冒涜者 - 悪魔の子は神の使いを穢したい -

Neu(ノイ)

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三章:悪魔憑きとエクソシスト

神父見習いの場合(3)01

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【神父見習いの場合(3)】


 毎朝、鶏の大合唱で目が覚める。
近くの養鶏場では今日も元気に卵を産み落としているのだろう。
ぐうう、と鳴った腹の音にミル=ルークスは苦笑を浮かべながら上体を起こす。


 着替えを済ませ自室から出て行くと、キッチンから美味しそうな香りが漂ってくる。

「おはよう御座います」

中に入るとブランの大きな背中が見えた。
じゅわわあ、と焼ける香ばしい匂いに、またお腹が合唱を始める。

「やあ、ミル。おはよう。パンを焼いてくれるかい? チーズを乗せてね」

振り向いた男の目が笑っている。
小さく「はい」と返事をし、テーブル上のフランスパンを掴みブランの隣に並んだ。
包丁で輪切りにし、切ったチーズを乗せ、流しの下に備え付けられているオーブンにと投入し、温度と時間を設定し起動させる。

「ああ、そうだ。暫くの間、フィンが泊まりに来ることになったから、お世話を頼むよ。ご両親がどうしても家を空けないといけないらしくてね。フィンのお祖父さんが体調を崩したとかで、看病に行くんだって。申し訳ないんだけど、客間を掃除してベッドを整えておいてくれるかな? 夕方ぐらいになるそうだよ」

毎朝、近所の養鶏場から届く新鮮な卵は、食の細いミルの貴重な栄養源だ。
刻んだ野菜とチーズ、ハーブの入ったオムレツには食欲をそそられる。
まさに今、フライパンで焼かれているオムレツが皿の上にと移された。

「そ、そうなのですね。わかりました」

フィンが泊まりにくる。
動揺してしまい上擦った声を何とか平常に戻し頷いた。
水切りカゴの中からコップを掴み、冷蔵庫から牛乳を取り出し注ぐ。
ぐいっ、と一気に呷り、空になったコップをテーブルに置く。
どくどく、と高鳴る心臓が煩くて息が苦しい。

「……ところで、あれからキルはどう?」

ふ、と息を吐いて話題を変えるブランに、ふるり、と首を横に振る。
先月、統合していなくなった筈の人格が現れた。
ミルから危険がなくなったと知り、彼はそれっきり出てくる気配をみせない。
消えてしまったのか、ミルの奥深くで眠っているだけなのか、何とも判断のつかない状態が続いていた。

「いるのかいないのか、はっきりとはしませんが。完璧には消えていないと言うことですよね」

胸に掌を当てる。
とくんとくん、と鼓動を打つ振動が伝わってきた。

「そうか。人格統合については解っていないことの方が多いし、まあ、ゆっくり考えていこう。あの子も無闇矢鱈と他に危害を加える子ではないからね。……それから、フィンのことなんだけど」

フライパンに油を垂らし野菜を投入していくブランの動きが止まる。
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