7 / 49
6.みんなの人気者
しおりを挟む
「お待たせ~」
「ほんとに待った」
「セイヤお兄ちゃん、おかえり~」
「ごめんな~、思ったより説明が多くて、時間がかかっちゃたよ」
「パンフレットだけ受け取って、あとで読めばよかった」
「まあ、そう言うなよ。待たせて申し訳ないけど、換金もしなきゃいけないから、またちょっと行ってくる」
「わかった、じゃあ、コリンとあっちのパブで待ってる。あんたのおごりね」
「あ~わかった。すまないがよろしくな」
「セイヤお兄ちゃん、いってらっしゃ~い」
俺は、最初にエルに対応した、黒髪のイケメンの窓口へ行った。
「すいませ~ん、買取りお願いしたいんですけど」
「いらしゃいませ、それでは、カードのご提示をお願い致します」
「あ、はい」
俺が、ギルドカードを渡すと、黒髪イケメンはカードに魔力を流した。
「セイヤさまは、新規ご登録でございますね。今日はどういったものの買取りでございますか?」
カードの表示を確認した後、こちらを向いて聞いてきた。
新規だから、討伐情報などが何も表示されなかったのだろう。
「魔物を討伐したんですけど、解体する道具を持ち合わせていなくて、死体のままなんですが」
「大丈夫でございますよ。解体料を頂きますが、承っております。魔物によっては、素材として買取りできる部位もございますので、よろしければ、その買取り料と解体料を相殺することも可能です。」
「それでお願いします」
良かった、解体してから提出しろとか言われなくて。
「それで、ご提供いただける魔物はどちらに?」
黒髪イケメンが、俺のうしろを覗き込む。
俺が、鞄も何も持っていないので、戸惑っているようだ。
「あ、結構たくさんあるんで、仕舞ってあるんです。ここで出すのも、アレかと思うんですけど・・」
「え?もしかして、セイヤさまはアイテムボックス持ちですか?」
黒髪イケメンは、よほど驚いたのか、若干敬語がおかしくなっている。
「そうですけど」
「さ、左様ですか、これは失礼致しました!では、中庭へおまわりください。そちらで取り出して頂ければ、査定いたしますので」
「わかりました」
「では、どうぞこちらへ」
俺は、隣の窓口の人に何か言ったあと、カウンターのうしろの方の扉へ向かう、黒髪イケメンについって行った。
中庭は、石畳で出来ており、所々にベンチが置いてある程度のシンプルなものだった。
「ここは、簡単な模擬戦なども出来るスペースでもあるんです」
黒髪イケメンが、説明する。
「実は、アイテムボックス持ちの方は、非常に珍しいんですよ」
「そうなんですか?」
窓口じゃないせいか、少しくだけた口調になっている。
「ええ、私も長いことギルドに勤めていますが、セイヤさまで2人目ですね」
「まっ、マジですか?」
やべえ、またヤラカシタみたいだ。
でも、イナンナさまがくれた能力だし、使わにゃ損だよな。
「おそらく、このことが知れ渡ったら、パーティーに誘われまくりですよ」
「まあ、ぶっちゃけ荷物持ちに最適ですもんね」
「そういうことです。さア、ではここに、討伐した魔物を出してください」
そう言って、手のひらで石畳を指し示した。
「わかりました、じゃあ、出します」
俺は、最初に討伐したスライムから順番に、ゴブリン、ウルフと出して行った。
ウルフを出したとき、少し驚いていたようだったが、すぐに表情は元に戻った。
「えっ!し、シルバー・ウルフ?」
「どうかしましたか?」
常に営業スマイルを、顔に保ち続けていた黒髪イケメン・・いい加減名前聞いた方がいいかな?・・が、驚愕の表情に変わった。
「シルバー・ウルフは、Cランクの魔物ですよ?しかも、他にこれだけウルフがいるということは、群だったということですよね?」
「確かに、群でした」
「シルバー・ウルフが率いた群ということは、Cランク上位から下手したらBランク下位に相当します」
「はあ」
「それを、冒険者登録もしていないセイヤさまが、討伐したということは、大変なことなんです。普通はこれだけで、すぐにDランクに昇格してもいいくらいです」
なんか、喋りながら興奮してきているみたいだ。
「残念ながら、今回は反映されませんが」
「大丈夫です、つぎ頑張ります」
今度は、眉を下げている黒髪イケメンに、一応そう言っておいた。
「楽しみにしています。では、査定をいたします。スライムが6にゴブリンが10、ウルフが10でシルバー・ウルフが1と・・・そうですね、解体料を差し引いて、50万シケルお支払いいたします」
