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24.人気者現る
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「おそい!」
地上に戻ってくると、入り口の前で待ち構えていたエルに怒られてしまった。
「スミマセン」
「ミャぅ!」
頭を下げる俺の足元で、ライアンが声を上げた。
「なにこの子ぉ?!」
「か~~わいい~!」
「たしかに可愛い・・・」
その声に全員の目線が、下方へと向かい、女性たちの歓声があがった。
最後のカリナさんの、意外なつぶやきに、ちょっとびっくりしたけど。
「なんか、ついてきちゃいました」
俺は、右手で頭の後ろを掻きながら言った。
「うふフフフ」
「くるるるる」
「ん?」
エルがしゃがみこんで、ライアンを抱き寄せて、喉を撫でている。
すごい幸せそうな顔をしている・・・両方とも。
いつも無表情なエルの意外な表情に、驚いてしまった。
「あのう・・・」
遠慮がちな声が、みんなのうしろから聞こえてきた。
「あっ、ごめん!身体の方は大丈夫?」
「は、はい。おかげさまで大丈夫みたいです」
ドワーフの娘のことを、すっかり放ったらかしにしてしまった。
あらためて彼女を見ると、ピンクに近い赤い髪を三つ編みにしていて、身長110cmくらいしかない。
見た目は、コリンと一緒の年齢くらいか?
目は、透き通ったコバルトブルーの瞳。
肌の色は、薄い褐色だ。
服装は、ショートスカートをはいて、肩当てなど各所を保護する革製の防具を身に着けているだけであったが、防具には貴金属の繊細な装飾が施されており、安物ではないことが分かる。
「あなたのお名前は?」
ガイヤさんが尋ねた。
「アイリスです・・・」
アイリスは、うつむいて答えた。
「他に一緒にいた人とかはいないの?」
俺は、身をかがめて顔を覗き込み、聞いてみた。
アイリスはうつむいたまま、かぶりを振った。
「それでは、地下室に一人で?」
ガイヤさんが重ねて聞いた。
「・・・」
アイリスは、相変わらずうつむいている。
「・・・ワイバーンたち魔物に村が襲われて、自警団のひとたちが、ボクを神殿に連れてきてくれたの」
しばらくして、震える小さな声で、アイリスが話し始めた。
「村のあちこちが燃え上がって、建物がつぎつぎに壊される大きな音が響いてた・・・」
ライアンを抱いたまま、エルがアイリスを見つめている。
「司祭様は、もうすぐ冒険者ギルドの人たちが来てくれるはずだから、それまでの辛抱だっておっしゃってた」
腕を組んで聞いていたダンさんが、片眉をピクリと上げた。
「でも、神殿にまで魔物たちが押し寄せてきて・・・・」
アイリスは、声だけでなく、肩も震わせながら言葉につまった。
俺は、自然とその震える肩に手を添えて、嗚咽をし始めたアイリスを抱き寄せていた。
「司祭様は、祭壇の下の地下室の入り口へ、ボクを押し込んでおっしゃたの!」
アイリスは、俺の胸に顔を押し付けながら、話を続けた。
「『せめて、あなただけでも、助かってください』って!」
激しく嗚咽するアイリスの頭を、俺は優しく撫でてやった。
「ごめんな、辛いことを聞いてしまって」
俺は、撫でながら小さくつぶやいた。
すると、アイリスはわずかに頭を振った。
********
やがて、アイリスは落ち着きを取り戻し、エルから受け取ったライアンに、頬の涙跡をペロペロと舐められて、ようやく笑顔が戻った。
その様子を見て、ガイヤさんが、他に生存者がいないか確認するようにみんなに指示をだした。
しかし、結局アイリスの他に生き残ったものは見当たらず、エア村へ戻ることとなった。
馬車を停めていた場所まで戻り、見張り役の冒険者のひとたちと合流すると、一路、村へと向かった。
当然帰途は、ライアンは人気者で、馬車の見張りチームだった、斥候の山猫の獣人のお姉さんなんか、デレデレになっていた。
「エヘヘ」
・・・そしてここにも、デレデレさんが一人。
「エルって、そんなに動物好きだったんだ?」
「ライアンは、とくべつ!」
