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1巻
1-3
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こんな巨漢の姿をしたソフィアが、キレて殴ってきたんだもん。
同じ年齢の子息にしたら恐怖だよね。
このパーティーを皮切りに、四大公爵家の中でグレイドル公爵家がどんどん浮いていくのだ。
いわばグレイドル公爵家の汚点の始まり……
はぁーっ、行きたくないけど逃げ場はないし、どうしたらいいの。
いや、諦めるな。今できることを考えろ私!
「ソフィア? ご飯食べないのかい?」
私は机をバンッと叩くと、勢いよく椅子から降りた。
「おとうしゃま! 明日かりゃはもっとダイエットメニューにしましゅよ。わたちは料理ちょに会ってきましゅ!」
「えっソフィア? ご飯食べないのかい? まだ……」
「ご飯はもういいれしゅ!」
「ソフィア様! 待ってください! リリもお供します」
私はお父様の話を遮り、部屋を出て行った。その後を慌ててリリがついて来た。
このままじゃダメだ。パーティーまでに少しでも痩せて、揶揄われないようにしなくちゃ!
私は鼻息荒く、足早に調理場へと向かった。
◆
「しちゅれいしましゅ!」
私は大きな声で挨拶しながら、調理場の扉を勢いよく開ける。
いきなり調理場に入って来た私を見て、怪訝そうな顔をする調理師達に、臆する事なく奥へとズカズカ入って行く。
「ソフィアお嬢様、どうされましたか?」
突然調理場に現れた小さな子供。
屑ソフィアだったら問答無用で追い出されていたかもしれないけれど、今は一緒に体操をしたこともあるし、少しは話を聞いてもらえるみたいだ。
それに私は屋敷の当主が宝物のように大事にしている愛娘。
料理長は決して無礼があってはならないと、緊張しているのが分かる。
ごめんね? 今はこの状況を利用させてね。
「ええと、今ありゅ食じゃいを全て見しぇて欲しいのれす」
「食材……ですか?」
突然食材を見せろと言われ、料理長は意味が分からないのだろう。
だが当主の愛娘の言う事を聞かない訳にはいかない。断って癇癪でも起こされようものなら一大事だ。料理長を始めとした調理師達が言われた通りに、作業台の上に食材を並べていく。
私はその食材を念入りに見ていく。
ふうむ……アレはないのかな? ダイエットの定番食材。白く輝くあれ!
「ソフィア様、今ある食材は、これで全てになります」
むう……前世で食べてた豆腐はないかぁ。
んっ? あの棚に置いてあるのは……!?
「リリ! あの棚の上に置いてある、カゴを持っちぇきちぇ」
「ソフィア様、それは屑ですよ。後で花の肥料に使おうと置いてあるのです」
料理長が屑だと言うが、チラッと見えたあの色味……気になって仕方ない。
「持ってまいりました」
リリが持って来たのを見ると……! ビンゴ!
「やっちゃー! おからだっ!」
やっぱりおからだった! という事は豆腐もあるはず。
でもこの食材に並んでいない……何故?
「料理ちょ。これは豆腐をちゅくりゅ時に出来るの! 豆腐はどこ」
「おっ、お嬢様! どうしてトーフを知っているのです? トーフはまだ世に出回ってない食材ですよ」
料理長が急に豆腐の事を言われ、オロオロと困惑している。
本当なら、詳しく説明が必要なのかもしれないけれど、今の私にそんな余裕はないのだ。
許して欲しい。
「いいかりゃ! 早くトーフを見しぇて」
私は興奮気味に料理長に食ってかかる。
「はっはいっ! 今お持ちします」
私のあまりの気迫に慄いたのか、冷蔵庫から慌てて何かを持ってきた。
私はそれを一口、口に入れる。
「こりぇはおぼろ豆腐……」
料理長が持って来た物は、やはり豆腐だった。
「えっ? はっ? おぼろトーフ?」
前世のおぼろ豆腐とは少し違うけれど、ほぼ遜色ない仕上がり。
これならいける。驚く料理長に追い打ちをかけるかの如く、私は豆腐について熱く語る。
「他にも、きにゅごし豆腐やもめぇん豆腐もありましゅよ」
「ソフィア様! トーフには種類があるのですか?」
「しょうよ! こりぇをもうしゅこし固めたやちゅが、きにゅごし! 料理ちょ。今からきにゅごしちゅくりましゅよ!」
私がそう言うと料理長が瞳を輝かせる。
「はいっ!」
おぼろ豆腐まで作れるなら後は簡単だからね!
