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29 ナイジェル、奔走する
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ナイジェル視点です。
――*――
父上の執務室で眠り薬を飲まされ、エミリアが攫われた直後。
「すまない! 手を貸してくれ!」
私は使用人控室に向かい、王太子妃教育で普段からエミリアと親しくしている女官や使用人達に声をかけた。
ここに来る前に、父が最も信頼し、重用している部下にも声を掛けてある。
私は目立つから自分からは接触しに行けないが、彼が様子を見ながら上手く殿下の近衛騎士や、信用できる他の貴族達に連絡を取ってくれるだろう。
「誰かぁー!」
私が使用人の一人と城内を探し回っていると、助けを呼ぶ声が何処かから聞こえてきた。
「出してぇー! 閉じ込められたぁー! だれかぁぁー!」
「エミリア! そこにいるのか!? どこの部屋だ!?」
女の声が聞こえるが、どの部屋だか分からない。
私が声をかけると、少し遠くから扉をドンドンと叩く音と、助けを求める声が聞こえた。
「ここですぅー! 開けてぇー!」
私達は声が聞こえてきた部屋に駆け寄り、外鍵を解錠して扉を開いた。
急いで中を確認したが、そこにいたのはエミリアではなく、エミリアの貸したドレスを身に纏っている令嬢だった。
********
先程の令嬢はエミリアではなかったが、エミリアのドレスを着た令嬢が軟禁されていたというのは少し気になる。
それに、彼女の言っていた双子の令嬢とは、恐らくマルガリータ・ドノバンに常に付き従っている令嬢達だろう。
茶会で何度か三人が一緒にいる所を見た。
関連があるかどうかは分からないが、もしかしたら一つの証拠として提示できるかも知れない。
私は、エントランスホールの端で招待客リストを確認しているフリをしている男に声を掛けた。
先程声を掛けた父の部下である。
私は、追加書類の受け渡しを装って、彼に事の顛末を耳打ちした。
同時に、別の箇所を捜索していた使用人達が戻ってきたが、全員が首を横に振っている。
そこにもう一人、女官が走ってきた。
周りにいた貴族達が、何事かと注目し始める。
「……あの、私、気になる物を見かけて……! 見た事ない男の使用人が二人、人が入るくらいの大きな箱を勝手口に向かって運んでいます。急いで来たので、まだ王城の敷地内からは出ていないと思うんですけど」
「……! 追わなくては! 馬に乗れる者は、私に着いてきてくれ! 他の者達は念のため城内の捜索も続けろ。その後はこの男に指示を仰いでくれ。任せたぞ!」
私達は小声でやり取りすると、なりふり構わず厩舎に向かって走った。
ここで見失ってしまったら、見つける手立てがなくなってしまう。
――私はとにかく必死で、ドノバン侯爵がその様子を遠巻きに眺めながらニヤニヤしている事に、気付かなかったのであった。
********
「何か、おかしい……」
私は、前方を走る馬車を追いながら、違和感を感じていた。
普通人質を連れ去る時は、目立つ上に移動速度も遅い馬車は選択しない。
早馬で逃げ切るか、乗り物は使わず近くに一旦身を隠すか、それでなくとも追手に対する攻撃の一つや二つ、あるはずだ。
私は、ついて来てくれた使用人達に指示を出し、回り込んで馬車を挟み撃ちにする作戦に出た。
予想通り馬車は簡単に止まり、御者の男も荷物番の男も抵抗する事なく、大人しくしている。
そして馬車に積まれていた大きな箱には、何も入っていなかったのだった。
「お前達は、何故この空箱を運んでいたんだ? どこに? 誰からの依頼だ?」
私は男達に質問をしたが、男たちは何も知らない様子だった。
王城から大きな木箱を運び出し、しばらくの間ぐるぐると城の周りを走っているよう依頼されたようだ。
依頼主は顔を隠していて名も名乗らず、怪しい男だったとの事。
金払いが良かったため、怪しいとは思ったが依頼を受けてしまったようだ。
男達は軽く拘束して、王城に連れて帰る事にした。
そして馬車と男達を使用人に任せ、私は一足早く城に戻ったのだった。
********
城の通用口から厩舎に馬を返した後は、真っ直ぐにエントランスホールに向かった。
