リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_

Lizard

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第二章 ボス(プレイヤースキル的な)

十三本目 「黒妖」

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イベント説明の翌日、学校にて―――

「龍成っ!!」
「うん?どうしたの彰太」
「今日っ!!BFOで会えないかっ!?」

いや、近いよ。
っていうか、この妙な気迫は何なの?

「会えると思うけど・・・どうしたの?」
「聞きたいことだらけだからな・・・そうだな、現実時間で夜8時でどうだ?あ、お前ってもしかしてもうエイフォルトにいるのか?」
「うん。あれ?そういえば彰太って前線組なんだよね?」
「おう!そうだぜ!!」
「じゃあ、最初にルミリエイスで会った時はどうやってきたの?歩いてきたわけじゃないでしょ?」
「はぁ?・・・お前まさか、知らねぇのか?」
「何を?」
「・・・そうか。まぁ、とりあえず今回はエイフォルトで会おうぜ。教会で集合、ってことでどうだ?」
「教会、か。分かったよ」
「とりあえず今日の苦行学校が終わって家に帰ったら俺はすぐBFOやるからよ!お前の方も聞きたいことあったら聞いてこい!」
「分かった。ありがとう」
「別にいいぜ!あ、できれば8時から2時間くらいは空けておいてほしいんだが・・・」
「まぁ、それくらいなら大丈夫だよ」
「そうか!じゃ、楽園BFOで会おう!!」
「(楽園・・・?)うん」

~~~~~~
授業が終わり、家に帰る。

BFOをやるために自分の部屋に入ろうと――

――すると、部屋の中に気配が。

しかし、間違いなく知ってる人物なので、特に警戒することもなく扉を開ける。

「理華。どうしたんだい?」

僕の部屋の中で待ち構えていたのは、覇城はじょう理華りか
僕の妹だ。どうしたんだろ?特に会う用はなかったと思うけど・・・

「兄様!!兄様は最近私に構ってくれません!一体どうしたというんですか!!」
「そう?別にそんなことはないけど・・・」
「私は寂しいです!寂しいですよ兄様!」
「うーん・・・今日はやることもあるからね。手合わせはまた今度かな」
「・・・私が要求してるのは鍛錬の相手じゃないのですけど・・・」
「あれ?そうなのかい?まぁ、さっきも言った通り、今日はやりたいことがあるから。用は早めに済ませてくれると助かるよ」
「・・・兄様、兄様はBFOをやってらっしゃるんですよね?」
「あれ?なんでそれを?っていうか、理華はBFOを知ってるの?」

僕は最近まで何となくしか(彰太に何度も言われてたけど)知らなかったのに・・・

「私もBFOをやっていますから!!」
「おお、そうなんだ」
「はい!ですから・・・出来れば兄様と一緒にやりたいのですが・・・」
「うーん・・・残念だけど、すぐは無理かな。BFOでやりたいことがあるから」
「そう、ですか・・・分かりました。けれど、また今度絶対に遊んでくださいね!」
「うん、分かったよ」

理華が部屋を出ていく。
少し悪いことしちゃったな・・・空いてるときに遊ぼう。
とりあえず、今はBFOだ。
今の時間は7時。彰太と会う前に装備や魔法を試したい。
現実では一時間しかなくても、BFOでは二時間ある。

僕はVREXを被り、〈ヨルム〉の世界に旅立った―――。

