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1巻
1-2
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ソフィアはその姿をこっそり覗き見て楽しんでいたのだ。五歳にして屑が出来あがってる。
リリは五歳児のソフィアに怯えている。普通ならあり得ないよ……
「あにょ……わたち……怒っちぇないから」
怯えるリリを落ち着かせようと発言したら。
嘘でしょ……⁉ 五歳児なのにまともに喋る事も出来ないの? 呂律が回らない。
そうだった。ソフィアは喋る事も億劫で、殆どの会話を、頭を縦にふるか横にふるかですましていたっけ……
五歳なら余裕でやり直し出来るって思ってたけど、なかなかソフィア・グレイドルは手強い。
「あにょね? リリはしょんなことしなくていいよ?」
「……えっ?」
頭を下げていたリリがビックリした顔をし、顔を上げて私を見る。
「わたちは今日から生まれかわりまちゅ! だからもう、リリの抱っこはいりましぇん」
「ソッ、ソフィア様……私はもう要らないと?」
リリが涙目で私を見上げる。そうか、クビにされると勘違いしちゃうよね。
「ちちっ、ちにゃうよ。リリはわたちとこれから、おしゃんぽに行くんでちゅよ!」
「……散歩? ですか?」
リリは言ってる意味が分からないと、ポカンと首を傾げる。
「しょうよ! わたちは太りしゅぎてるから、やしぇるために歩くの」
「ソフィア様……では私は散歩にお付き合いすれば宜しいんですね!」
「しょうでちゅ!」
はぁ……まともな会話がしたい。これからは滑舌練習も必要だ。
「じゃあ今から行きまちゅよ!」
「はいっ! 分かりました」
私はリリの手を握り、一緒に屋敷を歩いていく。自分の足で歩いている私が余程不思議なのか、すれ違うメイド達は皆、目をまんまるにして驚いていた。
五分程歩くと、私は歩けなくなってしまった。
五分! たった五分で! あまりにも悔しくて涙がでた……
「ソフィア様⁉ どこか痛いんですか?」
涙を流す私を見て、リリが心配そうに抱き上げる。
今までひどい仕打ちをされていただろうに、ソフィアのことを心配してくれるなんてリリはとても優しい女性だ。はやく一緒に散歩できるようになりたいな。
「だいじょぶ……くやちいだけ」
今日の私の運動は、五分歩いて終わった。屋敷の庭園にさえ行けなかった。
リリに抱っこされ、部屋のベッドに戻った。
◆
「んふふっ。可愛いソフィアちゃんのために、今日もいーっぱい美味しい料理を用意しましたよ」
「これも食べなさい。ソフィアの大好物だろ?」
私の前に座るお父様とお母様がニコニコと微笑みながら……脂ぎった肉料理を勧めてくる。
ソフィアが太った原因はこれだ。
ソフィアに甘すぎる両親。
王族の次に権力を持つ四大公爵家の一つ、【グレイドル公爵】。
お父様アレク・グレイドルは宰相の仕事をしながら領地経営もこなす、有能で仕事が出来る男性だ。宰相として人々の信頼を集め、領地経営も順調でグレイドル領はかなり潤っている。
お母様とも仲睦まじく長所ばかりのお父様だが、とある致命的な短所があった。
この父親アレクは、一人娘のソフィアにとことん甘く、娘の望みならばなんでも言う事を聞いてしまうのだ。
来たる未来、お父様はソフィアのせいで宰相の仕事を退き、順調だった領地経営も傾むかせてしまう。でも、ソフィアの願いを叶えるためにはお金が必要……
そしてお父様はお金を手に入れるために悪事に手を染めるのだ。
はぁ……全部ソフィアのせいじゃない。
今も可愛いソフィアの好物だからと、両親は脂ぎった料理ばかりにこにこと勧めてくる。
もちろん両親の姿は巨漢デブ……ソフィアが喜ぶ食事を一緒に食べていたせいで、こんなに太ったのだ。全ての元凶はソフィアだ。
私自身が変わらないと、両親も、来たる未来も変わらないだろう。
今度は自分の人生だけじゃなくて、絶対周りも幸せにしてみせるんだから!
まずはこの両親と一緒に、健康のためにもダイエットしなくては。
「あのう……お父しゃま? このお食事も美味しいでしゅが……知ってましゅか? 美味いものには毒がありゅこちょを」
「なっ? 愛しいソフィア? 急に何を言い出すんだい? 毒?」
お父様が目をパチクリさせる。
「お父しゃまのそのしゅがた! カッコいい服がぴちぴちでしゅよ?」
「ふぬっ……確かに少し太ったかも……」
そう言って自分のお腹を撫でるお父様。
「しゅこしじゃないんでしゅよ! デブ、醜いんでしゅ! いっちょにダイエットしましゅよ?」
「えっデブ? ソフィア? 今私を醜いって……言わなかった? ダイエットってなんだ?」
「そっ、ソフィアちゃん? 何を言って⁉」
お父様とお母様が動揺のあまり立ち上がる。
「何もないでしゅよ! とりあえずデブのお父しゃまとお母しゃまは、わたちといっちょに健康のためのダイエットをしゅれば良いんれしゅ!」
そう言ってビシッと天を指差した。それを見たお父様達は頭を何度も上下させ頷いていた。
私の熱い気持ちが伝わったのかな?
