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悠人がいなくなって、一週間が経った。
季節は春のはずなのに、蓮の世界はずっと冬だった。
どんなに朝が来ても、あの人の声が聞こえない朝は、ただ冷たくて、空っぽだった。
—
警察に届けを出し、悠人の写真を持って街を歩いた。
駅、病院、行きつけのカフェ、何度も足を運んだ。
けれど、どこにも彼の姿はなかった。
何の手がかりもないまま時間だけが過ぎていく。
「……なんで、俺に何も言ってくれなかったんだよ」
独り言が癖になっていた。
返事のない部屋で、蓮は何度も名前を呼んだ。
そうして何日か経ったある日。
蓮はふと、悠人の古いジャケットがクローゼットの奥に残っていることを思い出した。
—
ジャケットのポケット。
そこに、小さく折りたたまれた紙が入っていた。
焦る指先で開くと、そこには見覚えのある筆跡。
少し滲んだインク。雑な字。だけど、間違いなく——悠人の文字だった。
ごめん。最後まで言えなかった。
本当は、もっと早く伝えるべきだったんだ。
病気の再発、知ってた。
でも、言ったら……お前が泣くだろ?
それが一番、嫌だった。
蓮の指が止まる。
心臓がきゅっと締めつけられるような感覚。
蓮はさ、俺よりもずっと先に進める人間だから。
俺が足かせになりたくなかった。
それに、何より——
お前には、笑っていてほしかった。
「……そんなの……」
蓮の声が震える。
あのとき怒鳴った自分の言葉が、胸に刺さる。
お前のこと、誰よりも好きだったよ。
本当に、ありがとう。
置いていくこと、許してくれ。
—
許せるわけがなかった。
でも、同時に——愛しかった。
「バカ……勝手に、俺の幸せ、決めんなよ……」
何度も涙をこらえたのに、今日はダメだった。
悠人の手紙を胸に抱きしめたまま、蓮はソファにうずくまって泣いた。
—
次の日から、蓮は何かを変えるように、生活を整えはじめた。
部屋を片づけ、毎日ちゃんとご飯を食べ、仕事も再開した。
ただ、ひとつだけ変えられなかったのは——
ベッドの片側を空けて眠ること。
「……帰ってくるって信じてるわけじゃないけどさ。
それでも、ここは……お前の場所だから」
蓮はぽつりと呟いて、手紙を枕元に置いた。
季節は春のはずなのに、蓮の世界はずっと冬だった。
どんなに朝が来ても、あの人の声が聞こえない朝は、ただ冷たくて、空っぽだった。
—
警察に届けを出し、悠人の写真を持って街を歩いた。
駅、病院、行きつけのカフェ、何度も足を運んだ。
けれど、どこにも彼の姿はなかった。
何の手がかりもないまま時間だけが過ぎていく。
「……なんで、俺に何も言ってくれなかったんだよ」
独り言が癖になっていた。
返事のない部屋で、蓮は何度も名前を呼んだ。
そうして何日か経ったある日。
蓮はふと、悠人の古いジャケットがクローゼットの奥に残っていることを思い出した。
—
ジャケットのポケット。
そこに、小さく折りたたまれた紙が入っていた。
焦る指先で開くと、そこには見覚えのある筆跡。
少し滲んだインク。雑な字。だけど、間違いなく——悠人の文字だった。
ごめん。最後まで言えなかった。
本当は、もっと早く伝えるべきだったんだ。
病気の再発、知ってた。
でも、言ったら……お前が泣くだろ?
それが一番、嫌だった。
蓮の指が止まる。
心臓がきゅっと締めつけられるような感覚。
蓮はさ、俺よりもずっと先に進める人間だから。
俺が足かせになりたくなかった。
それに、何より——
お前には、笑っていてほしかった。
「……そんなの……」
蓮の声が震える。
あのとき怒鳴った自分の言葉が、胸に刺さる。
お前のこと、誰よりも好きだったよ。
本当に、ありがとう。
置いていくこと、許してくれ。
—
許せるわけがなかった。
でも、同時に——愛しかった。
「バカ……勝手に、俺の幸せ、決めんなよ……」
何度も涙をこらえたのに、今日はダメだった。
悠人の手紙を胸に抱きしめたまま、蓮はソファにうずくまって泣いた。
—
次の日から、蓮は何かを変えるように、生活を整えはじめた。
部屋を片づけ、毎日ちゃんとご飯を食べ、仕事も再開した。
ただ、ひとつだけ変えられなかったのは——
ベッドの片側を空けて眠ること。
「……帰ってくるって信じてるわけじゃないけどさ。
それでも、ここは……お前の場所だから」
蓮はぽつりと呟いて、手紙を枕元に置いた。
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