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第18話 悪政への道

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 法律を作れる──しかもレオは一つだけとは言っていない。
 これは復讐の始まり。レオの評判を落とし、王族そのものを追放する。
 歓喜の瞬間までもう少し、外道を奈落の底へ突き落とし、泥水をすすらせてみせる。

 復讐の炎は極限まで燃え上がり、最悪の道へと進んでいく。
 もう誰にも止められない。仮にレーナ本人が止めようとしても、止まらないところまで来てしまったのだから……。

「さてと、どんな法律を作りましょうか。国民に不満を持たせるモノが一番なんですけれど」

 部屋でひとり名案を考えるレーナ。
 そう簡単には浮かばず、頭をフル回転させなんとか絞り出そうとする。

 レオの信用を失墜させ、国民の感情に怒りを刻みつけるもの。
 ひとつだけでもいい。とにかく何か思いつけば、連鎖的に名案が出てくるはず。

 何か取っ掛りさえあれば──それは唐突とうとつに訪れた。
 突然天から降り注いだように、レーナの中で光り輝くモノが現れる。
 閃きは前触れもなくやってくるもの。

 ようやく思いついた法律に、レーナは口元に笑みを浮かべた。

「そうですわ、先代国王のお墓を作り直せばいいんですわ。労働力は──そうね、平民にやらせればいいのよ」

 なぜ作り直す必要があるのか。
 答えはシンプルで、ただ単に派手にしたいだけ。他に理由などなく、個人的な趣味だと断言していい。

 問題は反対する平民をどう動かすか。
 強制労働という手もあるが、それでは品位に欠けるため却下にする。

 何事も美しさが肝心。そこでレーナは生殺しという画期的な方法を思いつく。

「強制ではなくて自主的に、そう、税金を免除するとかで。もちろん、24時間労働にするつもりですけど。反対する平民は──税金を10倍くらいにしましょうか。国王のため働かないなんて、国賊と同じなんですし」

 受けても地獄、断っても地獄。資産がある平民はほんのわずかしかおらず、それでも生活が厳しくなるのは目に見えている。

 しかもこの法律は全国民ではなく、貴族もしくはそこに従事する者は対象外。これなら謀反を起こされる心配もない。

 仮に貴族も対象とすると、私兵団であっという間に地位が奪われてしまう。軍事力のバランスとしては、貴族の方が圧倒的に多いからだ。
 何はともあれ、平民だけならそこまで脅威にはならないとレーナは考えていた。

「でも──平民の不満が爆発した時も考えておいた方がいいわね。そうだわ、わたくしが平民の味方になれば、レオ国王を追放できるし一石二鳥じゃないの。だいたい、姉妹の区別すらつかない男なんて、存在する価値がありませんからね」

 復讐のゴールが見え始め、レーナは歓喜の頂きに達する。
 もう少し、あともう少しで全てが終わる。最悪の形で婚約破棄を突きつけ、自分が女王として君臨してみせる。

 レーナは悪魔の笑みを浮かべながら、復讐の炎を燃え上がらせた。
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