料理長に仕上げを教えるだけで、懐かしい見た目の四角い豆腐が出来上がった。
「ソフィア様! 凄いです。このトーフは私の親友が他国に行った時に学んだ食材でして、その造り方を私は最近教えてもらったところだったんです」
料理長は涙目で感動している。
「これは! トーフの進化ですよ。これだと形がしっかりしているので、色々な料理に使えます!私は今猛烈に感動しています」
料理長は新しい料理の発見に興奮が収まらないようだ。
私はというと、出来上がった豆腐が早く食べたくて堪らない。
「分かっちゃから、豆腐食べよ?」
この世界にはショーユやミソなど前世で馴染んだ調味料はほとんど揃っている。これは本当有難い。さぁて? どうやって食べようかな? やっぱまずはあの食べ方でしょう。
「ソフィア様この食べ方は……?」
「こりぇは、冷ややっこ!」
「……ヒヤヤッコですか」
前世では夏の暑い時によく食べてたなぁ。豆腐の上にネギと生姜、その上に鰹節をふりかけ醤油をかけて食べる。シンプルイズベスト!
「うんっ……うんまぁ」
これこれ! はぁ美味しい。
前世で食べた豆腐より美味しく感じるのは、自分達で作ったからかな。
「美味しいですね! これはアッサリしている中に濃厚なトーフの旨味が堪りませんな。いくらでも食べられそうです。このような料理のアイデアが沢山溢れるソフィア様は、きっと食の神に愛された天才だ!」
豆腐に感動している料理長に、私は次なる料理をお願いする。
「料理ちょ! ちゅぎはデトックシュシュープをちゅくりまちゅよ」
「デトックススープ……ですか?」
「しょうよ。まじゅ野しゃいは、最低二十しゅりゅい入れるこちょ」
「ほう……野菜を二十種類ですか」
豆腐の一件で私を信用してくれたのか、料理長は私の話を真剣に聞きながらメモをとっている。
「しょうよ! ええと、こりぇと……そりぇに……こりぇも入れて」
私はスープに入れる野菜を、真剣に選び料理長に渡す。それを料理長達は細かく刻み寸胴鍋に入れていく。スープに入れるお肉は鳥の胸肉が良いんだけどなぁ。
食材を鑑定してみる。
【オークの塊肉】
脂分が多く、旨味の強い肉。
焼くだけでも美味しいが、衣をつけ揚げて食べても美味しい。
【ロックバードの塊肉】
低脂肪高タンパクで、アッサリした味わいの肉。
脂分が少ないため、調理によっては肉がぱさつく事もある。
これだー! 低脂肪高タンパク! 最高だよロックバード様。
私はロックバードの塊肉を掲げる。
「あちょはこりぇも入れちぇ、肉がほろほろになりゅまで煮込んでくらしゃい」
「はいっ、分かりました!」
料理長たちはちょっと希望を伝えるだけで、ささっと私の望む以上のものに仕上げてくれる。
さすが公爵家の調理人達。
「シュープにょお出汁は、こにょ骨でとってくらしゃい」
さっき鑑定でみたら、ロックバードの骨からは極上の出汁がとれるって書いていた。
是非とも飲んでみたい。
「明日かりゃのご飯は、しゅべて豆腐をちゅかった料理とシュープにしちぇ下しゃい。かんしぇいしたシュープ、楽しみにしちぇますよ」
「はいっ、お任せ下さい!」
料理長達は深々と私に頭を下げた。一斉に頭を下げられると、ちょっと恥ずかしい。
「リリ……わらちはもうちゅかれたから、お部屋にちゅれていって」
「はいっ!」
リリは私を抱き上げ部屋へとスタスタ歩いて行く。
「ソフィア様はいつのまにそんな料理の知識が? もう本当に素晴らしいです。私は感動しました」
リリは私の知識に驚きを隠せないようだ。そりゃそうだよね。
前世の知識です! なんて言える訳もないので、ここは笑って誤魔化そう。
「ふふっ。ちょっと思いちゅいたのよ」
さぁて、部屋に戻るとリリに一仕事してもらわないと……
「ソッ、ソフィア様……本当にいいんですか?」
リリが私の頼み事を叶えていいものかと躊躇している。
その気持ちは分かるけれど、私も一大事なんだ。やってもらわないと!
「いいにょ、縛っちぇ!」
「しっ……縛りますよ?」
私の体はリリによって、ロープでぐるぐる巻きにされ、ベッドから身動き取れないようになった。
なんでこんな事をしないといけないかって? ……くうっ。
それもこれも食い意地のはった、この! わがままボディのせいだ。
お父様とお母様は順調に痩せているのに、私は体力はついたが体は全く痩せていない。
その理由はなんと夜中に夢遊病のように歩き、厨房にある食材や料理を貪り食べていたからだ。
信じられない! リリが発見し教えてくれた時、愕然とした。
ソフィア・グレイドルよ! 全く痩せる気ないな。どこまでも私の邪魔をする。
負けないんだから!