とりあえず先の目標は決まった。両親と私のダイエットだ。
明日からは食事メニューにも口を出さないといけない。
今日は早めに寝て明日にそなえよう。
◇
「聞いたか? 私の事をお父様と初めて呼んでくれた!」
「私の事もお母様と! はぁ……こんなに嬉しい事はないわ」
「本当に! ……グスッ」
「幸せだ……」
グレイドル夫妻は嗚咽し、お互いを抱きしめ合あって喜びを噛み締めている。
それほどに二人は、ソフィアが自分達を見て、話してくれた事が嬉しかったのだ。これまでのソフィアは何をしても頷くだけ、話すと言ったら癇癪をおこして怒る時だけだったのだから。
「……ねぇ、ところでアレク? 今まで殆ど喋らなかったソフィアちゃんが、突然喋りだしたと思ったら……ダイエットって何かしら?」
「私にも分からないが、可愛い私達の天使ソフィアが言ってるんだ。分からないが付き合ってみよう」
「そうねっ、やっと授かった私達の天使が話してくれたんだから」
グレイドル夫妻は、なかなか子宝に恵まれなかった。
十五年待ってようやく授かったのが、ソフィアなのだ。
グレイドル夫妻がソフィアを溺愛する理由。
それはソフィアが【やっと授かった子供】だからなのである。
◇
ホイッチニーシャンシ。ニイニッシャンシ。
グレイドル家の朝はこの奇妙な掛け声から始まる。
私はあれから前世日本で培ったダイエットを、色々と試してみたが、どれも無理だった。
何故ならソフィアの体が、見本として全く動けないのだ。両親に教えることなどとても出来ない。
ヨガや流行りのダイエットダンスなど、色々と試したけどソフィアの体は手強かった。ヨガに至っては体が硬すぎるのと、お腹のお肉が邪魔してどうにもならなかった。
くそう……どこまでも邪魔してくるソフィア・グレイドルのわがままボディ。
唯一ソフィアでも出来たのが……日本全国民老若男女が毎朝行うアレである。
ラジオ体操だ。
「ふうっ……今日も良い汗をかきましたわね。ソフィアちゃん考案の体操は、私でも簡単に出来ますし、それになんだか楽しいですわ」
「ふふっ、本当にね。私はズボンが少し緩くなってきたよ」
ラジオ体操を皆で始めて一週間……ご飯も野菜中心に変えた。
お父様とお母様の体型に早くも変化が現れてきたようだ。
私も毎日ラジオ体操を朝昼晩と頑張ったおかげで、今なら自分で庭園まで余裕で歩ける。
まだ体は一向に痩せてないけどね。
ふふっ……これで悪事を働かなければ私は平穏に暮らせるはず。
ふぅ……朝の運動を終わらせて部屋に戻ると、ソファーにダイブした。
そこにすかさずリリが部屋に入ってくる。
「ソフィア様、デトックスティーをお持ちしました」
「ありがちょ、リリ。チェーブルに置いちょいてくらしゃい」
リリが持ってきたデトックスティーは、私が考案した飲み物。
この屋敷の裏にある、グレイドル家所有の大きな森には、色々なハーブが沢山生えていたのだ!
たまたまリリに抱っこされて森まで行った時に、生い茂ったハーブを数種類発見して興奮したなぁ。
しかも見た目は日本のハーブと全く同じ! 名前が一緒かどうかは分からないけどね。
この世界の食物は、地球のものと似ているのだ。名前や形は少し違ったりするけど。
私がハーブをニコニコと集め、屋敷に持って帰って来た時、お母様は「その草どうするの?」と不思議そうに見ていたが、ダイエットに効くと分かると、今は毎日必死に飲んでいる。
デトックスティーとは、水にハーブや野菜、フルーツを入れて作る前世で流行っていた、デトックスウォーターの事。
私も前世では、その日の体調によってマイボトルに入れる種類を変えて、よく作っていた。今はもっぱら浮腫み解消メインで、ハーブ多めのデトックスティーを作ってもらっている。
そういえば……創造神様がくれたチートスキルって結局は何をくれたんだろう?
まだこの姿になってからダイエットしかしてない。まぁダイエットと呼べる程の事をしていないけど……
アイテムボックスとかの機能はちゃんと付けてくれたのかなぁ?
ん⁉ 頭の中でアイテムボックスって考えたら、目の前の空間が歪んだ……これってもしや?
私は机に置いていた本を歪んだ空間に入れてみる。
「消えた……!」
凄い凄い! 異世界って感じだよ!
