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部長権力

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本田さんと並んで食堂に向かおうとした時、宮川くんからメールが入った。

【会議室3を借りたのでそこで食べましょう。待ってます】
と。

普通なら会議室とか借りられないはずなのに、宮川くんの部長権力なのか、洸くんの社長息子権力か…。

なんにしろ流石だなぁと思って私たちは向かった。



「なっな、なんでこう兄がいんだよ!」

会議室のドアを開けた瞬間、隙間から本田さんが見えたのか洸くんがそう叫んだ。


隣に座って「…よりによって本田さんですか」と冷たく言う宮川くんに、「やっぱり昨日迷惑かけたの、怒っているようだ…」と私の後ろで本田さんがどうしようと慌てる。


「昨日は。迷惑かけてすまなかった。本来なら俺が五月を介抱したりする立場なのに…」


動揺しまくった挙句、本田さんはそう言って宮川くんに頭を下げた。

…確かに私も潰れやすいから介抱してもらうことは多々あるけど。

なんて小さく笑いながら謝る本田さんを見ていると、「いえ…。こちらこそ部下が無理やり連れ回してすいません」と意味不明に宮川くんは誤った。


「無理やりじゃない。俺が…話したいことあって…」


ちらっと洸くんを見てふいっと顔を背けて、本田さんはそう言う。

本田さんの気持ちを知っている私はそれすらもが可愛くてニヤニヤが止まらなくなる。




_ブブッ…


すると、ポケットに入れていたケータイが振動する。

メールかな?と思い本田さんの後ろに隠れてそっとケータイを開くと【宮川部長】と書かれていた。

「え?」なんで直接言わないの?メールを開く前に、そう思って声をこぼすと「どうした?」と本田さんが振り返る。

それを見て宮川くんは小さく舌打ちをしたのが見えた。



「なんでもないです!」

慌てて本田さんにそう答え、納得して椅子に腰かけた本田さんを横目にメールを開いた。


【本田さんには名前呼び捨てしてもらっているんですね。しかも五月先輩を介抱する立場…彼氏でもないくせに彼氏ずらですか。話したいことってなんだったんですか。告白ですか】



彼は嫉妬深い。
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