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「・・・あのう。それで質問があるんですが、なんでスザンヌさんまで、この宿に泊まっているんでしょうか?」
あれから、結構大変だった。
突然の、ギルマスの交代。
しかも、国境での騒動の直後。
村長はいるけど、辺境の村では、政治的にも、経済的にも、特に防衛面でも最も重要な機関が、冒険者ギルドなので、その引き継ぎが、大変なのは十分に想像できる。
午後いっぱいかかって・・・いや、むしろその短時間で終えるのが驚異的なんだけど、引き継ぎが終了した。
『じゃあ、よろしくね』のひとことで取り残された、ガイヤさんの抜け殻のような姿と、なぜか清々しささえ感じる、ほかのギルド職員の様子の違いに、ものすごい戸惑いを感じたのも束の間・・・。
そして、『月のらくだ館』である。
いまは、一階の食堂でみんなで夕食を食べながら、今後の旅について話していた。
そこには、俺たち3人に加えて、行く先の無い、アイリスもいる。
当然、宿のサリーさんやサルクさん、サニー&サムの双子もいた。
「でもさ、どうしてスザンヌさんも居るわけ?」
俺は、もう一度言った。
元ギルマスなんだから、自分の家くらいあるでしょ、普通。
何故、わざわざこの宿に泊まる必要があるのっていうことですよ。
「親睦を深めたいじゃない、これから一緒に旅をするんだから」
そう言って、早々に確保した俺の隣に座って、しな垂れかかってくる。
ちなみに、コリンは俺の膝の上を確保していた。
何かをアピールしているようだ。
「あの、重いです」
「あらごめんなさい。つい、癖で」
どんな癖だよ!
「いいんですか?一旦、家に帰らなくて」
「出張ばかりで、ほとんど帰らない家だから、別にいいのよ。持ち物は全部持ち歩いているし」
あれ?もしかして、スザンヌさんアイテムボックス持ち?
流石は、Sランク級。
「そうですか、でも他にひとこと挨拶しておく人とかいるでしょう?」
俺は、自然に腰に伸びてくる、スザンヌさんの右手を払いよけながら言った。
「こんな歳まで独り身のあたしに、そんな人がいるわけないじゃない!(そりゃあ、いいなと思うオトコくらいはいたけど・・)」
なんか、勝手に拗ねているんだけど。
最後の方の独り言は、聞いてないし。
「・・・分かりました。じゃあまず、これからの行き先なんですけど。エル、おススメとかある?俺、あんまりこっちの国々のことに詳しくないからさ」
「そうね、とりあえずは王都イシュタルに向かったら?行ったことないんでしょう?」
いい加減、スザンヌさんの件は、放っておくことにして、俺はエルに話しかけたのだった。
「そうね、あたしも一応、ハルバト国本部に直接報告したいし。いいと思うわ」
放っておこうとしたのに、話に入ってくるし。
「そうだな、一度、王都っていうのを見てみたいしな。コリン、それでいいか?」
「うん!セイヤお兄ちゃんの行くところなら、何処でもいい!!」
コリンは、満面の笑顔で右手を上げた。
「アイリスも、いいかな?」
「え?あ、ハイ。ボクもいいと思います・・・」
エルの隣に座っていたアイリスは、俺に振られて、俯いてた顔をあげ、小さく頷いた。
ん?あんまり気が進まないのかな?
「嫌なら変えてもいいんだぞ?」
「だ、大丈夫です。ボクも、セイヤさんの行くところへ、行きたいですから」
「分かった。じゃあ、行き先は、王都イシュタルということで」
*****
その後は、お世話になった『月のらくだ館』の人たちにお礼を言って、お別れ会のようなものをやったのだった。
ところが、その会の最中に、重大なことが判明したのだった。
シカルをしこたま飲んで、おとなたちがヘベレケになる頃、子ども組は部屋の隅で、ライアンを囲んで遊んでいた。
いつの間にか、ガイヤさんや『銀狼』のメンバーも合流しているし、みんな違和感なく騒いでいた。
当然俺も飲まされたわけだが、未成年のはずのエルまで平気で、グビグビ飲んでいる。
しばらくして、ライアンを囲む輪の中にいたアイリスに俺は何気なしに尋ねたのだった。
「ところでさ、アイリスはいま、何歳なんだ?コリンと同じくらいかなあ」
「コリンはね、5歳なの!」
コリンが右手をパーの形にして、高々と上げる。
そして、みんなの視線がアイリスに集まった。
「あの・・・ボク」
うつむきながら、頬を薄っすらと赤くして、小さな声でポソリとつぶやく。
「ボク・・・15歳です」
「「「「ええーーー!!!」」」
スザンヌさんとガイヤさん以外の全員が、絶句した。
「あ、あたしと同い年?!」
シカルのたっぷり入ったジョッキを持ったエルが、空いている方の手で、自分の顔をゆび指して言った。
「アイリスちゃん、お姉ちゃんだったんだ~!」
コリンは・・・どっちにしても嬉しいらしい。
「あんたたち、なにそんなに驚いてんのよ。ドワーフ族なんだから、当たり前でしょ」
スザンヌさんが、無駄に身体のラインにフィットしていて薄い、なんなら、透けている服を腕まくりして、超特大のジョッキを持ち上げながら、言い放った。
あらわになった、その太い腕には、もじゃもじゃの毛が・・・。
そういえば、胸毛、手毛、腕毛、すね毛・・・とにかく毛が濃いのに髭は薄い?・・綺麗に剃っているのか?
