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第24話 姉妹の絆は何よりも強い

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 苦しむセーナのもとに予想外の者が訪れる。
 なぜこのタイミングでなのか、何かしら感じ取った可能性もある。
 答えを出せるはずがない。なぜなら真意は本人にしか分からないのだから……。

「お姉様、どうして戻って来られたのですか?」

 服装こそ違うがそこにはもう一人のセーナが の姿が。
 そう、突然の来訪者はレーナ。城をこっそり抜け出し妹に会いに来ていたのだ。

 虫の知らせがあったのだろう。双子という特別な絆がレーナをセーナのもとへ呼び寄せた。

「どうしてかしらね。なぜだか急にセーナ顔が見たくなったのよ」
「理由はどうあれ、わたくしはお姉様と会えて嬉しいですわ」

 再会を祝福するかのように抱き合う二人。
 互いの絆は固く結ばれ、それを壊すなど誰にも不可能である。

「ねぇ、セーナ、何か悩みでもあるのかしら? 気のせいかもしれないけど、少し暗い気がするの」

 セーナの些細な変化にレーナが気づく。それこそ、他人では気づけないほどの小さな変化。双子という特性だからこそ気がつけたのかもしれない。

 片方に何かあれば、もう片方が何かを感じ取る。
 それは二人で一人のようであり、人格だけが別れているようにも見えた。

「そ、そんなことは──」
「わたくしには本当の事を言っていいのよ?」

 否定しようとするセーナに、レーナは優しく微笑みかける。
 姉妹だからこそ遠慮なんて無用、何があっても全てを受け入れる覚悟がある。
 それが姉としての役割だとレーナは考えていた。

「お姉様……。分かりましたわ、本当の事をいいますね。実は──」

 セーナは秘めたる想いを全て告白した。
 復讐は本気で協力していることや、憎いはずのレオの評判が落ちていくのが苦しいこと。
 それこそ赤裸々にありのままを語った。

 ひとつだけ伏せたのはレオへの想い。
 たとえ尊敬する姉だろうと、それだけは知られたくない。
 なぜなら──裏切りとも言えるからだ。

「そういうことでしたのね。セーナの苦しみに気づいてあげられなくてごめんね」
「いいえ、お姉様は悪くありませんわ」
「でも、もう大丈夫よ。もう少しで全てが終わりますの。ですからセーナの苦しみも、もうじき終わるはずですわ」

 そう、全てが終焉へと向かっている。
 だがそれが、セーナを苦しみから解放させるかは分からない。
 それでも何かしらの決着はつくはず。

 今はレーナを信じて、復讐が終わるのを静かに待つセーナであった。
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