~~~~~~

「兄様の・・・バカ・・・」

龍成の扉の外で目に小粒の涙を浮かべながら悪態をいていたのは、理華だった。
けれど、既に意識がBFOの世界に入っている龍成が気づくことはない。

~~~~~~

とりあえず、向かうのはナーガの巣かな。
試したいことは色々あるけれど、まずやらなきゃいけないことがある・・・

街を出たところで、インベントリを開く。
僕がインベントリから取り出したのは、古びた一冊の本。
それは、二日前にアルミリアさんからレッサーナーガの素材を集めるクエストの報酬として貰った、【付与魔法】のスキルブックだ。

うん・・・正直、手を付けるのを忘れていたものだ。
何か、ごめん・・・

そんな風に本に謝罪の意を心の中で浮かべる。
っと、しまった。ショートと会う約束があるからね。急いでやらないと。

えっと、【付与魔法】の力が欲しいと念じる、か・・・

力が、欲しい―――

《【付与魔法】を取得しました》

よし、この残った本は・・・

――――――――
〈力を失った古代の本〉
かつては特殊な力を帯びていた本の残骸。
中身は白紙。特に何かに使うこともできない
――――――――
ふむ、〈スキルブック〉の詳細に書いてあった通り、ただの本になっているみたいだ・・・
まぁ、とりあえずはインベントリにしまっておこう。
特に役に立つわけじゃないけど、捨てる必要もないからね。

さて、次は・・・二つの魔法の確認だ。

まずは、【付与魔法】から。こっちはまぁ、もう一つよりは一般的、な気がする。

――――――――
【付与魔法】
Lv1 《ハイスピード》
――――――――
ふむ・・・Lv1だとハイスピード、か・・・
魔法の名前からしても、速度を上げるものだと思うけど・・・

――――――――
《ハイスピード》
5分間AGIが20%上昇
MP消費:40
自分と自分の半径5m以内にいる相手にかけることが出来る。
【詠唱】詳細で表示
――――――――
おお、この効果は中々・・・!
半径5m以内、か。
どうやら僕以外の人にもかけれるみたいだけど、パーティで活動することがないからなぁ・・・
まぁ、他の人と行動することも多分あると思う。
それに、Lv1でこれならLvを上げればもっと有用な魔法が出てくると思う。
無詠唱で発動出来るといいんだけど・・・
まぁ、それに関しては正直難しいかな。
自然に存在するような属性系の魔法ならまだしも・・・これはさすがにイメージが出来ない。
練習すれば出来るのかもしれないけど。
さて、次は【竜魔法】だ。僕としては、この魔法はとても気になる。
間違いなく強力な魔法だと思う。
それじゃ、見てみようか―――

――――――――
【竜魔法】
Lv1 《竜爪ドラゴンクロー
――――――――
ドラゴンクロー・・・?
えっと、詳細は――

――――――――
竜爪ドラゴンクロー
消費MP:45
指定した物に一秒間だけ特殊効果【竜爪の一撃】をエンチャントする
――――――――
うーん・・・よく分かんない。
まぁ、使ってみるしかないよね。

さて・・・今回は、渓谷に向かうまで時間はかけたくない。
それならまず――

「〈風の如く駆けろ〉、《ハイスピード》」

どうやらこの魔法は魔力を集めるようなことはしなくていいみたいだ。
身体がわずかに白く光る。

渓谷へ向けて走り出す。
すると、明らかに前よりも速い。
装備の効果と魔法の効果・・・さすがだね。
でも、まだだ。

背中に魔力を送る。
イメージは・・・腰の少し上。
自分に向かって魔法を発動。
身体にぶつける、というものではなく、身体を押し出すように。
発動した魔法の属性は、風。
魔力を送り続け、継続的に魔法を発動。

身体が軽くなったような感覚。
自分が走るよりも早く前に押し出される。
上手く走らないとバランスを崩しそうだね・・・
要練習、ってとこかな?

~~~~~~
渓谷に着いた。
まずはレッサーナーガで試してみようか。

近くの沼に近づくと、レッサーナーガが濁った水面から次々と顔を出す。
沼のほとりに、レッサーナーガが並ぶ。
その数は、約三十匹。

顔に笑みを浮かべ、駆け出す。
走る途中で詠唱を開始する。
詠唱をしながら、僕は一本の刀を抜いた。

「〈我が敵を切り裂け〉《竜爪ドラゴンクロー》」

発動した途端、刀に追従するように人間の身長ほどもある巨大な塊が現れる。
透き通ったそれは、爪・・・だけど、その大きさは人間の指にあるようなものではない。
まぁ、当然だろう。魔法の名前からしても、これは、竜の爪なのだから。

レッサーナーガに向けて、刀を振るう。
その刀は、まるでそこに障害などなかったかのように通り過ぎた。
このひと振りで、4匹ほどのレッサーナーガが緑色の光となって消えた。

