻き声が聞こえてきました。
起こしちゃったかな……?
そう思って上から覗き込んでみると、眠た気な目を擦る弟子が私の方を見ました。
目が合い、一瞬停滞。そして弟子の顔が、みるみる内に赤く……。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「ぅ、うぁ、……は、はひ。ね、眠れましゅたっ!」
あー。寝起きなのに目の前に人がいたら、ビックリしますよね。
どうにも私は、私以外の人への配慮というものを忘れてしまいます。昨日の伝え忘れの件もそうですけど……。
ちゃんと治さないとですよね。いつまでも王国を理由に、甘えている訳にはいきません。
ちゃんと成長せねば、それこそサルと同じです。
「弟子。目がぱっちりしたら、下へ来てくださいね。そこで一緒に、朝ごはんを食べましょう。では、私は先に行ってますね」
「ぇぁ……? あ、はい! 分かりました!」
ドアをパタンと閉めたら、私の頭の中はもう、朝ごはん一色です。ドタバタ聞こえてきても、関係なしです。
「るんふふ~ん」
ああ、朝ごはんのいい匂いがします。美味しそうです。ふふんふ~ん♪
昨日の内に頼んでおいたので、私が席につくと同時にご飯が運ばれてきました。その輝きと美味しそううな匂いに、思わず食べてしまいそうになりますが、弟子が来るまでは我慢です……。じゅるり。
「し、師匠。おまたせしました」
「はい! それでは食べましょう! 席についてください!」
「え、あ、はい」
もう待ちきれない! 名前からして美味しそうなんですよね! 黄金鳥、覚えましたからね。必ず狩りに行ったります。
黄金のように輝く甘辛なタレに、口の中でとろけるお肉。白いパンと一緒に食べても味は落ちず、むしろお肉の甘みを、より引き出してくれるアクセントになっています。
野菜の甘味が、ピリッと辛いタレには抜群で。まさに完成された料理と言えるでしょう。
「おかわりー! おかわりくださいー!」
ハグハグハグハグハグハグ
「し、師匠……、も、もうそれくらいに……」
「あぼぶぼびばべばっぶ!」
結局私は、その後お肉五つをおかわりしました。大変に美味でした。げふ。
「だ、大丈夫ですか……?」
「さ、流石に食べ……、すぎまじだ。くるじいでふ……」
待ち合わせのオークション会場が、すごく遠いです……。次からはもっと自重します……。げふ。
でも、会場前に着くのに、なぜこんなにも苦労をしなければならないのか。私はただ、好きなだけ食べたというだけなのに。こんなのは絶対におかしい!
静かなる怒りを燃やしていると、建物がようやく見えてきました。
「嬢ちゃ……、その腹、どうした……?」
「師匠は少しだけ、食べすぎてしまったんです。それより、あまり近付かないでもらっていいですか? 師匠の邪魔になります」
私が頼りないからか、弟子がいつになくピリピリしています。うう。頼りなくてすみません。
「苦しそうではないか。ここは私が肩をーー「必要ありません」ーー」
「必要ありません。師匠を支えるのは、"弟子"である僕の役目なので。皇子殿下はお呼びではないのです。……引っ込んでろキザ男」
「お前の体はガリガリでは無いか。あばら骨も浮いている。そのような貧相な体で、女性とは言え大人の彼女を支えることが出来ると? ……邪魔だ棒野郎。お前こそ引っ込んでろ」
何だかバチバチしていて怖いです。視線が交わった真ん中で、火花が飛び散っているように見えます。……なんで? そこまで嫌い合うような事、ありましたっけ……?
まあいいです。そろそろお腹の方も回復してきましたし。
「じゃあ弟子。私は先にオークション会場に入っているので、あまり喧嘩をしないようにしてくださいね」
そう言って、今にもため息を吐き出しそうな商人さんと、会場内へ足を踏み入れました。
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「……お前のせいで師匠が先へ行ってしまった」
「……お前が私に絡むからだろうが」
「はぁ? お前、自分が"ぽっと出"の邪魔者って自覚ないのか? 目出度い頭してるんだな」
「お前こそ、彼女には相応しくないとの自覚がないのか? ヤレヤレ。これだから脳内花畑は」
セレスティアさんが先に入っていってからも、二人はバチバチの喧嘩を続けていた。
何故か、相手を見ると突っかかりたくなってしまう。
理由は分からないが、相手がとある少女に近付いているのを見ると、無性に腹が立つ。
「……あ? 消し飛ばすぞ?」
「……あ? 始末するぞ?」
いつまでもメンチを切り合う二人であった。
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エール感謝9本目!
エールをくださる方がとても多く、ありがたい気持ちでいっぱいです。
もうそろそろ、エール感謝分だけで完結しそうです……🫠
頑張ります。
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