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11.追いかけしもの
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********
「ふにゅ?」
ココはどこ?
真っ白・・・。
あたしは、耳をピクピクさせて、鼻もヒクヒクさせて、あたりを探ってみたけど、何も感じなかった。
自然と尻尾が垂れてしまう。
「こっちじゃよ」
急に、うしろから声がした。
すっごいビックリして、思わず毛が逆立ってしまった。
「コリンと言ったかな?はじめまして、じゃの」
お髭のお爺いちゃん・・・。
「あ!エア神さま!!」
「そうじゃ、エアじゃ。驚かせて、すまんかったの」
びっくりしたけど、優しそうなお顔。
「ううん、だいじょうぶだよ」
「そうか、それは良かった。では、座って話でもしようかの?」
「うん」
エア神さまが、パチンと指を鳴らした。
「うわ~~!」
まわりが白一色の世界から、一面のお花畑に変わった。
目の前には、きれいな小川が流れていて、足元は土手の様になっている。
「さ、そこに座りなされ」
エア神様に言われて、二人で並んで土手に腰を下ろした。
「さて、コリンや」
「なあに?エア神さま」
「じつは、お前さんに確認したい事があって、ここに呼んだのじゃが、心当たりはあるかの?」
「・・・ん~~、わかんない」
「そうか。では、言い方を変えよう。コリンは、自分のステータスを確認したことはあるかな?」
「ステータス?」
「なんじゃ、ステータスも知らんのか・・・。あの女狐め・・・」
「??」
「頭のなかで、『ステータス』と考えてごらん」
『ステータス』
【ステータス】
名前:コリン
年齢:5
種族:狐人族?
称号:「追いかけしもの」(神の眷属)
加護:ウカノミタマの加護
適正属性:火・水・風・土・聖・無属性
職業:
レベル:1
-----------------
(ステータスポイント:0 ×100)
HP:25/25
MP:50/50
-----------------
【スキルステータス】
[スキル]
・火属性魔法LV-
・水属性魔法LV-
・風属性魔法LV-
・土属性魔法LV-
・聖属性魔法LV1 ヒールLV1
・無属性魔法LV-
-----------------
[ユニークスキル]
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・金勘定
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
-----------------
「ほよよ~!!!!」
いっぱい、なんか出てきた~!
「それが、お前さんのステータスじゃ。全言語スキルを持っとるから、読めるじゃろ?」
「うん、読める~。でも、意味わかんな~い」
「ありゃりゃ、まあよいわ。その加護のところに、『ウカノミタマの加護』となっとるじゃろ」
「うん」
「そして称号に、『追いかけしもの(神の眷属)』となっておる」
「ほ~」
「いや、お前さんのことじゃよ?」
「そうなんだ~、で?」
「なんか、調子狂うのう」
「ゴメンナサイ」
「謝らなくてもよい。要するにお前さん、ウカノミタマに頼んで、こっちの世界に飛ばしてもらったんじゃろ?」
ウカノミタマ・・・・・・・・・あっ!
「ウカのお姐さま!!」
「そうじゃ、そのウカのお姐さまに、何か願わなかったか?」
「ん~とね・・」
********
『キキキィー!』
ママに呼ばれて、道を渡ろうとしたら、おっきな音がした。
音のした方を見たら、黒い大きな奴が、目玉を見開いてこっちに向かってきてた。
あたしは思わず、道の真中で竦んで、固まってしまった。
そいつは、そのままどっかへ行っちゃたけど、今度は反対側から、またおんなじ様な奴が走ってきた。
「ぶつかる!」と、思った。
その時、何かがあたしに覆いかぶさって、まわりが真っ暗になった。
『ガツッ』
すごい音がして、あたしは少しだけ衝撃を感じたけど、どこも痛くはなかった。
『い、痛てえ!』
誰かの声がした。
その瞬間、ふわっとした感じがして、自分の体重が無くなったみたいになった。
ふわふわした感覚の中、何かの暖かい体温を感じていた。
『茶色くて・・・ん、きつね色?モフモフしてて、とっても柔らかく肌触りがいい。子犬?耳が大きいな。シッポもふさふさ。・・・きつね?・・なんでこんな街なかに、キツネが?ん?狐?マジで?』
「ん?何言ってんの?これは、誰かの声?」
次の瞬間、ものすごい衝撃が来た。
でも、全然痛くない。
まわりが少し明るくなって、あたしの目に映ったのは、人間の男の子の瞳だった。
「きれいな目・・・」
男の子が目をつむってしまうと、あたしを包み込んでいた力が無くなった。
男の子の鼻に、あたしの鼻をくっつけてみたけど、男の子は目を覚まさなかった。
唇を舌でナメてみたけど、もう何もしゃべらなかった。
「早く来なさい!」
ママが、向こうから呼んできた。
あたしは、何回も振り返りながら、ママのところへ走っていった。
その間も、男の子は、じっとしたままだった。
「だから、道を渡るときは気をつけなさいって、言ったでしょ!」
ママが、ものすごく怒ってきた。
「ゴメンナサイ、ママ。でも、あの男の子どうしちゃったの?」
「あの人は、あなたのことを庇ってくれたのよ。あの人のお陰で、あなたは生きているのよ」
えっ!
