25 / 27
妖精さんにご褒美
しおりを挟む
『じゃっ、妖精たちを呼ぶね』
「はい」
ロビンがそう言うと、いつものように時計から光の粒子が溢れ出し、四角い画面を作り出す。
「妖精さんこんばんは」
アルビダは挨拶を交わしながら、画面に向かっていつものようにカーテシーを披露した。
〝アビィ様!! 待ってました。スパチャ〟
チャリン♪ 【1000P】
〝スパチャ一番乗りいただきました〟
〝ぬうんっ、イチとられたでありもうスパチャ〟
チャリン♪ 【1500P】
開始早々、妖精たちが競い合ってスパチャを送り合う。
自分たちのスパチャで、アルビダに新しいスキルを与えることができると分かってから、妖精たちのスパチャ応援合戦が激しくなった。
「今日は妖精さんに質問がありまして。教えてくださいますか?」
アルビダが画面に近寄り妖精たちにお願いする。
〝アルビダ様、なんでも聞いてください〟
〝知ってることなら何でも!〟
〝よし! 公式の検索準備完了〟
妖精たちは、アルビダから相談があると言われ張り切っている。
「あの……今度、王宮で第二王子様のお披露目パーティがあるみたいなのですが……少し不安で、何かアドバイスを頂けたらと思いまして」
アルビダからその話を聞いた妖精たちが、いっせいに騒つき出した。
どうやら第二王子がキーポイントらしい。
〝第二王子の魅了事件!〟
〝これが最終的な断罪の一歩〟
〝第二王子に関わるな!〟
〝第二王子に目を合わせるな!〟
〝アルビダは王子に魅了魔法をかけちゃうんだ〟
画面に恐ろしい速さで文字が羅列されていく。それを見逃さないようにとアルビダは必死に読んでいく。
「ええと……え? 魅了? 目を合わせてはだめ? 王子に魅了魔法をかけちゃう!?」
——ちょっと待ってください!? わたくし魅了なんてスキル持ってません。
「妖精さん、魅了ってなんですか? わたくし魅了ってスキルは持っていません」
アルビダが涙目で妖精たちに訴えかける、よほどよく分からない魅了魔法という言葉が怖かったのだろう。
そんなアルビダに妖精は詳しく説明する。
〝近々ある【スキル称号の儀】で、アビィ様は後の魅了に進化する【感情変化】というスキルを得るんだよ〟
〝そうそう!〟
〝その後に第二王子のお披露目パーティ!〟
「え……スキル称号の儀は確かに、三日後にありますが……」
——妖精さんは私が女神様からいただくスキルが、もう分かるんですか!?
〝はい! 出番です。公式はります〟
〝第二王子のお披露目パーティにて、アルビダは授かったばかりのスキル【感情変化】を無意識に使ってしまう。このスキルはのちに魅了へと進化を遂げる。幼少期に感情変化を使われた王子は、なぜかアルビダがこの日から徐々に気になっていく。そして最終的に大人になった時、魅了をかけられた第二王子がアルビダに虜になる前に断罪される。このパーティは、アルビダが悪の薔薇と言われる序章なのである〟
アルビダの疑問に、すぐさま公式のあらすじを貼ってくれる妖精。
どうやら待機していたようだ。
アルビダが質問する前に、どんどんと先の答えを我先にと教えてくれる妖精たち。
アルビダから褒めて欲しくてたまらないのだろう。
だが……はりきる妖精の気持ちとは裏腹に、アルビダの顔色はどんどん曇っていく。
〝スキル【感情変化】とは、悲しい感情を和らげたり、兵士の士気を高めたりする事に使われる。感情変化→感情誘導→感情操作へと、魔力が高ければ稀に進化する場合もある。最終進化の感情操作が【魅了】と言われている〟
———感情操作が……魅了……。
「魅了をわたくしが王子様に使う……と」
〝魅了とは、人の気持ちを操作できるスキルなんだよ〟
〝大嫌いも大好きに変えれる〟
〝みんながアビィ様のことを大好きになるように、操る事ができる〟
———操って好きになってもらう……!?