しかも収納したアイテムは目の前に画面が出てきて何が何個収納されているのか、分かるようになってる。なんて便利なんだろう。
「やっちゃー! チートらっ!」
嬉しさのあまり、叫びながら両手を握りしめる。
他にもどんなチート機能があるんだろう。創造神様に何をお願いしたっけ?
うーん……。自分の能力が分かったら良いのに。なんか出ろ~。
ヴォン!
「あや⁉」
いきなり目の前にステータス画面が現れる。
【ソフィア・グレイドル】
種族 人族
性別 女
年齢 5
体力 F(S)
魔力 F(S)
攻撃力 F(S)
防御力 F(S)
スキル 全属性魔法 炎Lv.1 水Lv.1 雷Lv.1 風Lv.1
土Lv.1 光Lv.1 闇Lv.1 聖Lv.1
アイテムボックス、錬金術
加護 創造神デミウルゴス 女神リリア
ちょっ! 何これ……よく分からないけれど、多分チートだよね?
魔法は全種類使えるみたいだし……
ステータスの体力とかのFとかカッコSとかってなんだろう?
ついタッチパネルの癖で画面に触ると……
「わっ!」
細やかな説明が出てきた。
Fは現在地のステータス。Fは一番低ランク。
カッコ内は上限値。この上限値は人により異なる。最高ランクはS。
上限値全てSだけど……これって鍛えたら私最強って事?
Sまで鍛えたら絶対殺される事ないよね?
痩せたら筋トレ頑張らなくちゃ!
なんか上手くいきそうだよね? よし!
◆
「ホイッチニーシャンシッニイニッシャンシ!」
グレイドル公爵家の朝は、今日も謎の掛け声でスタートする。
「はぁーっ。今日もいいあしぇをかいちゃなぁ」
「もう毎朝の日課になりましたね。ソフィアちゃんがダイエットって言った時はなんの事かと思いましたが、毎朝のこの運動のおかげで体の調子がよいんですわ」
「本当にね! 仕事の前に運動するなんてどうかなと思ったけど、逆にスッキリして仕事が捗ってるよ! さすがは私達の天使ソフィアだね」
お父様が私を抱きしめ、頬にスリスリと顔を寄せてくる。
初めは両親と近しいメイドのみで行っていたこの体操。
今やこの体操はグレイドル公爵家総出で行う朝の一大行事になっている。庭園にて皆で声を出し体操しているのだ。
屑ソフィアの記憶から考えると信じられないほど、今のグレイドル公爵家は平和だ。
最初はどうなることかと思っていたけれど、きちんとコミュニケーションをとって、相手の事を思って接していれば、そうそう破滅の道へと進むことはないだろう。
うん、皆で幸せになるぞ!
体操が終わると、怠慢なソフィアの体は疲れてしまい、直ぐには動けない。
くそう……ラジオ体操するだけで休憩が必要なんて、なんてわがままボディなの!
これでも以前と比べたら、はるかにマシになった方だけど。
いつもは体操が終わるとリリに部屋まで運んでもらうんだけど、今日は中庭の中央にあるガゼボにてのんびり寝転がっていた。
これでも大分成長したよね? 初めはラジオ体操をするだけで一時間も動けなかったんだから。
「ふう……かじぇが気持ちいいれしゅね」
ガゼボに心地よい風がふんわり入ってくる。
ん? あれは何?
楽しそうに飛んでいる、手のひら程の小さな子供がいる……
私がガゼボから身を乗り出してその子供に近付こうとすると。
「ソフィア様、危のうございます!」
私の横に仕えていたリリに抱き上げられた。
「リリっ! ありぇ! あしょこにいるありぇ」
リリに小さな子供が飛んでいると必死に説明するも、リリには見えないのか、一向に理解してもらえない。
「ソフィア様? あれ? 雲ですか?」
あんなにキラキラ光って目立っているのに? なんで見えないの?
もしかしてこれも、創造神様がくれたチート能力の一つ?