「あの男の子は、あたしの代わりに死んじゃったの?」
「そうよ、でももう仕方のないことよ。いつまでも、こんな目立つ所にはいられないわ。お礼を言って、行きましょう」
「・・・・・・うん。わかった」
あのあとすぐに、ママやパパ、兄妹たちは皆んな、あの大きな奴に殺されたり、野犬に噛み殺されてしまった。
あたしは、ひとりぼっちになってしまって、一生懸命に神さまにお願いをした。
「あの男の子に恩返しがしたい。せめて、もう一度会いたい。ううん、ずっと一緒にいたい」
それから、5年が経った。
あたしは、毎日、まいにち、神さまにお願いをしていた。
ひとりぼっちのまま、やがてあたしの寿命がくる時が来た。
あたしが目を閉じようとすると、あたりが白い光に包まれて、暖かくなるのを感じた。
『目を開けなさい』
遠くから、女の人の声がした。
目をゆっくりと開けると、目の前に、真っ白な毛並みの、尻尾が9つあるひとが座っていた。
『ずいぶん待たせちゃったわね』
「あなたは誰ですか?」
『ごめんごめん、あたしはウカノミタマよ。ウカって呼んでね』
「ウカお姐さまは、もしかして神さまですか?」
『そうよ、よく分かったわね』
「だって、すごく綺麗ですもん」
『嬉しいこと言ってくれるわね。あなた、ずっとあたしにお願いしてたでしょ?』
「あ!聞いてくれてたんだ」
『聞こえてたわよ。でもね、生きている間は、どうすることも出来なかったのよね』
「じゃあ、あたしはもう死んじゃったの?」
『そうね、でもようやく、あなたの願いを聞いてあげれるわ』
「えっ!ほんとう!?」
『うん、5年も待たせちゃったけど』
「やったあ~!早く、あの男の子の所に行きたい!」
『その前に、一つだけ聞いて。いまあの子は、こことは別の世界にいるんだけど、あなたがあっちに行くには、そのままの姿では行けないわ。仮に行ったとしても、側にはいられない』
「じゃあ、どうすれば?」
『あたしが、転生させてあげる』
「転生?」
『そう、転生すれば、あの子と一緒にいても問題なくなるわ』
「全然かまわない!あたし、転生する!」
『分かったわ、でもただ転生するだけじゃ、すぐに足手まといになるだけだから、あたしからのお詫びの印にも、能力を与えるわね』
「お詫びって?」
『ん?こっちの話よ。じゃあ、もう一度目をつむって』
「うん」
********
「うん!お願いした!!」
「長い回想じゃのう・・・・」
「ふへ?」
「いや、なんでもない。何を願った?」
「セイヤお兄ちゃんと、ずっと一緒にいたいって、お願いしたの!」
「そうか、やはりな。ウカは、他に何か言ってなかったか?」
「『お詫びの印』って言ってた」
「なるほどの・・。なあ、コリンや」
「なあに?エア神さま」
「本当はな、こっちの神の了解なしに、転生や転移をさせてはならんのじゃ」
「コリンは、来ちゃイケなかったの?」
「フム。いけない訳ではないが、どうやらウカのやつが、無断でお前さんを転生させたようなのじゃ」
「そうなんだ・・・。ウカお姐さま、怒られちゃうの?」
「ま、今回はヨシとしよう」
「やったー!エア神さまありがとう」
「ところで、これから先もセイヤと一緒にいたいか?」
「いたい!!」
「では、そのままのステータスでは、難しかろう。特別にワシから、プレゼントをあげよう」
「ぷれぜんと?」
エア神さまが、あたしの頭に手を載せてきた。
「目をつむりなさい」
「ウカ姐さまのときと、とおんなじだあ!」
「いいから、はよつむりなさい」
「はーい」
・・・あったか~い。
眠くなっちゃう。
「目を開けて良いぞ」
「Zzzzzzz」
「寝るでない!」
「ほあ、・・・おはようございます。エア神さま」
「おはよう。・・・じゃのうて!どうも、調子が狂うのう」
「ゴメンナサイ」
「だから、繰り返し!」
「キャハハハッ。エア神さま、面白~い」
「ハア・・・。とにかく、もう一度ステータスを開いてみい」
「はーい」
『ステータス』
【ステータス】
名前:コリン
年齢:5
種族:狐人族?
称号:「追いかけしもの」(神の眷属)
加護:ウカノミタマの加護、エアの加護
適正属性:火・水・風・土・聖・無属性
職業:
レベル:1
-----------------
(ステータスポイント:100 ×100)
HP:25/25
MP:50/50
-----------------
【スキルステータス】
[スキル]
・火属性魔法LV-
・水属性魔法LV-
・風属性魔法LV-
・土属性魔法LV-
・聖属性魔法LV1 ヒールLV1
・無属性魔法LV-
-----------------
[ユニークスキル]
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・金勘定
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
・ステータス自動配分(現在設定:均等)
・摸倣
-----------------
「どうじゃな?」
「よく分かんないけど、『ステータス自動配分』ていうのと、『摸倣』っていうのが増えたみたい」
難しい言葉は、よく分かんないんだけどなあ。
「『摸倣』というのは、あるスキルの簡易版みたいなものなんじゃが、そのうち分かるじゃろ」
「ふーん」
「・・・あ、エホン。それで、『ステータス自動配分』の方じゃが、それをタッチしてみい」
「タッチ!・・『on/off』って、出て来たあ!」
「それをタッチして、on にしてごらん」
「タッチ。んん?」
【ステータス】
名前:コリン
年齢:5
種族:狐人族?
称号:「追いかけしもの」(神の眷属)
加護:ウカノミタマの加護、エアの加護
適正属性:火・水・風・土・聖・無属性
職業:
レベル:1
-----------------
(ステータスポイント:0×100)
HP:1175/1175
MP:1200/1200
-----------------
【スキルステータス】
[スキル]
・火属性魔法LV10 ファイヤボールLV1、
・水属性魔法LV10 ウォーターボールLV1、
・風属性魔法LV10 ウィンドボールLV1、
・土属性魔法LV10 サンドボールLV1、
・聖属性魔法LV10 ヒールLV3、
・無属性魔法LV10 クリーンLV1、
-----------------
[ユニークスキル]
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・金勘定
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
・ステータス自動配分(現在設定:均等 on)
・摸倣
-----------------
「わーー!いっぱい変わった」
意味は、分かんないけど。
「ふむ。これで、意味を理解するまでは、自動的に成長できるじゃろう」
「えー、エア神さま教えてくれないの~?」
「今はそこまで時間はないからの、これから色々と経験を積めば、おいおい理解できるようになる。とはいえ、魔法については、セイヤやエルに、ちょっとずつ使い方を教えてもらいなさい」
「はーい」
「では、そろそろお別れじゃ。達者でな」
「えーっ!もうお別れ?」
「すまぬな、他にも予定があってな」
「んーじゃあ、しょうがないね」
「コリンは、聞き分けの良い、いい子じゃの」
「うん、コリンはいい子!」
「では、またな」
「うん、バイバ~イ」
まわりが、白い光に包まれてきた。
「・・あ!セイヤお兄ちゃんに、あたしのことは?」
「いずれ、自ずと知れることになる・・・」
光で何も見えなくなった・・・。
「ふにゅ?」
ココはどこ?