『ぶっ! ソフィア、なんの遊びだよ、それはっ」
シルフィが飛んで来て、縛られた姿を面白そうに見ている。
「こりぇはやしぇるため!」
『そんな事して痩せるのか? お前はやっぱり面白いな。あはははっ』
シルフィは笑い終わると、私の腹に乗り、魔力を美味しそうに食べていた。
◆
「ふむ……今日はまた変わった朝食だね」
お父様はいつもと違う料理が並んでいるテーブルを見て、少し不思議そうに料理長に話しかける。
「はいっ。今日からデトックス料理がスタートします」
料理長が意気揚々と料理の説明をしていく。
「デッ……デトックス料理?」
「こちらのスープは、飲むだけで美しくなる魅惑のスープとなります」
「まっ! んまぁ! それは是非とも味わってみたいですわ」
お母様が飲むだけで美しくなる、という料理長の言葉に反応する。
「そしてこちらはまだ市場に出回っていない未知なる食材、トーフを使ったステーキになります。このトーフはこれからこの街で大流行しますよ」
「未知なる食材!?」
「ええ、そうです! こちらのトーフはソフィア様と一緒に開発したモメントーフです」
「えっ? ソフィアとだって⁉」
お父様は理解が追いつかないのか、明らかに挙動がおかしい。
「はいっ! ソフィア様は五歳とは思えない程に、食に関しての発想が大変素晴らしく、私共では思い付かないアイデアを出してくれます。きっとソフィア様は、食の女神様からの祝福をもらっているのでしょう」
料理長はうっとりと私について語る。食の女神って……ちょっと恥ずかしい。
「ソフィアが……そうか」
お父様が目を見開き、私を見つめる。
「ちょっとひらめきまちて。しゃあ、お父しゃまお母しゃま。しゃめない内に食べて下ちゃい!」
「そうかそうか……私達の可愛い天使は、可愛いだけじゃなかったんだね」
お父様は眉尻を下げ私を見つめた後、トーフステーキを恐る恐る口に入れる。
「おっ……美味しい! これはまるで肉のようだ」
「このスープも美味しいですわ! 良いお出汁が出ていて色々な野菜も食べられて……これなら毎日食べられますわ。美味しい物を食べて美しくなれるなんて! 最高ですわ」
ふふっ。お父様もお母様もダイエットメニューを気に入ってくれたみたいね。良かった。
トーフステーキは朝早起きして、料理長に作って貰った渾身の一品。
豆腐の水気を切り新しい食感に作り変える発想に、料理長は驚き、それから私の事を女神と崇めうっとり見つめてくるようになった。
その時にやり過ぎたと気付いたが、もう後の祭り。
レシピ開発は私だけの力じゃなくて、皆の協力があったからと伝えた時には、料理長だけでなく調理場の皆が私のことを崇めはじめ……私はいつのまにか、調理場の女神様になってしまった。
うーん、やはり屑ソフィアの時には考えられなかった展開。
これはますます破滅から遠ざかってきてるはず!
女神のように見られようが仕方ない、美味しいダイエットメニューのためだもん。
これからも美味しいダイエットメニューを開発し、いっぱい作るんだから。
◆
「やっちゃー! やしぇた! 一キロ減ってる」
体重を量る魔道具の上で、嬉しくて思わず小躍りしてしまう。
その姿をリリは優しい目で見つめてくれている。私にいつもビクビクしていたリリだけど、今はもうそんな姿は微塵もない。リリは優しいお姉さんのように、時に厳しく接してくれる。
「よかったですね。ソフィア様」
ダイエットメニューを開始して一週間。少しずつ痩せ、ようやっと一キロ減った。嬉しい。
お父様とお母様なんて……かなり見た目が変わってきた。
二人とも三重顎が二重顎になっている。
二重顎なのにお母様の顔は美しい。
もしかして……この二人痩せたらかなりの美形なんじゃ……!
流石に細かった時のお父様やお母様の姿は、ソフィアも小さかったから、顔までは思い出せない。
立ち姿がほっそりしていたなぁ? くらいの記憶しかない。
だけどこの二人は明らかに、痩せたら美形なのが分かる。
「ソフィア様、デトックスティー飲まれますか?」
「うんっお願い」
私はソファーに座り、リリが持って来るデトックスティーを、ワクワクしながら待っている。
ポリッ。
一キロ痩せたし、大分動けるようにもなってきた。
もう少し運動メニューを明日から増やそうかな。
ポリッ。
なんの運動しようかなぁ……まだヨガや筋トレはムリだし……
ポリッポリッ。
やっぱり歩く時間を増やす……?