「そんなっ……操って大好きになってっ、ほっ、欲しくなどないですっ、ふぅぅっ…うわぁぁぁぁんっ」
妖精たちの言葉に、アルビダは我慢していた涙がとうとう溢れ、号泣してしまう。
アルビダの涙を久しぶりに見た妖精たちは、もっとオブラートに包めばよかったと大反省。スパチャ祭りが始まる。
〝アビィたん泣かないで、ごめんねスパチャ〟
〝調子に乗り申したスパチャ〟
〝全てを伝えるってのは良くないね。反省スパチャ〟
〝アルビダ様の涙は美しい……でもごめんなさいスパチャ〟
ロビンに頭を撫でてもらい、深呼吸しどうにか落ち着いたアルビダ。
冷静になると。
「妖精さん! わたくし感情のスキル絶対に進化させませんわ。使わなければ進化しないのですから」
っと妖精たちの前で拳を握り締め、アルビダは決意するのだった。
泣き止んだアルビダを見て妖精たちはほっと一安心。再びスパチャ合戦が繰り広げられる。
そんな妖精たちにロビンが待ったをかける。
『チッチッチッ、妖精諸君スパチャを投げるのはまだ早い。今日はご褒美があるからね』
ロビンが右手を小刻みに動かせながら、妖精たちに話しかける。ロビンの瞳が映像を映しているので、画面にロビンの姿が映ることはないのだが。
妖精たちは【ロビンのこっそり配信】も大好きなので、声だけで出演しているロビンの事が大好きなのだ。
〝フォぉぉぉぉぉ!? ロビン様〟
〝ご褒美ですと!?〟
〝待機〟
〝待機〟
〝待機〟
〝ロビン様きちゃー!!!!〟
〝ご褒美待機〟
妖精たちは大興奮。そんなロビンが用意したのは、なんと!
アルビダがシュトロン邸にて試着したドレス姿の映像が映し出される。そこにはリリーローズも一緒に、仲良く談笑している姿が映っていた。
『ふふふ。最近レベルが上がったから、録画もできるようになったんだ』
ロビンがドヤ顔で妖精たちに話す。
これには妖精たちも大興奮。
なぜなら幼少期のリリィの姿は、公式サイトのどこにも公開されてないのだから。
〝幼少期のリリィ!!! かっ可愛いいい〟
〝ロビン様ぁ!!!〟
〝眼福眼福!〟
〝アルビダ様とリリィの百合百合♡〟
〝最高に幸せすぎて語彙力失いもうした〟
〝アビィ様もリリィも尊い!〟
可愛い二人の、初々しくも仲睦まじい様子を見せられた妖精たち。
これには妖精たちのスパチャが溢れて止まらない
チャリン♪の音が鳴り止まない。
録画された二人の映像は、過去一番のスパチャのポイントを叩き出したのだった。
「はい」
ロビンがそう言うと、いつものように時計から光の粒子が溢れ出し、四角い画面を作り出す。
「妖精さんこんばんは」
アルビダは挨拶を交わしながら、画面に向かっていつものようにカーテシーを披露した。
〝アビィ様!! 待ってました。スパチャ〟
チャリン♪ 【1000P】
〝スパチャ一番乗りいただきました〟
〝ぬうんっ、イチとられたでありもうスパチャ〟
チャリン♪ 【1500P】
開始早々、妖精たちが競い合ってスパチャを送り合う。
自分たちのスパチャで、アルビダに新しいスキルを与えることができると分かってから、妖精たちのスパチャ応援合戦が激しくなった。
「今日は妖精さんに質問がありまして。教えてくださいますか?」
アルビダが画面に近寄り妖精たちにお願いする。
〝アルビダ様、なんでも聞いてください〟
〝知ってることなら何でも!〟
〝よし! 公式の検索準備完了〟
妖精たちは、アルビダから相談があると言われ張り切っている。
「あの……今度、王宮で第二王子様のお披露目パーティがあるみたいなのですが……少し不安で、何かアドバイスを頂けたらと思いまして」
アルビダからその話を聞いた妖精たちが、いっせいに騒つき出した。
どうやら第二王子がキーポイントらしい。
〝第二王子の魅了事件!〟
〝これが最終的な断罪の一歩〟
〝第二王子に関わるな!〟
〝第二王子に目を合わせるな!〟
〝アルビダは王子に魅了魔法をかけちゃうんだ〟
画面に恐ろしい速さで文字が羅列されていく。それを見逃さないようにとアルビダは必死に読んでいく。
「ええと……え? 魅了? 目を合わせてはだめ? 王子に魅了魔法をかけちゃう!?」
——ちょっと待ってください!? わたくし魅了なんてスキル持ってません。
「妖精さん、魅了ってなんですか? わたくし魅了ってスキルは持っていません」
アルビダが涙目で妖精たちに訴えかける、よほどよく分からない魅了魔法という言葉が怖かったのだろう。
そんなアルビダに妖精は詳しく説明する。
〝近々ある【スキル称号の儀】で、アビィ様は後の魅了に進化する【感情変化】というスキルを得るんだよ〟
〝そうそう!〟
〝その後に第二王子のお披露目パーティ!〟
「え……スキル称号の儀は確かに、三日後にありますが……」
——妖精さんは私が女神様からいただくスキルが、もう分かるんですか!?