真っ白・・・。
あたしは、耳をピクピクさせて、鼻もヒクヒクさせて、あたりを探ってみたけど、何も感じなかった。
自然と尻尾が垂れてしまう。
「こっちじゃよ」
急に、うしろから声がした。
すっごいビックリして、思わず毛が逆立ってしまった。
「コリンと言ったかな?はじめまして、じゃの」
お髭のお爺いちゃん・・・。
「あ!エア神さま!!」
「そうじゃ、エアじゃ。驚かせて、すまんかったの」
びっくりしたけど、優しそうなお顔。
「ううん、だいじょうぶだよ」
「そうか、それは良かった。では、座って話でもしようかの?」
「うん」
エア神さまが、パチンと指を鳴らした。
「うわ~~!」
まわりが白一色の世界から、一面のお花畑に変わった。
目の前には、きれいな小川が流れていて、足元は土手の様になっている。
「さ、そこに座りなされ」
エア神様に言われて、二人で並んで土手に腰を下ろした。
「さて、コリンや」
「なあに?エア神さま」
「じつは、お前さんに確認したい事があって、ここに呼んだのじゃが、心当たりはあるかの?」
「・・・ん~~、わかんない」
「そうか。では、言い方を変えよう。コリンは、自分のステータスを確認したことはあるかな?」
「ステータス?」
「なんじゃ、ステータスも知らんのか・・・。あの女狐め・・・」
「??」
「頭のなかで、『ステータス』と考えてごらん」
『ステータス』
【ステータス】
名前:コリン
年齢:5
種族:狐人族?
称号:「追いかけしもの」(神の眷属)
加護:ウカノミタマの加護
適正属性:火・水・風・土・聖・無属性
職業:
レベル:1
-----------------
(ステータスポイント:0 ×100)
HP:25/25
MP:50/50
-----------------
【スキルステータス】
[スキル]
・火属性魔法LV-
・水属性魔法LV-
・風属性魔法LV-
・土属性魔法LV-
・聖属性魔法LV1 ヒールLV1
・無属性魔法LV-
-----------------
[ユニークスキル]
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・金勘定
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
-----------------
「ほよよ~!!!!」
いっぱい、なんか出てきた~!
「それが、お前さんのステータスじゃ。全言語スキルを持っとるから、読めるじゃろ?」
「うん、読める~。でも、意味わかんな~い」
「ありゃりゃ、まあよいわ。その加護のところに、『ウカノミタマの加護』となっとるじゃろ」
「うん」
「そして称号に、『追いかけしもの(神の眷属)』となっておる」
「ほ~」
「いや、お前さんのことじゃよ?」
「そうなんだ~、で?」
「なんか、調子狂うのう」
「ゴメンナサイ」
「謝らなくてもよい。要するにお前さん、ウカノミタマに頼んで、こっちの世界に飛ばしてもらったんじゃろ?」
ウカノミタマ・・・・・・・・・あっ!
「ウカのお姐さま!!」
「そうじゃ、そのウカのお姐さまに、何か願わなかったか?」
「ん~とね・・」
********
『キキキィー!』
ママに呼ばれて、道を渡ろうとしたら、おっきな音がした。
音のした方を見たら、黒い大きな奴が、目玉を見開いてこっちに向かってきてた。
あたしは思わず、道の真中で竦んで、固まってしまった。
そいつは、そのままどっかへ行っちゃたけど、今度は反対側から、またおんなじ様な奴が走ってきた。
「ぶつかる!」と、思った。
その時、何かがあたしに覆いかぶさって、まわりが真っ暗になった。
『ガツッ』
すごい音がして、あたしは少しだけ衝撃を感じたけど、どこも痛くはなかった。
『い、痛てえ!』
誰かの声がした。
その瞬間、ふわっとした感じがして、自分の体重が無くなったみたいになった。
ふわふわした感覚の中、何かの暖かい体温を感じていた。
『茶色くて・・・ん、きつね色?モフモフしてて、とっても柔らかく肌触りがいい。子犬?耳が大きいな。シッポもふさふさ。・・・きつね?・・なんでこんな街なかに、キツネが?ん?狐?マジで?』
「ん?何言ってんの?これは、誰かの声?」
次の瞬間、ものすごい衝撃が来た。
でも、全然痛くない。
まわりが少し明るくなって、あたしの目に映ったのは、人間の男の子の瞳だった。
「きれいな目・・・」
男の子が目をつむってしまうと、あたしを包み込んでいた力が無くなった。
男の子の鼻に、あたしの鼻をくっつけてみたけど、男の子は目を覚まさなかった。
唇を舌でナメてみたけど、もう何もしゃべらなかった。
「早く来なさい!」
ママが、向こうから呼んできた。
あたしは、何回も振り返りながら、ママのところへ走っていった。
その間も、男の子は、じっとしたままだった。
「だから、道を渡るときは気をつけなさいって、言ったでしょ!」
ママが、ものすごく怒ってきた。
「ゴメンナサイ、ママ。でも、あの男の子どうしちゃったの?」
「あの人は、あなたのことを庇ってくれたのよ。あの人のお陰で、あなたは生きているのよ」
えっ!