しかし、それで終わりではなかった。
刀が通り過ぎ、わずかに時間をおいて巨大な爪が刀の軌跡の先を薙ぎ払う。

レッサーナーガの体長は、かなり長い。
その長さは、人間数人分はある。
けれど、太さはそれほどではない。
現実で考えれば十分すぎるほどに巨大なのだが、その胴回りはせいぜい数十センチ。
振るわれた竜の爪は鋭く、鋭利な刃物のように見えたが、その幅は人間の扱う刃物とは違いすぎる。
そのせいで、刀の間合いの外にいたレッサーナーガ達は、身体を斬られながらも吹き飛んだ。

「・・・これ竜の爪、もしかして質量は見た目通りなのかな?刀を重く感じるようなこともないけど・・・」

残ったレッサーナーガを見据え、目の前の出来事を分析する。
しかし、その時あることに気づいた。
僕が今握っている刀は、ナーガの素材で作った龍刀。
新しく作った武器だ。重さや感触などを確かめる意味もあってレッサーナーガに振るった。
初めて握った刀だ。当然、慣れるまでにしばらくかかる・・・
筈だった。

なのに、何の違和感もない。
まるで、長年ずっと使ってきた武器のように。
いや、それどころか、まるでこの刀を持っているほうが僕の本来の姿のような・・・
元々現実では刀の扱いを習っていた。
だから、この方が落ち着く、というのはあるかもしれない・・・
けれど、今の僕の感覚はそんな理由じゃない気がする。
まるで失っていた部位が戻ったかのような――

これは・・・ほぼ間違いなく、この刀の"契約者の存在と同調する"という能力のせいだろう。
これなら、慣れるまで使いづらい、ということもない。

手足を使うかのように刀を振れる・・・

これだけでこの刀を作ってもらった意味はあるな、と思った。
残ったレッサーナーガを切り裂きながら。

周囲にレッサーナーガがいなくなると、改めて刀を見る。
もう一本の杖刀はまだインベントリに入れてあるけど、この龍刀の鞘はローブの内側、服の腰帯に差してある。これは、エイフォルトで買っておいたものだ。

刀の刃は燃えるような赤。
刃文はしっかりとあるが、刃文を境にして赤色と黒色に隔てられている。
刀としてはまさに異様な色合い。
刀身は黒色が割合の多くを占めているのだが、その色は、本来刀にある筈の金属の光沢が全くない。
まるでブラックホールを覗いているような・・・闇と表すのが正しいかもしれないね。
不気味な色合い、って感じかな。
でも、この刀が僕の一部だって言うんだからね・・・不思議なものだ。

この刀には魔力を籠めることで切れ味が上がる、という能力がある。
けれど、レッサーナーガの斬った時、僕はこの刀に魔力を籠めたりはしていなかった。
なのに、レッサーナーガの鱗を切り裂いても、その感触がほとんどなかった。
明らかに異常な切れ味・・・これでもまだ良くなるとは・・・
これなら、ナーガも一度で斬れるかもしれない。

青みがかった黒色の柄に、赤と黒の刀身。鍔はしっかりと光沢を放ってはいるが、これも黒一色。
他人が持っていれば、不気味に思うかもしれない。
けれど、不思議とそんな感情は沸いてこない。
本当に、いい刀だ―――

―ん?今、気のせいか・・・?
刀から、何か感情のようなものを感じた気がした・・・
やっぱり妖刀・・・?

あ、そういえば、名前をまだつけていなかった。
刀の名前か・・・そうだなぁ。
有名なところだと正宗、とかあるけどね。

うーん・・・そうだなぁ。
黒い妖刀・・・まぁ、妖刀と決まったわけじゃないけど。
安易かもしれないけど、これでいいか。名前を一度決めたら変えられるのかわからないけど・・・
――この刀の名前は、「黒妖」。

「これからは、君を使わせてもらうよ。黒妖」

すると、刀から喜びの感情が漏れ出たような気がした
それは都合のいい考えかもしれないな。

けれど・・・この刀とは、これからずっと一緒に戦うことになる―――
そんな勘のような確信が、僕の中にはあった
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