嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

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やり直しの人生 ソフィア十四歳スタンピード編

第二百三話 それぞれの……思い。

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「みんなお疲れ様。もう少しだけ頑張ってくれ! この先に結界が張ってある広場がある。そこで休もう」
「「「「「はっ!」」」」」

 ソフィアの父であるグレイドル公が、声をかける。

 スタートしてから、休む事なく走り続けている仲間達。
 走ると言っても普通の速度ではない。馬に騎乗し全速力を出すくらいの速度をずっと保っている。
 魔力で身体強化しているからこそ出来ること。
 ずっと魔力と体力を使い続けているのだ、疲弊も倍であろう。

 走り辛い道なき獣道の中、突如現れる魔獣。
 
 魔獣も討伐しながら、走っているのだ。
 それがどれ程に辛いか、先頭を走るグレイドル公が一番分かっている。
 だが時間をかければ精神的にも疲弊してしまう、ゆっくり休むわけにはいかない。


「右前方にオーク三体確認!」

 騎士の一人が知らせる。

「よっし俺に任せろ!」

「援護は僕に任せて」


 それをアレスが正面から迎えうち、ファーブルが後方から魔法を放つ。

「やったな!」
「うん」

 アレスとファーブルは、お互いの手をパンっと軽くたたく。

 この後も魔獣が息付く暇もなく次々と現れる。

 すぐに討伐していくが、疲労はどんどん蓄積されていく。



 そんな時だった。



 空からキラキラと煌めく美しい光が降ってきて、騎士達の体に付着していく。

「「「「「これは!? なんだ!?」」」」」

 その光は疲弊していた騎士達の心も体も癒していく。
 魔獣にやられた傷も全て。

「ああああ……女神様」
「傷が癒えていく」
「心が満たされていく」
「力が溢れてくる」

 騎士達の覇気が上がっていく。

「「「「「「ウォォォォォォォ」」」」」」

 盛り上がる騎士達の横で、癒しの光を素直に喜べない男が居た。

「これは……フィアたんの癒しの光?」

 それはソフィアの父グレイドル公だった。

「やはりそう思いますか?」

 その小さなひとり言を聞き逃さないのがアイザック。

 この二人はソフィアが癒しの光を使うのを近くで見ている。
 ソフィアの癒しの光は、他と違い特別美しく煌めく。
 光の色で分かるのだ。
 それはファーブルとアレスも同じ。

 四人が癒しの光の中にソフィアを必死に探す。
 だがソフィアの姿はそこにはなく。

「嫌な予感がする……」
「そうですね」
「元気になった事だ、先を急ぐぞ」
「はいっ」


★★★


 空の上で頭を深く深く下げるソフィア。


 ーーったく。もう少しで見つかる所だったんだからね?


「ごめんねリル。ほんの少し癒してとか思ったんだけど、あんな大々的に光が出るなんて思わなくて……」

 ーーちょっとは加減ができるようになったと思ってたんだけどなぁ

 リルが後ろを振り向き、私をジロッと睨む。
 そんなリルの背中の上で私は土下座している。
 本当に反省してるんだよ。

「もうしません!」

 ーーふふ。分かってくれたなら良いよ。顔を上げて?

「わっぷ!?」

 リルの大きな舌が私の頬を舐めた。

 ーーお? 見てソフィア。

「え?」

 言われた方角を見ると、美しい朝日が森の上に顔を出していた。
 森の緑が朝日の金色と合わさり広がっていく。

「綺麗……」

 ーーだね。空の上から見る日の出もなかなか良いもんだね。

「うん! すっごく贅沢だよ」

 この美しい景色を見ていると、まさかこの後恐ろしいスタンピードが起こるなんて思えない。
 少しの間うっとりと朝日を見ていると。

 ーーねぇソフィア。せっかくだから休憩してご飯にしない? 神聖な朝日の時間は、魔獣もおとなしくなるからさ。

 リルはそう言って、ゴクッと唾を飲み込む。
 私がお弁当にとサンドイッチ作っていたのを、食べたそうにずっと見ていたもんね。

「食いしん坊さんめ。じゃあ朝食にしよっか」

 ーーやったー!

 森におりると、マットをアイテムボックスから取り出しひく。
 その上に座り、アイテムボックスからサンドイッチを取り出す。

「はい! リルの大好きなイチゴサンド」

 ーーわぁーい♪  これ大好きなんだ。この甘いクリームとイチゴの甘酸っぱい組み合わせが、最高にたまんない。

 小さくなったリルは美味しそうにイチゴサンドを頬張る。
 食べる時は毎回このサイズになるリル。小さな方が口一杯で味わえるからだとか。
 
 私はこれ! ベーコンと焼いた卵に、シャキシャキレタスの組み合わせ。
 マヨネーズがまた最高に合うのよね。
 それをパクッと豪快にかぶりつく。
 
 シャクッ。

「美味しっ」

 はぁ~幸せ。

 ーーソフィアおかわり♪

「もう食べたの? まだまだいっぱいあるから、今日は好きなだけ食べてね」

 ーーいいの? やったー♪♪

 可愛いリルの尻尾が、ブンブンとご機嫌に揺れている。
 
 そんなリルに癒されながらも、この先のことを考え気をキュッとひきしめる。
 
 食べたらこの後は、前方に聳え立つ大きな火山に向かうんだ。

 頑張るぞ。


★★★


 更新日が一日ずれてしまい申し訳ありません。
 こんな時期に風邪をひいてしまい長引かせちゃってます。
 だいぶ回復したのですが……本調子でないのか、このお話を書いてる途中で、二回も書いた内容を消すということを昨日はしてしまい。心が折れて……今日再投稿しました。

 さてあと数話でスタンピードです。
 私も書きながらドキドキしています。
 楽しんで読んでいただけると嬉しいです。


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