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一章:男性保育士奮闘記
男性保育士と働くお父さん 02
しおりを挟む正直、もう辞めてしまおうかと何度も考えた。
今でも悩んでいる。
そもそも男は保育士に向かないのだろうか、とまで思ってしまう始末だ。
そんな矢先のことだった。
その園児を気に掛けるようになったキッカケは、たまたま同僚の体調不良で彼女の受け持つクラスを担当したことだ。
彼は人の輪に入らず、常に独りでいるようだった。
何となく雰囲気で感じ取れるのと、前に同僚に相談されていたのを思い出したのだ。
恐らく、彼のことだったのだろう。
年中スミレ組五番、藍沢 結希(アイザワ ユウキ)、5歳、男。
いつも詰まらなさそうに独り玩具で遊んでいるらしい。
同僚の情報に拠れば、片親だと言う。
父親と暮らしているのだが、定時に迎えに来たことは殆どなく、そればかりか、帰り方は本人も解っているから一人で帰らせてくれと言われることも屡々(しばしば)あるそうだ。
夕方の19時を過ぎると自動的に値段が上がるシステムになっているため、18時半頃に電話が掛かってくると聞いた。
その時は担当外と言うこともあり、障りあたりのない返答を返したのだが、いざ目の前にすると、どうにも放っておけなかった。
その日は無事に定時の迎えに父親が来ていたのだが、僕はそれからと言うもの、結希のことばかり気になっていた。
結希はろくな食事も食べていないのか、同年代の子に比べると、やや痩せ気味に見える。
それもあって、ちゃんとした生活を送っているのか、心配で堪らなかったのだ。
だが、それは父親を責める訳ではなく、仕事をしながらの育児は大変だろうと、自分に何か出来ることはないのか、という心配もあってのことだ。
父親と結希、2人を含めての心配事だった。
この日も、17時には結希以外の子供は、夜間預かりの子だけになっていた。
そろそろ夕食の支度をしなくてはならない時間だ。
自分の担当クラスの支度の合間に彼を窺う。
結希は慣れっこなのか、一度も時計を見ることもなく、教室の片隅で積み木を組み立てていた。
そっ、と近付いて隣にしゃがみ込む。
肩を叩いてから声を掛けると、生気のない瞳が此方を向いた。
「ユウキ君、お父さん遅いね。今日もお仕事遅くなるのかな? 何か聞いてる?」
「知らない。別に一人で帰れるし、ボク、邪魔なら帰る」
表情をピクリとも動かさずに首を振る彼に、僕は焦って手を振った。
「違うよ、邪魔じゃないよ! 先生、心配なんだ。お父さんのこともユウキ君のことも。いつもご飯は何を食べてるの?」
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