緩みっぱなしの顔で、白いモフモフのかたまりを、抱きしめていた。
「この世に、モフモフに優るものなし・・」
カリナさんが、賢者の表情でボソリと言った。
エア村の城門が見えてきた。
実際は、途中一晩だけ野営をして、ほんの2日離れていただけなのに、やけに懐かしく思えてくる。
門の前には、小さな人影が一つ。
その前に馬車が止まった。
俺たちが馬車から降りると、茶色いかたまりが、俺の懐めがけて飛び込んできた。
「・・・ただいま、コリン」
無言で額を俺の胸にこすりつけてくるコリンに、俺は優しくそう言った。
「・・お・・り、・・お・えり、・・おかえりなさい!」
ケモミミがふるふる揺れる頭を、ぽんぽんと叩いてやると、コリンはそう叫んで強く抱きついてきた。
「迎えに来てくれて、ありがとな」
「うん・・」
胸に顔を埋めたまま、うなずくコリン。
「みゃゥ!」
「エ?」
そのとき、俺の背後からライアンの可愛い鳴き声が聞こえた。
コリンが顔を上げて、左右を見ている。
「ミャ~ぅ!」
「あっ!」
どうやら、エルが抱いているライアンに気づいたようだ。
すぐに、俺の懐から離れて、そちらへ駆けていく。
「か~あいい~~!」
ん~~・・・なんだろう?この敗北感は・・・。
「コリン、あたしも帰ってきたんだけど?」
「ん、おかえり~」
敗者がもう一人いたみたいだし、まあいいか・・・。
コリンは、エルからライアンを奪いとるように受け取ると、頬ずりしながら抱きしめていた。
「セイヤさん、我々は、ギルドへ報告に行きますので」
俺たちの様子を、黙って見守っていてくれたガイヤさんが、言ってきた。
「分かりました。俺たちは、ひとまず宿に戻ります」
俺は、初めての討伐遠征で、精神的に結構疲れていたし、いろいろなことが有り過ぎたこともあり、そう答えた。
「そうですか・・・たぶん、あとでギルドからお呼びすると思いますので、そのときはよろしくお願いします」
「は、はい」
呼び出し?
なんだろう・・・。
「あっ!アイリスは?」
「今回の件の証言をお願いしないといけませんし、なにより今後のこともあります。まずは、ギルドへご一緒していただき、そのあとに村長にもご報告します」
「そうですか。・・・でも、なるべくあまり無理はさせないであげてください」
「気をつけます。では、のちほど」
そう言って、ガイヤさんたちは再び馬車に乗り込んで、門をくぐっていった。
馬車に乗り込む前に見えた、アイリスの不安そうな顔が胸に引っかかった。
「さあ、俺たちも帰るぞ」
いつの間にか、二人してライアンをいじり倒しているエルとコリンに声をかけた。
「「ふわぁ~い」」
あれから、月のらくだ亭に帰ると、大変な騒ぎになっていた。
いつの間にか、なぜかワイバーン討伐の話がすでに伝わっていて、宿泊していた冒険者たちに感激され、肩を叩かれるやら、頭を叩かれるやらで、もみくちゃになってしまった。
サルクさんには、「よくやった!」と、でっかい肉の塊をサービスされたが、サリーさんには、「心配だから、あんまり危険なマネはしないでね」と言われてしまった。
そして、やっぱりみんなの輪の中心にはライアンがいて、とくに女性陣や子どもたちに絶大な人気を得ていた。
飲んで、食って、騒いで・・・。
さすがに疲れを覚え始めた頃、エルが「もう寝る」と言ってきた。
「そうだな、俺も疲れたよ。とても、おとなたちに付き合ってられないしな」
そう答えて、コリンの姿を探した。
「あ、あそこか・・・やれやれ」
でろ~んと長くなって寝そべっているライアンを枕に、コリンとサムとサニーの双子が、同じく長くなっていた。
「あっ、サリーさん。俺たちそろそろ、上に行きますね」
酒のツマミを持ってきた、サリーさんに声をかけた。
「そう?・・あらあら、あの子たちったら」
そう言って、持っていたツマミの載った皿を、熊人の冒険者さんに渡して、サリーさんは、ふたごを抱き上げて、連れて行った。
俺とエルも、それぞれコリンとライアンを抱えて、2階へと向かった。
「じゃあ、あたしはこれで」
ひとりと一匹をベッドに寝かせ終えると、エルがひとこと言って出ていこうとした。