ポリッポリッポリッ。
「ソッ、ソフィア様、その手に持っているのは……!」
デトックスティーを持って来たリリが驚いている。どうしたんだろう?
「ほえ?」
自分の手を見ると、両手にクッキーを握りしめ無意識に頬張っていた。
机の上にあるクッキーのお皿は空っぽになっている。
「ああーーっ! 食べちゃった」
まただっ。このわがままボディめ! 勝手に口に食べ物を運んでくるなんて!
どこまで邪魔するんだ、ソフィア・グレイドル。
このクッキーは、料理長と一緒に考案し完成した、【おからクッキー】というダイエット用のお菓子。ダイエット用とはいえ、こんなに食べたら意味がない。
一日五枚までって決めてたのに……
「すみませんソフィア様、私が早く片付けておけば……」
「リリのせいじゃにゃいの! わたちが悪いのっ」
このおからクッキーはこの後お母様と一緒に、デトックスティーを飲む時に食べようと机に置いていたのだ。
「ソフィアちゃん」
そんな事を考えていたからなのか、お母様がタイミングよく部屋に入って来た。何やら嬉しそうだ。
「お母しゃま!」
お母様はニコニコと微笑みながら、私の横に座る。何かいい事があったのかな?
「今日ね? 王妃様とのお茶会で皆から褒められて!『急に綺麗になったのはどうしてっ?』と、お茶会に来ていた奥様達から質問攻めでね。ふふふっ、あっそうそう、お茶菓子に持って行った、ソフィアちゃん考案の【おからクッキー】も大好評でしたのよ?」
お母様は余程お茶会が楽しかったのか、お喋りが止まらない。
確かにお母様はお肌まで綺麗になって、太いのに以前とは見違える程美しい。
「それで王妃様がね? トーフやデトックススープに興味を持たれて。明日、アイザック様を連れて我が屋敷に遊びに来る事になったの」
「うんうん……って、えっ! 王妃しゃま? アイジャックしゃまが?」
「うふふ♡ 遊びに来るの!」
ちょっ⁉ お母様は嬉しそうに話すが、そんなのは以前はなかったイベントだ。
って事は、以前と未来が変わってきてるって事よね。
……いい方にだよね? だとしたら嬉しいんだけれど。
でも明日って急過ぎませんか? 私まだ一キロしか減ってないのに!
アイザック様に会うのも少し怖い……だってアイザック様との出会いは、白豚令嬢への最初のフラグだから。
ああ、心の準備が出来てないよう。
◆
今日は朝からお屋敷の調理場と庭園がごった返している。
なぜなら、メイド達や料理長達が必死に準備をしているからだ。
なんの準備かって?
それはもちろん、王妃様と皇子様がグレイドル邸に来訪するから、歓迎の準備で忙しいのだ。
来訪の目的はトーフ。だから料理長達は必死にトーフ料理を作っている。
メイド達はというと、食事をする場所を必死に準備している。
お母様が朝いきなり「お外で食べたい」なんて言い出したもんだから……もうメイド達は戦々恐々といった感じで、必死に庭園でのお食事会の準備をしているのである。
王妃様達が来られるまでに、準備が間に合うのか、皆不安そうだ。
私はというと、これといって特にすることもないのでお散歩をしていたのだけど……
フラッと調理場を訪れてみたら、『食の女神ソフィア様ぁぁぁっ! トーフの甘味で何かよいアイデアはないですか』と料理長に泣きつかれ。
今、料理長と一緒にトーフドーナツを作っている。
焼きと揚げで迷ったんだけど、今回は揚げトーフドーナツにしてみた。何故揚げにしたかというと、単純に私が揚げの方が好きだから。
それにまだ、この世界で常用されている魔道具を使ったオーブンの使い方がよく分からない。焼きだと、この魔道具を使ったオーブンに挑戦しないといけないからね。
でも焼いた方がカロリーは低いから、いつか挑戦してみたいところ。
料理長と一緒に、材料を混ぜ合わせ丸い形を作り、油に投入し揚げていく。数分もすると白かった生地がこんがりキツネ色にそまる。
うんうん、美味しそうに揚がってきた。
「出来ちゃ! はわぁ」
油からドーナツをとりだすと、香ばしく甘い香りが食欲を誘う……。料理長も同じ気持ちだろう。目が合うとお互い頷き、何も言わずトーフドーナツを口に入れ咀嚼した。
「はぁ……こりぇこりぇ」
「うっ……美味しっ」
前世でも良く食べたこの味!
