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妖精王国・ヴァルヴァレリアの婚礼の儀は、昼過ぎの鐘と共に始まる。
草木や花々、自然を愛するこの国は、もっとも花が美しく開いて香る午後の光と共に結婚を誓うのだ。
太陽が天頂に届く、すこし前の刻。
結婚式を直前に控えた花嫁の控室には、穏やかな空気が流れていた。
窓から差し込む柔らかな陽光が、純白の美しいドレスを着用し、椅子に座っているイヴリアの姿を淡く照らし出す。しなやかな背中を覆う長いヴェール。薄水色の柔らかな髪は繊細に結い上げられ、青と赤のアネモネの花飾りが冠として頭上を彩っていた。
夢にまで見た日。
カーライルと結ばれる、結婚式当日だ。
「イヴリア、結婚おめでとう」
「!! アンディっ」
突然部屋に響いた、ふわりとした、落ち着いた甘い声。
顔を上げたイヴリアの前に現れたのは、イヴリアの瞳と同じ色、青いヒヤシンス。スッとそれを差し出しているのは、青く美しい羽に長い黒髪の妖精――ずっとイヴリアがその所在を気にしていた、イヴリアの相棒妖精・アンディだった。
その服装はぴしりと決まった黒のタキシード。ふわりと宙に舞いながら、その小さな羽はキラキラと光を反射してきらめいている。
「どこに行ってたの!? ずっと、ずっと会いにきてくれないから、……わたしっ、アンディが怒っちゃったのかなって……どっかに、行っちゃったのかなって……」
思わず涙声になるイヴリアに微笑んで、アンディは手にしたその青い花をイヴリアのヴェールに飾られたアネモネの横に挿した。そして少しだけ肩をすくめる。
「可愛いイヴ、君の何に怒るんだい? 僕にも少し用事があってね」
「用事?」
「そんなことはどうでもいいよ。今日はイヴとライルくんが主役の大切な日だろう? さっきライルくんにも会ってきたけど、ずいぶんと緊張して青ざめてたよ、吐きそうだってさ。イヴが支えてあげないとね」
「まぁ……! そうね、でも……わたしもちょっと緊張しちゃって」
そう言って頬に手を当てるイヴリアに、ふふ、と笑い、アンディはその小さな手をそっとイヴリアの指に絡めた。
「大丈夫。君は、世界一綺麗だよ、イヴ」
「……っ、もう!」
いつもの調子で甘く囁かれ、イヴリアは苦笑した。いつだってこう。アンディは、本当にイヴリアにとことん甘い――と、その時。
部屋の扉から、ふわりふわりとピンク色のきらめきが入ってきた。
見覚えのありすぎる、いたずらっぽい笑みを浮かべた、そのふわふわとした妖精は――!
草木や花々、自然を愛するこの国は、もっとも花が美しく開いて香る午後の光と共に結婚を誓うのだ。
太陽が天頂に届く、すこし前の刻。
結婚式を直前に控えた花嫁の控室には、穏やかな空気が流れていた。
窓から差し込む柔らかな陽光が、純白の美しいドレスを着用し、椅子に座っているイヴリアの姿を淡く照らし出す。しなやかな背中を覆う長いヴェール。薄水色の柔らかな髪は繊細に結い上げられ、青と赤のアネモネの花飾りが冠として頭上を彩っていた。
夢にまで見た日。
カーライルと結ばれる、結婚式当日だ。
「イヴリア、結婚おめでとう」
「!! アンディっ」
突然部屋に響いた、ふわりとした、落ち着いた甘い声。
顔を上げたイヴリアの前に現れたのは、イヴリアの瞳と同じ色、青いヒヤシンス。スッとそれを差し出しているのは、青く美しい羽に長い黒髪の妖精――ずっとイヴリアがその所在を気にしていた、イヴリアの相棒妖精・アンディだった。
その服装はぴしりと決まった黒のタキシード。ふわりと宙に舞いながら、その小さな羽はキラキラと光を反射してきらめいている。
「どこに行ってたの!? ずっと、ずっと会いにきてくれないから、……わたしっ、アンディが怒っちゃったのかなって……どっかに、行っちゃったのかなって……」
思わず涙声になるイヴリアに微笑んで、アンディは手にしたその青い花をイヴリアのヴェールに飾られたアネモネの横に挿した。そして少しだけ肩をすくめる。
「可愛いイヴ、君の何に怒るんだい? 僕にも少し用事があってね」
「用事?」
「そんなことはどうでもいいよ。今日はイヴとライルくんが主役の大切な日だろう? さっきライルくんにも会ってきたけど、ずいぶんと緊張して青ざめてたよ、吐きそうだってさ。イヴが支えてあげないとね」
「まぁ……! そうね、でも……わたしもちょっと緊張しちゃって」
そう言って頬に手を当てるイヴリアに、ふふ、と笑い、アンディはその小さな手をそっとイヴリアの指に絡めた。
「大丈夫。君は、世界一綺麗だよ、イヴ」
「……っ、もう!」
いつもの調子で甘く囁かれ、イヴリアは苦笑した。いつだってこう。アンディは、本当にイヴリアにとことん甘い――と、その時。
部屋の扉から、ふわりふわりとピンク色のきらめきが入ってきた。
見覚えのありすぎる、いたずらっぽい笑みを浮かべた、そのふわふわとした妖精は――!
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