冒涜者 - 悪魔の子は神の使いを穢したい -

Neu(ノイ)

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二章:訪れた変化

異端児の場合(2)01

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【異端児の場合(2)】


 子供だった俺は、3年の間で体だけは大きく成長した。
ミルが体格差を気にしているのは知っていた。
俺との関係に悩んでいることも解っている。
距離を置こうとしているような感じもした。
それでも俺は、子供みたいな独占欲からミルの気持ちなど考えてはいなかった。


 ミルが毎朝のジョギングを始めたのは、街の噂で知った。
教えてくれても良いのに、と寂しくなったことは伝えていない。
ただ、その日から押し掛けるようにして、ミルのジョギングに無理矢理付き合ったのは、心配事が多かったからである。
体の弱いミルが途中で倒れたら、という心配と。
街の中での彼の異常なまでの人気の高さが、俺の心配を増やしていた。


 ミルは拒食症気味なのもあり、20歳になる今でも、ほっそりと華奢な体で、肌は透き通るように白い。
寧ろ、蒼白いと言った方が正解かもしれない。
そして、ふんわりほんわかと柔らかい雰囲気で優しいものだから、そこら辺のケバい女よりも、よっぽど魅力的に映るのだ。
それが俺だけなら良いのだが、この街の思春期を迎える男は、大抵がミルにお熱だった。
おしとやかで線の細い彼は、中性的で微妙に揺れる思春期男子の心を掴んで離さないようだ。
面白くもない学校で、クラスの男子がミルで抜いたなどと男子会を開いて言い合う様を目撃する度に、胸のもやもやは広がり、独占欲や嫉妬といった汚い感情が浮かぶ。


 結局のところ、俺の中の悪魔は成長しても潜んでいて、抑え方が上手くなっただけで、餓鬼の頃と何も変わらないのだ。
同級生達を捻り潰して殺してしまいたい感情は、日に日に強くなっていた。
そんな矢先に、ミルはジョギングを始めた。
何の力もないミルを捩じ伏せることは、5歳も年下でも簡単なことだ。
汗を流して苦しそうな表情で走るミルは、男子中学生にとって刺激が強い。
学校中、男子はその話題でもちきりだった。
中には、襲っちまおうか、と過激なことを言っている奴もいる。
俺はそれが酷く心配だったのだ。


 ミルは綺麗な人間だ。
昔、両親を殺したと、軽くそんなことを聞いたが、それでも、彼の心は綺麗だ。
俺とは違う。
俺のようにどす黒い感情など、知らないだろう。
知って欲しくない。
俺はただ、ミルが心配で、彼を危険から守りたかった。


 けれど、俺がミルを苦しめているのだと、改めて思い知る。
触れただけで泣き出してしまったミルに、俺は謝ることしか出来ない。
何で泣くのか気にはなっても、俺の力では聞いてやることも慰めることすら出来ないのだ。
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