前世ではさらにプロテインも生地に混ぜて揚げてたけどね。マッスルスイーツ。
「美味しいですね……甘さは少ないですが香ばしく、クセになる味です。小麦粉を揚げるなんて発想、思いつきませんでした。さすがソフィア様です」
同じ年齢の子息にしたら恐怖だよね。
このパーティーを皮切りに、四大公爵家の中でグレイドル公爵家がどんどん浮いていくのだ。
いわばグレイドル公爵家の汚点の始まり……
はぁーっ、行きたくないけど逃げ場はないし、どうしたらいいの。
いや、諦めるな。今できることを考えろ私!
「ソフィア? ご飯食べないのかい?」
私は机をバンッと叩くと、勢いよく椅子から降りた。
「おとうしゃま! 明日かりゃはもっとダイエットメニューにしましゅよ。わたちは料理ちょに会ってきましゅ!」
「えっソフィア? ご飯食べないのかい? まだ……」
「ご飯はもういいれしゅ!」
「ソフィア様! 待ってください! リリもお供します」
私はお父様の話を遮り、部屋を出て行った。その後を慌ててリリがついて来た。
このままじゃダメだ。パーティーまでに少しでも痩せて、揶揄われないようにしなくちゃ!
私は鼻息荒く、足早に調理場へと向かった。
◆
「しちゅれいしましゅ!」
私は大きな声で挨拶しながら、調理場の扉を勢いよく開ける。
いきなり調理場に入って来た私を見て、怪訝そうな顔をする調理師達に、臆する事なく奥へとズカズカ入って行く。
「ソフィアお嬢様、どうされましたか?」
突然調理場に現れた小さな子供。
屑ソフィアだったら問答無用で追い出されていたかもしれないけれど、今は一緒に体操をしたこともあるし、少しは話を聞いてもらえるみたいだ。
それに私は屋敷の当主が宝物のように大事にしている愛娘。
料理長は決して無礼があってはならないと、緊張しているのが分かる。
ごめんね? 今はこの状況を利用させてね。
「ええと、今ありゅ食じゃいを全て見しぇて欲しいのれす」
「食材……ですか?」
突然食材を見せろと言われ、料理長は意味が分からないのだろう。
だが当主の愛娘の言う事を聞かない訳にはいかない。断って癇癪でも起こされようものなら一大事だ。料理長を始めとした調理師達が言われた通りに、作業台の上に食材を並べていく。
私はその食材を念入りに見ていく。
ふうむ……アレはないのかな? ダイエットの定番食材。白く輝くあれ!
「ソフィア様、今ある食材は、これで全てになります」
むう……前世で食べてた豆腐はないかぁ。
んっ? あの棚に置いてあるのは……!?
「リリ! あの棚の上に置いてある、カゴを持っちぇきちぇ」
「ソフィア様、それは屑ですよ。後で花の肥料に使おうと置いてあるのです」
料理長が屑だと言うが、チラッと見えたあの色味……気になって仕方ない。
「持ってまいりました」
リリが持って来たのを見ると……! ビンゴ!
「やっちゃー! おからだっ!」
やっぱりおからだった! という事は豆腐もあるはず。
でもこの食材に並んでいない……何故?
「料理ちょ。これは豆腐をちゅくりゅ時に出来るの! 豆腐はどこ」
「おっ、お嬢様! どうしてトーフを知っているのです? トーフはまだ世に出回ってない食材ですよ」
料理長が急に豆腐の事を言われ、オロオロと困惑している。
本当なら、詳しく説明が必要なのかもしれないけれど、今の私にそんな余裕はないのだ。
許して欲しい。
「いいかりゃ! 早くトーフを見しぇて」
私は興奮気味に料理長に食ってかかる。
「はっはいっ! 今お持ちします」
私のあまりの気迫に慄いたのか、冷蔵庫から慌てて何かを持ってきた。
私はそれを一口、口に入れる。
「こりぇはおぼろ豆腐……」
料理長が持って来た物は、やはり豆腐だった。
「えっ? はっ? おぼろトーフ?」
前世のおぼろ豆腐とは少し違うけれど、ほぼ遜色ない仕上がり。
これならいける。驚く料理長に追い打ちをかけるかの如く、私は豆腐について熱く語る。
「他にも、きにゅごし豆腐やもめぇん豆腐もありましゅよ」
「ソフィア様! トーフには種類があるのですか?」
「しょうよ! こりぇをもうしゅこし固めたやちゅが、きにゅごし! 料理ちょ。今からきにゅごしちゅくりましゅよ!」
私がそう言うと料理長が瞳を輝かせる。
「はいっ!」
おぼろ豆腐まで作れるなら後は簡単だからね!
料理長に仕上げを教えるだけで、懐かしい見た目の四角い豆腐が出来上がった。
「ソフィア様! 凄いです。このトーフは私の親友が他国に行った時に学んだ食材でして、その造り方を私は最近教えてもらったところだったんです」
料理長は涙目で感動している。
「これは! トーフの進化ですよ。これだと形がしっかりしているので、色々な料理に使えます!私は今猛烈に感動しています」
料理長は新しい料理の発見に興奮が収まらないようだ。
私はというと、出来上がった豆腐が早く食べたくて堪らない。
「分かっちゃから、豆腐食べよ?」
この世界にはショーユやミソなど前世で馴染んだ調味料はほとんど揃っている。これは本当有難い。さぁて? どうやって食べようかな? やっぱまずはあの食べ方でしょう。
「ソフィア様この食べ方は……?」
「こりぇは、冷ややっこ!」
「……ヒヤヤッコですか」
前世では夏の暑い時によく食べてたなぁ。豆腐の上にネギと生姜、その上に鰹節をふりかけ醤油をかけて食べる。シンプルイズベスト!
「うんっ……うんまぁ」
これこれ! はぁ美味しい。
前世で食べた豆腐より美味しく感じるのは、自分達で作ったからかな。
「美味しいですね! これはアッサリしている中に濃厚なトーフの旨味が堪りませんな。いくらでも食べられそうです。このような料理のアイデアが沢山溢れるソフィア様は、きっと食の神に愛された天才だ!」
豆腐に感動している料理長に、私は次なる料理をお願いする。
「料理ちょ! ちゅぎはデトックシュシュープをちゅくりまちゅよ」
「デトックススープ……ですか?」
「しょうよ。まじゅ野しゃいは、最低二十しゅりゅい入れるこちょ」
「ほう……野菜を二十種類ですか」
豆腐の一件で私を信用してくれたのか、料理長は私の話を真剣に聞きながらメモをとっている。
「しょうよ! ええと、こりぇと……そりぇに……こりぇも入れて」
私はスープに入れる野菜を、真剣に選び料理長に渡す。それを料理長達は細かく刻み寸胴鍋に入れていく。スープに入れるお肉は鳥の胸肉が良いんだけどなぁ。
食材を鑑定してみる。
【オークの塊肉】
脂分が多く、旨味の強い肉。
焼くだけでも美味しいが、衣をつけ揚げて食べても美味しい。
【ロックバードの塊肉】
低脂肪高タンパクで、アッサリした味わいの肉。
脂分が少ないため、調理によっては肉がぱさつく事もある。
これだー! 低脂肪高タンパク! 最高だよロックバード様。
私はロックバードの塊肉を掲げる。
「あちょはこりぇも入れちぇ、肉がほろほろになりゅまで煮込んでくらしゃい」
「はいっ、分かりました!」
料理長たちはちょっと希望を伝えるだけで、ささっと私の望む以上のものに仕上げてくれる。
さすが公爵家の調理人達。
「シュープにょお出汁は、こにょ骨でとってくらしゃい」
さっき鑑定でみたら、ロックバードの骨からは極上の出汁がとれるって書いていた。
是非とも飲んでみたい。
「明日かりゃのご飯は、しゅべて豆腐をちゅかった料理とシュープにしちぇ下しゃい。かんしぇいしたシュープ、楽しみにしちぇますよ」
「はいっ、お任せ下さい!」
料理長達は深々と私に頭を下げた。一斉に頭を下げられると、ちょっと恥ずかしい。
「リリ……わらちはもうちゅかれたから、お部屋にちゅれていって」
「はいっ!」
リリは私を抱き上げ部屋へとスタスタ歩いて行く。
「ソフィア様はいつのまにそんな料理の知識が? もう本当に素晴らしいです。私は感動しました」
リリは私の知識に驚きを隠せないようだ。そりゃそうだよね。
前世の知識です! なんて言える訳もないので、ここは笑って誤魔化そう。
「ふふっ。ちょっと思いちゅいたのよ」
さぁて、部屋に戻るとリリに一仕事してもらわないと……
「ソッ、ソフィア様……本当にいいんですか?」
リリが私の頼み事を叶えていいものかと躊躇している。
その気持ちは分かるけれど、私も一大事なんだ。やってもらわないと!
「いいにょ、縛っちぇ!」
「しっ……縛りますよ?」
私の体はリリによって、ロープでぐるぐる巻きにされ、ベッドから身動き取れないようになった。
なんでこんな事をしないといけないかって? ……くうっ。
それもこれも食い意地のはった、この! わがままボディのせいだ。
お父様とお母様は順調に痩せているのに、私は体力はついたが体は全く痩せていない。
その理由はなんと夜中に夢遊病のように歩き、厨房にある食材や料理を貪り食べていたからだ。
信じられない! リリが発見し教えてくれた時、愕然とした。
ソフィア・グレイドルよ! 全く痩せる気ないな。どこまでも私の邪魔をする。
負けないんだから!