「あの男の子は、あたしの代わりに死んじゃったの?」
「そうよ、でももう仕方のないことよ。いつまでも、こんな目立つ所にはいられないわ。お礼を言って、行きましょう」
「・・・・・・うん。わかった」
あのあとすぐに、ママやパパ、兄妹たちは皆んな、あの大きな奴に殺されたり、野犬に噛み殺されてしまった。
あたしは、ひとりぼっちになってしまって、一生懸命に神さまにお願いをした。
「あの男の子に恩返しがしたい。せめて、もう一度会いたい。ううん、ずっと一緒にいたい」
それから、5年が経った。
あたしは、毎日、まいにち、神さまにお願いをしていた。
ひとりぼっちのまま、やがてあたしの寿命がくる時が来た。
あたしが目を閉じようとすると、あたりが白い光に包まれて、暖かくなるのを感じた。
『目を開けなさい』
遠くから、女の人の声がした。
目をゆっくりと開けると、目の前に、真っ白な毛並みの、尻尾が9つあるひとが座っていた。
『ずいぶん待たせちゃったわね』
「あなたは誰ですか?」
『ごめんごめん、あたしはウカノミタマよ。ウカって呼んでね』
「ウカお姐さまは、もしかして神さまですか?」
『そうよ、よく分かったわね』
「だって、すごく綺麗ですもん」
『嬉しいこと言ってくれるわね。あなた、ずっとあたしにお願いしてたでしょ?』
「あ!聞いてくれてたんだ」
『聞こえてたわよ。でもね、生きている間は、どうすることも出来なかったのよね』
「じゃあ、あたしはもう死んじゃったの?」
『そうね、でもようやく、あなたの願いを聞いてあげれるわ』
「えっ!ほんとう!?」
『うん、5年も待たせちゃったけど』
「やったあ~!早く、あの男の子の所に行きたい!」
『その前に、一つだけ聞いて。いまあの子は、こことは別の世界にいるんだけど、あなたがあっちに行くには、そのままの姿では行けないわ。仮に行ったとしても、側にはいられない』
「じゃあ、どうすれば?」
『あたしが、転生させてあげる』
「転生?」
『そう、転生すれば、あの子と一緒にいても問題なくなるわ』
「全然かまわない!あたし、転生する!」
『分かったわ、でもただ転生するだけじゃ、すぐに足手まといになるだけだから、あたしからのお詫びの印にも、能力を与えるわね』
「お詫びって?」
『ん?こっちの話よ。じゃあ、もう一度目をつむって』
「うん」
********
「うん!お願いした!!」
「長い回想じゃのう・・・・」
「ふへ?」
「いや、なんでもない。何を願った?」
「セイヤお兄ちゃんと、ずっと一緒にいたいって、お願いしたの!」
「そうか、やはりな。ウカは、他に何か言ってなかったか?」
「『お詫びの印』って言ってた」
「なるほどの・・。なあ、コリンや」
「なあに?エア神さま」
「本当はな、こっちの神の了解なしに、転生や転移をさせてはならんのじゃ」
「コリンは、来ちゃイケなかったの?」
「フム。いけない訳ではないが、どうやらウカのやつが、無断でお前さんを転生させたようなのじゃ」
「そうなんだ・・・。ウカお姐さま、怒られちゃうの?」
「ま、今回はヨシとしよう」
「やったー!エア神さまありがとう」
「ところで、これから先もセイヤと一緒にいたいか?」
「いたい!!」
「では、そのままのステータスでは、難しかろう。特別にワシから、プレゼントをあげよう」
「ぷれぜんと?」
エア神さまが、あたしの頭に手を載せてきた。
「目をつむりなさい」
「ウカ姐さまのときと、とおんなじだあ!」
「いいから、はよつむりなさい」
「はーい」
・・・あったか~い。
眠くなっちゃう。
「目を開けて良いぞ」
「Zzzzzzz」
「寝るでない!」
「ほあ、・・・おはようございます。エア神さま」
「おはよう。・・・じゃのうて!どうも、調子が狂うのう」
「ゴメンナサイ」
「だから、繰り返し!」
「キャハハハッ。エア神さま、面白~い」
「ハア・・・。とにかく、もう一度ステータスを開いてみい」
「はーい」
『ステータス』
【ステータス】
名前:コリン
年齢:5
種族:狐人族?