辺りはざわついているが、デビュタント・ボールはまだ続いているようだ。
下手に舞踏会を中断すると、更なる混乱を招くからだろう。
私は父の部下に現在の状況を確認したが、どうやらラインハルト殿下が自らエミリアの捜索に向かい、何者かと交戦しているという事だった。
ラインハルト殿下は、エミリアが王族の居住区域に監禁されていると踏んで、騎士を一人連れて向かった所、何者かの待ち伏せに遭ったようだ。
私は急いで援護に向かおうとしたが、父の部下はそれを制した。
どうやら私がいない間に陛下を狙っていた暗殺者も既に全員確保し、料理に毒を入れようとした者も証拠の毒物と共に現行犯で確保したらしい。
そのため、陛下の護衛についていた騎士を半分、殿下の援護に回したそうだ。
ドノバン侯爵本人も、部下の男達と接触している現場を押さえられ、全員もれなく確保されている。
あと確保すべきはフリードリヒ殿下だが、恐らく王族の居住区域でラインハルト殿下と交戦しているのが彼の一派だ。
少なくない数の騎士達が向かっているから、間もなく確保されるだろう。
あとはエミリアと殿下さえ無事に戻って来てくれれば、今回のクーデター騒動は終結する。
また、プリシラ嬢が閉じ込められていた件だが、結局ドノバン侯爵ではなく娘のマルガリータ嬢と、その腰巾着の令嬢達が起こした事件だった。
プリシラ嬢の紹介が終わった後でどうやらラインハルト殿下とフリードリヒ殿下が会場を出て行ってしまったらしく、マルガリータ嬢とその令嬢達はダンスに興味を失って、会場の控室で休憩していたようだ。
そこに私の同僚の一人が確認しに行ったところ、全て自白したらしい。
双子の令嬢が、プリシラ嬢が見るからに高価なドレスを身に付けていたため、フリードリヒ殿下の視線を独り占めするであろうと思った事。
そして自分より目立つ令嬢がいる事をマルガリータ嬢は良しとしないであろうと思った事。
ならばデビュタント・ボールが終わるまで、城の軟禁部屋に閉じ込めてしまえばいいと思い、独断で行動した事――。
更にその事で、マルガリータ嬢は気に入らない事があると癇癪を起こし、双子の令嬢を使って他の令嬢達を虐げていた事も判明した。
フリードリヒ殿下はマルガリータ嬢を良く思っていないようだが、マルガリータ嬢からしたら無気力なフリードリヒ殿下は自分の言いなりになってくれる、都合の良い婚約者だったのだろう。
だからこそ、他の令嬢がフリードリヒ殿下の目に留まってしまうのが嫌だったようだ。
私はその場を父の部下にそのまま預け、父の執務室へと向かった。
エミリアが攫われた後、私が目を覚ました時にはまだテーブルの上の茶器が片付けられていなかった。
例の女官も誘拐犯も、余程慌てていたのだろう。
部屋の鍵は父と私と父の部下が持っている三本しかないし、部屋を出る時に施錠して来たから、証拠がまだ残っている筈だ。
私は、城詰めの薬師を二人連れて、父の執務室へと向かった。
案の定、残されていた紅茶のポットとカップから眠り薬が検出された。
この薬は即効性があり眠りも深いが、代わりに効果時間も短いのだそうだ。
ただし、エミリアの方が体重も軽く、私より紅茶を多く飲んでいたから、眠りも深く、眠っている時間も長かっただろうと薬師は予測した。
それでも、効果時間が短い薬だからこそ、女官は逃げる事に必死で片付けを疎かにしたのだろう。
……あの女官は、捕まっただろうか。
そして私が再びエントランスホールに戻った頃には、全てが終わっていたのだった。
夜会は中止かと思ったが、殆どの区域を立ち入り禁止にはするものの、開催するらしい。
中止する方が後々大変なのだそうだ。
ただし、ラインハルト殿下とフリードリヒ殿下は出席出来ないし、ドノバン侯爵家もクーデター協力者達の家も欠席だ。
そして、ブラウン公爵家も父と母しか参加しない事になった。
史上稀に見る、参加者の少ない夜会となるだろう。
――想定よりも大変な事になってしまったが、ひとまずクーデターは終結した。
後は、ドノバン侯爵とフリードリヒ殿下と協力者達を尋問し、裁判にかける……長い道のりだがもう危険はない。
じっくり、とことん、全てが明るみに出るまで徹底的につついてやろう……。