「あ、エル!」
「なに?」
「・・・あのさ、色々ありがとう」
「なにが?」
「いや、いろいろとさ」
「・・・そ。べつに、好きでやっているだけだから」
「そ、そうか。まあ、なんにしてもありがとな」
「フフ」
エルは、口元にわずかに微笑みをたたえて、部屋を出ていった。
********
「さてと」
俺は、今更ながら自分とコリン、ライアンにクリーンの魔法をかけて、ついでになんとなく気分で、濡らしたタオルで全身を拭いたあと、ベッドに寝転がった。
「そういえば、こっちの世界に来て、1度も風呂入ってねえなあ・・・」
もっと大きな町に行けばあるのかな?
「ま、いいか」
調べれば分かるんだけど、めんどくさくなってやめにした。
********
ぼ~~~。
「・・・・・あっ!」
ニンフルサグ神さまに、加護をもらったんだった!
スキルポイントも相当たまったんだろうな。
「どうなってるかな?」
【ステータス】
名前:セイヤ(大伴聖也)
年齢:17
種族:人族?
称号:「神に導かれしもの」(別名「世界を渡るもの」、「かき乱すもの」)
加護:イナンナの加護、ウカノミタマの加護、エアの加護、ニンフルサグの加護
適正属性:全属性
職業:冒険者 ランクE
レベル:19
-----------------
使役獣:ラマス(神獣)
名前:ライアン
-----------------
(ステータスポイント:13010 ×1000)
HP:22002/24064
MP:20010/24020
-----------------
[スキル]
・全属性魔法:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダークボールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダークウォールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダークバレットLV10、
:アイスボールLV1
:サンダーボールLV1
:ヒール(光・聖)LV10、浄化(光・聖)LV10、
:クリーンLV10、身体強化LV10、察知(気配・魔力)LV10、
:転移LV10、精神異常耐性LV10、
・戦闘術(刀,剣,槍,弓,棒,体,拳,脚)LV10、
・創造術(錬精,鍛造,器造)LV10
-----------------
[ユニークスキル]
・鑑定
・アイテムボックス
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・空間把握(探知,索敵がLV10の時自動取得)
・金勘定
・成長促進
-----------------
[固有能力]
・世界知識
・魔力操作
・魔法統合(全属性魔法~レベル解放~)
・戦闘術(武術+格闘術~レベル解放~)
・****(1000000Pで覚醒)
・****(10000000Pで覚醒)
・****(100000000Pで覚醒)
-----------------
「・・・・まずは、算数しよ」
「え~と、13010 ×1000・・・13,010,000か・・バカみたいな数字だな」
200万を2で割って、100万Pずつ振れるか・・・。
【ステータス】
中略
-----------------
(ステータスポイント:11058 ×1000)
HP:98万/100万
MP:98万/100万
-----------------
以下略
「もはや、端数がどうでも良くなってる・・」
で、問題はスキルだけど・・・11058×1000は、11,058,000と。
「たしか、スキルはレベル1上げるのに100ポイント消費だったよな」
まずは、氷魔法と雷魔法を通常のMAXになる、LV10まで振るか。
そういえば、この二つはエルに手伝ってもらって習得したんだったな・・。
「それでも、余裕で11,052,200も余ってる」
ん~・・・あれ?
「固有能力に、またなんか覚醒系スキルが追加されてる」
え~と、いち、じゅう、ひゃく、せん・・・・・いちおくぅ!!