あの小さな子供はなんだろう……ジッと見つめていると、ヒュンッと私のところに飛んで来て顔の前でピタッと止まった。
「わっ!」
思わず声が出た。
『にししっ。やっぱり見えてるんだな! さっき目があったもんな』
小さな子供が楽しそうに笑う。
「しゃべった……」
「ソフィア様? どうされました?」
突然私が何もないところに向かい、驚いたり話しかけたりしているので、リリは少し不思議そうに私を見る。
「あにょ……ちいしゃな子供が」
「小さな子供? どこにいるんですか?」
リリがキョロキョロと辺りを見回す。小さな子供はワザと、リリの顔の周りを飛んでいる。
『くくっ。普通は見えないよな』
「あなたはだあれ?」
『んん? オイラか? オイラは風の妖精シルフィさっ……なんて言っても声までは聞こえないだろうけどな』
「シルフィ……かじぇのようしぇい」
『なっ……お前! 見えるだけじゃなくて、オイラの言葉まで分かるのか?』
「分かりゅ」
私は大きく頷く。
『すげえっ! オイラ達妖精の言葉が分かる人族なんて久しぶりに会ったよ! わぁ、嬉しいなっ』
シルフィはくるくると、楽しそうに私の周りを飛び回る。
リリは一人で楽しそうに話す私の姿を首を傾げ不思議そうに見た後。
「ソフィア様? そろそろお部屋に戻りましょう」
リリが私を抱き上げ、部屋に連れ帰ろうとしたら。
『待ってよ! どこに行くんだよ』
シルフィが私の後を追って、部屋について来た。
「では、お飲み物を用意してきますね」
リリはソファーに私を座らせると、デトックスティーを作りに部屋を出た。
シルフィがふわりと私の肩に乗り、再び話しかけてきた。
『なぁ? お前はなんだ? 纏う魔力が甘くて美味そうだ』
「魔力が甘い? わたちの?」
『ああっ。人族でこんなにも極上の魔力を纏うヤツはいない。それに話せるヤツもな? エルフ族や竜人族には、そんなヤツもいっぱいいるがな』
「そうにゃんだ……」
これもきっと創造神様がくれた力に違いない。屑ソフィアの時はこんな事なかったもの。
『よっし! お前なんだか面白そうだし! 契約してやるよ』
風の妖精シルフィが契約しようと言ってきた。
なんの? 契約したらどうなるの?
「けえやく? しちゃらどうなるにょ?」
『ふふん? オイラと契約したら風魔法のレベルが上がるし、オイラはお前の魔力を貰える。いししっ、どっちもお得だろ?』
「おちょく……」
風魔法のレベルが上がるのは嬉しい。でも契約なんてして大丈夫なんだろうか?
『それに空だって飛べるぜ?』
空を飛べるだって? なんて素敵なの。それなら体力切れで動けなくなっても、リリに抱っこしてもらわなくて大丈夫だわ。
悩んだって仕方ないよね。こんな時は直感を信じるのみ。
「けえやくしゅる!」
『そう来なくっちゃ!』
シルフィは指をパチンッと鳴らし、私の額にキスをした。
次の瞬間、あたたかい何かで体が満たされていく。
「あちゃちゃかい……」
『これで契約完了だっ! よろしくなえ~っと? 名前は……』
「ソフィアよ」
『ソフィア! オイラの事はシルフィって呼んでくれ』
「よろちくシルフィ」
『じゃっ魔力頂きまーすっ! うんまっ! 想像以上に美味い!』
魔力が美味い? よく分からないけど、シルフィは私の頭の上で転がってご満悦だ。
なんだか面白い仲間が出来たなぁ。
◆
夜のディナーを食べていると……お父様がとんでもない事を言い出した。
「今度、王家主催のガーデンパーティーがあるんだよ。それは子供達の顔合わせも兼ねていてね。まだソフィアは他の公爵家の子息達にあった事がないだろう?」
「まぁ! 顔合わせの日程が決まりましたのねっ! これは可愛いドレスをソフィアちゃんに作らないと! 忙しくなりますわ」
お父様とお母様が嬉しそうに話してるけど、王家主催のガーデンパーティーとはソフィアがやらかす一番初めの屑イベントだ。とうとう、破滅への第一のフラグがきたということね。
はぁー……。出来る事なら行きたくない。
「ソフィア? どうしたんだい? そんな難しい顔して」
お父様が心配そうに私を見る。どうやら考えている事が、マルッと顔に出ていたみたいだ。
「あにょっ! しょれは行かないとダメれしゅか?」
「どうしたんだ? 何が嫌なんだい?」
何が嫌って聞かれても、断罪されるのが怖いからなんて言える訳もないし。
「嫌とかではないんでしゅが……まだ太いれすし……もうちょっとやしぇてからの方が……」
「そんな事を気にしてるのかい? ソフィアは太っていても可愛いよ。私の天使だからね」
お父様はそう言って私の頭を優しく撫でた。
「はあい……」
うーん、やっぱり行かないとダメか。
だってソフィアはパーティーの主役だからね。
そう、王家主催のガーデンパーティーと言っているが、それは表向きのこと。
これは実は、顔合わせという名のソフィアの未来の旦那様を決めるためのものなのだ!