私は決意を胸に、疲れた頭でやる事を整理していくのであった。
――*――
父上の執務室で眠り薬を飲まされ、エミリアが攫われた直後。
「すまない! 手を貸してくれ!」
私は使用人控室に向かい、王太子妃教育で普段からエミリアと親しくしている女官や使用人達に声をかけた。
ここに来る前に、父が最も信頼し、重用している部下にも声を掛けてある。
私は目立つから自分からは接触しに行けないが、彼が様子を見ながら上手く殿下の近衛騎士や、信用できる他の貴族達に連絡を取ってくれるだろう。
「誰かぁー!」
私が使用人の一人と城内を探し回っていると、助けを呼ぶ声が何処かから聞こえてきた。
「出してぇー! 閉じ込められたぁー! だれかぁぁー!」
「エミリア! そこにいるのか!? どこの部屋だ!?」
女の声が聞こえるが、どの部屋だか分からない。
私が声をかけると、少し遠くから扉をドンドンと叩く音と、助けを求める声が聞こえた。
「ここですぅー! 開けてぇー!」
私達は声が聞こえてきた部屋に駆け寄り、外鍵を解錠して扉を開いた。
急いで中を確認したが、そこにいたのはエミリアではなく、エミリアの貸したドレスを身に纏っている令嬢だった。
********
先程の令嬢はエミリアではなかったが、エミリアのドレスを着た令嬢が軟禁されていたというのは少し気になる。
それに、彼女の言っていた双子の令嬢とは、恐らくマルガリータ・ドノバンに常に付き従っている令嬢達だろう。
茶会で何度か三人が一緒にいる所を見た。
関連があるかどうかは分からないが、もしかしたら一つの証拠として提示できるかも知れない。
私は、エントランスホールの端で招待客リストを確認しているフリをしている男に声を掛けた。
先程声を掛けた父の部下である。
私は、追加書類の受け渡しを装って、彼に事の顛末を耳打ちした。
同時に、別の箇所を捜索していた使用人達が戻ってきたが、全員が首を横に振っている。
そこにもう一人、女官が走ってきた。
周りにいた貴族達が、何事かと注目し始める。
「……あの、私、気になる物を見かけて……! 見た事ない男の使用人が二人、人が入るくらいの大きな箱を勝手口に向かって運んでいます。急いで来たので、まだ王城の敷地内からは出ていないと思うんですけど」
「……! 追わなくては! 馬に乗れる者は、私に着いてきてくれ! 他の者達は念のため城内の捜索も続けろ。その後はこの男に指示を仰いでくれ。任せたぞ!」
私達は小声でやり取りすると、なりふり構わず厩舎に向かって走った。
ここで見失ってしまったら、見つける手立てがなくなってしまう。
――私はとにかく必死で、ドノバン侯爵がその様子を遠巻きに眺めながらニヤニヤしている事に、気付かなかったのであった。
********
「何か、おかしい……」
私は、前方を走る馬車を追いながら、違和感を感じていた。
普通人質を連れ去る時は、目立つ上に移動速度も遅い馬車は選択しない。
早馬で逃げ切るか、乗り物は使わず近くに一旦身を隠すか、それでなくとも追手に対する攻撃の一つや二つ、あるはずだ。
私は、ついて来てくれた使用人達に指示を出し、回り込んで馬車を挟み撃ちにする作戦に出た。
予想通り馬車は簡単に止まり、御者の男も荷物番の男も抵抗する事なく、大人しくしている。
そして馬車に積まれていた大きな箱には、何も入っていなかったのだった。
「お前達は、何故この空箱を運んでいたんだ? どこに? 誰からの依頼だ?」
私は男達に質問をしたが、男たちは何も知らない様子だった。
王城から大きな木箱を運び出し、しばらくの間ぐるぐると城の周りを走っているよう依頼されたようだ。
依頼主は顔を隠していて名も名乗らず、怪しい男だったとの事。
金払いが良かったため、怪しいとは思ったが依頼を受けてしまったようだ。
男達は軽く拘束して、王城に連れて帰る事にした。
そして馬車と男達を使用人に任せ、私は一足早く城に戻ったのだった。
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城の通用口から厩舎に馬を返した後は、真っ直ぐにエントランスホールに向かった。
辺りはざわついているが、デビュタント・ボールはまだ続いているようだ。
下手に舞踏会を中断すると、更なる混乱を招くからだろう。
私は父の部下に現在の状況を確認したが、どうやらラインハルト殿下が自らエミリアの捜索に向かい、何者かと交戦しているという事だった。
ラインハルト殿下は、エミリアが王族の居住区域に監禁されていると踏んで、騎士を一人連れて向かった所、何者かの待ち伏せに遭ったようだ。
私は急いで援護に向かおうとしたが、父の部下はそれを制した。
どうやら私がいない間に陛下を狙っていた暗殺者も既に全員確保し、料理に毒を入れようとした者も証拠の毒物と共に現行犯で確保したらしい。
そのため、陛下の護衛についていた騎士を半分、殿下の援護に回したそうだ。
ドノバン侯爵本人も、部下の男達と接触している現場を押さえられ、全員もれなく確保されている。
あと確保すべきはフリードリヒ殿下だが、恐らく王族の居住区域でラインハルト殿下と交戦しているのが彼の一派だ。
少なくない数の騎士達が向かっているから、間もなく確保されるだろう。
あとはエミリアと殿下さえ無事に戻って来てくれれば、今回のクーデター騒動は終結する。
また、プリシラ嬢が閉じ込められていた件だが、結局ドノバン侯爵ではなく娘のマルガリータ嬢と、その腰巾着の令嬢達が起こした事件だった。
プリシラ嬢の紹介が終わった後でどうやらラインハルト殿下とフリードリヒ殿下が会場を出て行ってしまったらしく、マルガリータ嬢とその令嬢達はダンスに興味を失って、会場の控室で休憩していたようだ。
そこに私の同僚の一人が確認しに行ったところ、全て自白したらしい。
双子の令嬢が、プリシラ嬢が見るからに高価なドレスを身に付けていたため、フリードリヒ殿下の視線を独り占めするであろうと思った事。
そして自分より目立つ令嬢がいる事をマルガリータ嬢は良しとしないであろうと思った事。
ならばデビュタント・ボールが終わるまで、城の軟禁部屋に閉じ込めてしまえばいいと思い、独断で行動した事――。
更にその事で、マルガリータ嬢は気に入らない事があると癇癪を起こし、双子の令嬢を使って他の令嬢達を虐げていた事も判明した。
フリードリヒ殿下はマルガリータ嬢を良く思っていないようだが、マルガリータ嬢からしたら無気力なフリードリヒ殿下は自分の言いなりになってくれる、都合の良い婚約者だったのだろう。
だからこそ、他の令嬢がフリードリヒ殿下の目に留まってしまうのが嫌だったようだ。
私はその場を父の部下にそのまま預け、父の執務室へと向かった。
エミリアが攫われた後、私が目を覚ました時にはまだテーブルの上の茶器が片付けられていなかった。
例の女官も誘拐犯も、余程慌てていたのだろう。
部屋の鍵は父と私と父の部下が持っている三本しかないし、部屋を出る時に施錠して来たから、証拠がまだ残っている筈だ。
私は、城詰めの薬師を二人連れて、父の執務室へと向かった。
案の定、残されていた紅茶のポットとカップから眠り薬が検出された。
この薬は即効性があり眠りも深いが、代わりに効果時間も短いのだそうだ。
ただし、エミリアの方が体重も軽く、私より紅茶を多く飲んでいたから、眠りも深く、眠っている時間も長かっただろうと薬師は予測した。
それでも、効果時間が短い薬だからこそ、女官は逃げる事に必死で片付けを疎かにしたのだろう。
……あの女官は、捕まっただろうか。
そして私が再びエントランスホールに戻った頃には、全てが終わっていたのだった。
夜会は中止かと思ったが、殆どの区域を立ち入り禁止にはするものの、開催するらしい。
中止する方が後々大変なのだそうだ。
ただし、ラインハルト殿下とフリードリヒ殿下は出席出来ないし、ドノバン侯爵家もクーデター協力者達の家も欠席だ。
そして、ブラウン公爵家も父と母しか参加しない事になった。
史上稀に見る、参加者の少ない夜会となるだろう。
――想定よりも大変な事になってしまったが、ひとまずクーデターは終結した。
後は、ドノバン侯爵とフリードリヒ殿下と協力者達を尋問し、裁判にかける……長い道のりだがもう危険はない。
じっくり、とことん、全てが明るみに出るまで徹底的につついてやろう……。
私は決意を胸に、疲れた頭でやる事を整理していくのであった。
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