嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

文字の大きさ
132 / 140
やり直しの人生 ソフィア十四歳スタンピード編

第二百四話 浄化

しおりを挟む
「前が真っ暗になってきたね」

 ーーうん、そうだね。これが瘴気。魔獣が瘴気コレを吸うとたちまち狂化してしまう。僕は大丈夫だけどね。

 僕は最強のフェンリルだからと言わんばかりに踏ん反り帰るリル。
 ふふ。その仕草が可愛くて、なんだかこんな場面なのに口元が緩みほっこりしてしまう。

 私達はとうとう火山の近くまで飛んで来た。どうやら火山火口から、この瘴気が溢れ出してるようだ。
 魔獣だけじゃなく瘴気までが火山から出ていたなんて。

 だから黒いもやが増えているんだ。
 森を黒い靄がどんどん覆っていく。

「この黒い靄をどうやって消したら良いの?」

 ーーそれは簡単だよ。ソフィアが浄化したら良い。

 リルがなんだそんな事と教えてくれる。
 なるほど、浄化で靄はなくなるのね。この靄さえ消えれば魔獣達は狂化しないし、強さも通常に戻る。
 目視出来るだけで、靄は東京ドームの何倍にも広がっている。

 とりあえず、近くから浄化していけば良いよね。
 浄化はした事あるから、少し自信あり。

《お願いこの靄を浄化して!》

 私は両手を合わせ強く願った。次の瞬間。
 体の中心から熱い何かが溢れ出てくるのが分かる。
 癒しの光と同様に、浄化の光が体から溢れ出てキラキラと上空を舞う。
 そして靄に触れると消えていく。

 ーー凄いよソフィア!

「えへへ」

 覆っていた靄の、四分の一は消えて無くなった。

 このペースならすぐに靄を浄化できると、リルとガッツポーズをした次の瞬間。
 火山から大きな音と共に爆煙が舞い上がる。

「え?」

 ———嘘でしょ!?

 さっき浄化した場所が、再び黒い靄で覆われてしまった。

「せっかく浄化したのに」

 よし! 負けないもう一回!

《浄化!》

 先程より強く願ったからか、今度は三分の一を浄化する事が出来た。

「やった…………ああ?」

 再び火山が噴火し、さっきより多くの爆煙が溢れ出る。
 失った箇所を補うように。

 まるでこの黒い靄は生きている様。

「これじゃあキリがない」

 ーーこんなの……聞いた事がない。

 リルが驚き呆然としている。
 聞いたことがないって言った?

「リル?」

 私はリルの首に手を回し顔を近付ける。

 ーーあのね? スタンピードがあった時は、まず瘴気を浄化し魔獣の強さを通常に戻してから討伐を行う。一度浄化した瘴気は増えない! だけど今回のパターンだと瘴気はなくならないから魔獣達は強いまま。それに魔獣も瘴気と一緒に溢れ出ている。

「確かに」

 それだけ聞くと終わりが見えない。
 だからリルも困惑しているんだ。

 コレって……火山火口まで行って、直接浄化したらどうなるんだろう?
 大元を断たないと永遠に出て来る訳だし。

「ねぇリル? 火山火口にいって大元を直接浄化するってどう思う?」

 ーーやってみる価値はある。でも無理しないでね? ソフィアの魔力が枯渇するまで頑張らないでね?

 リルが心配そうに私の頬を優しく舐める。

「もちろん分かってる。でも皆の為に私も頑張りたいから!」

 ーー分かった。じゃあ僕の周りに結界を張るね。それだとこの瘴気の影響が、ソフィアに及ばないから。安心して浄化にだけ力を使って!

「ありがとうリル」

 ーーじゃあ突っ込むよ!

「うん!」

 リルは真っ黒の靄の中に入って行った。


 お父様やアイザック様が到着するまでに、せめてこの瘴気だけでもなくしたい!
 頑張れ私。

しおりを挟む
感想 848

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつもりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。