色白だから目立つなあ・・・。
「というか、事情聴取で聞いてましたから」
ガイヤさんが、冷静に種明かしをした。
「もう!ガイちゃん。言わなきゃ分かんないのに!」
大きなタレ目で、ウインクをする。
いま一瞬、悪寒が走ったような・・・。
それにしても、さすが異世界の種族、分からないものだなあ・・・。
「そういえば、これをお返しするのを忘れておりました」
感心している俺に、ガイヤさんが突然思い出したように言ってきた。
「なんでしょう?」
「更新したギルドカードです。先ほどは、時間がなくてお渡しできませんでした。ご確認ください」
そう言って、真っ白なセラミック製のギルドカードを渡してきた。
渡されたカードを見てみると、ランクがBになっていた。
「あれ?なんか書いてあるな」
『名前:セイヤ 年齢:17 種族:人族 適正属性:全属性 職業:冒険者 ランクB(仮認定:認定者=ローリー) レベル:19』
『ローリー』?・・・ダレデスカ?
「あの、ガイヤさん。ランクBのあとに、変なことが書いてあるんですが、『ローリー』ってだれですか?」
俺は、目の前のガイヤさんに尋ねた。
「え~と・・・ギルド長のことです。あっ!元ギルド長です」
「え?」
頭の中が真っ白になった。
「いやーねー。あんまり大声で言わないでちょうだい。仮の名よ、あたしの」
よくわかんないんですけど。
「仮の名じゃないわ、本名よ」
キョトンとしている俺の背後から、エルが冷たい声で言ってきた。
「ほんみょう?」
「そう、本名。スザンヌは、このひとが勝手に名乗っているだけ」
「ううん。あたしはスザンヌ、ローリーなんて知らないわ!」
はーーーっ・・・疲れる。
あれから、結構大変だった。
突然の、ギルマスの交代。
しかも、国境での騒動の直後。
村長はいるけど、辺境の村では、政治的にも、経済的にも、特に防衛面でも最も重要な機関が、冒険者ギルドなので、その引き継ぎが、大変なのは十分に想像できる。
午後いっぱいかかって・・・いや、むしろその短時間で終えるのが驚異的なんだけど、引き継ぎが終了した。
『じゃあ、よろしくね』のひとことで取り残された、ガイヤさんの抜け殻のような姿と、なぜか清々しささえ感じる、ほかのギルド職員の様子の違いに、ものすごい戸惑いを感じたのも束の間・・・。
そして、『月のらくだ館』である。
いまは、一階の食堂でみんなで夕食を食べながら、今後の旅について話していた。
そこには、俺たち3人に加えて、行く先の無い、アイリスもいる。
当然、宿のサリーさんやサルクさん、サニー&サムの双子もいた。
「でもさ、どうしてスザンヌさんも居るわけ?」
俺は、もう一度言った。
元ギルマスなんだから、自分の家くらいあるでしょ、普通。
何故、わざわざこの宿に泊まる必要があるのっていうことですよ。
「親睦を深めたいじゃない、これから一緒に旅をするんだから」
そう言って、早々に確保した俺の隣に座って、しな垂れかかってくる。
ちなみに、コリンは俺の膝の上を確保していた。
何かをアピールしているようだ。
「あの、重いです」
「あらごめんなさい。つい、癖で」
どんな癖だよ!
「いいんですか?一旦、家に帰らなくて」
「出張ばかりで、ほとんど帰らない家だから、別にいいのよ。持ち物は全部持ち歩いているし」
あれ?もしかして、スザンヌさんアイテムボックス持ち?