グレイドル公爵家には、一人娘のソフィアしかいない。お父様はお母様を溺愛していて、第二夫人を娶るつもりなど全くない。
……という事はグレイドル公爵家をソフィアが継ぐ事になるのだ。
パーティーに参加する子息達は皆、次男や三男と家督を継がない者達ばかり。自ら家を継ぐことがない子息達にとってソフィアはいいお嫁さん候補なんだろうけれど……
屑ソフィアはかつて、このイベントをきっかけに「白豚令嬢」と呼ばれるようになってしまった。
というのもこのパーティーで、第三皇子アイザック様に一目惚れしたソフィアは猛アタックするが空回り、アイザック様からは怖がられ……。他の公爵家の子息達からは、デブだの豚だのと揶揄われて、癇癪を起こしたソフィアは子息達に殴りかかり泣かせてしまうのだ。
リリは五歳児のソフィアに怯えている。普通ならあり得ないよ……
「あにょ……わたち……怒っちぇないから」
怯えるリリを落ち着かせようと発言したら。
嘘でしょ……⁉ 五歳児なのにまともに喋る事も出来ないの? 呂律が回らない。
そうだった。ソフィアは喋る事も億劫で、殆どの会話を、頭を縦にふるか横にふるかですましていたっけ……
五歳なら余裕でやり直し出来るって思ってたけど、なかなかソフィア・グレイドルは手強い。
「あにょね? リリはしょんなことしなくていいよ?」
「……えっ?」
頭を下げていたリリがビックリした顔をし、顔を上げて私を見る。
「わたちは今日から生まれかわりまちゅ! だからもう、リリの抱っこはいりましぇん」
「ソッ、ソフィア様……私はもう要らないと?」
リリが涙目で私を見上げる。そうか、クビにされると勘違いしちゃうよね。
「ちちっ、ちにゃうよ。リリはわたちとこれから、おしゃんぽに行くんでちゅよ!」
「……散歩? ですか?」
リリは言ってる意味が分からないと、ポカンと首を傾げる。
「しょうよ! わたちは太りしゅぎてるから、やしぇるために歩くの」
「ソフィア様……では私は散歩にお付き合いすれば宜しいんですね!」
「しょうでちゅ!」
はぁ……まともな会話がしたい。これからは滑舌練習も必要だ。
「じゃあ今から行きまちゅよ!」
「はいっ! 分かりました」
私はリリの手を握り、一緒に屋敷を歩いていく。自分の足で歩いている私が余程不思議なのか、すれ違うメイド達は皆、目をまんまるにして驚いていた。
五分程歩くと、私は歩けなくなってしまった。
五分! たった五分で! あまりにも悔しくて涙がでた……
「ソフィア様⁉ どこか痛いんですか?」
涙を流す私を見て、リリが心配そうに抱き上げる。
今までひどい仕打ちをされていただろうに、ソフィアのことを心配してくれるなんてリリはとても優しい女性だ。はやく一緒に散歩できるようになりたいな。
「だいじょぶ……くやちいだけ」
今日の私の運動は、五分歩いて終わった。屋敷の庭園にさえ行けなかった。
リリに抱っこされ、部屋のベッドに戻った。
◆
「んふふっ。可愛いソフィアちゃんのために、今日もいーっぱい美味しい料理を用意しましたよ」
「これも食べなさい。ソフィアの大好物だろ?」
私の前に座るお父様とお母様がニコニコと微笑みながら……脂ぎった肉料理を勧めてくる。
ソフィアが太った原因はこれだ。
ソフィアに甘すぎる両親。
王族の次に権力を持つ四大公爵家の一つ、【グレイドル公爵】。
お父様アレク・グレイドルは宰相の仕事をしながら領地経営もこなす、有能で仕事が出来る男性だ。宰相として人々の信頼を集め、領地経営も順調でグレイドル領はかなり潤っている。
お母様とも仲睦まじく長所ばかりのお父様だが、とある致命的な短所があった。
この父親アレクは、一人娘のソフィアにとことん甘く、娘の望みならばなんでも言う事を聞いてしまうのだ。
来たる未来、お父様はソフィアのせいで宰相の仕事を退き、順調だった領地経営も傾むかせてしまう。でも、ソフィアの願いを叶えるためにはお金が必要……
そしてお父様はお金を手に入れるために悪事に手を染めるのだ。
はぁ……全部ソフィアのせいじゃない。
今も可愛いソフィアの好物だからと、両親は脂ぎった料理ばかりにこにこと勧めてくる。
もちろん両親の姿は巨漢デブ……ソフィアが喜ぶ食事を一緒に食べていたせいで、こんなに太ったのだ。全ての元凶はソフィアだ。
私自身が変わらないと、両親も、来たる未来も変わらないだろう。
今度は自分の人生だけじゃなくて、絶対周りも幸せにしてみせるんだから!
まずはこの両親と一緒に、健康のためにもダイエットしなくては。
「あのう……お父しゃま? このお食事も美味しいでしゅが……知ってましゅか? 美味いものには毒がありゅこちょを」
「なっ? 愛しいソフィア? 急に何を言い出すんだい? 毒?」
お父様が目をパチクリさせる。
「お父しゃまのそのしゅがた! カッコいい服がぴちぴちでしゅよ?」
「ふぬっ……確かに少し太ったかも……」
そう言って自分のお腹を撫でるお父様。
「しゅこしじゃないんでしゅよ! デブ、醜いんでしゅ! いっちょにダイエットしましゅよ?」
「えっデブ? ソフィア? 今私を醜いって……言わなかった? ダイエットってなんだ?」
「そっ、ソフィアちゃん? 何を言って⁉」
お父様とお母様が動揺のあまり立ち上がる。
「何もないでしゅよ! とりあえずデブのお父しゃまとお母しゃまは、わたちといっちょに健康のためのダイエットをしゅれば良いんれしゅ!」
そう言ってビシッと天を指差した。それを見たお父様達は頭を何度も上下させ頷いていた。
私の熱い気持ちが伝わったのかな?