『ぶっ! ソフィア、なんの遊びだよ、それはっ」
シルフィが飛んで来て、縛られた姿を面白そうに見ている。
「こりぇはやしぇるため!」
『そんな事して痩せるのか? お前はやっぱり面白いな。あはははっ』
シルフィは笑い終わると、私の腹に乗り、魔力を美味しそうに食べていた。
◆
「ふむ……今日はまた変わった朝食だね」
お父様はいつもと違う料理が並んでいるテーブルを見て、少し不思議そうに料理長に話しかける。
「はいっ。今日からデトックス料理がスタートします」
料理長が意気揚々と料理の説明をしていく。
「デッ……デトックス料理?」
「こちらのスープは、飲むだけで美しくなる魅惑のスープとなります」
「まっ! んまぁ! それは是非とも味わってみたいですわ」
お母様が飲むだけで美しくなる、という料理長の言葉に反応する。
「そしてこちらはまだ市場に出回っていない未知なる食材、トーフを使ったステーキになります。このトーフはこれからこの街で大流行しますよ」
「未知なる食材!?」
「ええ、そうです! こちらのトーフはソフィア様と一緒に開発したモメントーフです」
「えっ? ソフィアとだって⁉」
お父様は理解が追いつかないのか、明らかに挙動がおかしい。
「はいっ! ソフィア様は五歳とは思えない程に、食に関しての発想が大変素晴らしく、私共では思い付かないアイデアを出してくれます。きっとソフィア様は、食の女神様からの祝福をもらっているのでしょう」
料理長はうっとりと私について語る。食の女神って……ちょっと恥ずかしい。
「ソフィアが……そうか」
お父様が目を見開き、私を見つめる。
「ちょっとひらめきまちて。しゃあ、お父しゃまお母しゃま。しゃめない内に食べて下ちゃい!」
「そうかそうか……私達の可愛い天使は、可愛いだけじゃなかったんだね」
お父様は眉尻を下げ私を見つめた後、トーフステーキを恐る恐る口に入れる。
「おっ……美味しい! これはまるで肉のようだ」
「このスープも美味しいですわ! 良いお出汁が出ていて色々な野菜も食べられて……これなら毎日食べられますわ。美味しい物を食べて美しくなれるなんて! 最高ですわ」
ふふっ。お父様もお母様もダイエットメニューを気に入ってくれたみたいね。良かった。
トーフステーキは朝早起きして、料理長に作って貰った渾身の一品。
豆腐の水気を切り新しい食感に作り変える発想に、料理長は驚き、それから私の事を女神と崇めうっとり見つめてくるようになった。
その時にやり過ぎたと気付いたが、もう後の祭り。
レシピ開発は私だけの力じゃなくて、皆の協力があったからと伝えた時には、料理長だけでなく調理場の皆が私のことを崇めはじめ……私はいつのまにか、調理場の女神様になってしまった。
うーん、やはり屑ソフィアの時には考えられなかった展開。
これはますます破滅から遠ざかってきてるはず!
女神のように見られようが仕方ない、美味しいダイエットメニューのためだもん。
これからも美味しいダイエットメニューを開発し、いっぱい作るんだから。
◆
「やっちゃー! やしぇた! 一キロ減ってる」
体重を量る魔道具の上で、嬉しくて思わず小躍りしてしまう。
その姿をリリは優しい目で見つめてくれている。私にいつもビクビクしていたリリだけど、今はもうそんな姿は微塵もない。リリは優しいお姉さんのように、時に厳しく接してくれる。
「よかったですね。ソフィア様」
ダイエットメニューを開始して一週間。少しずつ痩せ、ようやっと一キロ減った。嬉しい。
お父様とお母様なんて……かなり見た目が変わってきた。
二人とも三重顎が二重顎になっている。
二重顎なのにお母様の顔は美しい。
もしかして……この二人痩せたらかなりの美形なんじゃ……!
流石に細かった時のお父様やお母様の姿は、ソフィアも小さかったから、顔までは思い出せない。
立ち姿がほっそりしていたなぁ? くらいの記憶しかない。
だけどこの二人は明らかに、痩せたら美形なのが分かる。
「ソフィア様、デトックスティー飲まれますか?」
「うんっお願い」
私はソファーに座り、リリが持って来るデトックスティーを、ワクワクしながら待っている。
ポリッ。
一キロ痩せたし、大分動けるようにもなってきた。
もう少し運動メニューを明日から増やそうかな。
ポリッ。
なんの運動しようかなぁ……まだヨガや筋トレはムリだし……
ポリッポリッ。
やっぱり歩く時間を増やす……?