「ありがとうございます」
正直、それが日本円にしてどれ程の価値があるのかわからず、俺は素直にお礼を言った。
「カウンターの方で、お支払いしますので、そちらへお戻りいただいてよろしいですか?」
「わかりました」
俺たちは、中庭から建物内に戻った。
途中、黒髪イケメンが、誰かを呼び止めて、話しをしていた。
その人は、ヤケに背が低いのにガッチリした人だなと思っていたら、ドワーフだった。
「あの者は、ギルド職員で、解体担当です」
俺が、驚いて立ち止って見ていたら、そう教えてくれた。
「ではこれで、50万シケルになります」
二人でカウンターに戻ると、そう言って、お金が入った皮袋を渡してくれた。
「すごっ!おもっ!」
俺は、中身を確認して思わず叫んでしまった。
袋の中には、金ピカに輝く金貨が50枚。
本物の金貨をこんなに大量に見たことなかったし、こっちのお金の価値を知らない俺でも、これが大金であることは分かる。
「シルバー・ウルフの毛皮や牙は、高く売れるんです」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
俺は、なぜかお礼を言ったあと、ちょっと恥ずかしくなって、すぐに窓口を後にすることにした。
「またのお越しを、お待ちお待ちしております」
黒髪イケメンが、カウンターの向こうで、深々と頭を下げていた。
カウンターから離れて、パブスペースの方へ向かうと、人だかりが出来ていた。
その中心のテーブルに座っているのは、エルとコリン。
「どうなってんだ?」
遠目から見ても、からまれている訳ではないようだ。
「エルちゃん、今日も可愛いね。奢ってあげようか?」
「エルさま、本日もお美しい!是非、今度お食事にでも」
「エルさん、僕とパーティーを組みませんか?」
「エルちゃん!」
「エルさま」
「エル閣下!」
いや、ある意味、からまれているようだ。
だが、エルはいっさい返事をせずに、ビールみたいな飲み物を飲んでいる・・って、お前未成年じゃなかったっけ?
そんなエルの隣で、コリンは黙々と何かを喰っている。
「コリンちゃんていうのかい?さ、これあげるからお食べ」
「コリンちゃんも可愛いね。牛肉は好きかい?」
「コリンちゃん、兎肉はいかがかな?」
こっちは、なんかやたらと食べ物を貰っているようだ。
あいつ、あんなに食べれたっけ?
「コリン、エル、お待たせ~」
俺が声をかけると、一斉にみんなの視線が突き刺さる。
「おかえり」
「おはえりなは~い!」
エルは、一瞬、俺の方を見て答えると、再び飲み続ける。
コリンは、口の中になんかの肉をいっぱいに頬張って、満面の笑みで、手を振ってきた。
すると、周りにいた男たち~いや、女もいた~が、舌打ちをした後、離れて行った。
「エルって人気者なんだな」
俺は、2人の向かいの席に座りながら、そう言った。
「別に、周りの連中が、勝手に寄ってくるだけ」
エルは、無表情で言った。
「ひんな、やはひいの、ほ肉いっぱいくれたの!」
「エルってほんとクールだな。・・コリンは、口の中のものを食べてから、喋ろうな」
俺の言葉に、エルは鼻先で笑い、コリンはコクコク頷いて、一生懸命に肉を飲み込もうとしていた。
「セイヤも、シカルを飲んだら?」
エルが、自分の飲んでいるものを、勧めてきた。
シカルっていうのか。
ビールみたいだけど、俺、正月に親戚のおじさんに飲まされて、すげー苦かった覚えしかないんだけど。
「そ、そうだな。飲んでみるか。すいませーん!シカルください」
この世界では、16歳で成人だというし、郷にいれば郷に従えだ。
「っていうか、エル、お前未成年だよな?酒なんか飲んでいいのか?」
「いいのよ、冒険者は」
「どんな理屈だよ!」
俺が突っ込んでも、涼しい顔だ。
「ところで、お金は手に入ったの?」
運ばれてきたシカルをひと口飲んだところで、エルが聞いてきた。
シカル、結構イケル。
ビールより、アルコールがきつくない感じだし、フルーティーで甘みもある。
ハマるかも・・じゃなかった、お金の件か。
「ああ、結構いい値段で買ってもらえたと思う。でも、シルバー・ウルフを出したら、すげー驚かれた。俺のランクじゃあり得ないって」
「え!あんた、シルバー・ウルフを狩ったの?そんなはずないわ!あたしでさえ、群の場合は、ちょっとは手こずるのに!」
エルが、突然興奮し出した。
ん?ちょっと待った、あたしでさえ?
どういうこと?
「エルって、何ランク?」
「Aランク」
「えーーー!(駄洒落じゃないよ)」
そんな高ランクなのかよ。
「ちなみに、このエア村にAランクは、何人くらいいるんだ?」
「1人」
「エーーーーー!」
それで、さっきの騒ぎだったのか。
そりゃあ、村唯一のAランク冒険者なら、他の冒険者の憧れだよなあ。
しかも、こんなにかわいいし。
中には、変な崇拝者もいそう・・・。
コリンの方は、単純にかわいいからだろうけど。
「よく分かんないけど、偶然?仕留めることができたんだ」
「偶然で、ヤレる相手でもないんだけど。まあいいわ、それよりあんたたち、今夜寝るとこどうするの?」
俺の適当ないい訳には納得いってないようだけど、エルは重要なことを言ってきた。
「そうだ!どうしよう・・・」
俺は、コリンの顔を見てそう言った。
コリンは、そんな俺の顔を、口のまわりを肉の脂だらけにして、キョトンと首をかしげ、見返してきた。
「ここにも宿泊施設はあるけど、必要最低限な部屋よ。その子と一緒ならキツイかもね。あたしの泊まっている宿屋でいいなら、紹介するけど?」
「そうだな、お願いしようかな」
「わかった」
最低限のところが、妙に強調されていた気がしたが、この世界のことをよく知らない俺は、エルに紹介してもらうことにした。
それにしても、相変わらず表情には乏しいが、親切だよな。
「そうと決まれば、早速行きましょ。支払いお願いね」
エルが椅子から立ち上がる。
「まっへ!」
コリンも、何かをつかんで、椅子からおりた。
・・・お前、まだ喰ってたのか。
「ああ、任せとけ。お金は手に入ったか--あ、エル、借りたお金返しておくよ。さっきの登録料と、夕飯代」
「ご飯代はいいわ。奢ったげる。お近づきのしるしよ」
「あ、ありがとう」
ほんと、クールなんだか、優しんだか・・。
「ほんとに待った」
「セイヤお兄ちゃん、おかえり~」
「ごめんな~、思ったより説明が多くて、時間がかかっちゃたよ」
「パンフレットだけ受け取って、あとで読めばよかった」
「まあ、そう言うなよ。待たせて申し訳ないけど、換金もしなきゃいけないから、またちょっと行ってくる」
「わかった、じゃあ、コリンとあっちのパブで待ってる。あんたのおごりね」
「あ~わかった。すまないがよろしくな」
「セイヤお兄ちゃん、いってらっしゃ~い」
俺は、最初にエルに対応した、黒髪のイケメンの窓口へ行った。
「すいませ~ん、買取りお願いしたいんですけど」
「いらしゃいませ、それでは、カードのご提示をお願い致します」
「あ、はい」
俺が、ギルドカードを渡すと、黒髪イケメンはカードに魔力を流した。
「セイヤさまは、新規ご登録でございますね。今日はどういったものの買取りでございますか?」
カードの表示を確認した後、こちらを向いて聞いてきた。
新規だから、討伐情報などが何も表示されなかったのだろう。
「魔物を討伐したんですけど、解体する道具を持ち合わせていなくて、死体のままなんですが」
「大丈夫でございますよ。解体料を頂きますが、承っております。魔物によっては、素材として買取りできる部位もございますので、よろしければ、その買取り料と解体料を相殺することも可能です。」
「それでお願いします」
良かった、解体してから提出しろとか言われなくて。
「それで、ご提供いただける魔物はどちらに?」
黒髪イケメンが、俺のうしろを覗き込む。
俺が、鞄も何も持っていないので、戸惑っているようだ。
「あ、結構たくさんあるんで、仕舞ってあるんです。ここで出すのも、アレかと思うんですけど・・」
「え?もしかして、セイヤさまはアイテムボックス持ちですか?」
黒髪イケメンは、よほど驚いたのか、若干敬語がおかしくなっている。
「そうですけど」
「さ、左様ですか、これは失礼致しました!では、中庭へおまわりください。そちらで取り出して頂ければ、査定いたしますので」
「わかりました」
「では、どうぞこちらへ」
俺は、隣の窓口の人に何か言ったあと、カウンターのうしろの方の扉へ向かう、黒髪イケメンについって行った。
中庭は、石畳で出来ており、所々にベンチが置いてある程度のシンプルなものだった。
「ここは、簡単な模擬戦なども出来るスペースでもあるんです」
黒髪イケメンが、説明する。
「実は、アイテムボックス持ちの方は、非常に珍しいんですよ」
「そうなんですか?」
窓口じゃないせいか、少しくだけた口調になっている。
「ええ、私も長いことギルドに勤めていますが、セイヤさまで2人目ですね」
「まっ、マジですか?」
やべえ、またヤラカシタみたいだ。
でも、イナンナさまがくれた能力だし、使わにゃ損だよな。
「おそらく、このことが知れ渡ったら、パーティーに誘われまくりですよ」
「まあ、ぶっちゃけ荷物持ちに最適ですもんね」
「そういうことです。さア、ではここに、討伐した魔物を出してください」
そう言って、手のひらで石畳を指し示した。
「わかりました、じゃあ、出します」
俺は、最初に討伐したスライムから順番に、ゴブリン、ウルフと出して行った。
ウルフを出したとき、少し驚いていたようだったが、すぐに表情は元に戻った。
「えっ!し、シルバー・ウルフ?」
「どうかしましたか?」
常に営業スマイルを、顔に保ち続けていた黒髪イケメン・・いい加減名前聞いた方がいいかな?・・が、驚愕の表情に変わった。
「シルバー・ウルフは、Cランクの魔物ですよ?しかも、他にこれだけウルフがいるということは、群だったということですよね?」
「確かに、群でした」
「シルバー・ウルフが率いた群ということは、Cランク上位から下手したらBランク下位に相当します」
「はあ」
「それを、冒険者登録もしていないセイヤさまが、討伐したということは、大変なことなんです。普通はこれだけで、すぐにDランクに昇格してもいいくらいです」
なんか、喋りながら興奮してきているみたいだ。
「残念ながら、今回は反映されませんが」
「大丈夫です、つぎ頑張ります」
今度は、眉を下げている黒髪イケメンに、一応そう言っておいた。
「楽しみにしています。では、査定をいたします。スライムが6にゴブリンが10、ウルフが10でシルバー・ウルフが1と・・・そうですね、解体料を差し引いて、50万シケルお支払いいたします」
「ありがとうございます」
正直、それが日本円にしてどれ程の価値があるのかわからず、俺は素直にお礼を言った。
「カウンターの方で、お支払いしますので、そちらへお戻りいただいてよろしいですか?」
「わかりました」
俺たちは、中庭から建物内に戻った。
途中、黒髪イケメンが、誰かを呼び止めて、話しをしていた。
その人は、ヤケに背が低いのにガッチリした人だなと思っていたら、ドワーフだった。
「あの者は、ギルド職員で、解体担当です」
俺が、驚いて立ち止って見ていたら、そう教えてくれた。
「ではこれで、50万シケルになります」
二人でカウンターに戻ると、そう言って、お金が入った皮袋を渡してくれた。
「すごっ!おもっ!」
俺は、中身を確認して思わず叫んでしまった。
袋の中には、金ピカに輝く金貨が50枚。
本物の金貨をこんなに大量に見たことなかったし、こっちのお金の価値を知らない俺でも、これが大金であることは分かる。
「シルバー・ウルフの毛皮や牙は、高く売れるんです」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
俺は、なぜかお礼を言ったあと、ちょっと恥ずかしくなって、すぐに窓口を後にすることにした。
「またのお越しを、お待ちお待ちしております」
黒髪イケメンが、カウンターの向こうで、深々と頭を下げていた。
カウンターから離れて、パブスペースの方へ向かうと、人だかりが出来ていた。
その中心のテーブルに座っているのは、エルとコリン。
「どうなってんだ?」
遠目から見ても、からまれている訳ではないようだ。
「エルちゃん、今日も可愛いね。奢ってあげようか?」
「エルさま、本日もお美しい!是非、今度お食事にでも」
「エルさん、僕とパーティーを組みませんか?」
「エルちゃん!」
「エルさま」
「エル閣下!」
いや、ある意味、からまれているようだ。
だが、エルはいっさい返事をせずに、ビールみたいな飲み物を飲んでいる・・って、お前未成年じゃなかったっけ?