とりあえず先の目標は決まった。両親と私のダイエットだ。
明日からは食事メニューにも口を出さないといけない。
今日は早めに寝て明日にそなえよう。
◇
「聞いたか? 私の事をお父様と初めて呼んでくれた!」
「私の事もお母様と! はぁ……こんなに嬉しい事はないわ」
「本当に! ……グスッ」
「幸せだ……」
グレイドル夫妻は嗚咽し、お互いを抱きしめ合あって喜びを噛み締めている。
それほどに二人は、ソフィアが自分達を見て、話してくれた事が嬉しかったのだ。これまでのソフィアは何をしても頷くだけ、話すと言ったら癇癪をおこして怒る時だけだったのだから。
「……ねぇ、ところでアレク? 今まで殆ど喋らなかったソフィアちゃんが、突然喋りだしたと思ったら……ダイエットって何かしら?」
「私にも分からないが、可愛い私達の天使ソフィアが言ってるんだ。分からないが付き合ってみよう」
「そうねっ、やっと授かった私達の天使が話してくれたんだから」
グレイドル夫妻は、なかなか子宝に恵まれなかった。
十五年待ってようやく授かったのが、ソフィアなのだ。
グレイドル夫妻がソフィアを溺愛する理由。
それはソフィアが【やっと授かった子供】だからなのである。
◇
ホイッチニーシャンシ。ニイニッシャンシ。
グレイドル家の朝はこの奇妙な掛け声から始まる。
私はあれから前世日本で培ったダイエットを、色々と試してみたが、どれも無理だった。
何故ならソフィアの体が、見本として全く動けないのだ。両親に教えることなどとても出来ない。
ヨガや流行りのダイエットダンスなど、色々と試したけどソフィアの体は手強かった。ヨガに至っては体が硬すぎるのと、お腹のお肉が邪魔してどうにもならなかった。
くそう……どこまでも邪魔してくるソフィア・グレイドルのわがままボディ。
唯一ソフィアでも出来たのが……日本全国民老若男女が毎朝行うアレである。
ラジオ体操だ。
「ふうっ……今日も良い汗をかきましたわね。ソフィアちゃん考案の体操は、私でも簡単に出来ますし、それになんだか楽しいですわ」
「ふふっ、本当にね。私はズボンが少し緩くなってきたよ」
ラジオ体操を皆で始めて一週間……ご飯も野菜中心に変えた。
お父様とお母様の体型に早くも変化が現れてきたようだ。
私も毎日ラジオ体操を朝昼晩と頑張ったおかげで、今なら自分で庭園まで余裕で歩ける。
まだ体は一向に痩せてないけどね。
ふふっ……これで悪事を働かなければ私は平穏に暮らせるはず。
ふぅ……朝の運動を終わらせて部屋に戻ると、ソファーにダイブした。
そこにすかさずリリが部屋に入ってくる。
「ソフィア様、デトックスティーをお持ちしました」
「ありがちょ、リリ。チェーブルに置いちょいてくらしゃい」
リリが持ってきたデトックスティーは、私が考案した飲み物。
この屋敷の裏にある、グレイドル家所有の大きな森には、色々なハーブが沢山生えていたのだ!
たまたまリリに抱っこされて森まで行った時に、生い茂ったハーブを数種類発見して興奮したなぁ。
しかも見た目は日本のハーブと全く同じ! 名前が一緒かどうかは分からないけどね。
この世界の食物は、地球のものと似ているのだ。名前や形は少し違ったりするけど。
私がハーブをニコニコと集め、屋敷に持って帰って来た時、お母様は「その草どうするの?」と不思議そうに見ていたが、ダイエットに効くと分かると、今は毎日必死に飲んでいる。
デトックスティーとは、水にハーブや野菜、フルーツを入れて作る前世で流行っていた、デトックスウォーターの事。
私も前世では、その日の体調によってマイボトルに入れる種類を変えて、よく作っていた。今はもっぱら浮腫み解消メインで、ハーブ多めのデトックスティーを作ってもらっている。
そういえば……創造神様がくれたチートスキルって結局は何をくれたんだろう?
まだこの姿になってからダイエットしかしてない。まぁダイエットと呼べる程の事をしていないけど……
アイテムボックスとかの機能はちゃんと付けてくれたのかなぁ?
ん⁉ 頭の中でアイテムボックスって考えたら、目の前の空間が歪んだ……これってもしや?
私は机に置いていた本を歪んだ空間に入れてみる。
「消えた……!」
凄い凄い! 異世界って感じだよ!
