エンリルの風 チートを貰って神々の箱庭で遊びましょ!

西八萩 鐸磨

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23.奥方様

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「やっと会えたわね。」


 白い部屋に、バーカウンターのようなテーブル。

 脚の高いスツールが2脚。

 その一つに、青紫色の髪の美少女が座っていた。

 髪の長さは、肩くらい。

 切れ長の目は、透き通った水色の瞳。

 薄い水色のフレアスカートから伸びる細い脚が、スツールのせいでより強調されていた。

 手にワイングラスを持って、微笑んでいる。


「あの・・もしかして?」


 俺は、その綺麗な脚から無理やり目をそらして、言った。

 改めて、彼女の頭を見ると、細く尖った角が2本生えているのが見えた。


「そう、わたしはニンフルサグ。豊穣を司る女神よ。待っていたわ、セイヤくん」


 そう言って、持っていたグラスを少し持ち上げた。


「ぐるるる」


 その時、ニンフルサグ神さまの足元から唸り声が聞こえた。


「そうそう、あなたもね」

 
 そう言う、ニンフルサグ神さまの視線の先には、ライオンの子どものような動物が寝そべっていた。


「あ、あの・・その仔は?」


 俺は、震える指で指して尋ねた。


「この仔はライアン。セイヤくんは、獣に好かれるタイプのようね」

「そ、そうなんですか?」

「ぎゃーう」


 俺が困惑していると、ライアンが笑顔?で、アクビのような大口を開けて、ひと声鳴いた。


「ね?」


 ニンフルサグ神さまが、とびきりの笑顔で言った。

 惚れそ・・。


「そいえば、待っていたってどういうことですか?」


 俺は話をもとに戻すべく、たずねた。


「あら、あの人に言われなかった?」

「あのひと?」


 誰だ?


「うちの旦那、エアよ」

「え?だんな?」


 ニンフルサグ神さまって、エア神さまの奥さんなの?


「そうよ、あのスケベエ爺。女に手を出すのは早いくせに、肝心な時に抜けているから。ちゃんと言ってなかったかしら?これから先、どうしなさいって」


 スケベエじい?

 ・・・・なんとなく、納得。

 じゃなくて。


「あの、たしか他の国を巡ってみろ、みたいなこと言ってたような」

「そう、それよ。で、他の国に行ったらどうしろって言ってなかった?」


 ニンフルサグ神さまは、指を鳴らして言ってきた。


「え?・・ん~~と、言ってません。行けば分かる的なことしか・・・」

「んも~しかたないわね、あのボケ老人。あのね、ただ諸国を巡ればいいってものじゃないの」


 ニンフルサグ神さまは、呆れたように首を振り言った。


「それぞれの国の町に行ったら、必ずその町の神殿を尋ねなさい。わかった?」


 そんなこと、ひとことも言ってなかったぞ、エア神さま。


「は、はい分かりました。もしかして、だから待っていたと、おっしゃったんですか?」 

「そうなんだけど・・・こんなに早く、この村がこんなことになるのは想定外だったわ。こうなると、出発は早めてもらわないと、いけなくなったわね・・・」


 ニンフルサグ神さまは、人差し指を顎に当てて考え込むような素振りをした。


「あの・・・ニンフルサグ神さま?」

「あ、ごめんなさい。この村は、この国にとって重要な拠点だから、すぐに再建されると思うから、この神殿も元通りにしてくれるでしょう、気にしないでね。それより、あなたにしてあげなければならない事があるわ」


 なんか勘違いされたような気もするが、なにをしてくれるというのだろう?


「さ、これをお飲みなさい」


 そう言ったニンフルサグ神さまの手には、もう一つワイングラス・・いわゆるシャンパングラスがあった。


「い、いただきます」


 薄い黄金色に輝く液体が入ったグラスを受け取った俺は、それを鼻先に持ってきて香りをかいでみた。

 凄くいい薫りだ。


「コクッ・・・う、美味い」


 一口飲んでみると、口の中に芳醇な香りが微炭酸の発泡で、ふわりと広がった。


「うグッ、ウグッ・・」


 一気に飲み干す。

 すると、全身が淡い水色の光に包まれた。

 
「あの、これって?」

「新しい能力ちからを授けたわ。あとで確認するといいわ」


 ヤッパリそういうことか。

 ・・ということは、これから神殿をひとつ尋ねるたびに、スキルを授かるってこと?