そんなエルの隣で、コリンは黙々と何かを喰っている。
「コリンちゃんていうのかい?さ、これあげるからお食べ」
「コリンちゃんも可愛いね。牛肉は好きかい?」
「コリンちゃん、兎肉はいかがかな?」
こっちは、なんかやたらと食べ物を貰っているようだ。
あいつ、あんなに食べれたっけ?
「コリン、エル、お待たせ~」
俺が声をかけると、一斉にみんなの視線が突き刺さる。
「おかえり」
「おはえりなは~い!」
エルは、一瞬、俺の方を見て答えると、再び飲み続ける。
コリンは、口の中になんかの肉をいっぱいに頬張って、満面の笑みで、手を振ってきた。
すると、周りにいた男たち~いや、女もいた~が、舌打ちをした後、離れて行った。
「エルって人気者なんだな」
俺は、2人の向かいの席に座りながら、そう言った。
「別に、周りの連中が、勝手に寄ってくるだけ」
エルは、無表情で言った。
「ひんな、やはひいの、ほ肉いっぱいくれたの!」
「エルってほんとクールだな。・・コリンは、口の中のものを食べてから、喋ろうな」
俺の言葉に、エルは鼻先で笑い、コリンはコクコク頷いて、一生懸命に肉を飲み込もうとしていた。
「セイヤも、シカルを飲んだら?」
エルが、自分の飲んでいるものを、勧めてきた。
シカルっていうのか。
ビールみたいだけど、俺、正月に親戚のおじさんに飲まされて、すげー苦かった覚えしかないんだけど。
「そ、そうだな。飲んでみるか。すいませーん!シカルください」
この世界では、16歳で成人だというし、郷にいれば郷に従えだ。
「っていうか、エル、お前未成年だよな?酒なんか飲んでいいのか?」
「いいのよ、冒険者は」
「どんな理屈だよ!」
俺が突っ込んでも、涼しい顔だ。
「ところで、お金は手に入ったの?」
運ばれてきたシカルをひと口飲んだところで、エルが聞いてきた。
シカル、結構イケル。
ビールより、アルコールがきつくない感じだし、フルーティーで甘みもある。
ハマるかも・・じゃなかった、お金の件か。
「ああ、結構いい値段で買ってもらえたと思う。でも、シルバー・ウルフを出したら、すげー驚かれた。俺のランクじゃあり得ないって」
「え!あんた、シルバー・ウルフを狩ったの?そんなはずないわ!あたしでさえ、群の場合は、ちょっとは手こずるのに!」
エルが、突然興奮し出した。
ん?ちょっと待った、あたしでさえ?
どういうこと?
「エルって、何ランク?」
「Aランク」
「えーーー!(駄洒落じゃないよ)」
そんな高ランクなのかよ。
「ちなみに、このエア村にAランクは、何人くらいいるんだ?」
「1人」
「エーーーーー!」
それで、さっきの騒ぎだったのか。
そりゃあ、村唯一のAランク冒険者なら、他の冒険者の憧れだよなあ。
しかも、こんなにかわいいし。
中には、変な崇拝者もいそう・・・。
コリンの方は、単純にかわいいからだろうけど。
「よく分かんないけど、偶然?仕留めることができたんだ」
「偶然で、ヤレる相手でもないんだけど。まあいいわ、それよりあんたたち、今夜寝るとこどうするの?」
俺の適当ないい訳には納得いってないようだけど、エルは重要なことを言ってきた。
「そうだ!どうしよう・・・」
俺は、コリンの顔を見てそう言った。
コリンは、そんな俺の顔を、口のまわりを肉の脂だらけにして、キョトンと首をかしげ、見返してきた。
「ここにも宿泊施設はあるけど、必要最低限な部屋よ。その子と一緒ならキツイかもね。あたしの泊まっている宿屋でいいなら、紹介するけど?」
「そうだな、お願いしようかな」
「わかった」
最低限のところが、妙に強調されていた気がしたが、この世界のことをよく知らない俺は、エルに紹介してもらうことにした。
それにしても、相変わらず表情には乏しいが、親切だよな。
「そうと決まれば、早速行きましょ。支払いお願いね」
エルが椅子から立ち上がる。
「まっへ!」
コリンも、何かをつかんで、椅子からおりた。
・・・お前、まだ喰ってたのか。
「ああ、任せとけ。お金は手に入ったか--あ、エル、借りたお金返しておくよ。さっきの登録料と、夕飯代」
「ご飯代はいいわ。奢ったげる。お近づきのしるしよ」
「あ、ありがとう」
ほんと、クールなんだか、優しんだか・・。
1
あなたにおすすめの小説
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる