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9.その頃とある場所にて
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「チャポ~ン」
奇岩を組み上げて作られた露天風呂に、真っ白な肌の、妖艶な美女がひとり、ゆったりと浸かっている。
満月に照らされた水面に、ひらひらと、もみじの葉が落ちた。
つり目がちの目元が、ほんのりと紅く火照って、色香が際立つ。
不意に、脱衣所に置いたスマホが、電子音を鳴らした。
「もう!ヒトが寛いでいるときに」
彼女はそう言うと、不承不承といった程で、ざばと立ちあがった。
白い肌を伝う水滴が、月明かりに光った。
湯船から出た彼女の肢体は、美そのものだった・・・一箇所を除いて。
滑らかな背中のその下にあるものは、彼女を人ならざる者であることを示していた。
そこにあるのは、九本の尾。
真っ白に輝く、見事な毛並みの尻尾であった。
「もしもし、ウカちゃん。さっきぶり~」
「ちょっとイナちゃん、せっかくいい具合に寛いでいたのに、何か用かしら?」
「あらごめなさい。それは悪いことしたわね」
「ま、いいわ。それよりどうしたの?湯冷めしちゃうから、手短にお願いね」
「分かった。あのさ、あなたまた、勝手にやったでしょう?」
「何のことかしら?」
「とぼけてもダメよ。さっき、こっちに送ってくれた子のすぐ後に、ドサクサに紛れて、もうひとり送ったでしょ?」
「さあ~、どうだったかしら?覚えてないわ。そろそろ、寒くなってきたから、切るわよ?」
「あ、ちょっと!」
「プツッ。」
「ふふふ。うまくやってるかな?あの子」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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