 今でさえチートなのに、一体全体どうなっちゃうんだろ?


「あ、ありがとうございます」

「別にいいのよ。(決まっていることだから)」

「え?」


 いまなんて言った?

 『』?


「ん?なんでもないわ。それより、ライアンがあなたのこと気に入っちゃってね」

「は、はあ・・・」


 なんか気になるなあ・・。


「どう?一緒に連れて行って、あげてくれない?」

「ええーー!!だってその仔、神界ここにいるってことは、神獣なんじゃないですか?そんな、勝手に外界したで連れまわしたりしていいんですか?」

「そう、神獣よ。・・ああ大丈夫だから、気にしないで。魂の本体は神界ここに残るから。一緒にいくのは言わば、分体ね」


 いや、そういうことを言っているんじゃないんだけど・・。


「ね、行きたいのよね?」

「ミャーぉ!」


 めちゃくちゃ、嬉しそうな顔してるし。


「・・・ハァ。分かった、よろしくなライアン」

「ミャー!!」


 俺は、そばに寄ってきて、脚にスリスリ顔をこすりつけてくるライアンの頭を、撫でてやった。


「じゃあ、そろそろ時間ね。・・あ!分かってるとは思うけど、当分の間はヒタト国には入らないほうがいいわ」

「行くつもりは無かったですけど、どうしてですか?」


 得体の知れない勢力に支配された国だし、国境にはワイバーンとかがうろついているし、危険なのは分かるけど、なんかニンフルサグ神さまの言い方には別な意味があるような・・。


「ん?べつに、行かなきゃそれでいいのよ。・・じゃあ、そのうちまたお会いしましょ」

「あっ!ちょっと待ってください!」


 俺とライアンの身体が、青い光に包まれた。



 瓦礫に出口を塞がれた、神殿の地下室に戻ってきた。

 足元には、ライオン(獅子って言ったほうがいいのかな?)の仔の姿をした、ライアンがいた。


「それにしてもおまえ、本当のところ何者?」

「ミャーぉ!」


 見た目はまんま、ジャングル大帝のレオ。

 そう、ニビルこっちに戻ってきたら、耳の先と尻尾の先以外、全身まっしろになってたのだ。

 ちょっと、鑑定してみよう。


【ステータス】
-----------------
名前:ライアン
年齢:-(幼体)
種族:ラマス(神獣)
称号:「王の守護者」「死を見守るもの」
加護:ニンフルサグの加護
適正属性:水・風・闇・聖・無属性
職業:「神に導かれしもの」の使役獣
レベル:100
性別:雄

本来は有翼人面獅子の神獣で、別名スフィンクスとも呼ばれる。
-----------------
HP:19331/19331
MP:19570/19570
-----------------

【スキルステータス】

[スキル]
・水属性魔法LV10 ウォーターボールLV1、ウォーターウォールLV1、ウォーターバレットLV1
・風属性魔法LV10 ウィンドボールLV1、ウィンドウォールLV1、ウィンドバレットLV1
・闇属性魔法LV10 ダークボールLV1、ダークウォールLV1、ダークバレットLV1
・聖属性魔法LV10 ヒールLV1、浄化LV1
・無属性魔法LV10 クリーンLV1、身体強化LV1、気配察知LV1、魔力察知LV1、精神異常耐性LV1
-----------------
[ユニークスキル]
・アイテムボックス
・無詠唱
・言語理解
・隠蔽
-----------------
[固有能力]
・魔力操作
・使役者補正▽
-----------------
 


「・・・・多分だけどさ、ドラゴンがこの世界にいたとして、ほぼ互角だろ?」

「ミャー!」


 幼体のためって、成体ならどんだけ強いのか怖いな。

 ・・・詳細はそのうち確認しとくとして、とりあえずここから出るか。


「よし、ライアン行くぞ!」

「ミャぅ!!」
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