31 / 97
一章:SとK
現実逃避 05
しおりを挟む聞きたくないのだ。
僕とサンの関係が、世間から見たらおかしいものだと認識している。
だからと言って、どうにか出来る訳でもない。
僕達は、ずっとそうやって生きてきたのだ。
子供の頃から、大人になってもずっとである。
今更、どうにも出来ない。
僕にはサンという存在が必要なのだ。
「たまには、河東先生以外の人間と遊んだら、その認識も変わるかも、しれませんよ。僕、頑張りますから、河東先生以外にも、頼れる人間がいるってこと、知って下さい。大丈夫です。僕が、死なせません」
話題を変えたかった。
が、その目論見は叶わず、継生は怖いぐらい真剣にそう宣う。
困ってしまう。
両肩を掴む手の力は強く、少し痛かった。
「せんせ」
「ツグナです。名前で、呼んで下さい」
有無を言わせない強い口調で言われてしまえば、頷くしかなかった。
其れに満足したのか、肩から手が外れる。
安堵に息が漏れた。
「すいません。ちょっと暴走してしまったみたいで。先ずは、タワー見に行きましょう。僕、まだ見てないんですよ。川路さんは、もう行きました?」
先程までの怖い顔が嘘のようににこやかな表情で、継生は電工掲示板を見ている。
僕は首を横に振る。
東京タワーならば、小学時代にサンと母親と三人で見に行ったことがあるが、新しくなってからは、サンの仕事が忙しいこともあり、中々外出は出来ないでいた。
つい先刻までの、やるせない想いも消え、初めての場所にわくわくと胸が躍る。
「楽しみですね。せんせ、継生先生は、高いところ大丈夫なんですか?」
また怖い顔をされるのも嫌なので、譲歩して名前+先生で呼ぶことにした。
継生もそれで満足のようだ。
にこにことしている。
「ええ、好きですよ。男は、高いところに憧れるんでしょうかね? 飛行機やヘリコプターも好きなんです」
へえ、と感心したように相槌を打ちながら、サンは苦手なんだよな、と三人で行った東京タワーでの出来事を頭に想い描いた。
しかし、その話はしないことにする。
サンの話をして、また機嫌を損ねると厄介である。
「そう、なんですか。確かに、開発した人は凄いですよね。どうやって飛んでるのか、良く考えると、仕組みなんてサッパリです」
「人間って、不思議ですよね。何処から発想が沸いて、どうやって実現させるのか。僕だったら、浮かびもしない」
他愛ない話が続く。
やはり、サンの話を出さなければ、大丈夫なようだ。
1
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる