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本編 燦聖教編
お仕置きスタート
しおりを挟む三百を超える獣人達をどうしようかと悩んでいたら、パールが「もう直ぐ貴族達が屋敷に帰ってくるんじゃないか?」って言うから確かにこんな人数の獣人が広間に居たらややこしくなるので、一旦異空間に入って貰う事にした。
アレクとシファさんに迎えに来て貰い、一旦獣人達の集落に連れて行ってもらう事にした。
今後をどうするか獣人達に色々と聞いてくれるらしい。
アレク頼りにしてるよ。
アレク達を見送ると、ハクとロウが俺の所に滑らかなステップを踏みながら近付いて来た。
『主様!報告があるジャイ』
「報告?何のだ」
『貴族の屋敷に行ったジャイコブ達によると、貴族達は獣人達を召使いとして酷使していた貴族、人族と変わらない扱いをしていた貴族、虐待などをしていた貴族に別れるらしいジャイ』
なっ……そうかこの街でも酷い扱いをされていた獣人がいるんだな。
『それで……お仕置きが必要な一番酷い事してる貴族の屋敷には、建物に大きな赤いバツ印を付けたコブ。二番目に悪い奴は三角を付けたって。何も印がないのが良い貴族だって話していたコブ』
「何だそれっ。分かりやすいな!」
それにしてもジャイコブ達賢くないか?そんな事俺は頼んで無かったのに、何て気がきくんだジャイコブウルフ。
これなら悪い貴族を後でわざわざ探す手間も省ける。
ティーゴは右手をハクの首元に回し左手はロウの首元に同じ様に回し、そしてギュウっと引き寄せ抱きしめた。
「お前達ジャイコブウルフは最高だよ!」
『よせやいっ照れるジャイ』
『まぁ……確かに我らは最高コブ』
ティーゴに抱きしめられたハクとロウは嬉しそうに自分達の顔をティーゴの顔に擦り寄せた。
「わっぷ!」
はぁ……もふもふに埋もれる。幸せ。
ティーゴがハクとロウのふわふわの毛並みを堪能していると、メフィストとパールがやって来た。
「……また幸せそうな顔しおってからに、青色の塔に行かんのか?」
「もちろん行くよ。あっそれでな?」
ティーゴはパールに、ジャイコブウルフ達が貴族達の屋敷に目印を付けていた事を話した。
「ほう……ジャイコブウルフ達は案外賢いんじゃなあ。あの統率力も頷ける」
パールにまで褒められて、ハクとロウのテンションが無駄に上がる。
『何ジャイ?そんなに我らを褒めて……どうする気ジャイ』
『仕方ないコブね……感謝の踊り見せるコブか』
『新作やるジャイ?』
『もちろんアレジャイ』
『トレ~ント♪』
どこからともなくトレントが、フワリと飛び跳ねるようなステップでやって来た。
『おう?トレントも一緒に踊るジャイか?例の新作ジャイ』
『トレント♪』
この後ティーゴ達は、ジャイコブウルフ&トレントによる渾身の踊りを延々と見せられるのだった。
「やっと青色の塔に来れたな」
「ふむ……あの踊りは見応えがあったのう」
「ええっ私は胸が高鳴りました」
何やら楽し気に話しながら三人は塔に向かって歩いて行く。後のメンバーは異空間に戻った。
何故三人かと言うとお仕置きをメフィストがしたいと言ったから。
ティーゴとパールはそのお仕置きを見守る役目で付いて来ている。
「この屋敷に私は囚われていたので、中の構造やどのような人族がいるのかも分かっております」
(さて……どんなお仕置きが良いですかね)
「そうなのか」
青色の塔に続く道を歩きながらメフィストは色々と教えてくれる。
「さてと魔王様、ティーゴ様少し下がっていて下さいね」
塔の入り口に到着すると、メフィストに下がれと言われ後ろに下がるティーゴとパール
「何をする気だ……?」
次の瞬間メフィストからドス黒い邪気を纏った大量の瘴気が放たれた。
その瘴気は入り口から塔の中へと入って行く。
ものの数分で白亜の建物は黒ずみ中から悲痛な叫び声があちこちで聞こえて来た。
「ちょーーーーっ!!」
余りの出来事にティーゴはビックリしワナワナと震えている。
パールは目を丸くし、口元に手をやり「おかしいのう……ちゃんと説明したんじゃが」と小さな声で呟いた。
「ふう……中に入りますか」
メフィストはスッキリした顔で振り返りティーゴとパールを見た。
メフィスト?!何やっちゃってんだよ。そっか、そうだよなアイツ魔族じゃん!しかも四天王!
魔族のお仕置きってこんなに怖いやつ?!綺麗な見た目に騙されて忘れかけてた!
どーすんだよ、真っ白な建物が、あんな一瞬で黒くなるって。
あー……中に入るの怖すぎる。
メフィストは腐っても魔族だった。
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