しかも収納したアイテムは目の前に画面が出てきて何が何個収納されているのか、分かるようになってる。なんて便利なんだろう。
「やっちゃー! チートらっ!」
嬉しさのあまり、叫びながら両手を握りしめる。
他にもどんなチート機能があるんだろう。創造神様に何をお願いしたっけ?
うーん……。自分の能力が分かったら良いのに。なんか出ろ~。
ヴォン!
「あや⁉」
いきなり目の前にステータス画面が現れる。
【ソフィア・グレイドル】
種族 人族
性別 女
年齢 5
体力 F(S)
魔力 F(S)
攻撃力 F(S)
防御力 F(S)
スキル 全属性魔法 炎Lv.1 水Lv.1 雷Lv.1 風Lv.1
土Lv.1 光Lv.1 闇Lv.1 聖Lv.1
アイテムボックス、錬金術
加護 創造神デミウルゴス 女神リリア
ちょっ! 何これ……よく分からないけれど、多分チートだよね?
魔法は全種類使えるみたいだし……
ステータスの体力とかのFとかカッコSとかってなんだろう?
ついタッチパネルの癖で画面に触ると……
「わっ!」
細やかな説明が出てきた。
Fは現在地のステータス。Fは一番低ランク。
カッコ内は上限値。この上限値は人により異なる。最高ランクはS。
上限値全てSだけど……これって鍛えたら私最強って事?
Sまで鍛えたら絶対殺される事ないよね?
痩せたら筋トレ頑張らなくちゃ!
なんか上手くいきそうだよね? よし!
◆
「ホイッチニーシャンシッニイニッシャンシ!」
グレイドル公爵家の朝は、今日も謎の掛け声でスタートする。
「はぁーっ。今日もいいあしぇをかいちゃなぁ」
「もう毎朝の日課になりましたね。ソフィアちゃんがダイエットって言った時はなんの事かと思いましたが、毎朝のこの運動のおかげで体の調子がよいんですわ」
「本当にね! 仕事の前に運動するなんてどうかなと思ったけど、逆にスッキリして仕事が捗ってるよ! さすがは私達の天使ソフィアだね」
お父様が私を抱きしめ、頬にスリスリと顔を寄せてくる。
初めは両親と近しいメイドのみで行っていたこの体操。
今やこの体操はグレイドル公爵家総出で行う朝の一大行事になっている。庭園にて皆で声を出し体操しているのだ。
屑ソフィアの記憶から考えると信じられないほど、今のグレイドル公爵家は平和だ。
最初はどうなることかと思っていたけれど、きちんとコミュニケーションをとって、相手の事を思って接していれば、そうそう破滅の道へと進むことはないだろう。
うん、皆で幸せになるぞ!
体操が終わると、怠慢なソフィアの体は疲れてしまい、直ぐには動けない。
くそう……ラジオ体操するだけで休憩が必要なんて、なんてわがままボディなの!
これでも以前と比べたら、はるかにマシになった方だけど。
いつもは体操が終わるとリリに部屋まで運んでもらうんだけど、今日は中庭の中央にあるガゼボにてのんびり寝転がっていた。
これでも大分成長したよね? 初めはラジオ体操をするだけで一時間も動けなかったんだから。
「ふう……かじぇが気持ちいいれしゅね」
ガゼボに心地よい風がふんわり入ってくる。
ん? あれは何?
楽しそうに飛んでいる、手のひら程の小さな子供がいる……
私がガゼボから身を乗り出してその子供に近付こうとすると。
「ソフィア様、危のうございます!」
私の横に仕えていたリリに抱き上げられた。
「リリっ! ありぇ! あしょこにいるありぇ」
リリに小さな子供が飛んでいると必死に説明するも、リリには見えないのか、一向に理解してもらえない。
「ソフィア様? あれ? 雲ですか?」
あんなにキラキラ光って目立っているのに? なんで見えないの?
もしかしてこれも、創造神様がくれたチート能力の一つ?
あの小さな子供はなんだろう……ジッと見つめていると、ヒュンッと私のところに飛んで来て顔の前でピタッと止まった。
「わっ!」
思わず声が出た。
『にししっ。やっぱり見えてるんだな! さっき目があったもんな』
小さな子供が楽しそうに笑う。
「しゃべった……」
「ソフィア様? どうされました?」
突然私が何もないところに向かい、驚いたり話しかけたりしているので、リリは少し不思議そうに私を見る。
「あにょ……ちいしゃな子供が」
「小さな子供? どこにいるんですか?」
リリがキョロキョロと辺りを見回す。小さな子供はワザと、リリの顔の周りを飛んでいる。
『くくっ。普通は見えないよな』
「あなたはだあれ?」
『んん? オイラか? オイラは風の妖精シルフィさっ……なんて言っても声までは聞こえないだろうけどな』
「シルフィ……かじぇのようしぇい」
『なっ……お前! 見えるだけじゃなくて、オイラの言葉まで分かるのか?』
「分かりゅ」
私は大きく頷く。
『すげえっ! オイラ達妖精の言葉が分かる人族なんて久しぶりに会ったよ! わぁ、嬉しいなっ』
シルフィはくるくると、楽しそうに私の周りを飛び回る。
リリは一人で楽しそうに話す私の姿を首を傾げ不思議そうに見た後。
「ソフィア様? そろそろお部屋に戻りましょう」
リリが私を抱き上げ、部屋に連れ帰ろうとしたら。
『待ってよ! どこに行くんだよ』
シルフィが私の後を追って、部屋について来た。
「では、お飲み物を用意してきますね」
リリはソファーに私を座らせると、デトックスティーを作りに部屋を出た。
シルフィがふわりと私の肩に乗り、再び話しかけてきた。
『なぁ? お前はなんだ? 纏う魔力が甘くて美味そうだ』
「魔力が甘い? わたちの?」
『ああっ。人族でこんなにも極上の魔力を纏うヤツはいない。それに話せるヤツもな? エルフ族や竜人族には、そんなヤツもいっぱいいるがな』
「そうにゃんだ……」
これもきっと創造神様がくれた力に違いない。屑ソフィアの時はこんな事なかったもの。
『よっし! お前なんだか面白そうだし! 契約してやるよ』
風の妖精シルフィが契約しようと言ってきた。
なんの? 契約したらどうなるの?
「けえやく? しちゃらどうなるにょ?」
『ふふん? オイラと契約したら風魔法のレベルが上がるし、オイラはお前の魔力を貰える。いししっ、どっちもお得だろ?』
「おちょく……」
風魔法のレベルが上がるのは嬉しい。でも契約なんてして大丈夫なんだろうか?
『それに空だって飛べるぜ?』
空を飛べるだって? なんて素敵なの。それなら体力切れで動けなくなっても、リリに抱っこしてもらわなくて大丈夫だわ。
悩んだって仕方ないよね。こんな時は直感を信じるのみ。
「けえやくしゅる!」
『そう来なくっちゃ!』
シルフィは指をパチンッと鳴らし、私の額にキスをした。
次の瞬間、あたたかい何かで体が満たされていく。
「あちゃちゃかい……」
『これで契約完了だっ! よろしくなえ~っと? 名前は……』
「ソフィアよ」
『ソフィア! オイラの事はシルフィって呼んでくれ』
「よろちくシルフィ」
『じゃっ魔力頂きまーすっ! うんまっ! 想像以上に美味い!』
魔力が美味い? よく分からないけど、シルフィは私の頭の上で転がってご満悦だ。
なんだか面白い仲間が出来たなぁ。
◆
夜のディナーを食べていると……お父様がとんでもない事を言い出した。
「今度、王家主催のガーデンパーティーがあるんだよ。それは子供達の顔合わせも兼ねていてね。まだソフィアは他の公爵家の子息達にあった事がないだろう?」
「まぁ! 顔合わせの日程が決まりましたのねっ! これは可愛いドレスをソフィアちゃんに作らないと! 忙しくなりますわ」
お父様とお母様が嬉しそうに話してるけど、王家主催のガーデンパーティーとはソフィアがやらかす一番初めの屑イベントだ。とうとう、破滅への第一のフラグがきたということね。
はぁー……。出来る事なら行きたくない。
「ソフィア? どうしたんだい? そんな難しい顔して」
お父様が心配そうに私を見る。どうやら考えている事が、マルッと顔に出ていたみたいだ。
「あにょっ! しょれは行かないとダメれしゅか?」
「どうしたんだ? 何が嫌なんだい?」
何が嫌って聞かれても、断罪されるのが怖いからなんて言える訳もないし。
「嫌とかではないんでしゅが……まだ太いれすし……もうちょっとやしぇてからの方が……」
「そんな事を気にしてるのかい? ソフィアは太っていても可愛いよ。私の天使だからね」
お父様はそう言って私の頭を優しく撫でた。
「はあい……」
うーん、やっぱり行かないとダメか。
だってソフィアはパーティーの主役だからね。
そう、王家主催のガーデンパーティーと言っているが、それは表向きのこと。
これは実は、顔合わせという名のソフィアの未来の旦那様を決めるためのものなのだ!
グレイドル公爵家には、一人娘のソフィアしかいない。お父様はお母様を溺愛していて、第二夫人を娶るつもりなど全くない。
……という事はグレイドル公爵家をソフィアが継ぐ事になるのだ。
パーティーに参加する子息達は皆、次男や三男と家督を継がない者達ばかり。自ら家を継ぐことがない子息達にとってソフィアはいいお嫁さん候補なんだろうけれど……
屑ソフィアはかつて、このイベントをきっかけに「白豚令嬢」と呼ばれるようになってしまった。
というのもこのパーティーで、第三皇子アイザック様に一目惚れしたソフィアは猛アタックするが空回り、アイザック様からは怖がられ……。他の公爵家の子息達からは、デブだの豚だのと揶揄われて、癇癪を起こしたソフィアは子息達に殴りかかり泣かせてしまうのだ。
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