称号:「追いかけしもの」(神の眷属)
加護:ウカノミタマの加護、エアの加護
適正属性:火・水・風・土・聖・無属性
職業:
レベル:1
-----------------
(ステータスポイント:100 ×100)
HP:25/25
MP:50/50
-----------------
【スキルステータス】
[スキル]
・火属性魔法LV-
・水属性魔法LV-
・風属性魔法LV-
・土属性魔法LV-
・聖属性魔法LV1 ヒールLV1
・無属性魔法LV-
-----------------
[ユニークスキル]
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・金勘定
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
・ステータス自動配分(現在設定:均等)
・摸倣
-----------------
「どうじゃな?」
「よく分かんないけど、『ステータス自動配分』ていうのと、『摸倣』っていうのが増えたみたい」
難しい言葉は、よく分かんないんだけどなあ。
「『摸倣』というのは、あるスキルの簡易版みたいなものなんじゃが、そのうち分かるじゃろ」
「ふーん」
「・・・あ、エホン。それで、『ステータス自動配分』の方じゃが、それをタッチしてみい」
「タッチ!・・『on/off』って、出て来たあ!」
「それをタッチして、on にしてごらん」
「タッチ。んん?」
【ステータス】
名前:コリン
年齢:5
種族:狐人族?
称号:「追いかけしもの」(神の眷属)
加護:ウカノミタマの加護、エアの加護
適正属性:火・水・風・土・聖・無属性
職業:
レベル:1
-----------------
(ステータスポイント:0×100)
HP:1175/1175
MP:1200/1200
-----------------
【スキルステータス】
[スキル]
・火属性魔法LV10 ファイヤボールLV1、
・水属性魔法LV10 ウォーターボールLV1、
・風属性魔法LV10 ウィンドボールLV1、
・土属性魔法LV10 サンドボールLV1、
・聖属性魔法LV10 ヒールLV3、
・無属性魔法LV10 クリーンLV1、
-----------------
[ユニークスキル]
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・金勘定
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
・ステータス自動配分(現在設定:均等 on)
・摸倣
-----------------
「わーー!いっぱい変わった」
意味は、分かんないけど。
「ふむ。これで、意味を理解するまでは、自動的に成長できるじゃろう」
「えー、エア神さま教えてくれないの~?」
「今はそこまで時間はないからの、これから色々と経験を積めば、おいおい理解できるようになる。とはいえ、魔法については、セイヤやエルに、ちょっとずつ使い方を教えてもらいなさい」
「はーい」
「では、そろそろお別れじゃ。達者でな」
「えーっ!もうお別れ?」
「すまぬな、他にも予定があってな」
「んーじゃあ、しょうがないね」
「コリンは、聞き分けの良い、いい子じゃの」
「うん、コリンはいい子!」
「では、またな」
「うん、バイバ~イ」
まわりが、白い光に包まれてきた。
「・・あ!セイヤお兄ちゃんに、あたしのことは?」
「いずれ、自ずと知れることになる・・・」
光で何も見えなくなった・・・。
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