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8、駒を出す魔術
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エルフの王都とは真反対の、獣人までいる、行き場のない者たちが身を落とした強奪者の吹き溜まり。
そう聞いて想像するほどひどい場所ではなく、戸惑いながらも、短い間で「ここで生きてみよう」と思えるほど馴染んだ。
だが、とにかくエルフだエルフだと言われるのには閉口だった。
一般的に、エルフはエルフの国、クリッペンヴァルトでは王都でしか見る機会がなく、半エルフでも見た目がエルフと同じレビは、王都の外では目立ってしまう。
髪を束ねて、耳や髪が見えないよう深くフードをかぶる習慣は、本当に最近まで続いていた。
つまり、本物のエルフであるハルカレンディアが、ここに居着くようになるまで。
見た目に区別するのは難しいだろうが、ハルカレンディアは、身をもって「エルフは明らかに全く違う種族」なのを知らずに体現している。
古くさくて堅苦しく、底抜けに真面目だ。善や美に敏感で、その賞賛も隠さない。
これがエルフだという存在は、数は少ないが砦にエルフと半エルフの違いを気づかせ、誰も口にして言わなくても、それは拡がって、解放されたような思いがある。
「とはいえ、な」
とりあえず下ろすだけにするか、と、頭の後ろで束ねた髪から手を離した。
いきなり王都スタイルにして思い切るのは、あまりレビ好みではない。ハルカレンディアなら気にしないのかもしれないが。
頭で理解しても、やり方を習得するには少し時間が必要だった。
暴れ回る心臓が喉までせり上がってきそうだし、どんなに強く握っても拳が震える。
息を吸って、吐いて、十指を開いて握って、手を緩め直してから扉をノックした。
「わ!」
声が掛かるのを待とうと構えた途端に扉が開いて、多分、文字通りに跳び上がった気がする。
「用があったのかよぉ。ドアがどうかしてんのを調べてんのかと思ったじゃねえかぁ」
何分立ってんだよ、と笑う家主が、更に大きく扉を開いた。言葉ではなく、間口の片側に身を退けて招いてくれるのに、お邪魔しますと少し縮こまりながらナハトの独居へと足を踏み入れた。
想像と同じくらいは散らかっているが、単に粗雑なだけで、不潔というほどではなさそうだ。それに、片付かないことについては、人のことは言えない。
「珍しいじゃねえかぁ。なんか実験かぁ?」
「何の実験?」
「俺に訊いてどうすんだよぉ」
笑いながら歩き回って、何かガチャガチャやっている。
その様子や部屋の中を目で追っていると、そのへん座れよと勧められ、悩んだ末に何か判らない木箱に腰を下ろした。
「水しかねえぞぉ」
「あ、ありがと」
カップを受け取り、もてなしの概念があるのを発見しながら、斜め前の別の箱に腰を下ろすナハトを眺める。
「!」
いつものニヤリとは違う、ふっと面白がるような笑みで見つめられ、慌てて目を逸らした。
ふと、この狭い家には大きすぎる気がする机に、ごちゃごちゃと並んでいるのが、全て武器の類だと気がつく。
そこから視線を巡らせれば、衣類や防具も見えてきた。
見ていい? と立ち上がって、まず、やたらに数の多い武器刀剣のエリアに足を寄せた。
「すげえ。なんだこれ、見たことないやつもかなりある……」
「あぁン? どれだよぉ?」
隣に立つナハトに、これとか、と指させば「これはぁ、」と簡素に説明してくれる。
段々面白くなってきて、あれは、これはとつい根掘り葉掘り彼の持ち物について教えてもらい。
「戦闘の関係ばっかだな。戦うの好きなの?」
振り向くと、質問自体が意外だとでもいうよう、両方の眉が跳ね上がった。
「考えたことねえなぁ。言われてみりゃぁ、こういうの見ンのは好きかもかぁ?」
「へえー、でも確かに面白いかも。他に趣味とかねえの」
単に首を傾げただけなのに、なんとなく面白い仕草なのが不思議だ。もう一度、今度は逆側に頭が傾いた。
「狩りかぁ?」
へえ、と、また声を上げてしまう。
「そうなんだ。でもそれって、趣味ってより仕事じゃね?」
ぶほ、と噴き出してから、ゲラゲラ笑い出すのを目を丸くして見つめる。
「お前が言うかよレビィ」
なにが? と一拍おいてから、確かに……と、半眼になって少し顔を背けた。
「遊びに来たのか?」
いつもと違う喋り方が、声まで違って聞こえさせる。
真っ黒な瞳に責める色はないが、疑問に感じているのは理解できる。
「……いや。ナハトは、これから狩り?」
夕方に訪れたのが、視界の端で窓はもう暗くなっている。部屋の明かりは、最初から点いてたんだっけ。
「予定してるわけじゃねえからなぁ」
「そっか」
心は、不思議だ。
もう何年かの付き合いだし、二人で話すことも何度もあった。
でも、こんな風に、他から切り離された場所に二人でいるのは初めてかもしれない。
それだけで、心はまるで剥き出しのように、この奇妙な男に近づきたがって、じたばたし始める。
「こないだの礼を身体で払いに来たんだ」
思ったよりも全然、普通の声で言えた。握って隠している指は、震えていたけど。
「なにがぁ?」
覚えてもいなかったか、と、ほんの少し視線を外して、殺しきれない溜息を鼻から逃がした。
「こないだ。ゴブリンがいただろ、先遣隊の。あの時」
「……ンあぁ? なんかレビに借りたんだっけぇ?」
「もー。だからー。違うって、世話してくれたし助けてくれただろ。その礼」
説明を募っても、相変わらず全然分かっていない顔で、地団駄でも踏みたくなった。
「礼なら身体で払えって言っただろ、ナハトが!」
もしかしたら関節が柔軟なんだろうか。そんな風に頭をひねれるとは。
「だからっ。俺がナハトに、世話してくれてありがとうって言ったら、ナハトは、礼なら身体で払えって言ったの!」
ほお、という形に口が動いて目が合うが、ピンときた顔には見えない。
「言いそうだなぁ。ンで、改めて文句言いに来たのかぁ?」
「いやなんで! 俺の話聞いてんのかよ!」
「今聞いてんだろぉ」
「そうするって言ってんの」
「何をだよぉ?」
「世話になった礼を、身体で払う」
もどかしいやりとりを続けそうだったナハトの口が、ピタッと止まった。
「冗談だぜぇ?」
「わかってるっつの」
「あぁ、冗談だって分かってて言ってんのかぁ……」
また首をひねっているが、確実に近付いてきている。もう少しだ。頑張れナハトと俺。
再び目が合う。少しも笑っていないとこんな顔なのか、と。いつも絶対にちょっと笑ってるのか、とも気づいた。
「冗談だって分かってて何しに来たんだぁ?」
「戻るな。身体で払いに来たんだって」
フッと、目の前の顔の唇が片方吊り上がって、質の悪そうな笑みが浮かぶ。
「意味分かって言ってンのかよぉ」
「解って言ってんだよ」
眼差しを真っ直ぐに向ける先に、笑みが消えて、代わりに怪訝の色が差し込んだ。
「……分かってねえだろ。なんだこのやりとりぃ」
「解ってるってんだろ。せいこ、……セックスのことだろ」
顔の筋肉も柔らかいのかもしれない。眉と目と鼻がぎゅっと真ん中に集まっている。器用な顔すぎる。
つまんでいた手をパッと離したように顔を戻して、視線が戻ってきた。眉間だけが強く寄ったまま。
「ちょっと待てぇ……。レビお前、ンな冗談真に受けて、俺とヤリに来たのかよぉ……」
「冗談を真に受けたんじゃねえけど、別に理由はいいだろ、なんでも。ナハトはどうなんだよ。冗談だったから、ほんとは俺じゃ駄目なのかよ」
「えっ」
マジマジ、と視線が向けられて、心臓が跳ね上がる。
詰まりそうな息を、そっと逃がした。
「……考えたこともなかった」
ぽつ、と、落ちた声に、ああそうだろうよと、なんだか拗ねたような変な気分になる。
「考えて。今」
「考えてるぅ……今ぁ……」
「……あっそ」
少し息が苦しくて、脇に退けていたカップをとって水を飲んだ。鼻の奥で血の味がする。
「うぅんン。まぁ、やめとけよぉ」
グッと一気にカップを乾して、適当な空いたスペースに置き直した。
「俺じゃなくてナハトがどうなのか訊いてんだけど」
「んンー。やめとけよって思ってるぜぇ」
駄目か、と今度は盛大にため息をついてから、行儀悪く片膝を抱えて顎を乗せた。
「なんで?」
そう聞いて想像するほどひどい場所ではなく、戸惑いながらも、短い間で「ここで生きてみよう」と思えるほど馴染んだ。
だが、とにかくエルフだエルフだと言われるのには閉口だった。
一般的に、エルフはエルフの国、クリッペンヴァルトでは王都でしか見る機会がなく、半エルフでも見た目がエルフと同じレビは、王都の外では目立ってしまう。
髪を束ねて、耳や髪が見えないよう深くフードをかぶる習慣は、本当に最近まで続いていた。
つまり、本物のエルフであるハルカレンディアが、ここに居着くようになるまで。
見た目に区別するのは難しいだろうが、ハルカレンディアは、身をもって「エルフは明らかに全く違う種族」なのを知らずに体現している。
古くさくて堅苦しく、底抜けに真面目だ。善や美に敏感で、その賞賛も隠さない。
これがエルフだという存在は、数は少ないが砦にエルフと半エルフの違いを気づかせ、誰も口にして言わなくても、それは拡がって、解放されたような思いがある。
「とはいえ、な」
とりあえず下ろすだけにするか、と、頭の後ろで束ねた髪から手を離した。
いきなり王都スタイルにして思い切るのは、あまりレビ好みではない。ハルカレンディアなら気にしないのかもしれないが。
頭で理解しても、やり方を習得するには少し時間が必要だった。
暴れ回る心臓が喉までせり上がってきそうだし、どんなに強く握っても拳が震える。
息を吸って、吐いて、十指を開いて握って、手を緩め直してから扉をノックした。
「わ!」
声が掛かるのを待とうと構えた途端に扉が開いて、多分、文字通りに跳び上がった気がする。
「用があったのかよぉ。ドアがどうかしてんのを調べてんのかと思ったじゃねえかぁ」
何分立ってんだよ、と笑う家主が、更に大きく扉を開いた。言葉ではなく、間口の片側に身を退けて招いてくれるのに、お邪魔しますと少し縮こまりながらナハトの独居へと足を踏み入れた。
想像と同じくらいは散らかっているが、単に粗雑なだけで、不潔というほどではなさそうだ。それに、片付かないことについては、人のことは言えない。
「珍しいじゃねえかぁ。なんか実験かぁ?」
「何の実験?」
「俺に訊いてどうすんだよぉ」
笑いながら歩き回って、何かガチャガチャやっている。
その様子や部屋の中を目で追っていると、そのへん座れよと勧められ、悩んだ末に何か判らない木箱に腰を下ろした。
「水しかねえぞぉ」
「あ、ありがと」
カップを受け取り、もてなしの概念があるのを発見しながら、斜め前の別の箱に腰を下ろすナハトを眺める。
「!」
いつものニヤリとは違う、ふっと面白がるような笑みで見つめられ、慌てて目を逸らした。
ふと、この狭い家には大きすぎる気がする机に、ごちゃごちゃと並んでいるのが、全て武器の類だと気がつく。
そこから視線を巡らせれば、衣類や防具も見えてきた。
見ていい? と立ち上がって、まず、やたらに数の多い武器刀剣のエリアに足を寄せた。
「すげえ。なんだこれ、見たことないやつもかなりある……」
「あぁン? どれだよぉ?」
隣に立つナハトに、これとか、と指させば「これはぁ、」と簡素に説明してくれる。
段々面白くなってきて、あれは、これはとつい根掘り葉掘り彼の持ち物について教えてもらい。
「戦闘の関係ばっかだな。戦うの好きなの?」
振り向くと、質問自体が意外だとでもいうよう、両方の眉が跳ね上がった。
「考えたことねえなぁ。言われてみりゃぁ、こういうの見ンのは好きかもかぁ?」
「へえー、でも確かに面白いかも。他に趣味とかねえの」
単に首を傾げただけなのに、なんとなく面白い仕草なのが不思議だ。もう一度、今度は逆側に頭が傾いた。
「狩りかぁ?」
へえ、と、また声を上げてしまう。
「そうなんだ。でもそれって、趣味ってより仕事じゃね?」
ぶほ、と噴き出してから、ゲラゲラ笑い出すのを目を丸くして見つめる。
「お前が言うかよレビィ」
なにが? と一拍おいてから、確かに……と、半眼になって少し顔を背けた。
「遊びに来たのか?」
いつもと違う喋り方が、声まで違って聞こえさせる。
真っ黒な瞳に責める色はないが、疑問に感じているのは理解できる。
「……いや。ナハトは、これから狩り?」
夕方に訪れたのが、視界の端で窓はもう暗くなっている。部屋の明かりは、最初から点いてたんだっけ。
「予定してるわけじゃねえからなぁ」
「そっか」
心は、不思議だ。
もう何年かの付き合いだし、二人で話すことも何度もあった。
でも、こんな風に、他から切り離された場所に二人でいるのは初めてかもしれない。
それだけで、心はまるで剥き出しのように、この奇妙な男に近づきたがって、じたばたし始める。
「こないだの礼を身体で払いに来たんだ」
思ったよりも全然、普通の声で言えた。握って隠している指は、震えていたけど。
「なにがぁ?」
覚えてもいなかったか、と、ほんの少し視線を外して、殺しきれない溜息を鼻から逃がした。
「こないだ。ゴブリンがいただろ、先遣隊の。あの時」
「……ンあぁ? なんかレビに借りたんだっけぇ?」
「もー。だからー。違うって、世話してくれたし助けてくれただろ。その礼」
説明を募っても、相変わらず全然分かっていない顔で、地団駄でも踏みたくなった。
「礼なら身体で払えって言っただろ、ナハトが!」
もしかしたら関節が柔軟なんだろうか。そんな風に頭をひねれるとは。
「だからっ。俺がナハトに、世話してくれてありがとうって言ったら、ナハトは、礼なら身体で払えって言ったの!」
ほお、という形に口が動いて目が合うが、ピンときた顔には見えない。
「言いそうだなぁ。ンで、改めて文句言いに来たのかぁ?」
「いやなんで! 俺の話聞いてんのかよ!」
「今聞いてんだろぉ」
「そうするって言ってんの」
「何をだよぉ?」
「世話になった礼を、身体で払う」
もどかしいやりとりを続けそうだったナハトの口が、ピタッと止まった。
「冗談だぜぇ?」
「わかってるっつの」
「あぁ、冗談だって分かってて言ってんのかぁ……」
また首をひねっているが、確実に近付いてきている。もう少しだ。頑張れナハトと俺。
再び目が合う。少しも笑っていないとこんな顔なのか、と。いつも絶対にちょっと笑ってるのか、とも気づいた。
「冗談だって分かってて何しに来たんだぁ?」
「戻るな。身体で払いに来たんだって」
フッと、目の前の顔の唇が片方吊り上がって、質の悪そうな笑みが浮かぶ。
「意味分かって言ってンのかよぉ」
「解って言ってんだよ」
眼差しを真っ直ぐに向ける先に、笑みが消えて、代わりに怪訝の色が差し込んだ。
「……分かってねえだろ。なんだこのやりとりぃ」
「解ってるってんだろ。せいこ、……セックスのことだろ」
顔の筋肉も柔らかいのかもしれない。眉と目と鼻がぎゅっと真ん中に集まっている。器用な顔すぎる。
つまんでいた手をパッと離したように顔を戻して、視線が戻ってきた。眉間だけが強く寄ったまま。
「ちょっと待てぇ……。レビお前、ンな冗談真に受けて、俺とヤリに来たのかよぉ……」
「冗談を真に受けたんじゃねえけど、別に理由はいいだろ、なんでも。ナハトはどうなんだよ。冗談だったから、ほんとは俺じゃ駄目なのかよ」
「えっ」
マジマジ、と視線が向けられて、心臓が跳ね上がる。
詰まりそうな息を、そっと逃がした。
「……考えたこともなかった」
ぽつ、と、落ちた声に、ああそうだろうよと、なんだか拗ねたような変な気分になる。
「考えて。今」
「考えてるぅ……今ぁ……」
「……あっそ」
少し息が苦しくて、脇に退けていたカップをとって水を飲んだ。鼻の奥で血の味がする。
「うぅんン。まぁ、やめとけよぉ」
グッと一気にカップを乾して、適当な空いたスペースに置き直した。
「俺じゃなくてナハトがどうなのか訊いてんだけど」
「んンー。やめとけよって思ってるぜぇ」
駄目か、と今度は盛大にため息をついてから、行儀悪く片膝を抱えて顎を乗せた。
「なんで?」
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