流石は、Sランク級。
「そうですか、でも他にひとこと挨拶しておく人とかいるでしょう?」
俺は、自然に腰に伸びてくる、スザンヌさんの右手を払いよけながら言った。
「こんな歳まで独り身のあたしに、そんな人がいるわけないじゃない!(そりゃあ、いいなと思うオトコくらいはいたけど・・)」
なんか、勝手に拗ねているんだけど。
最後の方の独り言は、聞いてないし。
「・・・分かりました。じゃあまず、これからの行き先なんですけど。エル、おススメとかある?俺、あんまりこっちの国々のことに詳しくないからさ」
「そうね、とりあえずは王都イシュタルに向かったら?行ったことないんでしょう?」
いい加減、スザンヌさんの件は、放っておくことにして、俺はエルに話しかけたのだった。
「そうね、あたしも一応、ハルバト国本部に直接報告したいし。いいと思うわ」
放っておこうとしたのに、話に入ってくるし。
「そうだな、一度、王都っていうのを見てみたいしな。コリン、それでいいか?」
「うん!セイヤお兄ちゃんの行くところなら、何処でもいい!!」
コリンは、満面の笑顔で右手を上げた。
「アイリスも、いいかな?」
「え?あ、ハイ。ボクもいいと思います・・・」
エルの隣に座っていたアイリスは、俺に振られて、俯いてた顔をあげ、小さく頷いた。
ん?あんまり気が進まないのかな?
「嫌なら変えてもいいんだぞ?」
「だ、大丈夫です。ボクも、セイヤさんの行くところへ、行きたいですから」
「分かった。じゃあ、行き先は、王都イシュタルということで」
*****
その後は、お世話になった『月のらくだ館』の人たちにお礼を言って、お別れ会のようなものをやったのだった。
ところが、その会の最中に、重大なことが判明したのだった。
シカルをしこたま飲んで、おとなたちがヘベレケになる頃、子ども組は部屋の隅で、ライアンを囲んで遊んでいた。
いつの間にか、ガイヤさんや『銀狼』のメンバーも合流しているし、みんな違和感なく騒いでいた。
当然俺も飲まされたわけだが、未成年のはずのエルまで平気で、グビグビ飲んでいる。
しばらくして、ライアンを囲む輪の中にいたアイリスに俺は何気なしに尋ねたのだった。
「ところでさ、アイリスはいま、何歳なんだ?コリンと同じくらいかなあ」
「コリンはね、5歳なの!」
コリンが右手をパーの形にして、高々と上げる。
そして、みんなの視線がアイリスに集まった。
「あの・・・ボク」
うつむきながら、頬を薄っすらと赤くして、小さな声でポソリとつぶやく。
「ボク・・・15歳です」
「「「「ええーーー!!!」」」
スザンヌさんとガイヤさん以外の全員が、絶句した。
「あ、あたしと同い年?!」
シカルのたっぷり入ったジョッキを持ったエルが、空いている方の手で、自分の顔をゆび指して言った。
「アイリスちゃん、お姉ちゃんだったんだ~!」
コリンは・・・どっちにしても嬉しいらしい。
「あんたたち、なにそんなに驚いてんのよ。ドワーフ族なんだから、当たり前でしょ」
スザンヌさんが、無駄に身体のラインにフィットしていて薄い、なんなら、透けている服を腕まくりして、超特大のジョッキを持ち上げながら、言い放った。
あらわになった、その太い腕には、もじゃもじゃの毛が・・・。
そういえば、胸毛、手毛、腕毛、すね毛・・・とにかく毛が濃いのに髭は薄い?・・綺麗に剃っているのか?
色白だから目立つなあ・・・。
「というか、事情聴取で聞いてましたから」
ガイヤさんが、冷静に種明かしをした。
「もう!ガイちゃん。言わなきゃ分かんないのに!」
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いま一瞬、悪寒が走ったような・・・。
それにしても、さすが異世界の種族、分からないものだなあ・・・。
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感心している俺に、ガイヤさんが突然思い出したように言ってきた。
「なんでしょう?」
「更新したギルドカードです。先ほどは、時間がなくてお渡しできませんでした。ご確認ください」
そう言って、真っ白なセラミック製のギルドカードを渡してきた。
渡されたカードを見てみると、ランクがBになっていた。
「あれ?なんか書いてあるな」
『名前:セイヤ 年齢:17 種族:人族 適正属性:全属性 職業:冒険者 ランクB(仮認定:認定者=ローリー) レベル:19』
『ローリー』?・・・ダレデスカ?
「あの、ガイヤさん。ランクBのあとに、変なことが書いてあるんですが、『ローリー』ってだれですか?」
俺は、目の前のガイヤさんに尋ねた。
「え~と・・・ギルド長のことです。あっ!元ギルド長です」
「え?」
頭の中が真っ白になった。
「いやーねー。あんまり大声で言わないでちょうだい。仮の名よ、あたしの」
よくわかんないんですけど。
「仮の名じゃないわ、本名よ」
キョトンとしている俺の背後から、エルが冷たい声で言ってきた。
「ほんみょう?」
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はーーーっ・・・疲れる。
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