〝はい! 出番です。公式はります〟
〝第二王子のお披露目パーティにて、アルビダは授かったばかりのスキル【感情変化】を無意識に使ってしまう。このスキルはのちに魅了へと進化を遂げる。幼少期に感情変化を使われた王子は、なぜかアルビダがこの日から徐々に気になっていく。そして最終的に大人になった時、魅了をかけられた第二王子がアルビダに虜になる前に断罪される。このパーティは、アルビダが悪の薔薇と言われる序章なのである〟
アルビダの疑問に、すぐさま公式のあらすじを貼ってくれる妖精。
どうやら待機していたようだ。
アルビダが質問する前に、どんどんと先の答えを我先にと教えてくれる妖精たち。
アルビダから褒めて欲しくてたまらないのだろう。
だが……はりきる妖精の気持ちとは裏腹に、アルビダの顔色はどんどん曇っていく。
〝スキル【感情変化】とは、悲しい感情を和らげたり、兵士の士気を高めたりする事に使われる。感情変化→感情誘導→感情操作へと、魔力が高ければ稀に進化する場合もある。最終進化の感情操作が【魅了】と言われている〟
———感情操作が……魅了……。
「魅了をわたくしが王子様に使う……と」
〝魅了とは、人の気持ちを操作できるスキルなんだよ〟
〝大嫌いも大好きに変えれる〟
〝みんながアビィ様のことを大好きになるように、操る事ができる〟
———操って好きになってもらう……!?
「そんなっ……操って大好きになってっ、ほっ、欲しくなどないですっ、ふぅぅっ…うわぁぁぁぁんっ」
妖精たちの言葉に、アルビダは我慢していた涙がとうとう溢れ、号泣してしまう。
アルビダの涙を久しぶりに見た妖精たちは、もっとオブラートに包めばよかったと大反省。スパチャ祭りが始まる。
〝アビィたん泣かないで、ごめんねスパチャ〟
〝調子に乗り申したスパチャ〟
〝全てを伝えるってのは良くないね。反省スパチャ〟
〝アルビダ様の涙は美しい……でもごめんなさいスパチャ〟
ロビンに頭を撫でてもらい、深呼吸しどうにか落ち着いたアルビダ。
冷静になると。
「妖精さん! わたくし感情のスキル絶対に進化させませんわ。使わなければ進化しないのですから」
っと妖精たちの前で拳を握り締め、アルビダは決意するのだった。
泣き止んだアルビダを見て妖精たちはほっと一安心。再びスパチャ合戦が繰り広げられる。
そんな妖精たちにロビンが待ったをかける。
『チッチッチッ、妖精諸君スパチャを投げるのはまだ早い。今日はご褒美があるからね』
ロビンが右手を小刻みに動かせながら、妖精たちに話しかける。ロビンの瞳が映像を映しているので、画面にロビンの姿が映ることはないのだが。
妖精たちは【ロビンのこっそり配信】も大好きなので、声だけで出演しているロビンの事が大好きなのだ。
〝フォぉぉぉぉぉ!? ロビン様〟
〝ご褒美ですと!?〟
〝待機〟
〝待機〟
〝待機〟
〝ロビン様きちゃー!!!!〟
〝ご褒美待機〟
妖精たちは大興奮。そんなロビンが用意したのは、なんと!
アルビダがシュトロン邸にて試着したドレス姿の映像が映し出される。そこにはリリーローズも一緒に、仲良く談笑している姿が映っていた。
『ふふふ。最近レベルが上がったから、録画もできるようになったんだ』
ロビンがドヤ顔で妖精たちに話す。
これには妖精たちも大興奮。
なぜなら幼少期のリリィの姿は、公式サイトのどこにも公開されてないのだから。
〝幼少期のリリィ!!! かっ可愛いいい〟
〝ロビン様ぁ!!!〟
〝眼福眼福!〟
〝アルビダ様とリリィの百合百合♡〟
〝最高に幸せすぎて語彙力失いもうした〟
〝アビィ様もリリィも尊い!〟
可愛い二人の、初々しくも仲睦まじい様子を見せられた妖精たち。
これには妖精たちのスパチャが溢れて止まらない
チャリン♪の音が鳴り止まない。
録画された二人の映像は、過去一番のスパチャのポイントを叩き出したのだった。
56
あなたにおすすめの小説
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
乙女ゲームは始まらない
みかん桜
恋愛
異世界転生した公爵令嬢のオリヴィア。
婚約者である王太子殿下の周囲に、乙女ゲームのヒロインを自称する女が現れた。
だが現実的なオリヴィアは慌てない。
現実の貴族社会は、物語のように優しくはないのだから。
これは、乙女ゲームが始まらなかった世界の話。
※恋愛要素は背景程度です。
社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった
木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。
今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。
せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。
床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。
その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。
他サイトでもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる