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本編 浮島編
水の女神ジェラルド
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「ヘスティア様……相変わらずっというか。いつも一番ですね」
————そんなの当たり前じゃない! いっつも覗いっ……んんっ。それより! 随分と久しぶりね? ずっと待ってたのよ?
ヘスティア様がプクッと口を膨らませる。
……困ったな忘れてたなんて言えないしな。
「その……色々とありまして、あっそうそうこの新作の甘味もどうぞ!」
俺は急いで祭壇に甘味を置いた。
————新作? そんなので騙されなっ!? わぁ何これ! 綺麗な甘味ね♡
良かった。気に入って貰えたみたいだ。
この間ソフィアから貰ったキィの実で、ケーキを作ってみたんだが、デコレーションに凝ってみた。スライスした実を花のように並べて見たんだ。我ながら綺麗にできた自信作。
さてと、本題に入らないと。
「ええと……ヘスティア様。今回は水の女神ジェラルド様に用がありまして」
————ええっ? ティーゴ君!? 私にお願いがあるんじゃないの?
またヘスティア様が口を膨らませる。
「ヘスティア様には今度ゆっくりお願いしたいと思います。今日はジェラルド様の元眷属であるリヴァイアサンに会ってもらいたいと思いまして」
————リヴァイアサン! ああっあの子ね。そうね……分かったわ。
ヘスティア様も何か事情を知っているのか、呼んでくるから待っててと言って消えた。
よし! 俺もパール達を呼びにいかないと。
『あのう……急にどうしたんですか?』
「もうすぐ分かるのじゃ!」
トカを呼びに行くと、楽しそうにジャイコブダンスの真っ最中で、ちょっと申し訳なかったが、パールと一緒に連れて来た。
数分待っていると祭壇にジェラルド様の姿が浮かび上がる。
————どうも~私をご指名って? 何のようかしらぁ? って!? 偏屈大賢者!! 何でここにいるのよ!?
ジェラルド様は、大賢者カスパール様姿のパールに目がいき、トカにはまだ気付いていない。
「この姿で会うのは久しぶりじゃのう駄女神よ? 色々あってのう? また復活したんじゃ」
————復活って人族にそんな事できるの?
ジェラルド様は、パールとの会話に夢中で俺の横に居るトカの姿には、全く気付いていない。
トカの方を見ると、目を見開き固まってしまっている。
まだ自分に何が起こっているのか、理解が追いつかない様子。
「おいっ駄女神よ? ワシのことはいいんじゃ! それよりティーゴの横におるヤツを見て何も感じんのか?」
————ええ? ティーゴくんの? 横?
ジェラルド様の視線がトカに向けられる。
————そのトカゲがどうしたって……!? えっ……まさか!? ……水龍なの!?
「そうじゃ。やっと気付いたか! トカよ文句をいっぱい言うてやれ!」
パールがトカの背中を押す。
だがトカは、まだ固まったままだ。
少しの沈黙の後トカがやっと口を開いた。
『ジェラルド様? 私は……私は……会いたかったです! ずっとずっと会いたかったんですよ。嫌われたとしても、私は貴方のことが大好きなのです。ふっふぅ再び……ふぐっううっ。会えっうう……うわああああっ』
トカはこれ以上は話す事は出来ず、泣き崩れてしまった。
そんなトカの頭を、優しく撫でるジェラルド様。
実際に触れる事は出来ないので、撫でているふうだが。
————水龍……私はあなたの事を嫌いだなんて思ったことは一度もないわ。ずっと私のそばに仕えてくれる大切な眷属だと、今も思っているのよ。こうして貴方と話すことが出来るなんて、ティーゴ君に感謝だわ。
『…………ボッボンドにっ? ひっっく。ううっ』
————本当よ! ずっと大切な私の仲間よ。
『ジェラルドざまぁ!!』
実際には抱き合えていないんだが、ジェラルド様がトカを包み込むように優しく抱きしめる。
……良かった。これでトカのわだかまりが消えるといいな。
そんなトカとジェラルド様を見てパールは
「ワシの事も忘れるなよ? ワシの手柄じゃぞ?」
っとジェラルド様にアピールしていた。……ったくパールは。
————そんなの当たり前じゃない! いっつも覗いっ……んんっ。それより! 随分と久しぶりね? ずっと待ってたのよ?
ヘスティア様がプクッと口を膨らませる。
……困ったな忘れてたなんて言えないしな。
「その……色々とありまして、あっそうそうこの新作の甘味もどうぞ!」
俺は急いで祭壇に甘味を置いた。
————新作? そんなので騙されなっ!? わぁ何これ! 綺麗な甘味ね♡
良かった。気に入って貰えたみたいだ。
この間ソフィアから貰ったキィの実で、ケーキを作ってみたんだが、デコレーションに凝ってみた。スライスした実を花のように並べて見たんだ。我ながら綺麗にできた自信作。
さてと、本題に入らないと。
「ええと……ヘスティア様。今回は水の女神ジェラルド様に用がありまして」
————ええっ? ティーゴ君!? 私にお願いがあるんじゃないの?
またヘスティア様が口を膨らませる。
「ヘスティア様には今度ゆっくりお願いしたいと思います。今日はジェラルド様の元眷属であるリヴァイアサンに会ってもらいたいと思いまして」
————リヴァイアサン! ああっあの子ね。そうね……分かったわ。
ヘスティア様も何か事情を知っているのか、呼んでくるから待っててと言って消えた。
よし! 俺もパール達を呼びにいかないと。
『あのう……急にどうしたんですか?』
「もうすぐ分かるのじゃ!」
トカを呼びに行くと、楽しそうにジャイコブダンスの真っ最中で、ちょっと申し訳なかったが、パールと一緒に連れて来た。
数分待っていると祭壇にジェラルド様の姿が浮かび上がる。
————どうも~私をご指名って? 何のようかしらぁ? って!? 偏屈大賢者!! 何でここにいるのよ!?
ジェラルド様は、大賢者カスパール様姿のパールに目がいき、トカにはまだ気付いていない。
「この姿で会うのは久しぶりじゃのう駄女神よ? 色々あってのう? また復活したんじゃ」
————復活って人族にそんな事できるの?
ジェラルド様は、パールとの会話に夢中で俺の横に居るトカの姿には、全く気付いていない。
トカの方を見ると、目を見開き固まってしまっている。
まだ自分に何が起こっているのか、理解が追いつかない様子。
「おいっ駄女神よ? ワシのことはいいんじゃ! それよりティーゴの横におるヤツを見て何も感じんのか?」
————ええ? ティーゴくんの? 横?
ジェラルド様の視線がトカに向けられる。
————そのトカゲがどうしたって……!? えっ……まさか!? ……水龍なの!?
「そうじゃ。やっと気付いたか! トカよ文句をいっぱい言うてやれ!」
パールがトカの背中を押す。
だがトカは、まだ固まったままだ。
少しの沈黙の後トカがやっと口を開いた。
『ジェラルド様? 私は……私は……会いたかったです! ずっとずっと会いたかったんですよ。嫌われたとしても、私は貴方のことが大好きなのです。ふっふぅ再び……ふぐっううっ。会えっうう……うわああああっ』
トカはこれ以上は話す事は出来ず、泣き崩れてしまった。
そんなトカの頭を、優しく撫でるジェラルド様。
実際に触れる事は出来ないので、撫でているふうだが。
————水龍……私はあなたの事を嫌いだなんて思ったことは一度もないわ。ずっと私のそばに仕えてくれる大切な眷属だと、今も思っているのよ。こうして貴方と話すことが出来るなんて、ティーゴ君に感謝だわ。
『…………ボッボンドにっ? ひっっく。ううっ』
————本当よ! ずっと大切な私の仲間よ。
『ジェラルドざまぁ!!』
実際には抱き合えていないんだが、ジェラルド様がトカを包み込むように優しく抱きしめる。
……良かった。これでトカのわだかまりが消えるといいな。
そんなトカとジェラルド様を見てパールは
「ワシの事も忘れるなよ? ワシの手柄じゃぞ?」
っとジェラルド様にアピールしていた。……ったくパールは。
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