ポリッポリッポリッ。
「ソッ、ソフィア様、その手に持っているのは……!」
デトックスティーを持って来たリリが驚いている。どうしたんだろう?
「ほえ?」
自分の手を見ると、両手にクッキーを握りしめ無意識に頬張っていた。
机の上にあるクッキーのお皿は空っぽになっている。
「ああーーっ! 食べちゃった」
まただっ。このわがままボディめ! 勝手に口に食べ物を運んでくるなんて!
どこまで邪魔するんだ、ソフィア・グレイドル。
このクッキーは、料理長と一緒に考案し完成した、【おからクッキー】というダイエット用のお菓子。ダイエット用とはいえ、こんなに食べたら意味がない。
一日五枚までって決めてたのに……
「すみませんソフィア様、私が早く片付けておけば……」
「リリのせいじゃにゃいの! わたちが悪いのっ」
このおからクッキーはこの後お母様と一緒に、デトックスティーを飲む時に食べようと机に置いていたのだ。
「ソフィアちゃん」
そんな事を考えていたからなのか、お母様がタイミングよく部屋に入って来た。何やら嬉しそうだ。
「お母しゃま!」
お母様はニコニコと微笑みながら、私の横に座る。何かいい事があったのかな?
「今日ね? 王妃様とのお茶会で皆から褒められて!『急に綺麗になったのはどうしてっ?』と、お茶会に来ていた奥様達から質問攻めでね。ふふふっ、あっそうそう、お茶菓子に持って行った、ソフィアちゃん考案の【おからクッキー】も大好評でしたのよ?」
お母様は余程お茶会が楽しかったのか、お喋りが止まらない。
確かにお母様はお肌まで綺麗になって、太いのに以前とは見違える程美しい。
「それで王妃様がね? トーフやデトックススープに興味を持たれて。明日、アイザック様を連れて我が屋敷に遊びに来る事になったの」
「うんうん……って、えっ! 王妃しゃま? アイジャックしゃまが?」
「うふふ♡ 遊びに来るの!」
ちょっ⁉ お母様は嬉しそうに話すが、そんなのは以前はなかったイベントだ。
って事は、以前と未来が変わってきてるって事よね。
……いい方にだよね? だとしたら嬉しいんだけれど。
でも明日って急過ぎませんか? 私まだ一キロしか減ってないのに!
アイザック様に会うのも少し怖い……だってアイザック様との出会いは、白豚令嬢への最初のフラグだから。
ああ、心の準備が出来てないよう。
◆
今日は朝からお屋敷の調理場と庭園がごった返している。
なぜなら、メイド達や料理長達が必死に準備をしているからだ。
なんの準備かって?
それはもちろん、王妃様と皇子様がグレイドル邸に来訪するから、歓迎の準備で忙しいのだ。
来訪の目的はトーフ。だから料理長達は必死にトーフ料理を作っている。
メイド達はというと、食事をする場所を必死に準備している。
お母様が朝いきなり「お外で食べたい」なんて言い出したもんだから……もうメイド達は戦々恐々といった感じで、必死に庭園でのお食事会の準備をしているのである。
王妃様達が来られるまでに、準備が間に合うのか、皆不安そうだ。
私はというと、これといって特にすることもないのでお散歩をしていたのだけど……
フラッと調理場を訪れてみたら、『食の女神ソフィア様ぁぁぁっ! トーフの甘味で何かよいアイデアはないですか』と料理長に泣きつかれ。
今、料理長と一緒にトーフドーナツを作っている。
焼きと揚げで迷ったんだけど、今回は揚げトーフドーナツにしてみた。何故揚げにしたかというと、単純に私が揚げの方が好きだから。
それにまだ、この世界で常用されている魔道具を使ったオーブンの使い方がよく分からない。焼きだと、この魔道具を使ったオーブンに挑戦しないといけないからね。
でも焼いた方がカロリーは低いから、いつか挑戦してみたいところ。
料理長と一緒に、材料を混ぜ合わせ丸い形を作り、油に投入し揚げていく。数分もすると白かった生地がこんがりキツネ色にそまる。
うんうん、美味しそうに揚がってきた。
「出来ちゃ! はわぁ」
油からドーナツをとりだすと、香ばしく甘い香りが食欲を誘う……。料理長も同じ気持ちだろう。目が合うとお互い頷き、何も言わずトーフドーナツを口に入れ咀嚼した。
「はぁ……こりぇこりぇ」
「うっ……美味しっ」
前世でも良く食べたこの味!
前世ではさらにプロテインも生地に混ぜて揚げてたけどね。マッスルスイーツ。
「美味しいですね……甘さは少ないですが香ばしく、クセになる味です。小麦粉を揚げるなんて発想、思いつきませんでした。さすがソフィア様です」
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