「アホか!1億Pって、ワイバーン何体倒したらエエねん!!」
・・それより、ほかの二つを覚醒させるか。
「それにしても、1千万もたいがいムリポと思ったけど・・意外と行くもんやね」
【ステータス】
中略
(スキルポイント:52.2 ×1000)
中略
【スキルステータス】
[スキル]
・全属性魔法:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダーク・アイス・サンダーボールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダーク・アイス・サンダーウォールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダーク・アイス・サンダーバレットLV10、
:ヒール(光・聖)LV10、浄化(光・聖)LV10、
:クリーンLV10、身体強化LV10、察知(気配・魔力)LV10、
:転移LV10、精神異常耐性LV10、
・戦闘術(刀,剣,槍,弓,棒,体,拳,脚)LV10、
・創造術(錬精,鍛造,器造)LV10
-----------------
[ユニークスキル]
・鑑定
・アイテムボックス
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・空間把握(探知,索敵がLV10の時自動取得)
・金勘定
・成長促進
-----------------
[固有能力]
・世界知識
・魔力操作
・魔法統合(全属性魔法~レベル解放~)
・戦闘術(武術+格闘術~レベル解放~)
・トレース
・限界突破
・****(100000000Pで覚醒)
-----------------
「・・・ハイ出ました、おバカチート」
『トレース』と『限界突破』、どっかで聞いたようなスキルだけど・・。
『トレース』
直前に見た魔法(初見でも)を全て習得できる。ただし、初期レベルは1。
「これって、コリンの持ってた『模倣』の上位スキルか?」
『限界突破』
ステータスレベルに上限が無くなる。(通常MAX100)
ステータス数値に上限が無くなる。(通常MAX200万)
「・・・・・・まあ。神さまと戦えって言うんだから、な・・・ハ、ハハハ・・・」
ふぅ。
すごい疲れたので、残ったスキルPはそのままにしとこう。
********
(『成長促進』忘れてますけど・・)
********
地上に戻ってくると、入り口の前で待ち構えていたエルに怒られてしまった。
「スミマセン」
「ミャぅ!」
頭を下げる俺の足元で、ライアンが声を上げた。
「なにこの子ぉ?!」
「か~~わいい~!」
「たしかに可愛い・・・」
その声に全員の目線が、下方へと向かい、女性たちの歓声があがった。
最後のカリナさんの、意外なつぶやきに、ちょっとびっくりしたけど。
「なんか、ついてきちゃいました」
俺は、右手で頭の後ろを掻きながら言った。
「うふフフフ」
「くるるるる」
「ん?」
エルがしゃがみこんで、ライアンを抱き寄せて、喉を撫でている。
すごい幸せそうな顔をしている・・・両方とも。
いつも無表情なエルの意外な表情に、驚いてしまった。
「あのう・・・」
遠慮がちな声が、みんなのうしろから聞こえてきた。
「あっ、ごめん!身体の方は大丈夫?」
「は、はい。おかげさまで大丈夫みたいです」
ドワーフの娘のことを、すっかり放ったらかしにしてしまった。
あらためて彼女を見ると、ピンクに近い赤い髪を三つ編みにしていて、身長110cmくらいしかない。
見た目は、コリンと一緒の年齢くらいか?
目は、透き通ったコバルトブルーの瞳。
肌の色は、薄い褐色だ。
服装は、ショートスカートをはいて、肩当てなど各所を保護する革製の防具を身に着けているだけであったが、防具には貴金属の繊細な装飾が施されており、安物ではないことが分かる。
「あなたのお名前は?」
ガイヤさんが尋ねた。
「アイリスです・・・」
アイリスは、うつむいて答えた。
「他に一緒にいた人とかはいないの?」
俺は、身をかがめて顔を覗き込み、聞いてみた。
アイリスはうつむいたまま、かぶりを振った。
「それでは、地下室に一人で?」
ガイヤさんが重ねて聞いた。
「・・・」
アイリスは、相変わらずうつむいている。
「・・・ワイバーンたち魔物に村が襲われて、自警団のひとたちが、ボクを神殿に連れてきてくれたの」
しばらくして、震える小さな声で、アイリスが話し始めた。
「村のあちこちが燃え上がって、建物がつぎつぎに壊される大きな音が響いてた・・・」
ライアンを抱いたまま、エルがアイリスを見つめている。
「司祭様は、もうすぐ冒険者ギルドの人たちが来てくれるはずだから、それまでの辛抱だっておっしゃってた」
腕を組んで聞いていたダンさんが、片眉をピクリと上げた。
「でも、神殿にまで魔物たちが押し寄せてきて・・・・」
アイリスは、声だけでなく、肩も震わせながら言葉につまった。
俺は、自然とその震える肩に手を添えて、嗚咽をし始めたアイリスを抱き寄せていた。
「司祭様は、祭壇の下の地下室の入り口へ、ボクを押し込んでおっしゃたの!」
アイリスは、俺の胸に顔を押し付けながら、話を続けた。
「『せめて、あなただけでも、助かってください』って!」
激しく嗚咽するアイリスの頭を、俺は優しく撫でてやった。
「ごめんな、辛いことを聞いてしまって」
俺は、撫でながら小さくつぶやいた。
すると、アイリスはわずかに頭を振った。
********
やがて、アイリスは落ち着きを取り戻し、エルから受け取ったライアンに、頬の涙跡をペロペロと舐められて、ようやく笑顔が戻った。
その様子を見て、ガイヤさんが、他に生存者がいないか確認するようにみんなに指示をだした。
しかし、結局アイリスの他に生き残ったものは見当たらず、エア村へ戻ることとなった。
馬車を停めていた場所まで戻り、見張り役の冒険者のひとたちと合流すると、一路、村へと向かった。
当然帰途は、ライアンは人気者で、馬車の見張りチームだった、斥候の山猫の獣人のお姉さんなんか、デレデレになっていた。
「エヘヘ」
・・・そしてここにも、デレデレさんが一人。
「エルって、そんなに動物好きだったんだ?」
「ライアンは、とくべつ!」
緩みっぱなしの顔で、白いモフモフのかたまりを、抱きしめていた。
「この世に、モフモフに優るものなし・・」
カリナさんが、賢者の表情でボソリと言った。
エア村の城門が見えてきた。
実際は、途中一晩だけ野営をして、ほんの2日離れていただけなのに、やけに懐かしく思えてくる。
門の前には、小さな人影が一つ。
その前に馬車が止まった。
俺たちが馬車から降りると、茶色いかたまりが、俺の懐めがけて飛び込んできた。
「・・・ただいま、コリン」
無言で額を俺の胸にこすりつけてくるコリンに、俺は優しくそう言った。
「・・お・・り、・・お・えり、・・おかえりなさい!」
ケモミミがふるふる揺れる頭を、ぽんぽんと叩いてやると、コリンはそう叫んで強く抱きついてきた。
「迎えに来てくれて、ありがとな」
「うん・・」
胸に顔を埋めたまま、うなずくコリン。
「みゃゥ!」
「エ?」
そのとき、俺の背後からライアンの可愛い鳴き声が聞こえた。
コリンが顔を上げて、左右を見ている。
「ミャ~ぅ!」
「あっ!」
どうやら、エルが抱いているライアンに気づいたようだ。
すぐに、俺の懐から離れて、そちらへ駆けていく。
「か~あいい~~!」
ん~~・・・なんだろう?この敗北感は・・・。
「コリン、あたしも帰ってきたんだけど?」
「ん、おかえり~」
敗者がもう一人いたみたいだし、まあいいか・・・。
コリンは、エルからライアンを奪いとるように受け取ると、頬ずりしながら抱きしめていた。
「セイヤさん、我々は、ギルドへ報告に行きますので」
俺たちの様子を、黙って見守っていてくれたガイヤさんが、言ってきた。
「分かりました。俺たちは、ひとまず宿に戻ります」
俺は、初めての討伐遠征で、精神的に結構疲れていたし、いろいろなことが有り過ぎたこともあり、そう答えた。
「そうですか・・・たぶん、あとでギルドからお呼びすると思いますので、そのときはよろしくお願いします」
「は、はい」
呼び出し?
なんだろう・・・。
「あっ!アイリスは?」
「今回の件の証言をお願いしないといけませんし、なにより今後のこともあります。まずは、ギルドへご一緒していただき、そのあとに村長にもご報告します」
「そうですか。・・・でも、なるべくあまり無理はさせないであげてください」
「気をつけます。では、のちほど」
そう言って、ガイヤさんたちは再び馬車に乗り込んで、門をくぐっていった。
馬車に乗り込む前に見えた、アイリスの不安そうな顔が胸に引っかかった。
「さあ、俺たちも帰るぞ」
いつの間にか、二人してライアンをいじり倒しているエルとコリンに声をかけた。
「「ふわぁ~い」」
あれから、月のらくだ亭に帰ると、大変な騒ぎになっていた。
いつの間にか、なぜかワイバーン討伐の話がすでに伝わっていて、宿泊していた冒険者たちに感激され、肩を叩かれるやら、頭を叩かれるやらで、もみくちゃになってしまった。
サルクさんには、「よくやった!」と、でっかい肉の塊をサービスされたが、サリーさんには、「心配だから、あんまり危険なマネはしないでね」と言われてしまった。
そして、やっぱりみんなの輪の中心にはライアンがいて、とくに女性陣や子どもたちに絶大な人気を得ていた。
飲んで、食って、騒いで・・・。
さすがに疲れを覚え始めた頃、エルが「もう寝る」と言ってきた。
「そうだな、俺も疲れたよ。とても、おとなたちに付き合ってられないしな」
そう答えて、コリンの姿を探した。
「あ、あそこか・・・やれやれ」
でろ~んと長くなって寝そべっているライアンを枕に、コリンとサムとサニーの双子が、同じく長くなっていた。
「あっ、サリーさん。俺たちそろそろ、上に行きますね」
酒のツマミを持ってきた、サリーさんに声をかけた。
「そう?・・あらあら、あの子たちったら」
そう言って、持っていたツマミの載った皿を、熊人の冒険者さんに渡して、サリーさんは、ふたごを抱き上げて、連れて行った。
俺とエルも、それぞれコリンとライアンを抱えて、2階へと向かった。
「じゃあ、あたしはこれで」
ひとりと一匹をベッドに寝かせ終えると、エルがひとこと言って出ていこうとした。
「あ、エル!」
「なに?」
「・・・あのさ、色々ありがとう」
「なにが?」
「いや、いろいろとさ」
「・・・そ。べつに、好きでやっているだけだから」
「そ、そうか。まあ、なんにしてもありがとな」
「フフ」
エルは、口元にわずかに微笑みをたたえて、部屋を出ていった。
********
「さてと」
俺は、今更ながら自分とコリン、ライアンにクリーンの魔法をかけて、ついでになんとなく気分で、濡らしたタオルで全身を拭いたあと、ベッドに寝転がった。
「そういえば、こっちの世界に来て、1度も風呂入ってねえなあ・・・」
もっと大きな町に行けばあるのかな?
「ま、いいか」
調べれば分かるんだけど、めんどくさくなってやめにした。
********
ぼ~~~。
「・・・・・あっ!」
ニンフルサグ神さまに、加護をもらったんだった!
スキルポイントも相当たまったんだろうな。
「どうなってるかな?」
【ステータス】
名前:セイヤ(大伴聖也)
年齢:17
種族:人族?
称号:「神に導かれしもの」(別名「世界を渡るもの」、「かき乱すもの」)
加護:イナンナの加護、ウカノミタマの加護、エアの加護、ニンフルサグの加護
適正属性:全属性
職業:冒険者 ランクE
レベル:19
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使役獣:ラマス(神獣)
名前:ライアン
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(ステータスポイント:13010 ×1000)
HP:22002/24064
MP:20010/24020
-----------------
[スキル]
・全属性魔法:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダークボールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダークウォールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダークバレットLV10、
:アイスボールLV1
:サンダーボールLV1
:ヒール(光・聖)LV10、浄化(光・聖)LV10、
:クリーンLV10、身体強化LV10、察知(気配・魔力)LV10、
:転移LV10、精神異常耐性LV10、
・戦闘術(刀,剣,槍,弓,棒,体,拳,脚)LV10、
・創造術(錬精,鍛造,器造)LV10
-----------------
[ユニークスキル]
・鑑定
・アイテムボックス
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・空間把握(探知,索敵がLV10の時自動取得)
・金勘定
・成長促進
-----------------
[固有能力]
・世界知識
・魔力操作
・魔法統合(全属性魔法~レベル解放~)
・戦闘術(武術+格闘術~レベル解放~)
・****(1000000Pで覚醒)
・****(10000000Pで覚醒)
・****(100000000Pで覚醒)
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「・・・・まずは、算数しよ」
「え~と、13010 ×1000・・・13,010,000か・・バカみたいな数字だな」
200万を2で割って、100万Pずつ振れるか・・・。
【ステータス】
中略
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(ステータスポイント:11058 ×1000)
HP:98万/100万
MP:98万/100万
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以下略
「もはや、端数がどうでも良くなってる・・」
で、問題はスキルだけど・・・11058×1000は、11,058,000と。
「たしか、スキルはレベル1上げるのに100ポイント消費だったよな」
まずは、氷魔法と雷魔法を通常のMAXになる、LV10まで振るか。
そういえば、この二つはエルに手伝ってもらって習得したんだったな・・。
「それでも、余裕で11,052,200も余ってる」
ん~・・・あれ?
「固有能力に、またなんか覚醒系スキルが追加されてる」
え~と、いち、じゅう、ひゃく、せん・・・・・いちおくぅ!!
「アホか!1億Pって、ワイバーン何体倒したらエエねん!!」
・・それより、ほかの二つを覚醒させるか。
「それにしても、1千万もたいがいムリポと思ったけど・・意外と行くもんやね」
【ステータス】
中略
(スキルポイント:52.2 ×1000)
中略
【スキルステータス】
[スキル]
・全属性魔法:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダーク・アイス・サンダーボールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダーク・アイス・サンダーウォールLV10、
:ファイヤ・ウォーター・ウィンド・サンド・ライト・ダーク・アイス・サンダーバレットLV10、
:ヒール(光・聖)LV10、浄化(光・聖)LV10、
:クリーンLV10、身体強化LV10、察知(気配・魔力)LV10、
:転移LV10、精神異常耐性LV10、
・戦闘術(刀,剣,槍,弓,棒,体,拳,脚)LV10、
・創造術(錬精,鍛造,器造)LV10
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[ユニークスキル]
・鑑定
・アイテムボックス
・隠蔽
・無詠唱
・全言語
・空間把握(探知,索敵がLV10の時自動取得)
・金勘定
・成長促進
-----------------
[固有能力]
・世界知識
・魔力操作
・魔法統合(全属性魔法~レベル解放~)
・戦闘術(武術+格闘術~レベル解放~)
・トレース
・限界突破
・****(100000000Pで覚醒)
-----------------
「・・・ハイ出ました、おバカチート」
『トレース』と『限界突破』、どっかで聞いたようなスキルだけど・・。
『トレース』
直前に見た魔法(初見でも)を全て習得できる。ただし、初期レベルは1。
「これって、コリンの持ってた『模倣』の上位スキルか?」
『限界突破』
ステータスレベルに上限が無くなる。(通常MAX100)
ステータス数値に上限が無くなる。(通常MAX200万)
「・・・・・・まあ。神さまと戦えって言うんだから、な・・・ハ、ハハハ・・・」
ふぅ。
すごい疲れたので、残ったスキルPはそのままにしとこう。
********
(『成長促進』忘れてますけど・・)
********
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